CAD および BIM データのワールド ファイル

ワールド ファイル (WLD3) は、座標変換を指定する 4 つのポイントを含むテキスト ファイルです。 ポイントは、割り当てられた空間参照内の座標のオフセット、縮尺、回転を定義する 2 つのベクトルを計算するために使用されます。 変換情報は、一致する空間参照ファイル (PRJ) ある場合にのみ有効です。 CAD、BIM、GIS の最適なワークフローでは、「CAD および BIM ファイル自体の中の地理空間座標」を使用することで、ワールド ファイルの必要性をなくします。

ワールド ファイルの情報には、ポイントの 2 つのセットが含まれます。 最初の行は、次の構文を使用して、変位ベクトルと始点と終点のセットを定義します。<from-pt1x,from-pt1y,from-pt1z> <space> <to-pt1x,to-pt1y,to-pt1z> 2 番目の行は、次の構文を使用して、2 番目の変位ベクトルと始点と終点の別のセットを定義します。<from-pt2x,from-pt2y,from-pt2z> <space> <to-pt2x,to-pt2y,to-pt2z> 生成される 2 つのベクトルは、CAD または BIM モデルの座標空間内の 2 つのポイントに対するマップ内でのオフセット、縮尺、回転の処理を定義します。 「ジオリファレンスの際のコントロール ポイントの追加」の場合のように、ポイントの 2 つのセットがモデルとマップ座標に直接関連付けられたり、必要な変換を数学的に定義するために座標が単純化されたりする場合があります。 生成される変換は、Z 座標のオフセットを使用する 2D アフィン変換で、データセット全体に適用されます。

実際のデータは次のようになります。


25933.063000,9032.704720,1702332.110159, 309622.102491,-8987.532001,1300.050854
32047.556994,13057.483520,1706354.400361 303697.073028,-9091.566340,1337.519601

BIM または CAD 設計ファイルでは、モデル内の地理空間座標系ではなく相対座標系またはローカル座標系を使用するのが一般的です。 そのような場合、ArcGIS Pro では「BIM データ」または「CAD データ」を適切に配置するために、オフセット ファイル (WLD3) が必要です。 ワールド ファイルは特定の座標系定義 (PRJ ファイル) に基づいているため、まず CAD または BIM データの空間参照を定義する必要があります。CAD または BIM ファイル プロパティ ダイアログ ボックスから空間参照を 1 つ選択するか、[投影法の定義 (Define Projection)] ジオプロセシング ツールを使用します。 空間オフセット情報は、既存の PRJ ファイル内で定義された既知の地理空間座標系および BIM データの座標から、オフセットを定義します。 WLD3 ファイルには一致する PRJ ファイルが必要です。 ArcGIS Pro の「ジオリファレンス」ツールによって作成された空間オフセット情報は、BIM ファイルと同じ名前の WLD3 ファイルに格納されます。 BIM モデルの座標が、含まれている PRJ ファイルの座標に基づく場合、ArcGIS Pro で WLD3 ファイルおよびジオリファレンス ツールを使用して空間オフセットを定義する必要はありません。 そのような場合、ジオメトリの座標系に一致する正しい PRJ ファイルを指定するだけで、データの正しい地理空間的位置を定義することが可能です。

CAD および BIM データ向けの標準的な Esri ワールド ファイルは、ファイル拡張子 .wld3 付きで保存されます。 定義されたワールド ファイルは、対応する PRJ ファイルと WLD3 ファイルがソース データと同じファイル フォルダーに格納されていれば、どのマップまたはシーンでも CAD または BIM データを適切に調整します。

ArcGIS Pro が CAD データセットまたは BIM ファイルのワールド ファイルを認識できるようにするには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • ワールド ファイルと BIM または CAD 設計ファイルの名前 (接頭辞) を同じにする必要があります (MyDrawing.RVTMyDrawing.wld3 など)。
  • ワールド ファイルは、一致する BIM または CAD 設計ファイルと同じファイル フォルダーに存在している必要があります。

ユニバーサル ワールド ファイル (ESRI_CAD.wld3)

ユニバーサル ワールド ファイルは、互いに、および 1 つの Esri 空間参照定義 (PRJ) に対して相対的に正確に配置されているが、再配置する必要がある CAD ファイルおよび BIM ファイルのフォルダーの空間変換オフセットを 1 つ定義するための方法です。 ユニバーサル ワールド ファイルは、同じファイル フォルダーに格納されていて、BIM ファイルまたは CAD ファイルの名前に一致する WLD3 ファイル名が付与されていないすべての BIM ファイルまたは CAD ファイルのオフセット パラメーターを定義します。

ArcGIS Pro がユニバーサル ワールド ファイルを認識するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • ワールド ファイルのベースとなる Esri 座標系が CAD および BIM データに存在している必要があります。
  • ワールド ファイルには、ESRI_CAD.wld3 という名前を付ける必要があります。
  • ワールド ファイルは、CAD または BIM 設計ファイルと同じフォルダーに存在している必要があります。
  • データと同じファイル フォルダーに、指定された WLD ファイルまたは WLD3 ファイルが存在しません。

レガシー CAD 2D ワールド ファイル

ArcGIS Pro では、2D CAD ドローイングに対応した 2D ワールド ファイルもサポートしています。 2D ワールド ファイルの形式は 3D ワールド ファイルと同じですが、2 セットの座標は 2D ポイントであることと、ファイルの拡張子が .wld であることが異なります。 WLD ファイルと WLD3 ファイルの両方がある場合、WLD3 ファイルが ArcGIS Pro で使用されます。 ArcMap は WLD ファイルのみを使用します。

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