方向的影響の考慮

Geostatistical Analyst のライセンスで利用可能。

出力サーフェス内の推定値に影響しうる方向的要素には、グローバル トレンドと、セミバリオグラム/共分散への方向的影響 (異方性) の 2 つのタイプがあります。 グローバル トレンドはすべての測定に影響する決定論的プロセスです。 グローバル トレンドは数式 (多項式など) によって表すことができ、測定されたポイントの解析からは除去され、推定が行われた後で戻されます。 このプロセスをトレンド除去と呼びます。

トレンド除去の詳細

トレンド

グローバル トレンドの例は、工場の煙突に対する卓越風の影響で確認することができます。 図では、汚染濃度が高いエリアが暖色 (赤色と黄色) で示され、汚染濃度が低いエリアが寒色 (緑色と青色) で示されています。 汚染濃度の値は南北方向よりも東西方向の方が徐々に変化していることがわかります。 これは、東西方向は風向きと同じ方向であるのに対し、南北方向は風向きに対して直角であることが理由です。

汚染濃度

グローバル トレンドが除去された後やトレンドが存在しない場合でも、セミバリオグラム/共分散曲線の形状は方向とともに変化します (異方性)。 グローバル トレンドは物理的プロセス (卓越風) によって表すことができ、数式によってモデル化されるため、異方性は前述のグローバル トレンドとは異なります。 セミバリオグラムにおける異方性 (方向的影響) の原因は通常は不明なので、ランダム誤差としてモデル化されます。 原因が不明であっても、異方性の影響を定量化して考慮することが可能です。

異方性

異方性は、通常、1 つの数式によって記述可能な決定論的プロセスではなく、 すべての測定ポイントに予想どおりに影響する 1 つの原因や影響はありません。 異方性はランダム プロセスの特性の 1 つであり、ある方向が他の方向より高い自己相関を示します。 以下の図に、ランダム プロセスの概念を示します。 ここでも、汚染濃度が高いエリアが暖色 (赤色と黄色) で示され、汚染濃度が低いエリアが寒色 (緑色と青色) で示されています。 ランダム プロセスでは、ある方向の波が他の方向の波より短くなっています。 これらの波は一部の未知または測定不可能な物理的プロセスの結果である可能性がありますが、方向的自己相関のあるランダム プロセスとしてモデル化されています。

異方性

クリギング方法を使用する際に異方性を考慮することを選択した場合、経験的セミバリオグラムでは方向によって異なる空間的関係が示されます。 この例では、セミバリオグラムの形状は南北方向で急速に増大してから横ばいになっています (この方向で汚染濃度が急速に変化しています)。 方向に応じて形状が変化するセミバリオグラム モデルを使用して経験的セミバリオグラム ポイントが適合され、クリギングの加重がこれに合わせて調整されます。

決定論的方法ではその強度または方向の経験的測定値は提供されませんが、異方性を考慮することは可能です。 これらの方法を使用している場合に異方性を考慮するには、空間データの予備的解析および現象についての知識に基づいて異方性の度合いを判断する必要があります。 内挿の加重は検索近傍楕円をどのように設定しているかに基づいて調整されます (推定位置からの距離がほぼ同じである場合、長軸上のデータ ポイントは短軸上のデータ ポイントよりも大きい加重が割り当てられます)。


このトピックの内容
  1. トレンド
  2. 異方性