データの管理とトランザクション

ArcGIS プラットフォームは、複数のカスタマイズ可能な実装パターンに対応できます。 このプラットフォームおよび GIS の主要部分はデータ管理です。 ArcGIS Pro では、地理データの管理にジオデータベースが使用されます。

ArcGIS プラットフォームおよびジオデータベース

ArcGIS は完全な統合型 GIS プラットフォームです。 これは、情報を管理し、マップとデータを整理および視覚化し、ジオグラフィー上のリレーションシップとパターンを解析するシステムになります。 これにより、予測解析を設計および計画してから実行できます。 解析に基づいて十分な情報を得てから意思決定を下し、処置を施し、組織内および組織間でこの情報を共有することができます。 要するに、このプラットフォームは、システム オブ レコード (SoR) を管理する手段を提供する一方で、システム オブ インサイト (SoI) でもあります。 また、ArcGIS はシステム オブ エンゲージメント (SoE) にもなり、Web サービスを活用して、個人間、チーム内、部署内、組織全体で知識を分かち合うことができます。 これによって分散システムと人との連携が促進されます。 このプラットフォームは完全な Web GIS、即ちシステム オブ システムズ (SoS) です。

システム オブ システムズ (SoS) としての ArcGIS プラットフォーム

ArcGIS プラットフォームは柔軟性に優れ、ニーズに合わせて、デスクトップから、サーバー、オンライン Web エクスペリエンス (ArcGIS EnterprisePortal for ArcGIS、および ArcGIS Online による) に至るまで、さまざまな実装パターンに対応できます。 また、これらのコンポーネントを組み合わせて実装することもできます。 これは、アプリとコンテンツを含むクラウドベースのマッピング プラットフォームです。 パブリック API を使用すると、独自のソリューションを開発したり、すぐに使用できる機能をはるかに上回る ArcGIS 機能を実現したりすることができます。 このプラットフォームの設計意図は、個人、チーム、および組織が必要とする容量に対応し、個人事業にも、大規模な国際組織にも適したプラットフォームにすることです。

プラットフォームの実装パターン

このプラットフォームおよび GIS の主要部分はデータの管理と編集です。 ArcGIS Pro では、地理データの管理にジオデータベースが使用されます。 ジオデータベースには空間データと非空間データが格納され、これらのデータはデータセット内にまとめられます。 ジオデータベースで管理されるデータセットのタイプの例として、テーブル、フィーチャクラス、リレーションシップ クラス、トポロジー、ユーティリティー ネットワークなどがあります。 エンタープライズ ジオデータベースは、リレーショナル データベースにデータを格納し、リレーショナル データベースの機能を利用して大規模なデータセットのストレージをサポートし、データへの効率的なマルチユーザー アクセスを提供します。 また、データをサービスとしてポータルまたはオンラインで共有することもできます。

エンタープライズ ジオデータベースの一般的なライフサイクルには、次のような手順があります。

  • ジオデータベースの設計
  • ジオデータベースの作成
  • 初期データ読み込み - このフェーズでは、対象地域のデータを読み込みます。 読み込まれるデータは、既存の企業データベース、ポータル、マップ ライブラリー、ArcGIS Living Atlas などのオンライン ソースから取得するか、購入することができます。
  • 編集およびデータ管理 - このフェーズでは、既存のデータを変更し、必要に応じて新規のデータをデータベースに追加します。

    編集およびデータ管理の際にジオデータベースに加えられる変更の例を次に示します。

    • 顧客の住所を更新する場合
    • 売上を反映させるためにパーセル ファブリック データベース内のパーセルを分割する場合
    • ユーティリティー データベース内で新規顧客に引込線を追加する場合
    • 計画されている伐採事業を反映させるために森林ブロックを更新する場合
    • ユーティリティー データベース内で新しい変電所を設計する場合
    • ArcGIS Collector などのアプリを現場で使用して、資産を変更し、暴風雨に関連した損害を反映させる場合
    • 土地計画データベースに新しい区画を計画する場合
    • 災害復旧のシミュレーションのために What-If シナリオを実行する場合

上記のそれぞれの変更は、ジオデータベースに対して実行される、アプリケーションで定義された作業ユニットまたはトランザクション ユニットに対応しています。

トランザクション

トランザクションとは、データベースに対して実行される作業単位です。 トランザクションが開始され、データベースに対して変更が加えられた後、そのトランザクションはコミットまたはロールバックされます。 トランザクションがコミットされると、そのトランザクションで実行された変更内容は、他のユーザーやアプリケーションから参照できるようになります。

トランザクションは、ユーザーおよびアプリケーションが依存する「ACID」と呼ばれる次の標準的な性質を保持しています。

  • Atomic (原始性) - トランザクションは「すべてのタスクを実行するか、まったく実行しないか」のどちらかです。 トランザクションがコミットされると、その変更はすべてデータベースに適用されます。 トランザクションがロールバックされた場合、その変更は一切適用されません。
  • Consistent (一貫性) - トランザクションの実行に対してデータベースは常に整合性を保ちます。
  • Isolation (独立性) - トランザクションは、変更がコミットされるまで、その変更を他のトランザクションから隔離することができます。 この場合他のユーザーが進行中のトランザクションの中間的な状態を参照することはありません。
  • Durable (永続性) - トランザクションがコミットすると、その結果が永続的に保持されます。

これらの特性を実現するために、DBMS はさまざまなロック メカニズムを使用して、同時に実行される複数のトランザクションを互いに隔離します。

トランザクションと地理データ

ほとんどのアプリケーションでは、各トランザクションは 1 秒以内、またはせいぜい 2、3 分で完了できる少数の操作で構成されます。 銀行口座からの現金の引き出し、給与アプリケーションでの就労時間の更新、診療記録の入力などはすべて、このようなショート トランザクションの例です。

一部の地理データに対するトランザクションもこのような例に当てはまります。 顧客の住所や土地の区画整理といったデータの更新は、1、2 分のショート トランザクションで完了できる操作です。

一方で、ある作業を完了するためのデータ形状の移動、変更、追加などにおいて、1、2 時間を要する操作も頻繁に発生します。 また、設計案の作成など、すべての編集を完了するために、数日あるいは数か月にわたってトランザクションを操作しなければならないこともあります。 このようなケースでは、多数の変更を加えた場合でも、完全に独立してワークフローを実行し、これらの変更を 1 つのロング トランザクションとしてコミットする必要があります。

エンタープライズ データ管理方法」では、地理データが単純な場合と複雑な場合の両方で、複雑度や期間の異なるトランザクションに対応する方法を説明しています。