ModelBuilder: ArcGIS Pro への移行

ArcGIS Pro の ModelBuilder は、基本的に他の ArcGIS Desktop アプリケーションの ModelBuilder とよく似ています。モデル ダイアグラムの外観もほぼ同じで、モデルを構築する方法も同じです (データとジオプロセシング ツールを追加し、これらを接続してプロセスを構成します)。ArcGIS Pro では、以前のリリースの ArcGIS Desktop で構築したモデルを表示、編集、および実行できます。

これらの類似性に対して、いくつかの違いもあります。これらの違いを理解することで、ArcGIS Pro の ModelBuilder への移行が容易になります。

互換性

メモ:

ArcGIS Pro の ModelBuilder でモデルを編集する前に、元のツールボックスのコピーを作成しておくことをお勧めします。ArcGIS Pro で編集して保存したモデルは、他の ArcGIS Desktop アプリケーションで使用できなくなります。

新規作成したモデルや、ArcGIS Pro の ModelBuilder で編集して保存したモデルは、他の ArcGIS Desktop アプリケーションでは使用できません。これらのモデルを使用するには、ツールボックスを適切なバージョンの新しいツールボックスとして保存する必要があります。ツールボックスを右クリックして [名前を付けて保存] を選択し、バージョンを選択します。

ツールボックスの [名前を付けて保存]
10.3 以前のバージョンで使用するためのツールボックスの保存

[ツールボックスの統合 (Consolidate Toolbox)] ジオプロセシング ツールを使用すると、ツールボックス内のモデルを解析して以前のバージョンと互換性があるかどうかを調べたり、そのツールボックスと関連コンテンツを以前のバージョンで使用できる形式で保存したりすることができます。

選択、接続、およびナビゲーション

以前の ModelBuilder には、画面移動、ズーム、エレメントの選択、およびエレメントの接続を実行するための専用ツールが用意されていました。ArcGIS Pro には、[選択] モード、[画面移動] モード、[拡大] ボタン、および [縮小] ボタンが用意されています。

選択モード

デフォルトでは、選択モードになります。選択モードでは、エレメントをクリックして選択できます。選択したエレメントの移動や、他のエレメントへの接続が可能です。エレメントを別のエレメントに接続する際に、エレメントを選択する必要はありません。

  1. モデル エレメントにマウス ポインターを合わせて、カーソルが接続モード ポイント に変わったら、マウスの左ボタンを押したままカーソルを接続先のエレメントに向かってドラッグして、接続を描画します。
  2. カーソルを接続先のエレメントの上まで移動して、マウス ボタンを離します。
  3. マウス ボタンを離した後、エレメントをパラメーターまたは環境に接続するかどうか、またはエレメントを前提条件として使用するかどうかを選択します。
データ変数とツールの接続

選択モードでも、ModelBuilder ビューの右側または下にある垂直および水平スクロール バーを使用して、モデル ダイアグラムを画面移動できます。

画面移動モード

画面移動モードでは、モデル ダイアグラムの任意の位置でクリックし、カーソルをドラッグして画面移動できます。画面移動モードでは、モデル エレメントを選択または接続することはできません。

フィールド演算 (Calculate Field)

[フィールド演算 (Calculate Field)] ツールは、ArcGIS Pro で大きく変更されました。この変更は、アプリケーションの 64 ビット アーキテクチャによるものです。

[フィールド演算 (Calculate Field)] では、VB 式を使用できなくなりました。使用できる式は Python または Arcade 構文に限定されています。モデルに VB 式が保存されている場合は、条件式を使用可能な言語のいずれかに更新する必要があります。[フィールド演算 (Calculate Field)] の条件式を更新するには、次の手順に従います。

  1. モデルを右クリックし、[編集] を選択します。
  2. [フィールド演算 (Calculate Field)] ツールをダブルクリックして開きます。
  3. [条件式の種類] パラメーターを [Python] または [Arcade] に変更します。
  4. 有効な構文を使用して、[条件式] パラメーターを書き直します。
  5. [OK] をクリックして、ツールの変更をコミットします。
  6. モデル内のすべての [フィールド演算 (Calculate Field)] ツールについて、この手順を繰り返します。
  7. [保存] をクリックして、モデルを保存します。

フィールド演算 (Calculate Field) の条件式の詳細

管理データ

[管理] オプションは、ArcGIS Pro の ModelBuilder で削除されました。

モデルを実行すると、モデル内のプロセスごとに出力データが作成されます (プロセスが入力を変更するだけの場合を除きます)。作成されたデータの一部は、新しい出力を作成する別のプロセスに接続するためだけに作成されるので、モデルの実行後には無効になる場合があります。そのようなデータは、中間データと呼ばれています。モデル ツールを [ジオプロセシング] ウィンドウから実行した場合、すべての中間出力データ (出力パラメーターであるデータセットを除く) は、ツールが完了したときに自動的に削除されます。モデルを ModelBuilder で実行する場合は、作成されるすべてのデータが維持されます。

中間データについての詳細

色、形状、および画像

ArcGIS Pro で作成したモデルは、ArcGIS Desktop アプリケーションで作成したモデルと比べて、配色がわずかに異なります。ArcGIS Pro では、モデル エレメントの色、形状、背景画像を変更できません。また、モデル ダイアグラムに画像を追加することもできません。他の ArcGIS Desktop アプリケーションで独自の色、形状、および画像を使用して保存されたモデルは、ArcGIS Pro では次のようなカスタム設定およびオブジェクトで表示されます。

モデル エレメントの色
ArcGIS Pro でのモデル エレメントの色

リストとシリーズ

リストとシリーズは、ArcGIS Pro ではサポートされません。データセットのコレクションに対してバッチ処理を実行する場合は、反復子を使用します。