地球統計レイヤーからのラスター作成の基礎

Geostatistical Analyst のライセンスで利用可能。

Geostatistical Analyst ツールボックス内の [地球統計レイヤー → グリッド (GA Layer to Grid)] および [地球統計レイヤー → ラスター (GA Layer to Rasters)] ジオプロセシング ツールを使用して地球統計レイヤーをラスター形式に変換することができます (「地球統計レイヤーを操作ツールセットの概要」を参照)。

ブロック内挿は地球統計レイヤーからラスターを作成するときに使用します。 ブロック内挿は、指定されたエリア内の現象の平均値を推定する内挿方法です。 経験ベイズ クリギングおよびクリギング以外のその他すべての方法によるブロック内挿では、エリア内の指定された数の位置について推定が計算され、その値が平均され、平均値がエリア全体の推定として割り当てられます。 たとえば、あるエリア内の 10 箇所の位置を推定対象として指定した場合、指定された内挿モデルおよびその現象について収集された元のサンプル ポイントを使用して 10 箇所の位置それぞれについて推定が行われます。

(経験ベイズ クリギング以外の) クリギング方法の場合、標準ブロック クリギング方程式に従ってラスター セルの値が計算されます (このトピックの最後にある参考文献を参照)。 変換が使用された場合、変換後のデータに標準ブロック クリギング方程式が適用され、逆変換時に補正が適用されます。 ただし、逆変換の後、これらのブロック推定が偏っていることがあり、この場合、[ガウス地球統計学的シミュレーション (Gaussian Geostatistical Simulations)] ジオプロセシング ツールを使用したシミュレーションを実行する方法が推奨されます。

地球統計レイヤーをラスターに変換した場合、平均化を行うブロックの形状は個々のラスター セルの内側に収まります。 以下の図は、ブロック内挿で使用されるサンプル ポイントとブロック構成 (ラスター) を示しています。

サンプル ポイントとブロック構成
サンプル ポイントとブロック構成

変換の際には、平均化に使用する各セル内のポイント推定位置の数を指定します。 たとえば、セルごとに x 方向で 2 つのポイント、y 方向で 3 つのポイントを推定位置として指定できます。 推定ポイントは各ポイントが同じ面積を代表 (影響) するように各セル内に分散されます。 このため、いずれの推定ポイントにも加重は適用されません。 推定ポイントは各サブ単位の中心に配置されます (この場合、6 つのブロックそれぞれの中心)。

以下の図でハイライトされているセルを使ってラスター内の 1 つのセル (つまりブロック) のブロック内挿について説明します。 この手順は出力ラスター内の各セルに適用されます。

1 つのセルのブロック内挿
1 つのセルのブロック内挿

以下の図は、上の図でハイライトされているブロックを拡大したものです。 地球統計レイヤーで指定されている内挿モデルと元のサンプル ポイントを使用して、セル内の 6 つのポイントそれぞれについて推定が行われます。 6 つの推定値が平均されてそのセルに割り当てられます。

1 つのセル内で平均された推定値
1 つのセル内で平均された推定値

x 方向に 1 つのポイント、y 方向に 1 つのポイントだけ指定した場合、各出力セルの中心について推定が行われます。 推定ポイントの数が増えるにしたがい、処理時間も増えます。

方向性トレンドを捕捉するため、x 方向または y 方向の推定ポイントを増やしてもよいでしょう。 上の 2x3 の例では、南北方向の方が東西方向よりも推定ポイントの間隔が狭くなっています。 南北方向の推定ポイントの方が多いため、その方向のサンプリングが増え、より高い変動が捕捉されます。 つまり、東西方向よりも南北方向の方が現象の値が急速に変化しています。 これを捕捉するには、その方向のサンプル ポイントがさらに必要になります。

参考文献

  • Chiles, J.P. and Delfiner, P., Geostatistics: Modeling Spatial Uncertainty, John Wiley & Sons, New York (1999), Section 3.5 (pp. 203-211)

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