ArcGIS Knowledge の基本用語

ArcGIS Knowledge はエンティティ中心の手法をデータのモデリングと解析に提供します。 ナレッジ グラフの情報は、エンティティとそのエンティティ間のリレーションシップを中心に構成されています。 一部のエンティティおよびリレーションシップに空間位置が関連付けられていても、物事のネットワークは主に非空間です。

ナレッジ グラフのコンテンツを調査しているとき、解析はナレッジ グラフ内のエンティティとリレーションシップのプロパティ、およびエンティティの接続方法の理解に焦点を絞ります。 ArcGIS Pro を使用すると、これらの結果を、空間位置を持つエンティティとリレーションシップの空間解析と統合できます。

次のセクションでは、ArcGIS Knowledge に関係する主要な用語を定義します。

ナレッジ グラフ

ナレッジ グラフを使用すると、グラフ ネットワークを作成および検索できます。 このネットワークによって、人、場所、物事 (エンティティで表される) は、それらがどのように関連しているかを定義するリレーションシップを通じて、互いに接続されます。 空間位置を含むエンティティは、空間位置を持たない他のエンティティと接続できます。

プロジェクトに調査を作成するプロセスの一部として「ナレッジ グラフを作成」できます。

データ ストア

ナレッジ グラフを作成するときは、データの管理方法を決定する必要があります。 使用できるオプションは、「ArcGIS Enterprise の配置の構成」方法によって異なります。

ナレッジ グラフのデータは、ArcGIS Knowledge によって完全に管理される「ホスト グラフ ストア」に格納するように選択できます。 このようなナレッジ グラフは、Enterprise ポータルでホスト ナレッジ グラフとして識別されます。 ホスト ナレッジ グラフを削除すると、そのナレッジ グラフに関連付けられたすべてのデータも削除されます。

代わりに、配置に追加された「NoSQL データ ストア」にエンティティとリレーションシップを格納することもできます。 この場合、ユーザー自身が ArcGIS 以外でデータベースを作成、管理、削除する必要があります。 データベース名はすべての「命名規則」を満たす必要があります。 NoSQL データ ストアに格納されるデータに加えて、ナレッジ グラフでは、エンティティ タイプ、リレーションシップ タイプ、および関連するグラフ ストア (ナレッジ グラフとともに自動的に作成および削除される) 内のすべてのプロパティのデータ タイプを識別するデータ モデル情報も維持されます。 関連するグラフ ストアに格納される情報では、ナレッジ グラフ データの表示、クエリ、検索がサポートされています。

NoSQL データ ストアでのデータの管理

NoSQL データ ストアを使用して、ナレッジ グラフを作成する場合は、NoSQL データベースに格納されるデータの管理方法を選択する必要があります。 [ArcGIS 管理][ユーザー管理] の 2 つのオプションを使用できます。

ArcGIS Enterprise 11.1 以降では、Neo4j データベースを使用して、NoSQL データ ストアに基づくナレッジ グラフを作成できます。 ナレッジ グラフを構成して、Neo4j データベースに ArcGIS 管理またはユーザー管理のデータを含めることができます。

ArcGIS Enterprise 11.2 では、ArangoDB データベースを使用して、NoSQL データ ストアに基づくナレッジ グラフを作成できます。 ナレッジ グラフを構成して、ArangoDB データベースに ArcGIS 管理のデータのみを含めることができます。

  • [ArcGIS 管理] - このオプションでは、ArcGIS Knowledge が、NoSQL データベースに格納されるエンティティとリレーションシップを作成、管理、削除します。 さらに、グラフ ストアに格納されるデータ モデルも、エンティティ タイプとリレーションシップ タイプおよびそれらのプロパティが変更されたときに自動的に更新されます。 自分以外の他のユーザーがデータを編集できるかどうかと、それらのユーザーが実行できる編集のタイプも選択できます。 データとデータ モデルは Neo4j または ArangoDB で直接編集することはできません。 このオプションは、NoSQL データベースが空の場合のみ利用できます。
  • [ユーザー管理] - このオプションでは、ユーザーがエンティティとリレーションシップを作成、管理、削除し、Neo4j を使用してデータ モデルを定義する必要があります。 データ モデルのタイプとプロパティはすべての「命名規則」を満たす必要があります。 データとデータ モデルは、ArcGIS Knowledge からアクセスされると、読み取り専用になります。 ナレッジ グラフのデータを表示、クエリ、検索するには、関連するグラフ ストアに記録されたデータ モデル情報を Neo4j データベースに定義された現在のデータ モデルと同期する必要があります。

調査

調査では、ナレッジ グラフでエンティティとリレーションシップを調査して、事実を証明し、結論を導き出すことができます。 個別のエンティティとリレーションシップの詳細を表示および編集したり、ネットワークのデータ モデルを拡張して学習する追加の情報を取得したりすることができます。 調査しているエンティティとリレーションシップのセットを選択するクエリを保存できます。

調査を作成」するとき、ナレッジ グラフを作成するか、既存のナレッジ グラフのコンテンツを調査できます。 アクティブなポータルから ArcGIS Pro のプロジェクトに既存のナレッジ グラフを追加する場合、調査は自動的に作成されます。

作業中に、調査を共有して他のメンバーと共同作業したり、解析結果を共有したりすることができます。

データ モデル

データ モデルは、ナレッジ グラフに存在できるエンティティとリレーションシップのタイプ、およびエンティティとリレーションシップの各タイプに存在できるプロパティを定義します。 十分な権限がある場合は、「ナレッジ グラフのデータ モデルを編集」できます。 データ モデルの編集は、ナレッジ グラフがユーザー管理のデータを含む NoSQL データ ストアをベースとしている場合、サポートされません。

エンティティ タイプ

エンティティ タイプは、共通のプロパティ セットおよび空間フィーチャ タイプを持つエンティティの同種コレクションです。 たとえば、車両を定義しているエンティティは、モデルやナンバー プレートなどのプロパティとオプションのポイント フィーチャを定義します。

リレーションシップ タイプ

リレーションシップ タイプは、2 つのエンティティ タイプの間に存在できる、共通のプロパティ セットおよび空間フィーチャ タイプを持つエンティティの同種コレクションです。 たとえば、車両の所有者を定義するリレーションシップ タイプは車両を人に関連付けることができ、そのリレーションシップはその車を購入した日や販売した日などのプロパティを含めることができます。

エンティティ

エンティティは、人、建物、車両など、ナレッジ グラフに存在できる特定のタイプのアイテムです。 エンティティのインスタンスの多くはナレッジ グラフに追加できます。 たとえば、家族を記述するために、家族が関連付けられた車両と建物の複数のインスタンスとともに、人エンティティの複数のインスタンスを定義できます。 十分な権限がある場合は、ナレッジ グラフのエンティティとそれらのプロパティ値を追加、削除、更新できます。

すべてのエンティティをリンク チャートに追加できます。 空間フィーチャがあるエンティティをマップに追加できます。

リレーションシップ

リレーションシップは、2 つのエンティティを接続するためにナレッジ グラフに存在できる関連付けのタイプです。 リレーションシップのインスタンスの多くはナレッジ グラフに追加できます。 たとえば、家族を記述するために、2 人のエンティティ間に配偶者、親、および子のリレーションシップを定義でき、人エンティティと車両または建物エンティティの間に所有、リース、または賃貸リレーションシップの複数のインスタンスを定義できます。 十分な権限がある場合は、ナレッジ グラフのリレーションシップとそれらのプロパティ値を追加、削除、更新できます。

リレーションシップは単一方向で記述されます。つまり、すべてのリレーションシップはあるエンティティから別のエンティティへの関連付けを記述します。 家族内の 2 人が兄弟の場合、それぞれの人エンティティには、リレーションシップを詳細に記述する他のエンティティとの兄弟リレーションシップが別途必要になります。

リレーションシップをリンク チャートに追加できます。

ドキュメント

ドキュメントをナレッジ グラフに追加すると、エンティティまたはリレーションシップに、関係するコンテキストを提供して、エンティティとリレーションシップのプロパティに格納された事実について信頼できるソースを用意して、ユーザーが調査に関する備考を取得できるようになります。 ドキュメントには、ピクチャ、プレゼンテーション、テキスト、Adobe Acrobat PDF ファイル、Web サイトなどを指定できます。

ナレッジ グラフを作成するときは、ナレッジ グラフにデフォルトで、Document エンティティ タイプと HasDocument リレーションシップ タイプが含まれます。 人のピクチャなどのドキュメントをエンティティに追加して、その特性の 1 つを記述する場合は、そのファイルまたは Web サイトを参照する Document エンティティ タイプの新しいエンティティが作成されます。 HasDocument リレーションシップは、人エンティティからドキュメント エンティティ (そのピクチャへのアクセスを提供する) の方向に作成されます。 ドキュメントは多数のエンティティが参照できます。

ドキュメントの追加は、ナレッジ グラフがユーザー管理のデータを含む NoSQL データ ストアをベースとしている場合、サポートされません。

ドキュメントの詳細

来歴

必要に応じて、ナレッジ グラフを構成して来歴を取得することができます。 このオプションを有効にすると、来歴を追加することで、ナレッジ グラフの情報の生成元を説明できます。 各来歴レコードは、エンティティまたはリレーションシップのプロパティに格納されている値を特定のソースに関連付けます。

来歴レコードは、ナレッジ グラフ内のドキュメント、インターネットまたはネットワーク上の Web サイトまたはファイルを参照したり、ソースを定義するテキストに設定したりできます。 多くのソースが同じ情報を確認することがあるため、1 つのエンティティまたはリレーションシップのプロパティに多くの来歴レコードを含めることができます。 同様に、1 つのソースが、さまざまなエンティティまたはリレーションシップの多くのプロパティに対して来歴を提供できます。

来歴レコードは補足情報を提供します。 ナレッジ グラフを検索およびクエリする場合、デフォルトでは来歴レコードは含まれておらず、リンク チャートに追加することもできません。

ArcGIS Enterprise 11.2 を使用して、ユーザー管理のデータを含む NoSQL データストアを使用せずにナレッジ グラフを作成する場合に、来歴を有効化できます。

来歴の詳細

マップ

空間位置があるエンティティをマップに追加」できます。 これにより、非地理ビューでは表示されない可能性があるエンティティ間の空間リレーションシップを表示でき、グラフ ネットワークに属さない地理フィーチャにこれらのエンティティを視覚的に関連付けることができます。 マップ上でエンティティ間のリレーションシップを表示したり、エンティティとリレーションシップを作成したり、そのプロパティを編集したりすることができます。

リンク チャート

リンク チャートでは、エンティティがどのように接続されているかを視覚化できます。 あるエンティティから別のエンティティへのパスの検索、ネットワークの中心となるエンティティの特定、ネットワーク内の関連するエンティティのコミュニティの検出など、さまざまなリンク解析操作を使用してエンティティ間の関連付けを解析できます。

エンティティの表示方法のほとんどが、非地理ビューを使用しています。 ただし、地理的位置に関連付けられたエンティティをベースマップ上に配置する地理レイアウトも使用できます。 また、非空間エンティティとリレーションシップは、固定された地理的位置がない場合でも、リンク チャートに描画されます。 メモ、ピクチャ、グラフィックスをリンク チャートに追加するには、グラフィックス レイヤーを使用します。

リンク チャートの詳細

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