切り盛りの仕組み

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

3D Analyst のライセンスで利用可能。

切り盛り操作とは、サーフェス材料を除去または追加することによって地形サーフェスの標高を変更する処理です。

[切り盛り (Cut Fill)] ツールは、切り盛り操作により変化した面積と体積を報告します。 2 つの異なる時点の特定位置のサーフェスをとりあげて、サーフェス材料が除去された部分、サーフェス材料が追加された部分、サーフェスが変更されたエリアを特定します。

用途

[切り盛り (Cut Fill)] ツールでは、次の操作を行えます。

  • 河川流域の浸食エリアと堆積エリアを特定します。
  • 建物建設のために除去するサーフェス材料の体積と面積、用地を平らにするために埋める面積を計算します。
  • 住居建設のために土地が安定した安全な地域を見つける調査で、土砂崩れ時にしばしば泥で埋まる地域を特定します。

ディスプレイ

[切り盛り (Cut Fill)] ツールを実行すると、デフォルトで、切り盛りされた位置をハイライト表示する特殊なレンダラーが適用されます。 それを決めるのは出力ラスターの属性テーブルで、体積が正の位置は材料が切り取られ (除去され)、体積が負の位置は材料が盛られた (追加された) と判断されます。

例については、ツールの説明にある図をご参照ください。

河川形状に対する切り盛りの使用

河川の形状を例として、河川流域の浸食と堆積の量と位置を追跡するには、流域から一連の断面積を収集し、定期的に調査して浸食と堆積がある場所を特定します。

以下の図は、一部の地域では材料が除去され別の地域では追加されるという変化が生じたサーフェスの断面を示しています。

最初の図は、サーフェスの元の状態を示しています。

前のサーフェスの断面
前のサーフェスの断面

2 つ目の図は、一定期間後、侵食と堆積の力が加わったサーフェスを示しています。

後のサーフェスの断面
後のサーフェスの断面

3 つ目の図は、[切り盛り (Cut Fill)] ツールによって特定された、材料が除去され (切り取られ)、追加された (盛られた) エリアを示しています。

切り盛りの侵食と堆積
切り盛りの侵食と堆積

演算

出力ラスターは、属性テーブルに変化のプロパティをいくつか保持しています。

エッジ接続されたエリアの特定

まず、右上の角から、切り、盛り、変化なしのエッジ接続されたエリアそれぞれに連続した値が与えられます。

以下の図に、さまざまな接続の例を示します。

切り盛り範囲
切り盛り範囲

体積の計算

切り盛り範囲それぞれに、体積が計算されます。 単一セルの場合、体積の計算式は次のとおりです。

Vol = (cell_area) * ΔZ
  • ここで、
    ΔZ = ZBefore - ZAfter

たとえば、特定のセルの初期 Z 値が 235、セル サイズが 10 メートルだとします。 その位置の標高が 3 メートルである場合、その体積は次のようになります。

Vol = (10m * 10m) * (235m - 232m) = 100m2 * 3m = 300m3

注意:

計算式から、材料が切り取られたエリアでは、体積は正の値になることがわかります (大きな値 - 小さな値 > 0)。 材料を追加すると、体積は負の値になります (小さな値 - 大きな値 < 0)。

面積の計算

切り盛り範囲それぞれに、面積も計算されます。 これは単純に、範囲のセル数 (Count) にラスターのセル サイズを掛けたものです。

属性テーブル

出力ラスターの属性テーブルの例を以下に示します。

ObjectID   Value   Count           Volume        Area
       0       1   55819            0.000   258107056
       1       2     707   -137415060.250     3269168
       2       3      65   -114913516.625      300560
       3       4     810   1235057106.000     3745440

体積が正の値は、材料が切り取られた (除去された) エリアを示し、負の値は材料が盛られた (追加された) エリアを示します。

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