指定トレース構成では、ArcGIS Pro で再利用し、Web マップから組織全体で共有するために Web アプリケーションおよびフィールド アプリケーションで利用される複雑なトレースをユーティリティ ネットワークに格納できます。 「ユーティリティ ネットワークのバージョン 5」を導入することにより、組織内の指定トレース構成を使用することでトレースに関連付けられたユーザー エクスペリエンスが簡素化され、構成の詳細をすべて理解していなくてもトレースを使用してユーザーが情報を発見したり、質問に答えることができます。
ユーティリティ ネットワーク内の指定トレース構成を作成、共有、操作するための一般的なワークフローを次に示します。
- 新しい指定トレース構成を追加します。
- 指定トレース構成を ArcGIS Pro で利用します。
- マップ内の指定トレース構成をアクティブ化します。
- アクティブな指定トレース構成を含む Web マップを共有します。
- Web マップまたはフィールド アプリケーションで指定トレース構成を利用します。
- ネットワーク内で指定トレース構成を管理します。
新しい指定トレース構成の追加
指定トレース構成は、「トレース構成の追加」ツールを使用して作成され、ユーティリティ ネットワーク内のトレースの構成の詳細に名前を付けて保持できます。 その後、Web マップ、フィールド アプリ、または ArcGIS Pro を介して名前または Global ID で指定トレース構成を参照し、トレースを実行することができます。
エンタープライズ ジオデータベース内で指定トレース構成をユーティリティ ネットワークに追加する場合、アクティブなポータル ユーザー アカウントが作成者として設定されます。 これは、ネットワーク内のトレース構成を変更または削除するためのアクセス権限を制御するため、重要です。
注意:
「シングルユーザー配置」でユーティリティ ネットワークを操作する場合は、オペレーティング システム認証を使用して指定トレース構成の作成者を保存します。
指定トレース構成の共有
ArcGIS Enterprise 10.9 以降、「エンタープライズ配置」のユーティリティ ネットワークに追加した指定トレース構成を Web マップ経由で共有し、Web アプリおよびフィールド アプリで利用することができます。 指定トレース構成を Web マップのマップ定義に含めるには、まず指定トレース構成の共有をアクティブに設定する必要があります。
[ネットワーク オプション] ダイアログ ボックスの [共有] ウィンドウを使用して、共有をアクティブとして指定トレース構成を設定します。 [共有] タブにアクセスするには、「[ユーティリティ ネットワーク] タブ」([ツール] グループの右下) のダイアログ ボックス ランチャー をクリックして、[共有] タブをクリックします。
[共有] タブに、現在のマップ内のユーティリティ ネットワークの指定トレース構成がすべて表示されます。
必要に応じて、ダイアログ ボックス上の指定トレース構成の横にある [アクティブ] チェックボックスをオンにします。 これで、共有される構成がアクティブ化され、Web マップのマップ定義に含まれます。 このオプションをオフにすると、指定トレース構成の共有が非アクティブになります。 新しい指定トレース構成をユーティリティ ネットワークに追加した場合、このオプションはデフォルトでオフになっています。
指定トレース構成の利用
ユーティリティ ネットワーク内に作成された指定トレース構成を ArcGIS Pro で利用するには、「トレース」ジオプロセシング ツールを使用するか、[トレース] ウィンドウの [指定構成] タブを使用します。 指定トレース構成を ArcGIS Pro で使用すると、トレースに関連付けられたユーザー エクスペリエンスが簡素化され、組織内での共通したトレースを再利用することで一貫性がもたらされます。
[トレース (Trace)] ツールの [トレース構成の使用] パラメーターを使用すると、このツールで実行される既存の指定トレース構成を指定できます。 [トレース] ウィンドウの [指定構成] タブには、このウィンドウから選択して実行できるネットワーク内の指定トレース構成が一覧表示されています。
注意:
[指定構成] タブから実行されたトレースでは、ジオプロセシングが省略されるため、ジオプロセシング履歴が記録されません。
詳細については、「指定トレース構成の読み込み」および「トレース構成の実行」をご参照ください。
マップ サービスを使用して、指定トレース構成を利用することもできます。 ArcGIS Enterprise 10.9 以降、ArcGIS REST API の「ユーティリティ ネットワーク サービス」で Global ID を使用して、ユーティリティ ネットワーク内の指定トレース構成を利用することができます。
指定トレース構成の操作
ユーティリティ ネットワーク内の既存の指定トレース構成は、[レイヤー プロパティ] ダイアログ ボックスの [ネットワーク プロパティ] タブの [トレース構成] セクションに表示できます。 [トレース構成] セクションは、ユーティリティ ネットワーク内の構成の名前、説明、作成者、作成日、タグを格納します。
ユーティリティ ネットワーク ツールボックスの「トレース構成ツールセット」では、ユーティリティ ネットワーク内の指定トレース構成の管理や操作をするためのさまざまなツールが提供されます。
- トレース構成の追加
- トレース構成の削除
- トレース構成のエクスポート
- トレース構成のインポート
エンタープライズ ジオデータベース内のユーティリティ ネットワークを操作する場合は、「ポータル ユーティリティ ネットワークの所有者」または管理者ロールを持つポータル ユーザーだけがすべてのトレース構成を修正および削除できます。 他のポータル アカウントでは、自ら作成した指定トレース構成しか修正できません。 シングルユーザー配置内でユーティリティ ネットワークを操作する場合は、ユーザー全員がネットワーク内のすべての指定トレース構成の変更および削除を行えます。
[トレース構成の削除 (Delete Trace Configuration)] ツールは、1 つ以上の指定トレース構成をユーティリティ ネットワークから削除できます。
注意:
このツールを使用すると、指定トレース構成はユーティリティ ネットワークから完全に削除されます。 指定トレース構成を削除すると、その指定トレース構成を参照しているすべての Web マップとの接続が切断されます。
ネットワークの更新やフィールド内の条件の変更を考慮するために指定トレース構成を修正する必要があるシナリオでは、既存の構成を削除した後、新しい構成を追加して共有し、既存の Web マップを新しい構成で上書きすることができます。 このプロセスによって、Web マップ上のすべての既存の下流の依存関係が壊れることに注意してください。 または、ArcGIS Enterprise 10.9 以降、REST API でトレース構成のリソースに対する「変更」操作を参照し、既存のトレース構成を変更することができます。 詳細については、「トレース構成の削除」をご参照ください。
[トレース構成のエクスポート (Export Trace Configurations)] ツールと [トレース構成のインポート (Import Trace Configurations)] ツールは、JSON を通じてジオデータベースとユーティリティ ネットワーク間で 1 つ以上の指定トレース構成のエクスポートおよびインポートをする機能を提供します。
注意:
インポート中、.json ファイル内の creator 値が適用されます。 「ポータル ユーティリティ ネットワークの所有者」のみがユーティリティ ネットワーク内のすべてのトレース構成の表示および操作をすることができるため、必要に応じて作成者の値を更新して、エンタープライズ ジオデータベース内のインポートした指定トレース構成への適切なアクセスを保証することが重要です。
詳細については、「トレース構成のエクスポート」および「トレース構成のインポート」をご参照ください。