ペアワイズ比較による加重の割り当て (Assign Weights By Pairwise Comparison) (解析)

サマリー

入力変数のセットについて、ペアでの比較により相対的加重を計算します。

ペアワイズ比較による加重の割り当ての動作の詳細

使用法

  • このツールは、入力変数からペアを作成します。 より重要な変数と、どの程度重要なのかを識別し、各ペアをランク付けします。 このツールは、ペアのランキングから比較表を作成します。 各変数の相対的加重は表から計算されます。

  • [比較する入力変数] パラメーターの値には、どのような名前も指定できます。 これらの名前は、比較するラスターまたはフィーチャ レイヤー名、フィールド名、または他の変数を表します。 変数の最小数は 2 で、最大数は 9 です。

  • このツールを [ジオプロセシング] ウィンドウで使用するときと、Python で使用するときとでは、いくつかの違いがあります。 [ジオプロセシング] ウィンドウでは、[比較する入力変数] パラメーターの値からペアが作成されます。 [変数の比較と重みの計算] ボタンをクリックして、[ペアワイズ比較表] ウィンドウを開きます。 ウィンドウに、変数ペアとともにスライダーが表示されます。 スライダーを調節して、各ペアでどちらの変数がどの程度重要なのかを指定します。 スライダーを動かすと、比較表が更新されます。

  • この比較は、Thomas Saaty により開発された 1 から 9 までのスケールを使用して行われます (Saaty、2008 年)。 Saaty によって提示されたスケール、それらの定義、および各スケールに含まれる値の説明を、次の表に示します。

    重要度定義説明

    1

    同等に重要

    2 つのアクティビティが等しく目的に寄与します。

    2

    少し重要

    3

    やや重要

    経験や判断に基づき、一方のアクティビティがもう一方のアクティビティよりやや好まれる。

    4

    やや重要+

    5

    かなり重要

    経験や判断に基づき、一方のアクティビティがもう一方のアクティビティよりかなり好まれる。

    6

    かなり重要+

    7

    非常に重要

    一方のアクティビティがもう一方のアクティビティより非常に好まれ、その重要度の高さが実証済みである。

    8

    非常に重要+

    9

    極めて重要

    一方のアクティビティをもう一方のアクティビティより好む根拠が最高次元の肯定力である。

    スケールの値は乗数です。 ペアワイズ比較では、変数の 1 つが他の変数より 2 倍重要なら、スライダーを重要な変数の側に 2 だけ移動します。 しかし、その変数の最終的な加重が他の変数の 2 倍になるというわけではありません。 この乗数は、ペアワイズ比較にのみ適用されます。

  • [ペアワイズ比較表] パラメーター コントロールは、2 つの連携するテーブルを使用して比較表を作成します。 スライダーを移動すると比較が行われ、[比較表] テーブルの値が更新されて、加重が再計算されます。 デフォルトでは、すべての比較の評価が 1 に設定されます。

    スライダーを目的の評価に近づくよう動かし、スライダーをクリックして特定の値に達するように比較を微調整します。 スライダーをクリックすると、1/10 だけ値がインクリメントされます。

  • Python では、テーブルまたはテキスト エディターを使用して (またはツールの以前の実行から) ファイルやテーブルを作成し、生成されたファイルを comparison_matrix パラメーターの値として入力できます。

    comparison_matrix の値として有効なファイル形式は、ジオデータベース テーブル、dBASE (.dbf ファイル)、カンマ区切りファイル (.csv および .txt)です。

    テーブル エディターを使用して作成された、加重なしの比較表の例を、次に示します。

    変数Dist_Roads標高土地利用傾斜方向 (Aspect)

    Dist_Roads

    1

    0.333

    3

    1

    標高

    3

    1

    0.2

    3

    土地利用

    0.333

    5

    1

    7

    傾斜方向 (Aspect)

    1

    0.333

    0.143

    1

    許容される比較表の加重ありおよびなしの他の例については、「入力比較表の形式」をご参照ください。

  • [ペアワイズ比較表] ウィンドウで、比較表の下にある [一貫性] ボタンをクリックして、ペア評価の一貫性を確認します。 一貫性比率 (CR) は比較表の下に表示されます。 CR は 0.1 より小さい必要があります。

    CR が 0.1 よりも大きいと、CR の値と、一貫していない上位 3 つのペアが赤色でハイライト表示されます。 一貫していないペアの評価を調整して、比較の一貫性を向上できます。

  • Python では、input_variables パラメーターを使用して変数を指定します。 ペアワイズ比較は、comparison_matrix パラメーターで識別されます。 比較のペアと評価を直接指定できます。 または、有効な比較表を含むファイルをテーブルから、またはテキスト エディターで (あるいはツールの出力テーブルから) 作成して入力できます。

    有効な入力比較表については、「入力比較表の形式」をご参照ください。

  • [出力テーブル] パラメーターの値には、入力変数について計算された加重と、オプションとしてペアワイズ比較表が含まれています。

    有効な出力テーブルのタイプは、ジオデータベース テーブル、dBASE (.dbf)、およびカンマ区切りファイル (.csv および .txt) です。 デフォルトでは、出力テーブルはワークスペースのジオデータベース テーブルです。 出力テーブルがファイル ワークスペース内にあるとき、出力テーブルはデフォルトで dBASE テーブルです。

    次に示すのは、[出力への比較表の追加] パラメーターがオンであるときの出力テーブルの例です。

    変数Dist_Roads標高土地利用傾斜方向 (Aspect)加重

    Dist_Roads

    1

    0.333

    3

    1

    0.253

    標高

    3

    1

    0.2

    3

    0.252

    土地利用

    0.333

    5

    1

    7

    0.407

    傾斜方向 (Aspect)

    1

    0.333

    0.143

    1

    0.088

    加重ありとなしでの出力テーブル形式の他の例については、「出力テーブルの形式」をご参照ください。

  • [出力への比較表の追加] パラメーターは、出力テーブルが比較表付きで保存されるか、なしで保存されるかを識別します。 オンにすると、出力テーブルにはペアワイズ比較表と、計算された加重の両方が含まれます。

  • Saaty, T. L. 2008. "Decision making with the analytic hierarchy process". International Journal of Services Sciences, 1(1), 83-98.

パラメーター

ラベル説明データ タイプ
比較する入力変数

比較される変数名。 どのような名前でも指定できます。

変数の最小数は 2 で、最大数は 9 です。

String
出力テーブル

入力変数について計算された加重を含む出力テーブルの名前。 [出力への比較表の追加] パラメーターがオンのとき、出力テーブルにはペアワイズ比較表も含まれます。

Table
出力への比較表の追加
(オプション)

[出力テーブル] パラメーターの値にペアワイズ比較表が含まれるかどうかを指定します。

  • オン - 出力テーブルにはペアワイズ比較表と、計算された加重の両方が含まれます。 これがデフォルトです。
  • オフ - 出力テーブルには計算された加重のみが含まれます。
Boolean
ペアワイズ比較表
(オプション)

加重を計算するときに使用されるペアワイズ比較表。

[ペアワイズ比較表] ウィンドウのスライダーを使用して、それぞれのペアワイズ比較でどちらの変数が、どれだけ重要かを識別します。

Pairwise Weights Table

arcpy.analysis.AssignWeightsByPairwiseComparison(input_variables, out_table, {add_comparison_matrix}, {comparison_matrix})
名前説明データ タイプ
input_variables
[input_variables,...]

比較される変数名。 どのような名前でも指定できます。

変数の最小数は 2 で、最大数は 9 です。

String
out_table

入力変数について計算された加重を含む出力テーブルの名前。 add_comparison_matrix パラメーターの値が ADD_MATRIX のとき、出力テーブルにはペアワイズ比較表も含まれます。

Table
add_comparison_matrix
(オプション)

out_table パラメーターの値にペアワイズ比較表が含まれるかどうかを指定します。

  • ADD_MATRIX出力テーブルにはペアワイズ比較表と、計算された加重の両方が含まれます。 これがデフォルトです。
  • WEIGHTS_ONLY出力テーブルには計算された加重のみが含まれます。
Boolean
comparison_matrix
(オプション)

加重を計算するときに使用されるペアワイズ比較表。

次のいずれかの方法で、ペアワイズ比較を定義します。

  • 有効な比較表を含むファイルを指定します。
  • 変数名と、その比較を指定します。

使用できるファイルは、ジオデータベース テーブル、dBASE (.dbf)、またはカンマ区切りファイル (.csv および .txt) です。

Pairwise Weights Table

コードのサンプル

AssignWeightsByPairwiseComparison の例 1 (Python ウィンドウ)

この例は、Python ウィンドウでこの関数を使用する方法を示しています。

import arcpy
arcpy.env.workspace = "C:/data/data.gdb"
arcpy.analysis.AssignWeightsByPairwiseComparison("elev;landuse;dist_road;dist_line","output_weights","ADD_MATRIX","Variables elev landuse 0.333; elev dist_road 2.200; elev dist_line 2.70; landuse dist_road 1; landuse dist_line 1; dist_road dist_line 1" )
AssignWeightsByPairwiseComparison の例 2 (スタンドアロン スクリプト)

次のサンプルは、ペアワイズ比較を比較表に直接入力することで、3 つの変数の加重を計算します。

# Name: AssignWeightsbyPairwiseComparison.py
# Description: Calculates the weights for three variables using the
#              pairwise comparsion method.

# Import system module
import arcpy

# Set workspace environment
arcpy.env.workspace = "C:/data"

# Set local variables 
input_variables = "elev; landuse; dist_road"
outputTable = "outputweights.csv"
add_comparison_matrix = "WEIGHTS_ONLY"
comparison_matrix = "input_matrix.txt"
 
 
# Run Assign Weights By Pairwise Comparison
arcpy.analysis.AssignWeightsByPairwiseComparison(input_variables, outputTable, add_comparison_matrix, comparison_matrix)

ライセンス情報

  • Basic: Yes
  • Standard: Yes
  • Advanced: Yes

関連トピック