シーン レイヤーとは

シーン レイヤーは、シーン内の大量の 3D データを表示するために最適化されたレイヤーのタイプです。シーン レイヤーは、ArcGIS プラットフォーム全体を通して Scene ViewerArcGIS EarthArcGIS Pro などのアプリケーションで使用されます。シーン レイヤーには、ポイント、点群、3D オブジェクト、ビルディング、3D メッシュの 5 つのデータ タイプのいずれかが表示されます。シーン レイヤーは I3S (Indexed 3D Scene layer) 形式に従う必要があります。I3S 形式は、3D GIS データをモバイル、Web、デスクトップの各クライアントに配信するために使用されるオープン 3D コンテンツ配信形式です。

ArcGIS Pro では、シーン レイヤーを他のコンテンツと組み合わせることができます。たとえば、シーン レイヤーを部分的に透過表示にしたり、スワイプしたりして、3D コンテンツのあるシーンと 3D コンテンツのないシーンを視覚化できます。シーン レイヤー フィーチャにスナップするには、スナップを有効化し、フィーチャ付近にポインターを合わせると、ラインの端点やポイントなど、有効なスナップ エージェントに対応したジオメトリにポインターがスナップします。

ArcGIS Enterprise または ArcGIS Online で共有すると、シーン レイヤーは Web シーン レイヤーになります。シーン レイヤーは、描画パフォーマンスを向上するためにキャッシュされます。このキャッシュは異なる詳細レベル (LOD) を含んでいます。使用される LOD は、データが表示されている距離によって決まります。つまり、縮小してフィーチャへの距離を増やすと、3D データの複雑さも軽減されます。たとえば、建物を遠くから眺めると、その表示品質は低下しますが、拡大すると品質が向上します。

各タイプのシーン レイヤーで使用できる共通の機能を次に示します。

シーン レイヤー機能

メモ:

ArcGIS Pro では、現在の I3S 形式を使用します。最新のバージョン 2.x で作成された点群シーン レイヤー パッケージは、ArcGIS Pro 2.1.2 および 2.2、ArcGIS Enterprise 10.6.1、ArcGIS Online に対応しています。I3S 形式のバージョン 1.x で作成された点群シーン レイヤー パッケージは、すべてのクライアントで使用できます。

ArcGIS Pro のすべてのバージョンで作成されたすべてのシーン レイヤーを使用できるよう、ArcGIS Pro のバージョンをアップグレードしてください。

レガシー:

ArcGIS Pro の旧バージョンでは、ポイント、点群、および 3D オブジェクトのシーン レイヤーすべてを作成するために、[シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Scene Layer package)] ジオプロセシング ツールが使用されていました。このツールは非推奨になり、[ポイント シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Scene Layer Package)] ツール、[点群シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Cloud Scene Layer Package)] ツール、および [3D オブジェクト シーン レイヤー パッケージの作成 (Create 3D Object Scene Layer Package)] ツールに置き換えられました。

Web シーン レイヤーの使用

共有される方法によって、ポイント、BIM ビルティング、または 3D オブジェクトを表す Web シーン レイヤーには、シーン レイヤー キャッシュの生成元となる関連付けられたフィーチャが追加で含まれることがあります。Web シーン レイヤーに関連付けられたフィーチャ レイヤーが含まれない場合、シーン レイヤー キャッシュは、クライアントまたはシーン レイヤー パッケージ (*..slpk) に公開することで作成されます。点群と 3D メッシュ Web シーン レイヤーは、シーン レイヤー パッケージからのみ生成されます。

フィーチャレイヤーが関連付けられた Web シーン レイヤー

フィーチャ レイヤーが関連付けられた Web シーン レイヤーは、シンボルやフィルター設定で使用できる動的な統計情報を提供します。シーン レイヤーの属性テーブルにアクセスすると、関連付けられたフィーチャ レイヤーが表示されます。

シーン レイヤー パッケージの Web シーン レイヤー

シーン レイヤー パッケージ (*.slpk) には、Web シーン レイヤーとして公開可能なシーン レイヤー キャッシュがあります。[シーン レイヤー パッケージの整合チェック (Validate Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツールを使用すると、シーン レイヤー パッケージファイルを評価して、パッケージが I3S 仕様に準拠していることを確認できます。シーン レイヤー パッケージから生成された Web シーン レイヤーは、Web シーン レイヤーの構成時に、ローカルでキャッシュするオプションを選択することで、ArcGIS Pro から共有されます。Web シーン レイヤーの共有の詳細については、「Web シーン レイヤーの共有」をご参照ください。それらの Web シーン レイヤーは、[ビルディング シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Building Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツール、[ポイント シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツール、[点群シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Cloud Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツール、[3D オブジェクト シーン レイヤー パッケージの作成 (Create 3D Object Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツール、[3D メッシュ シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Integrated Mesh Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツール、および [パッケージの共有 (Share Package)] ジオプロセシング ツールを使用して、さらに共有できます。

3D オブジェクト シーン レイヤー

3D オブジェクト シーン レイヤーを使用すると、3 次元で明示的にモデル化された建物などのオブジェクトを表現および視覚化できます。通常、3D オブジェクト シーン レイヤーは、共有可能な大きい都市モデルの作成に使用されます。オブジェクトは、視覚化しているコンテンツに応じて、テクスチャや色シンボルと共に表示できます。3D オブジェクト シーン レイヤーは真の 3D オブジェクトなので、高度のプロパティでは絶対高度しか定義できません。

ポイント シーン レイヤーと 3D オブジェクト シーン レイヤーの例
ポイントおよび 3D オブジェクトのシーン レイヤーを示します。

3D オブジェクト シーン レイヤーは、関連付けられたフィーチャ レイヤーを使用して、またはシーン レイヤー パッケージ (*.slpk) から、Web シーン レイヤーとして共有できます。Web シーン レイヤーの共有の詳細については、「Web シーン レイヤーの共有」をご参照ください。さらに、3D オブジェクト シーン レイヤーは、[3D オブジェクト シーン レイヤー パッケージの作成 (Create 3D Object Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツールを使用して作成できます。これにより、ディスク上にシーン レイヤー パッケージ (*.slpk) が生成されます。その後、このファイルを ArcGIS Pro で直接プレビューし、[パッケージの共有 (Share Package)] ジオプロセシング ツールを使用して ArcGIS Enterprise または ArcGIS Online にアップロードし、Web シーン レイヤーとして公開できます。

ビルディング シーン レイヤー

ビルディング シーン レイヤーを使用して、ArcGIS プラットフォーム全体でビルディング情報を共有できます。ビルディング情報は、ビルディングを表す BIM (Building Information Modeling) モデルから生成されます。現在のリリースでは、[BIM ファイル → ジオデータベース (BIM File to Geodatabase)] ジオプロセシング ツールを使用して作成された Revit データまたはフィーチャクラスを使用してビルディング シーン レイヤーを作成できます。

ビルディング シーン レイヤーの例
ビルディング シーン レイヤーの例を示します。

ビルディング シーン レイヤーは、関連付けられたフィーチャ レイヤーを使用して、またはシーン レイヤー パッケージ (*.slpk) から、Web シーン レイヤーとして共有できます。Web シーン レイヤーの共有の詳細については、「Web シーン レイヤーの共有」をご参照ください。さらに、ビルディング シーン レイヤーは、[ビルディング シーン レイヤーの作成 (Create Building Scene Layer)] ジオプロセシング ツールを使用して作成できます。これにより、ディスク上にシーン レイヤー パッケージ (*.slpk) が生成されます。その後、このファイルを ArcGIS Pro で直接プレビューし、[パッケージの共有 (Share Package)] ジオプロセシング ツールを使用して ArcGIS Enterprise または ArcGIS Online にアップロードし、Web シーン レイヤーとして公開できます。

3D メッシュ シーン レイヤー

通常、3D メッシュ データは、重なり合う大量の画像から 3D オブジェクトを構築するために自動化されたプロセスで取得されます。生成されるデータには、最初に入力された画像情報が、建物や樹木といった 3D オブジェクトを含むテクスチャ処理されたメッシュや標高情報として統合されています。一般に、3D メッシュ シーン レイヤーは、都市全域の 3D マッピング用に作成されます。これは、ドローンによって取得される場合が多く、スタイルを変更することはできません。

3D メッシュ シーン レイヤーは、[Create Integrated Mesh Scene Layer Package (3D メッシュ シーン レイヤー)] ツールを使用し、OpenSceneGraph Binary (OSGB) ファイルから作成できます。

3D メッシュ シーン レイヤーの例
3D メッシュ シーン レイヤーの例を示します。

点群シーン レイヤー

点群シーン レイヤーを使用すると、シンボル表示されフィルター処理された大量の点群データをすばやく表示できます。これらのレイヤーは、さまざまな種類のセンサー データ (LIDAR など) の表示と共有のために最適化されています。点群シーン レイヤーは、プラットフォーム全体で 3D 点群コンテンツを共有するのに役立ちます。

点群レイヤーは、シーン レイヤー パッケージ (*.slpk) から、Web シーン レイヤーとして共有できます。共有の詳細については、「Web シーン レイヤーの共有」をご参照ください。さらに、点群シーン レイヤーは、[点群シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Cloud Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツールを使用して作成できます。これにより、ディスク上にシーン レイヤー パッケージ (*.slpk) が生成されます。このファイルを ArcGIS Pro で直接プレビューし、[パッケージの共有 (Share Package)] ツールを使用して ArcGIS Enterprise または ArcGIS Online にアップロードできます。

点群シーン レイヤーは、LASOptimized LAS (*.ZLAS)、LAS データセット、および LAZ 形式の点群データをサポートしています。LAS、ZLAS および LAZ の個々のファイルとフォルダーは、[点群シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Cloud Scene Layer Package)] ツールの入力として使用することもできます。

メモ:

LAS および ZLAS ファイルを参照する LAS データセットは、点群シーン レイヤーの作成にも使用できます。LAS データセット レイヤーのポイントに適用されるシンボルとポイント フィルタリングは、点群シーン レイヤーの作成に使用されます。個々のファイルまたはファイルのフォルダー (LAS、ZLAS、LAZ) を入力として使用する場合、点群シーン レイヤーの作成にデフォルトの標高シンボルが使用され、ポイント フィルタリングは使用されません。点群データを最適化し、シンボルやフィルタリングなどのプロパティを定義するには、LAS データセットを入力として使用します。

点群シーン レイヤーの例
点群シーン レイヤーの例を示します。

ポイント シーン レイヤー

すべてのクライアントで高速表示できるようにするため、ArcGIS Pro および Web シーン内で大量のポイント データを表示する際は、キャッシュ ポイント シーン レイヤーが使用されます。たとえば、シーン レイヤーを使用して、プリセット レイヤーを使用した都市の樹木を表示できます。

ポイント シーン レイヤーは、距離が延長されたときにパフォーマンスと可視性を上げるため、自動的に間引きされます。自動間引きは、距離が延長されたときに一部のフィーチャが表示されなくなることを意味します。拡大すると、最高の詳細レベルに達するまで追加のフィーチャが表示されます。最高の詳細レベルになると、すべてのポイントが表示されます。

ポイント シーン レイヤーは、関連付けられたフィーチャ レイヤーを使用して、またはシーン レイヤー パッケージ (*.slpk) から、Web シーン レイヤーとして共有できます。Web シーン レイヤーの共有の詳細については、「Web シーン レイヤーの共有」をご参照ください。さらに、ポイント シーン レイヤーは、[ポイント シーン レイヤー パッケージの作成 (Create Point Scene Layer Package)] ジオプロセシング ツールを使用して作成できます。このツールはディスク上にシーン レイヤー パッケージを生成します。このファイルを ArcGIS Pro で直接プレビューし、[パッケージの共有 (Share Package)] ツールを使用して ArcGIS Enterprise または ArcGIS Online にアップロードし、Web シーン レイヤーとして公開できます。

ポイント シーン レイヤーの例
ポイント シーン レイヤーの例を示します。

関連トピック