検索近傍

Geostatistical Analyst のライセンスで利用可能。

位置が推定位置から遠ざかるにつれて、測定値と推定位置との空間的自己相関は低くなると仮定することができます。 このようなポイントは推定値にほとんどまたはまったく影響しないため、検索近傍を定義することでその推定ポイントの計算から除外することができます。 ポイントが存在するエリアの特性が推定位置の特性とは異なる場合、位置が離れていることで推定値に望ましくない影響が生じることがあります。 検索近傍を使用する 3 つ目の理由は計算速度です。 2,000 個のデータ位置がある場合、行列が大きすぎて逆行列を求めることができず、推定値を生成できません。 検索近傍が小さくなるほど、推定値の生成にかかる時間は短くなります。 この結果、検索近傍を指定することで、推定で使用されるポイントの数を制限することが一般的に行われています。

指定した近傍の形状によって、推定で使用される測定値を検索するエリアが絞り込まれます。 追加のパラメーターによって、検索近傍内で使用される位置が絞り込まれます。 検索近傍はサイズと形状を変更するか含まれる近傍ポイントの数を変更することによって変更できます。

近傍の形状は、入力データおよび作成するサーフェスの影響を受けます。 データの空間的自己相関に方向的影響がない場合 (「方向的影響の考慮」を参照)、すべての方向でポイントを等しく使用し、検索近傍の形状は円形になります。 これに対し、データに方向的自己相関またはトレンドがある場合、近傍の形状は、長軸が長距離自己相関の方向 (データ値が最も類似する方向) と平行になるように配置された楕円になります。

検索近傍は、次の例に示すように、[地球統計ウィザード] で指定することができます。

  • 近傍タイプ: 標準
  • 最大近傍 = 4
  • 最小近傍 = 2
  • セクター タイプ (検索方法): オフセットが 45°、半径が 182955.6 の 4 つのセクター

検索近傍
検索近傍のステップ

プレビュー サーフェス上で十字線が示す位置における値の推定に使用されている加重が上の図に示されています。 加重が最も大きいデータ ポイントが赤色でハイライト表示されています。

近傍の形状を指定した後、その形状内で使用する位置を絞り込むことができます。 含める近傍ポイントの最大数と最小数を定義し、近傍をセクターに分割してすべての方向の値が含まれるようにします。 近傍をセクターに分割した場合、指定した最大近傍ポイント数と最小近傍ポイント数が各セクターに適用されます。

次のような各種セクター タイプを使用できます。

  • 1 セクター
  • 4 セクター楕円
  • 45 度オフセットの 4 セクター楕円
  • 8 セクター

クリギングでは検索近傍によって指定されるデータ構成が適合後のセミバリオグラム モデルとともに使用され、測定位置の加重を指定できます。 加重と測定値を使用して、推定位置での推定を行うことができます。 分析範囲内の各位置についてこの処理を行うことで連続サーフェスが作成されます。 その他の内挿手法も同じ処理を行いますが、加重の計算にセミバリオグラム モデルは使用されません。

使用可能な近傍ポイントの最大数は内挿方法によって異なります。 1 セクターの場合、各方法での最大近傍ポイント数は以下のとおりです。

  • エリア内挿 - 200
  • バリアを使用した拡散内挿 - 近傍ポイント数に制限はありません
  • 経験ベイズ クリギング - 64
  • EBK 回帰予測 - 64
  • グローバル多項式内挿 - 検索近傍を使用しません
  • 逆距離加重 - 1,000
  • バリアを使用したカーネル内挿 - 近傍ポイント数に制限はありません
  • クリギング (経験ベイズ クリギングを除く) - 200
  • ローカル多項式内挿 - 1,000
  • 放射基底関数 - 64

使用するセクターの数によって最大近傍ポイント数が変わります。たとえば、4 つのセクターが使用されている場合には近傍ポイント数を 4 で割り、8 つのセクターが使用されている場合には近傍ポイント数を 8 で割ります。

スムージング内挿オプションでは楕円が 3 つ作成されます。 中央の楕円では [長軸][短軸] の値が使用されます。 内側の楕円では 1 から [スムージング ファクター] の値を引いた値をこれらの半軸の値に掛け合わせた値が使用され、外側の楕円では 1 にスムージング ファクターの値を足した値をこれらの半軸の値に掛け合わせた値が使用されます。 この 3 つの楕円の内側にあるすべてのポイントが内挿で使用されます。 最も小さい楕円の内側にあるポイントには標準内挿法と同様に加重が割り当てられます (たとえば、逆距離加重内挿を使用している場合、内側の楕円の内側にあるポイントには推定位置からの距離に基づいて加重が割り当てられます)。 内側の楕円と外側の楕円の間にあるポイントには、内側の楕円の内側にあるポイントについて説明したように加重が割り当てられた後、1 (内側の楕円のすぐ外側に位置するポイント) から 0 (外側の楕円のすぐ外側に位置するポイント) に減少するシグモイド値がこの加重に掛け合わされます。 この内挿では、外側の楕円の外側にあるデータ ポイントの加重はゼロになります。 この例を以下に示します。

データ ポイントの加重を示すプレビュー サーフェス
データ ポイントの加重を示すプレビュー サーフェス

前述の説明には次のような例外があります。

  • エリア内挿では 1 セクターのみがサポートされています。
  • 経験ベイズ クリギングと EBK 回帰予測では円形の検索近傍が必要であるため、[長軸][短軸][半径] に置き換えられています。 半径の値は検索円の半径の長さを表します。
  • 経験ベイズ クリギング 3D では 3D の検索近傍が必要であり、1、4、6、8、12、および 20 個のセクターがサポートされています。

Geostatistical Analyst では、クリギング以外のすべてのモデルの加重は、推定位置からの距離に基づいた演繹的解析関数によって定義されます。 ほとんどのクリギング モデルは近接する位置の値の加重合計を使用して値を推定します。 クリギングでは、セミバリオグラムを使用して加重を定義することで、サンプルが未収集の位置における新しい値の推定に対する各データ ポイントの寄与を指定します。 このため、クリギングで使用されるデフォルトの検索近傍は、セミバリオグラム モデルのメジャー レンジとマイナー レンジを使用して作成されます。

温度観測値などの連続するデータからは連続サーフェスが作成されることが期待されます。 しかしながら、ローカルな検索近傍を使用する内挿法では、ローカル近傍が異なる場合には近接する位置によって大幅に異なる推定 (および推定標準誤差) が生成されます。 この理由については、「スムージング内挿」の図をご参照ください。

注意:

スムージング内挿オプションを使用しているモデルは、検索近傍にデータ ポイントが 1 つも含まれていない場合には値を推定できないため、マップに空白のエリアが存在することがあります。

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