カスタム位置の抽出

LocateXT のライセンスで利用可能。

ドキュメントから位置を抽出すると、空間座標が調べられます。検出された座標を表すポイントが出力フィーチャクラスに作成されます。地名と空間座標を関連付けるカスタム位置を定義できます。カスタム位置が定義されてオンになっている場合、ドキュメントやテキストで見つかった各カスタム位置を表すポイントも出力フィーチャクラスに作成されます。

たとえば、ナイアガラ地域の橋の歴史に関する、地名を含む以下のようなテキストがあるとします。

Before the 1840s, you could only cross from New York to Upper Canada by boat, including the Maid of the Mist, which took tourists past the American Falls and near the base of the Horseshoe Falls, before landing them on the opposite shore. The Lewiston Suspension Bridge was completed in 1851, and in 1855, the Niagara Suspension Bridge was completed. The Niagara Suspension Bridge was the first of its type: a suspension bridge with an upper deck for railway trains, and a lower deck for carriages and people. Over time, heavier trains required it to be replaced by the Steel Arch Bridge, which was later renamed the Whirlpool Bridge. Between 1848 and 1941, 15 bridges were constructed across the Niagara River, a few of which stand today: the Peace Bridge, the International Railway Bridge, the Rainbow Bridge, the Michigan Central Railway Steel Arch Bridge, the Whirlpool Bridge, and the Queenston-Lewiston Bridge.(1840 年代以前は、ニューヨークからアッパー カナダへ移動するには霧の乙女号などの船を利用するしかありませんでした。旅行者はアメリカ滝とカナダ滝の滝つぼ付近を経由して対岸に上陸していました。ルイストン吊橋が 1851 年に完成し、1855 年にはナイアガラ吊橋が完成しました。ナイアガラ吊橋はそのタイプでは初の吊橋であり、吊橋の上部デッキは鉄道に使用され、下部デッキは車や人の通行に使用されていました。時代の経過とともに列車の重量が増したことから、これを鋼製アーチ橋に架け替える必要が生じ、ワールプール ブリッジへと名前が変わりました。1848 ~ 1941 年の間にナイアガラ川には 15 基の橋が建設され、このうちピース ブリッジ、国際鉄道橋、レインボー ブリッジ、ミシガン中央鉄道鋼製アーチ橋、ワールプール ブリッジ、ルイストン-クイーンストン ブリッジは現存しています。)

カスタム位置はテキストを空間座標に関連付けることによって定義されます。現存する場所と歴史上存在した場所、自然物、建造物はすべてカスタム位置情報ファイル (*.lxtgaz) でカスタム位置として定義できます。

ドキュメント セットのコンテンツについて概要を把握している場合、そのドキュメント セットに合わせてカスタム位置情報ファイルをカスタマイズすると便利です。歴史に関するドキュメントには、名前が変わって現代の地図には載っていない場所や建造物が記載されていることがよくあり、広い地域で多数の地物が名前や名前の一部を共有していることがあります。ファイルに含めるカスタム位置を特定の地域内のフィーチャに制限することで、それらのドキュメントからより適切な結果を得ることができます (たとえば、ナイアガラ川に架かる鋼製アーチ橋だけを指定し、その地域に存在する似たような名前の多数の類似する建造物を含めないなど)。

使用したいカスタム位置情報ファイルがある場合、そのファイルを [カスタム位置情報ファイル] リストに追加し、ファイルを有効化し、カスタム位置の切り替えボタンをオンにします。次回に位置を抽出するときには、カスタム位置情報ファイルで定義されている位置を表すポイントが出力フィーチャクラスに追加されます。

ドキュメントがスキャンされるときには、このカスタム位置情報ファイルが使用されます。入力ドキュメントまたはテキストのスキャン中に定義されている位置が見つかった場合、これらの位置を表すポイントが出力フィーチャクラスに作成されます。

カスタム位置のオンまたはオフ

カスタム位置の切り替えボタンがオンになっている場合、アクティブなカスタム位置情報ファイルで定義されているカスタム位置を使用してドキュメントとテキストがスキャンされ、そのコンテンツが評価されます。カスタム地名と一致するテキストがコンテンツに含まれている場合、その位置を表すポイントが出力フィーチャクラスに作成されます。カスタム位置の切り替えボタンがオフになっている場合、入力ドキュメントまたはテキスト内に地名が存在する場合でも、それらの地名は位置として抽出されません。

  1. [位置の抽出] ウィンドウで、[プロパティ] タブをクリックします。
  2. カスタム属性の切り替えボタンをオンまたはオフにします。
    • [オプション] タブ オプション をクリックした後、[カスタム位置情報] 切り替えボタンをクリックします。
    • [属性の抽出] タブ 属性の抽出 をクリックした後、[カスタム位置] タブをクリックし、[選択したカスタム位置の Gazetteer からフィーチャを作成] 切り替えボタンをクリックします。

    オフになっている切り替えボタンをクリックするとオン 切り替えボタンがオン になります。オンになっている切り替えボタンをクリックするとオフ 切り替えボタンがオフ になります。

[カスタム位置] タブへのアクセス

カスタム位置情報ファイルを有効化したり、カスタム位置情報ファイルを作成したり、カスタム位置情報ファイルを管理したりするには、[カスタム位置] タブにアクセスします。

  1. [位置の抽出] ウィンドウで、[プロパティ] タブをクリックします。
  2. [カスタム位置] タブにアクセスするには、次のいずれかを実行します。
    • [オプション] タブ オプション をクリックした後、[カスタム位置情報] 切り替えボタンの横にある矢印 オプションまで移動 をクリックします。
    • [位置の抽出] タブ 属性の抽出 をクリックした後、[カスタム位置] タブをクリックします。

カスタム位置の定義

カスタム位置は次の情報を指定することによって定義します。

  • [場所名] - 場所の名前を表すテキスト。入力ドキュメントやテキストから位置を抽出すると、この場所名が存在するかどうかコンテンツが調べられます。場所名は必須です。
  • [大文字/小文字を区別] - 入力ドキュメントやテキストのコンテンツと位置の名前が一致するかどうかを判別する際に大文字と小文字を区別するかどうかを示すブール値。デフォルト値は false です。つまり、大文字と小文字は区別されません。
  • [常にあいまい一致を使用] - 入力ドキュメントやテキストのコンテンツと位置の名前が一致するかどうかを判別する際にあいまい一致を必ず使用するかどうかを示すブール値。デフォルト値は false です。つまり、あいまい一致は使用されません。
  • [位置座標] - 地名を表す空間座標。カスタム位置がオンになっていて、カスタム位置情報ファイルがアクティブであり、入力ドキュメントやテキストのコンテンツと地名が一致する場合、カスタム位置を表すこのポイントが出力フィーチャクラスに作成されます。空間座標は必須です。

空間座標は [位置の抽出] ウィンドウでサポートされている任意の座標形式で指定できます。度 (10 進) 形式、度分 (10 進) 形式、度分秒形式、ユニバーサル横メルカトル形式、MGRS (Military Grid Reference System) 形式がサポートされています。カスタム位置情報ファイル内の各カスタム位置を異なる空間座標形式を使用して定義できます。入力した座標が有効な空間座標として認識されない場合、テーブルのセルの枠線が赤色になり、そのカスタム位置は無効と見なされます。

カスタム位置情報ファイルのプロパティ

カスタム位置情報ファイルには、全体として、そのファイルで定義されているすべての空間座標がどのように評価されるかに影響を与えるいくつかのプロパティがあります。これらのプロパティは [カスタム位置情報ファイルの設定] ダイアログ ボックスで設定します。これらの設定は、入力ドキュメントやテキストで見つかった座標を評価する方法や、コンテンツを出力フィーチャクラスに抽出する方法には影響しません。カスタム位置情報ファイルのプロパティがこれらの他の設定と一致している必要はありません。

  • [座標系] - カスタム位置情報ファイル内のすべての空間座標に関連付ける座標系を指定できます。この座標系が入力ドキュメントや出力フィーチャクラスの座標系と一致している必要はありません。デフォルトでは、座標は GCS_WGS_1984 座標系に基づいて定義されているものとして処理されます。座標が別の座標系に基づいて収集されたことがわかっている場合、[座標系の選択] ボタン 座標系の選択 をクリックし、正しい座標系をクリックします。
  • [小数記号にカンマを使用] - デフォルトでは、カスタム位置情報ファイル内のすべての空間座標は、小数記号としてピリオド (.) または中点 (·) を使用しているものと見なされます。入力した空間座標の数値で小数記号としてカンマが使用されている場合、[小数記号にカンマを使用] オプションをオンにします。コンピューターの地域設定はこの設定の制御に使用されません。
  • [経度、緯度と解釈] - 記号または方位表記がない座標のペアがある場合、一方の数値が 0 ~ 90 の範囲にあり、もう一方の数値が 90 ~ 180 の範囲にある場合、正確な空間位置が生成される可能性があります。両方の数値が 0 ~ 90 の範囲にある場合、正しい位置を特定するのは困難です。地理学においては緯度-経度が確固たる規則なので、両方の数値が 0 ~ 90 の範囲にある座標ペアはデフォルトではこの方法で評価されます。つまり、1 つ目の数値は Y 軸上の値であり、2 つ目の数値は X 軸上の値となります。ただし、数学などのその他の分野では座標ペアを X,Y の組み合わせで指定することがよくあります。カスタム位置情報ファイルに格納されているあいまいな座標ペアを X,Y の組み合わせとして (1 つ目の数値を経度、2 つ目の数値を緯度として) 評価する場合、[経度、緯度と解釈] オプションをオンにします。

  1. カスタム位置情報ファイルを作成するかカスタム位置情報ファイルを編集します。

    [カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスが表示されます。

  2. [位置] テーブルの上部にある設定ボタン オプション をクリックします。

    [カスタム位置情報ファイルの設定] ダイアログ ボックスが表示されます。

  3. [座標系] ドロップダウン リストまたは [座標系の選択] ボタン 座標系の選択 をクリックし、カスタム位置情報ファイルで定義されている空間座標に関連付けられている座標系をクリックします。
  4. カスタム位置情報ファイルで定義されている空間座標の数値で小数記号としてカンマが使用されている場合、[小数記号にカンマを使用] をオンにします。
  5. カスタム位置情報ファイルで定義されているあいまいな空間座標が緯度-経度の座標ではなく経度-緯度の座標として指定されている場合、[経度、緯度と解釈] をオンにします。
  6. [OK] をクリックします。

位置の追加

[カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスが最初に表示されたときには、カスタム位置情報ファイルに新しい位置をただちに追加できる状態になっています。テーブルの一番下にある空の行に、新しいカスタム位置を定義する情報を入力します。

新しい位置を追加しているときに、テーブルの特定のセルに入力した地名や座標を元に戻すには、Esc キーを押します。Esc キーを 2 回押すと、テーブルに追加した新しい行からすべての情報が消去されます。変更内容を保存しない場合、[キャンセル] をクリックすることで、保存しないでダイアログ ボックスを閉じます。

  1. カスタム位置情報ファイルを作成するかカスタム位置情報ファイルを編集します。

    [カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスが表示されます。

  2. [位置] テーブルの一番下までスクロールします。

    テーブルの一番下にある新しい空の行 新規 で、新しい位置を定義できます。

  3. 空の行の [場所名] 列のセルをダブルクリックし、地名を入力します。次の列に進むには Tab キーを押します。
  4. 入力コンテンツを評価する際に大文字と小文字を区別する場合、[大文字/小文字を区別] 列のチェックボックスをオンにするか、Space キーを押します。次の列に進むには Tab キーを押します。
  5. 入力コンテンツを評価する際に常にあいまい一致を使用する場合、[常にあいまい一致を使用] 列のチェックボックスをオンにするか、Space キーを押します。次の列に進むには Tab キーを押します。
  6. [位置の座標] 列のセルをダブルクリックし、この地名に関連付ける空間座標を入力します。
  7. Enter キーを押して、新しい場所をカスタム位置として [位置] テーブルに追加します。

    ダイアログ ボックスの上部のファイル名は斜体で表示されてアスタリスク (*) が付き、変更が保存されていないことが示されます。[精度] 列の値が自動的に更新されて、新しい空間座標が地上のカスタム位置を表すときの精度が反映されます。

    [位置の座標] 列に入力した値が空間座標として認識されない場合、セルの枠線が赤色になり、その行の左側のボックスに赤色の感嘆符 不正な接続 が表示されて、そのカスタム位置が無効であることが示されます。

  8. [保存] をクリックして、カスタム位置の定義をカスタム位置情報ファイルに追加します。
  9. いずれかのカスタム位置が無効である場合、無効なカスタム位置はカスタム位置情報ファイルに保存されないことを知らせる警告メッセージが表示されされます。
    • すべての有効なカスタム位置をカスタム位置情報ファイルに保存するには、[OK] をクリックします。無効なカスタム位置は保存されません。位置を修正しないで保存した場合、[カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスを閉じたときに無効なカスタム位置の情報は失われます。
    • 変更内容をカスタム位置情報ファイルに保存しないで警告メッセージを閉じるには、[キャンセル] をクリックします。無効なカスタム位置を修正してから、変更内容を保存します。
  10. [閉じる] をクリックして、カスタム位置情報ファイルの編集を終了します。
ヒント:

複数のカスタム位置を定義する 1 つの方法として、地名を先に入力し、後から空間座標を入力する方法があります。[場所名] 列に地名を入力して Enter キーを押し、このプロセスを繰り返すことで、地名だけが含まれている複数の行を [位置] テーブルに追加します。その後で、各カスタム位置の [位置の座標] 列に外部ソースから空間座標を貼り付けることができます。

たとえば、マップ内の地理フィーチャに移動し、そのフィーチャを右クリックして [座標のコピー] をクリックします。マップを操作している間、[カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスを開いたままにしておくことができます。[位置の座標] 列の適切なセルをダブルクリックし、Ctrl + V キーを押して、マップ ビューからコピーした空間座標を貼り付けます。

位置の編集

[カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスで既存の位置を編集するには、[位置] テーブルでその行を選択してそのコンテンツの編集を開始します。位置の編集を開始した後で変更を保存しないことにした場合、この操作をキャンセルします。これにより、変更内容が保存されることなくダイアログ ボックスが閉じます。

  1. カスタム位置情報ファイルを作成するかカスタム位置情報ファイルを編集します。

    [カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスが表示されます。

  2. [場所名] 列のセルをダブルクリックし、地名を編集します。新しい値を入力し、Enter キーを押します。
  3. 必要に応じて、[大文字/小文字を区別] 列のセルのチェックボックスをオンにしてこの設定を変更します。
  4. 必要に応じて、[常にあいまい一致を使用] 列のセルのチェックボックスをオンにしてこの設定を変更します。
  5. [位置の座標] 列のセルをダブルクリックし、空間座標を編集します。新しい値を入力し、Enter キーを押します。

    [精度] 列の値が自動的に更新されて、新しい空間座標が地上のカスタム位置を表すときの精度が反映されます。

  6. [保存] をクリックして、カスタム位置情報ファイル内のカスタム位置の定義を更新します。
  7. [閉じる] をクリックして、カスタム位置情報ファイルの編集を終了します。

位置のコピー

特に時間の経過とともに、ある地理フィーチャが複数の名前で呼ばれるようになることがあります。異なる期間の目撃談が含まれているドキュメントを処理していく場合、複数の異なる地名が同じ空間座標に関連付けられているカスタム位置のセットを定義する必要が生じることがあります。

  1. カスタム位置情報ファイルを編集します

    [カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスが表示されます。

  2. コピーするカスタム位置が定義されている行の左にあるボックスをクリックします。

    テーブルでその行が選択されます。これによって正しい空間座標をコピーできます。

  3. [位置の座標] 列のセルをダブルクリックし、この地名に関連付ける空間座標を入力します。
  4. Ctrl + A キーを押すなどして、空間座標を定義するテキストを選択します。
  5. Ctrl + C キーを押すなどして、空間座標を定義するテキストをコピーします。
  6. [位置] テーブルの一番下までスクロールします。

    テーブルの一番下にある新しい空の行 新規 で、新しい位置を定義できます。

  7. 新しい空の行の [位置の座標] 列のセルをダブルクリックし、Ctrl + V キーを押すなどして、空間座標を定義するテキストを貼り付けます。
  8. Enter キーを押して、新しい場所をカスタム位置として [位置] テーブルに追加します。

    ダイアログ ボックスの上部のファイル名は斜体で表示されてアスタリスク (*) が付き、変更が保存されていないことが示されます。

  9. 空の行の [場所名] 列のセルをダブルクリックし、コピーした座標に関連付ける地名を入力します。または、ステップ 3 ~ 6 を繰り返して、別のカスタム位置から地名をコピーして空の行のこのセルに貼り付けます。
  10. 必要に応じて、空の行の [大文字/小文字を区別] 列のチェックボックスをオンにします。
  11. 必要に応じて、空の行の [常にあいまい一致を使用] 列のチェックボックスをオンにします。
  12. [保存] をクリックして、新しいカスタム位置をカスタム位置情報ファイルに追加します。
  13. [閉じる] をクリックして、カスタム位置情報ファイルの編集を終了します。

位置の削除

カスタム位置情報ファイルから位置を削除するには、最初にそのファイルを編集します。削除する位置が定義されている行を [位置] テーブルで選択し、テーブルの上部にある [削除] ボタン 削除 をクリックするか、Delete キーを押します。次の手順に従って、複数の位置をカスタム位置情報ファイルから一度に削除することもできます。

  1. カスタム位置情報ファイルを作成するかカスタム位置情報ファイルを編集します。

    [カスタム位置情報ファイル] ダイアログ ボックスが表示されます。

  2. 削除するカスタム位置が定義されている行の左にあるボックスをクリックします。

    テーブルでその行が選択されます。

  3. Ctrl キーまたは Shift キーを押します。
  4. ステップ 2 を繰り返して、削除するその他の位置を選択します。
  5. [位置] テーブルの上部にある [削除] ボタン 削除 をクリックするか、Delete キーを押します。
  6. [保存] をクリックして、カスタム位置情報ファイル内のカスタム位置の定義を更新します。
  7. [閉じる] をクリックして、カスタム位置情報ファイルの編集を終了します。

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