このワークフローでは、Portal for ArcGIS での分散サーバーベース処理を使用することにより、赤外バンドを含むマルチスペクトル データを解析し、植生をハイライト表示する方法について説明します。ラスター関数を連結することで、画像を処理して植生を抽出し、その結果をシンボル表示する方法について学習します。
このワークフローを実行するには、次の 4 つのセクションがあります。
- ラスター関数テンプレートの作成
- ラスター関数テンプレートのパラメーターの設定
- ローカルでのラスター関数テンプレートのテストおよび適用
- Portal for ArcGIS を使用したラスター関数テンプレートの適用
ラスター関数テンプレートの作成
このセクションでは、ラスター関数テンプレートを作成します。テンプレートを作成したら、カスタマイズしてパラメーターを設定することができます。
- ArcGIS Pro を開いて、新しいプロジェクトを作成します。
- [挿入] タブで [新しいマップ] をクリックします。
- 解析するマルチスペクトル画像を追加します。
マップに追加するマルチスペクトル画像に赤バンドと赤外バンドがあることを確認します。使用するポータルがこの画像にアクセスできることも確認します。
- [解析] タブの [ラスター解析] ギャラリーをクリックし、[ラスター関数] を選択します。
[ラスター関数] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、メニュー ボタン をクリックして、[新しいテンプレートの作成] をクリックします。
空の [ラスター関数エディター] が開きます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[システム] タブをクリックして、「バンド演算」関数を検索します。
- [バンド演算] 関数 を [ラスター関数エディター] にドラッグ アンド ドロップします。
- [再分類] 関数と [属性テーブル] 関数を検索します。両方の関数を [ラスター関数エディター] にドラッグ アンド ドロップします。
- [ラスター関数エディター] で、[ラスター変数の追加] ボタン をクリックして、新しいラスター変数を追加します。
- [ラスター変数] を [バンド演算] 関数に接続します。
- [バンド演算] 関数を [再分類] 関数に接続します。
- [再分類] 関数を [属性テーブル] 関数に接続します。
これで、ラスター関数テンプレートが作成されました。次に、パラメーターを設定します。
パラメーターの設定
このセクションでは、エンド ユーザーが変更できるラスター関数テンプレートのパラメーターを特定します。
- [ラスター関数エディター] で、[バンド演算] 関数を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[パラメーター] タブで、[方法] を [改良 SAVI] に設定します。
- [変数] ページで、[ラスター] および [バンド インデックス] パラメーターの [パブリック] チェックボックスをオンにし、[OK] をクリックします。
- [再分類] 関数を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[パラメーター] タブで、次のスクリーン ショットの値をテーブルに入力し、[OK] をクリックします。
これらの値は、解析している画像に固有のもので、使用している画像から植生を抽出するために調整する必要があります。
- [属性テーブル] 関数を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[パラメーター] タブで、[テーブル タイプ] を [手動] に変更し、次のスクリーン ショットの値をテーブルに入力して、[OK] をクリックします。
- [保存] ボタンをクリックします。[テンプレートの保存] ダイアログ ボックスで「Vegetation Analysis」を名前として入力します。[カテゴリ] には [カスタム] を、サブカテゴリには [カスタム 1] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [関数エディター] を閉じます。
これで、植生のマルチスペクトル データを解析し、低、中、および高植生の 3 つの値を使って出力をシンボル表示するラスター関数テンプレートが作成されました。次に、解析する画像の値が正しいかどうかを確認します。
ローカルでのラスター関数テンプレートのテストおよび適用
このセクションでは、ラスター関数テンプレートの有効性をテストする方法について学習します。画像の小さな部分でラスター関数テンプレートをテストすると、処理がローカルで実行されます。
- ハイライト表示する植生を適切に表している画像上のエリアを拡大します。ローカルで作成した [Vegetation Analysis] テンプレートを適用して、結果が正しいかどうかを確認します。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[カスタム] をクリックし、[カスタム 1] を展開します。これは、テンプレートを保存したサブカテゴリです。[Vegetation Analysis] をクリックして開きます。
- [ラスター] パラメーターの [パラメーター] ページで、ドロップダウン ボックスを使用してマップに追加した画像を選択します。画像の近赤外および赤バンドのインデックスを、スペースで区切って入力します。
- [出力レイヤー タイプ] ドロップダウン ボックスから [ラスター レイヤー] を選択し、[新しいレイヤーの作成] をクリックします。
これにより、リアルタイムに入力画像の植生解析を実行し、ディスプレイ解像度で表示されるピクセルのみを処理して、迅速に結果を表示する新しいレイヤーが作成されます。
- 結果が正しいことを確認します。
- 植生が正しく解析されない場合は、[ラスター関数] ウィンドウの [Vegetation Analysis] テンプレートを右クリックし、[編集] をクリックします。
[関数エディター] が開き、パラメーターを調整できます。
- [再分類] 機能を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [パラメーター] タブで、低、中、高植生を表す値を調整するために、
行の [最小] および [最大] 値を変更します。
最大値は排他的な値なので、次の行の最小値は前の行の最大値と同じにする必要があります。これにより、再分類時に値が失われなくなります。
- [OK] をクリックします。
- [パラメーター] タブで、低、中、高植生を表す値を調整するために、
行の [最小] および [最大] 値を変更します。
- [保存] をクリックし、[関数エディター] を閉じます。
- 必要に応じてステップ 2 ~ 8 を繰り返し、画像内の植生が正しくハイライト表示されるように値を調整します。
これで、Portal for ArcGIS のラスター解析を使用し、最大解像度および全範囲で画像全体を分析する準備ができました。
を使用したラスター関数テンプレートの適用 Portal for ArcGIS
このセクションでは、テストしたラスター関数テンプレートを最大解像度で画像全体に適用します。処理はポータルで行われます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[カスタム] をクリックし、[カスタム 1] を展開します。これは、テンプレートを保存したサブカテゴリです。[Vegetation Analysis] をクリックして開きます。
- [ラスター] パラメーターの [パラメーター] ページで、ドロップダウン ボックスを使用してマップに追加した画像を選択します。画像の近赤外および赤バンドのインデックスを、スペースで区切って入力します。
- [出力レイヤー タイプ] ドロップダウン ボックスから [Web イメージ レイヤー] を選択し、[次へ] をクリックします。
- [出力の生成] ページで、出力の名前と場所を入力します。デフォルトの場所は、ポータルのルート フォルダーです。また、出力 Web イメージ レイヤーのアイテムについての説明とタグも入力します。
- [共有オプション] で、このアイテムを表示できるユーザーを決定し、[実行] をクリックします。
[ラスター関数] ウィンドウに [ラスター解析ジョブ] セクションが表示されます。ここには、送信したジョブの詳細とメッセージが表示されます。
- ジョブが正常に完了したら、出力がハイパーリンクに変化します。ハイパーリンクをクリックして、出力をマップに追加します。出力で画像の植生を正しくハイライト表示されていることを確認します。
これで、画像の植生を分析するためのラスター解析が完成しました。