指数ギャラリー

イメージ指数は、マルチバンドの画像から計算された画像です。 画像は、画像内に存在する特定の現象を強調する一方で、その影響を低下させるその他の要因を軽減します。 たとえば、植生指数では、健康な植生は指数画像に明るく表示され、健康でない植生は値が低く、荒れ地のテレインが暗く表示されます。 テレインの変化 (丘陵や渓谷) による陰影は画像の強度に影響するため、オブジェクトの強度や明るさではなくオブジェクトの色が強調されるように、指数が作成されます。 健康な松の木の植生指数は、渓谷によって影になっている場合も太陽光を十分に受けている場合も似た値になります。 多くの場合、これらの指数は、バンドの追加や削除を組み合わせて、さまざまなバンド比率を作成することで構築されます。 指数は、電磁スペクトルの特定部分にある特定のバンドに関連付けられています。 その結果、指数は特定のセンサーまたはセンサーのクラスに対してのみ有効である場合があり、適切なバンドを使用して計算することが非常に重要です。

これらの指数の一般的な用途の 1 つは、同じオブジェクトを時期の異なる複数の画像で比較することです。 たとえば、種をまいてから生育期間に毎週撮影した農地の複数の画像があるとします。 植生指数は、各画像に対して計算されます。 これらの週次の植生指数を解析すると、生育期間を通して表示が明るくなると予想されます。 秋に成長が止まると、植物が収穫されたり、季節の最後に葉が落ちるまで、この指数は減少していくことがわかります。 指数を正規化すると、実際に比較しやすくなります。 地域内の複数の農地を比較することで、肥沃な農地と問題のある農地を識別できます。 この種の解析は、嵐による損害を受けた農地の識別にも使用されます。

解析する現象に応じて指数を選択します。 選択した指数をサポートするバンド (波長および範囲) のセンサーから取得した入力画像を使用してください。 指数は、画像からメタデータを読み取り、バンド名を確認します。 一致を検出すると、指数が自動的に適用されます。 ArcGIS Pro は一般的に Landsat 8 のバンド名を使用しますが、他のセンサーのバンド名とは異なる場合があります。 この場合、指数関数で使用しているセンサーのバンドに置き換えることができます。 たとえば、Landsat 5 TM ラスター プロダクトは中赤外 (MIR) と呼ばれるバンド (7) ですが、これは短波赤外 2 (SWIR2) と呼ばれる Landsat 8 の同種のバンドと互換性があります。 この場合、適用する指数はイメージ メタデータから必要なバンド名情報を見つけることができないため、ダイアログ ボックスが表示され、適用する指数の適切なバンド番号を入力するよう求められます。

注意:

画像に適用する指数を選択する場合、ソース画像にその指数に適したバンドが含まれていることを確認してください。 たとえば、正規化積雪指数 (NDSI) では短波赤外 (SWIR) バンドが必要で、SWIR バンドを含まない画像では正常に動作しません。

植生と土壌の指数

MSAVI

MSAVI2 (Modified Soil Adjusted Vegetation Index) 方法は、SAVI での露出土壌の影響を最小限に抑えます。

MSAVI2 = (1/2)*(2(NIR+1)-sqrt((2*NIR+1)2-8(NIR-Red)))
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値

参考文献: Qi, J. ほか、 1994、「A modified soil vegetation adjusted index」、Remote Sensing of Environment、Vol. 48、No. 2、119–126

NDVI

正規化植生指標 (NDVI) 方法は、植生の有無・活性度を表す標準化された指数 (相対バイオマス) です。 この指標は、マルチスペクトル ラスター データセットの 2 つのバンドの特性のコントラストを活用しています。具体的には、赤のバンドにおけるクロロフィル色素の吸収と、NIR バンドにおける植物の細胞構造による高い反射特性を利用しています。

提案されているデフォルトの NDVI 計算式は以下のとおりです。

NDVI = ((NIR - Red)/(NIR + Red))
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値

この指数は、-1.0 から 1.0 の範囲の値を出力します。

NDVI の詳細

PVI

PVI (Perpendicular Vegetation Index) 方法は、差分植生指数と類似していますが、大気の変動による影響を受けやすい点が異なります。 この方法を使用して画像を比較する場合は、大気補正された画像のみを対象にこの方法を使用する必要があります。

PVI = (NIR - a*Red - b) / (sqrt(1 + a2))
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値
  • a = ソイル ラインの傾き
  • b = ソイル ラインの勾配

この指数は、-1.0 から 1.0 の範囲の値を出力します。

SAVI

SAVI (Soil-Adjusted Vegetation Index) 方法は、土壌調整係数を使用して、土壌の明るさの影響を最小限にすることを目的とした植生指数です。 この方法は、植生の割合が低い乾燥した地域によく使用され、-1.0 から 1.0 の範囲の値を出力します。

SAVI = ((NIR - Red) / (NIR + Red + L)) x (1 + L)
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値
  • L = 緑色植生の割合

スペース区切りのリストを使用して、NIR Red L の順序で NIR および赤色のバンドを指定し、L 値を入力します。 たとえば、「4 3 0.5」のように指定します。

参考文献: Huete, A. R.、 1988、「A soil-adjusted vegetation index (SAVI)」、Remote Sensing of Environment、Vol 25、295–309

TSAVI

TSAVI (Transformed Soil Adjusted Vegetation Index) は、ソイル ラインの傾きと切片が任意に指定されることを前提として、土壌の明るさによる影響を最小限にする植生指数です。

TSAVI = (s * (NIR - s * Red - a)) / (a * NIR + Red - a * s + X * (1 + s2))
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値
  • s = ソイル ラインの傾斜
  • a = ソイル ラインの切片
  • X = 土壌のノイズを最小化するように設定された調整係数

参考文献: Baret, F. および G. Guyot、1991、「Potentials and limits of vegetation indices for LAI and APAR assessment」、Remote Sensing of Environment、Vol. 35、161–173

VARI

VARI (Visible Atmospherically Resistant Index) は、日照の違いや大気の影響を軽減しながら、スペクトルの可視部分で植生を強調するように設計されています。 これは、RGB またはカラー画像に最適で、3 つのカラー バンドすべてを利用します。

VARI = (Green - Red) / (Green + Red – Blue)
  • Green = 緑色バンドのピクセル値
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値
  • Blue = 青色バンドのピクセル値

参考文献: Gitelson, A., et al. "Vegetation and Soil Lines in Visible Spectral Space: A Concept and Technique for Remote Estimation of Vegetation Fraction." International Journal of Remote Sensing 23 (2002): 2537−2562.

水の指数

NDSI

参考文献:

  1. Wilson, E.H. and Sader, S.A., 2002, 「Detection of forest harvest type using multiple dates of Landsat TM imagery.」 Remote Sensing of Environment, 80 , pp. 385-396.
  2. Skakun, R.S., M.A. and Franklin, .S.E. (2003). 「Sensitivity of the thematic mapper enhanced wetness difference index to detect mountain pine beetle red-attack damage.」Remote Sensing of Environment, Vol. 86, Pp. 433-443.

NDSI = (Green - SWIR) / (Green + SWIR)
  • Green = 緑色バンドのピクセル値
  • SWIR = 短波赤外バンドのピクセル値

参考文献: Riggs, G., D. Hall, and V. Salomonson. 「A Snow Index for the Landsat Thematic Mapper and Moderate Resolution Imaging Spectrometer.」 Geoscience and Remote Sensing Symposium, IGARSS '94, Volume 4: Surface and Atmospheric Remote Sensing: Technologies, Data Analysis, and Interpretation (1994), pp. 1942-1944.

MNDWI

MNDWI (Modified Normalized Difference Water Index) は、緑色と SWIR バンドを使用して、開水フィーチャを強調します。 また、他の指数で開水に関連することが多い市街地フィーチャも減少します。

MNDWI = (Green - SWIR) / (Green + SWIR)
  • Green = 緑色バンドのピクセル値
  • SWIR = 短波赤外バンドのピクセル値

参考文献: Xu, H. 「Modification of Normalised Difference Water Index (NDWI) to Enhance Open Water Features in Remotely Sensed Imagery.」 International Journal of Remote Sensing 27, No. 14 (2006): 3025-3033.

NDMI

NDMI (Normalized Difference Moisture) は、植生の水分レベルを感知します。 これは、干ばつを監視したり、火災が発生しやすい地域の警告燃料レベルを監視するために使用されます。 これは、NIR および SWIR バンドを使用して、日照や大気の影響を軽減するように設計された比率を作成します。

NDMI = (NIR - SWIR1) / (NIR + SWIR1)
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • SWIR1 = 短波赤外 1 バンドのピクセル値

参考文献:

  1. Wilson, E.H. and Sader, S.A., 2002, 「Detection of forest harvest type using multiple dates of Landsat TM imagery.」 Remote Sensing of Environment, 80 , pp. 385-396.
  2. Skakun, R.S., M.A. and Franklin, .S.E. (2003). 「Sensitivity of the thematic mapper enhanced wetness difference index to detect mountain pine beetle red-attack damage.」Remote Sensing of Environment, Vol. 86, Pp. 433-443.

地質の指数

粘土鉱物比

粘土鉱物比は SWIR1 および SWIR2 バンドの比率です。 この比率は、粘土、明ばん石などの含水性の鉱物が、スペクトルの 2.0 ~ 2.3 ミクロンの部分で放射線を吸収する事実を利用しています。 この指標は比率であるため、テレインによる日照の変化を軽減します。

粘土鉱物比 = SWIR1 / SWIR2
  • SWIR1 = 短波赤外 1 バンドのピクセル値
  • SWIR2 = 短波赤外 2 バンドのピクセル値

参考文献: Dogan, H.、 2009 "Mineral composite assessment of Kelkit River Basin in Turkey by means of remote sensing," Journal of Earth System Science, Vol. 118, 701-710.

鉄含有鉱物比

鉄含有鉱物比率は、鉄含有硫化物を強調します。 これは、SWIR バンドと NIR バンドの比率を使用します。

鉄含有鉱物比 = SWIR / NIR
  • SWIR = 短波赤外バンドのピクセル値
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値

参考文献: Segal, D. 「Theoretical Basis for Differentiation of Ferric-Iron Bearing Minerals, Using Landsat MSS Data.」 Proceedings of Symposium for Remote Sensing of Environment, 2nd Thematic Conference on Remote Sensing for Exploratory Geology, Fort Worth, TX (1982): pp. 949-951.

酸化鉄比

酸化鉄比率は、赤色と青色の波長の比率です。 褐鉄鉱含有フィロケイ酸塩と褐鉄鉱酸化鉄の変質が存在するため、青色のバンドは吸収され、赤色のバンドは反射します。 これにより、鉄の変質が強い地域は明るく表示されます。 比率の性質により、この指標はテレインの陰影による日照の違いを軽減します。

酸化鉄比 = Red / Blue
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値
  • Blue = 青色バンドのピクセル値

参考文献: Segal, D. 「Theoretical Basis for Differentiation of Ferric-Iron Bearing Minerals, Using Landsat MSS Data.」 Proceedings of Symposium for Remote Sensing of Environment, 2nd Thematic Conference on Remote Sensing for Exploratory Geology, Fort Worth, TX (1982): pp. 949-951.

地形の指数

BAI

BAI (Burn Area Index) は、赤の反射率の値とスペクトルの NIR 部分を使用して、火の影響を受ける地形のエリアを識別します。

BAI = 1/((0.1 -RED)^2 + (0.06 - NIR)^2)
  • Red = 赤色のバンドのピクセル値
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値

参考文献: Chuvieco, E., M. Pilar Martin, and A. Palacios. 「Assessment of Different Spectral Indices in the Red-Near-Infrared Spectral Domain for Burned Land Discrimination.」 Remote Sensing of Environment 112 (2002): 2381-2396.

NBR

NBRI (Normalized Burn Ratio Index) は、NIR および SWIR バンドを使用して、日照の違いや大気の影響を軽減しながら、焼け跡を強調します。 この指標を使用する前に、画像の反射率の値を補正する必要があります。詳細については、「反射率」をご参照ください。

NBR = (NIR - SWIR) / (NIR+ SWIR)
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値
  • SWIR = 短波赤外バンドのピクセル値

参考文献: Key, C. and N. Benson, N.「Landscape Assessment: Remote Sensing of Severity, the Normalized Burn Ratio; and Ground Measure of Severity, the Composite Burn Index.」 FIREMON: Fire Effects Monitoring and Inventory System, RMRS-GTR, Ogden, UT: USDA Forest Service, Rocky Mountain Research Station (2005).

NDBI

NDBI (Normalized Difference Built-up Index) は、NIR および SWIR バンドを使用して、人工の市街地を強調します。 これは比率に基づき、地形の日照の違いや大気の影響を軽減します。

NDBI = (SWIR - NIR) / (SWIR + NIR)
  • SWIR = 短波赤外バンドのピクセル値
  • NIR = 近赤外バンドのピクセル値

参考文献: Zha, Y., J. Gao, and S. Ni. 「Use of Normalized Difference Built-Up Index in Automatically Mapping Urban Areas from TM Imagery.」 International Journal of Remote Sensing 24, no. 3 (2003): 583-594.

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