公共交通機関データを使用したネットワーク解析

Network Analyst のライセンスで利用可能。

バスや地下鉄などの公共交通機関サービスは、密集した市街地で重要な交通手段を提供しています。 ArcGIS Network Analyst エクステンションを使用すると、マルチモーダル ネットワーク データセットの特殊なデータ モデルおよびネットワーク エバリュエーターを使用して、定期運行されている公共交通機関サービスをモデル化できます。 公共交通機関データで構成したネットワーク データセットを使用することにより、次のような質問に答えることができます。

  • 徒歩と交通機関を利用して 30 分以内に到着できるエリアはどこですか?
  • マンハッタンに新しい診療所を建てる際に最適な場所はどこですか?
交通、都市計画、公衆衛生、経済発展などの解析を実行することもできます。

公共交通機関データを使用したネットワーク解析の主な目的は解析であり、旅行の計画を目的にしているわけではありません。 そのため、交通に特化したルート案内やリアルタイムの交通データなど、旅行者向けのアプリケーションで有用と思われる機能は現在使用できません。

詳細については、「公共交通機関データを使用したネットワーク データセットの作成と使用」をご参照ください。

公共交通機関エバリュエーター

ArcGIS Network Analyst エクステンションでは、ネットワーク データセットのエッジからグラフ検索を実行します。 検出した各エッジに対して、「エバリュエーター」は計算を実行し、エッジを通過する際のコスト (移動時間など) を決定します。 「公共交通機関」エバリュエーターは、公共交通機関の時刻表を使用して、交通機関ラインのエッジでの移動時間を計算する特殊なエバリュエーターです。 エバリュエーターはエッジに到達した日時を考慮し、一連のテーブルに格納されている時刻表を検索して、解析で指定した日時に利用できる最も効率的な移動手段を出力します。

公共交通機関エバリュエーターは、交通機関ラインのエッジでの移動時間を計算するためだけに使用されます。 道路や歩道などの他のネットワーク エッジで歩行時間を正確に計算するには、別のタイプのエバリュエーターを使用する必要があります。 適切に構成されたネットワーク データセットを使用すると、出発地から道路に沿って歩行し、停留所または駅で交通機関に乗車して別の停留所または駅に移動し、その場所から道路に沿って目的地まで歩行する旅行者をモデル化できます。

公共交通機関データ モデル

公共交通機関エバリュエーターを使用し、ネットワーク データセット内で定期運行されている公共交通機関をモデル化するには、交通機関ストップおよび交通機関ライン、交通機関サービスが利用できる日時を定義する特定のスキーマを含むフィーチャクラスおよびテーブルのセットをネットワークに含める必要があります。 「ArcGIS Network Analyst エクステンション公共交通機関データ モデル」は、このようなテーブルおよびフィーチャクラスで構成されています。 公共交通機関エバリュエーターは、公共交通機関データ モデルの LineVariantElements フィーチャクラスにのみ使用でき、他のエッジ ソースには使用できません。

データ モデル フィーチャクラスおよびテーブルは手動で作成および設定するか、「GTFS → 公共交通機関データ モデル」および「公共交通機関データ モデルを道路へ接続」ジオプロセシング ツールを実行して、「GTFS (General Transit Feed Specification) 公共交通機関データ」から自動的に生成することもできます。

検討事項および制限事項

現在、ArcGIS Network Analyst エクステンションのすべての機能が、公共交通機関データを使用したネットワーク解析でサポートされているわけではありません。 特別な検討事項および制限事項について、以下に説明します。

ルート案内

公共交通機関のターンごとのルート案内は現在サポートされていません。 ネットワーク データセットに公共交通機関データが含まれている場合も、ネットワークのルート案内を構成できますが、公共交通機関ラインを通るルートでは、特定のバス路線に乗車して特定のストップで降車するよりも、交通機関ラインに沿って歩行または運転するよう指示するルート案内が生成されます。

リアルタイム公共交通機関データ

リアルタイムの公共交通機関データを使用したネットワーク解析は現在サポートされていません。 ネットワーク データセットでは、定期運行されている公共交通機関のみを使用できます。 ArcGIS Network Analyst エクステンションでの公共交通機関データの使用は、主に解析を目的としています。旅行の計画や旅行者向けのアプリケーションにはお勧めできません。

順序を変更したストップを使用した配車ルート解析およびルート解析

配車ルート (VRP) 解析および巡回セールスマン問題の解析 (ストップの順序を変更できるオプションが付いたルート解析を使用) は、現在公共交通機関エバリュエーターを使用したネットワーク解析ではサポートされていません。

移動者の振舞い

現在、移動者が使用する移動回数を制限することはできません。

全体の移動時間とは別に、移動者の歩行時間や距離を制限することもできません。 たとえば、歩行時間を 5 分に制限した 30 分の到達圏を作成することはできません。 到達圏の出力では、徒歩、交通機関の利用、またはその 2 つの組み合わせで 30 分以内に到達可能なエリアが表示されます。

公共交通機関エバリュエーターを使用するインピーダンス属性上の属性パラメーターを使用して、車椅子や自転車を使用した移動者をモデル化できます。 サポートされているパラメーターは、「公共交通機関エバリュエーターに関するドキュメント」に記載されています。