多次元モザイク データセットの操作

モザイク データセット内の多次元データ

多次元データは複数の時刻または複数の深度で取得され、多くの場合は NetCDF、GRIB、または HDF 形式で格納されます。それぞれのファイルには 1 つまたは複数の変数が含まれ、各変数は特定の時間または特定の垂直ディメンションにおけるデータを表す多次元配列になります。たとえば、NetCDF ファイルには 2010 年から 2019 年の各月の、標高 0 メートル、1 メートル、および 10 メートルにおける気温、湿度、および風速を格納できます。

モザイク データセットは、多次元データを含む画像およびラスター データのコレクションを管理するデータ モデルであり、NetCDF、GRIB、および HDF 形式を扱う統合データ モデルを提供します。詳細については、「NetCDF、GRIB、または HDF からの多次元モザイク データセットの作成」をご参照ください。

時間をかけて収集された画像またはラスターや、異なる高さや深さから収集された画像またはラスターをもとに、多次元モザイク データセットを作成することもできます。たとえば、複数年にわたって収集された Landsat 画像から作成された NDVI データを使用して、多次元モザイク データセットを作成できます。詳細については、「画像の時系列からの多次元モザイク データセットの作成」をご参照ください。

モザイク データセットの一般的なプロパティに加え、多次元モザイク データセットには変数やディメンションに関する情報が含まれ、これらはモザイク データセットのフットプリント テーブルにフィールドとして格納されます。

  • Variable - 変数名
  • Dimensions - モザイク データセットで使用するディメンションの名前

NetCDF、HDF、GRIB ラスター タイプを使用してモザイク データセットを作成する場合、ディメンション情報と変数情報は自動的に生成されて、[モザイク データセットのプロパティ] ダイアログ ボックスに [多次元情報] タブを表示できます。ラスターまたは画像の時系列を使用してモザイク データセットを作成する場合、[多次元情報の構築 (Build Multidimensional Info)] ツールを使用して、モザイク データセットを多次元対応させるために必要な多次元のフィールド、メタデータ、および構造を生成する必要があります。各ラスターの変数を識別するモザイク データセット フットプリント テーブルにフィールドを作成する必要があります。また、フットプリント テーブルには、1 つ以上のディメンションを定義するための回数フィールドや高さフィールドも必要です。

モザイク データセットの多次元プロパティにより、ユーザーの多次元データを視覚化および処理できるようになりました。

多次元モザイク データセットの表示

多次元モザイク データセットは、ArcGIS Pro でマップに直接追加できます。また、スライスは [多次元] タブを使用して視覚化できます。多次元データの表示の詳細については、「多次元データ モザイク データセットの視覚化」をご参照ください。

多次元モザイク データセットの解析

多次元モザイク データセットは、ジオプロセシング ツールを使用して解析することや、ラスター関数を使用してリアルタイムに処理することができます。

ジオプロセシング ツールを使用する解析

多次元解析ツールセットは、多次元モザイク データセットを含む多次元ラスター データを解析するツールを提供します。多次元ツールセットは、変数やディメンションのマージおよび集約を含む多次元ラスター データを管理するツールを提供します。多くのデータ管理ツールは、多次元ラスター データがクラウド ラスター形式 (*.crf) になっていることが必要です。多次元モザイク データセットをクラウド ラスター形式に変換するには、[ラスターのコピー (Copy Raster)] を使用して、データを多次元として処理することを指定します。

メモ:

CRF は多次元ラスター ストレージをサポートし、多次元ラスターを生成するジオプロセシング ツールのデフォルトの出力ラスター形式です。*.CRF ファイルは、分散処理および格納環境で大きなファイルを読み書きするために最適化されています。*.CRF ファイルでは、多次元ラスター データを小さなタイル バンドルに分けることで、複数のプロセスで同時に 1 つの出力への書き込みを行えるようにします。

モザイク データセットに多くのジオプロセシング ツールを実行して、データセット内の各スライスを解析したり、解析するための単一のスライスを抽出することができます。

モザイク データセットの単一のスライスに対してジオプロセシング ツールを実行する場合、多次元フィルター ラスター関数や、[モザイク レイヤーの作成 (Make Mosaic Layer)] ツールを使用できます。たとえば、2015 年 12 月におけるスライスのコンターを生成するには、[モザイク レイヤーの作成 (Make Mosaic Layer)] ツールを使用して 2015 年 12 月のクエリを指定し、モザイク レイヤーの出力を [コンター (Contour)] ツールの入力として使用します。

コンター モデル

また、ArcGIS Pro 内で選択を行い、選択したスライスをマップのレイヤーとして追加できます。次にそのレイヤーにアクセスして、ジオプロセシング ツール内で使用できます。選択してマップに追加するときに、複数の画像を選択してマップに追加することもできます。

選択セットをマップに追加

データ スライスのセットから最小、最大、または平均を計算する場合は、適切な定義クエリを作成して、モザイク データセットのモザイク オペレーターを [最小][最大]、または [平均] に設定します。[ラスターのコピー (Copy Raster)] ツールを使用して、出力をエクスポートできるようになります。

オーバーラップの解決 = 平均

ラスター関数を使用する処理

ラスター関数は、処理するためのラスター関数テンプレートを使用してモザイク データセットまたはモザイク データセット アイテムに適用できます。

科学的計算式は、ラスター関数テンプレートで表現できます。たとえば、風速冷却指数は気温と風速から計算できます。

 wind chill = 35.74 + 0.615T -
35.75*(V^0.16) + 0.4275T*(V^0.16)

この計算式は、ラスター関数テンプレートとして表現できます。ArcGIS Pro は、[ラスター関数] ウィンドウで、風速冷却ラスター関数を提供しています。必要に応じて、ラスター関数エディターでこれを追加できます。

風速冷却モデル

多次元モザイク データセットのイメージ サービスとしての公開

多次元モザイク データセットから公開されているイメージ サービスは、多次元に対応しています。多次元モザイク データセットのスライスにアクセスする場合と同じ方法で、データ スライスにアクセスして解析および表示することができます。

多次元のイメージ サービスでは、WMS の時間および垂直ディメンションのクエリがサポートされます。標準の WMS における時間および標高クエリをサポートするイメージ サービスを公開する場合は、多次元モザイク データセットを公開する前に、モザイク データセット プロパティで時間および垂直ディメンションに使用するフィールドを設定します。

時間の使用

WMS の時間および垂直ディメンションのクエリについては、「Web ブラウザーでの WMS サービスとの通信」をご参照ください。

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