Image Analyst ライセンスで利用できます。
2 画像の時系列コヒーレンス (MTC) コンポジット ワークフローは、合成開口レーダー (SAR) データを使用し、サーフェスの変化と時間的安定性を強調する 3 バンドの視覚化を作成します。 以下の 2 種類の情報を組み合わせています。
- 赤バンドと緑バンドとして、2 つの個別の取得からの斜面勾配補正 (RTC) 後方散乱。
- 青バンドとして、同じ 2 つの取得間のコヒーレンス。
このカラー コンポジットは、レーダーの輝度 (後方散乱)、位相類似性 (コヒーレンス)、またはその両方で変化したエリアを特定するうえで役立ちます。 特に、土地被膜の変化の検出、インフラストラクチャーの監視、地表水分量の変化のマッピング、植生の生長やかく乱の評価において便利です。
データの前提条件
このワークフローには、以下のデータが必要です。
- このプロセスでは、同じ対象地域を網羅する 2 つの SAR 画像が必要です。
- 両方の入力は、すべて同じセンサー モード、軌道 (上昇または下降)、偏波を持つ必要があります。 入力が Sentinel-1 TOPS である場合、いずれも同じサブスワスを使用する必要があります。
- SAR 画像とオーバーラップする DEM。これは、正確なコレジストレーションとテレイン補正データの処理と作成に使用されます。
処理の概要
まず、SAR RTC ワークフローを両方の SAR シーンで実行し、斜面勾配補正済みの後方散乱データ (デシベル (dB) 単位) を作成する必要があります。 これら 2 つの出力が赤および緑の入力バンドとして使用されます。
次に、SAR 画像ペアでコヒーレンスのワークフローを実行します。 このステップにより、2 つのシーン間の干渉コヒーレンスを推定します。 Sentinel-1 を使用する場合、コヒーレンスを計算する前に正確な軌道修正を適用してください。 RTC 後方散乱出力と同じマップ ジオメトリーと一致するよう、コヒーレンス ラスターで [幾何テレイン補正の適用 (Apply Geometric Terrain Correction)] ツールを使用します。
MTC コンポジットの作成
時系列コヒーレンスの生成ツールでは、処理された 2 つの SAR RTC ラスターと 1 つのコヒーレンス ラスターを組み合わせることで、2 画像の MTC RGB コンポジットを作成できます。 ツールを実行する前に、すべてのラスターが地理的に整列させる必要があります。 必要に応じ、入力に水域マスクまたは待ち時間/影マスクを適用すると、解釈が容易になります。
2 画像 MTC RGB コンポジットでは、次の入力構造を使用します。
解釈
コンポジットの各色は、サーフェス輝度 (後方散乱) と位相安定性 (コヒーレンス) の組み合わせを反映しています。 解釈は、異なる土地被膜がレーダー信号に対して経時的にどのように反応するかを理解することにかかっています。
以下の表に、MTC RGB コンポジットの出力を解釈する方法を説明します。
| 色 | バンド値 | 解釈 |
|---|---|---|
白 | 赤 - 高い後方散乱 緑 - 高い後方散乱 青 - 高い後方散乱 | 日付間で高い類似性を持つ明るく安定した散乱体。 建物、岩、乾燥した地表面によく見られます。 |
黄 | 赤 - 高い後方散乱 緑 - 高い後方散乱 青 - 低い後方散乱 | 2 つのシーン間の相関消失がある明るいターゲット。 ラジオメトリーは高いままですが、位相安定性は低下しています。 これは、植生の変化、動作する機械、砕ける波、建設によく見られます。 |
シアン | 赤 - 中程度から高い後方散乱 緑 - 非常に高い後方散乱 青 - 中程度から高い後方散乱 | シーン 1 からシーン 2 に向けて後方散乱は増加しますが、コヒーレンスは非常に安定しています。 類似のジオメトリーでのサーフェスの濡れまたは粗面化によく見割れます。 |
マゼンタ | 赤 - 非常に高い後方散乱 緑 - 中程度から高い後方散乱 青 - 中程度から高い後方散乱 | シーン 1 からシーン 2 に向けて後方散乱は減少し、相関消失は限定的です。 類似のジオメトリーでのサーフェスの乾燥またはスムージングによく見られます。 |
暗色/黒 | 赤 - 低い後方散乱 緑 - 低い後方散乱 青 - 低い後方散乱 | 低い後方散乱と低いコヒーレンスが存在します。 開放水域、深い影、または著しい位置ずれによく見られます。 |
注意:
場合によって解釈が異なることがあるので、慎重に行い、追加の情報による裏付けが必要です。
処理の注意事項
正確な結果と適切な視覚化を得るための、重要な処理上の考慮事項は以下のとおりです。
- 両方のシーンの SAR RTC ワークフローで同じパラメーターを使用します。 これには、DEM、キャリブレーション モデル、マルチルックなどのパラメーターや、その他の関連オプションが含まれます。
- コヒーレンス推定の前に、コレジストレーションが正確であることを確認します。レジストレーション不良の場合はコヒーレンスが減少し、誤った変化を引き起こします。
- 植生の解析を行うには、時間的なベースラインは短くしておきます (数日から数週間)。 構造の変化の検出には、長いベースラインを使用できます。
- 待ち時間マスクまたは影マスクを使用して、レーダー ジオメトリーのアーティファクトをサーフェスの変化として誤って解釈しないようにします。
- コヒーレンスが均一的に低い場合は、コレジストレーション、ベースライン、取得の互換性の精度を再確認します。
- 青バンドにノイズが多い場合は、コヒーレンス ウィンドウ サイズを大きくします。
関連トピック
- Capella GEC のワークフロー
- Capella GEO のワークフロー
- Capella Sensor Independent Complex Data ワークフロー
- Sentinel-1 GRD のワークフロー
- Sentinel-1 SLC ワークフロー
- RADARSAT Constellation Mission Ground Range Detected のワークフロー
- RADARSAT Constellation Mission SLC のワークフロー
- RADARSAT-2 グランド レンジ ワークフロー
- RADARSAT-2 SLC ワークフロー
- ICEYE GRD のワークフロー
- ICEYE Sensor Independent Complex Data ワークフロー
- コヒーレンスのワークフロー
- 4 画像 MTC コンポジット ワークフロー