ユーティリティ ネットワーク データセットの管理

Standard または Advancedのライセンスで利用可能。

ユーティリティ ネットワークをジオデータベースで作成および構成した後、組織のニーズに応じて追加の管理タスクが必要な場合があります。 ユーティリティ ネットワークのデータセット管理タスクは、ジオデータベース間のデータセットの移行、アップグレード、またはポータル ユーティリティ ネットワーク所有者の更新を行う必要性を含むことがあります。 ArcGIS クライアントと、ユーティリティ ネットワークなどのジオデータベースのデータセットとの間でサポートされている互換性を認識することも重要です。

ユーティリティ ネットワーク データセットの移行

ユーティリティ ネットワークを作成および構成したら、移行が必要になる場合があるデータ管理タスクがあります。 ユーティリティ ネットワーク データセットと関連するフィーチャクラスの移行は、ファイル ジオデータベースとエンタープライズ ジオデータベース間でデータを転送したり、テスト環境をステージングしたりするために必要な場合があります。 ユーティリティ ネットワークは、[Utility Network Package Tools] ツールボックスを使用して移行できます。 確立されたユーティリティ ネットワークからアセット パッケージを作成して、それを、別のジオデータベース内で作成され、ステージングされたユーティリティ ネットワークに対して適用することもできます。 アセット パッケージは、クロスデータベース プラットフォームで使用できます。 ユーティリティ ネットワークにデータをインポートするには、[アペンド (Append)] コア ツールを使用できます。

注意:

ArcGIS Pro でのコピーなど、コア データ転送ツールを使用して、ユーティリティ ネットワーク データセットをジオデータベース間で移行することは、現時点ではサポートされていません。

ユーティリティ ネットワークのアップグレード

新しい機能を利用するには、情報モデルでスキーマの変更を適用してユーティリティ ネットワーク データセットをアップグレードする必要があります。 ArcGIS Pro クライアント リリース バージョンは、アップグレードが可能かどうかを決定します。

エンタープライズ ジオデータベースを操作する場合、ArcGIS ProArcGIS Enterprise のバージョンにより、作成またはアップグレードされるユーティリティ ネットワーク データセットのユーティリティ ネットワーク バージョンが決定されます。 詳細については、「ユーティリティ ネットワークの互換性」をご参照ください。

ヒント:

ユーティリティ ネットワークのバージョンとアップグレード履歴は、[ネットワーク プロパティ] タブの [一般] セクションで確認できます。

アップグレードは、バージョン間で累積的で、スキップされたバージョンからの変更を含みます。 たとえば、ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 3 からユーティリティ ネットワーク バージョン 5 へ更新する場合、バージョン 4 および 5 のすべてのスキーマ変更が含まれます。 ユーティリティ ネットワークのバージョンによっては、アップグレード処理の後に続く追加の手順が必要です。 アップグレード パスに含まれるバージョンごとの手順を確認します。

詳細については、「ユーティリティ ネットワークのアップグレード履歴」の特定のバージョンをご参照ください。

ユーティリティ ネットワークをアップグレードするには、[データセットのアップグレード (Upgrade Dataset)] ツールを使用します。 ただし、アップグレードを試みる前に、次の要件が満たされている必要があります。

  • 排他ロックを取得し、サービスを含むアクティブな接続すべて閉じて、
  • ネットワーク トポロジを無効化します。
  • 編集内容を保存します。

エンタープライズ ジオデータベースを操作する場合、次の要件を満たす必要があります。

  • ジオデータベースのバージョンは、10.8.1.2.6 以降である必要があります。

  • [アップグレードするデータベース] の入力は、データベース ユーティリティ ネットワークの所有者として確立されたデータベース接続から取得する必要があります。
  • [アップグレードするデータベース] の入力は、バージョニング タイプがブランチとして設定されたデータベース接続から取得する必要があります。
  • 接続されたポータル アカウントは、ポータル ユーティリティ ネットワークの所有者である必要があります。
  • バージョン 3 以前のユーティリティ ネットワークでは、データセットをバージョン対応登録する必要があります。

ユーティリティ ネットワーク データセットをアップグレードした後は、[ネットワーク プロパティ] タブの [一般] セクションで [ユーティリティ ネットワーク バージョン] を表示できます。 各リリースの特定のスキーマの変更を確認するには、「ユーティリティ ネットワークのアップグレード履歴」をご参照ください。

ポータル ユーティリティ ネットワーク所有者の更新

エンタープライズ ジオデータベースを操作する場合、ユーティリティ ネットワーク データセットには、管理タスクのアクセスを制御するために使用される 2 人の所有者が存在します。 ユーティリティ ネットワークを作成するデータベース ユーザーに加え、ポータル ユーティリティ ネットワーク所有者としてアクティブなポータル ユーザー アカウントが記録されます。 ユーティリティ ネットワークが作成されると、データベース接続とアクティブな ArcGIS Enterprise ポータルへのユーザー アカウントに基づいて、これらの所有者が決定されます。

データを再作成しないでデータ所有者 (データベース ユーザー) を更新することはできませんが、ユーティリティ ネットワークのポータル データセット所有者を更新することはできます。 既存のポータル ユーティリティ ネットワークの所有者が組織を離れたら、そのポータル所有者を別のユーザーに変更する必要があります。 このユーザーは、元の所有者と同じユーザー タイプと権限に従う必要があります。 詳細については、[ポータル データセット所有者の更新 (Update Portal Dataset Owner)] ツールをご参照ください。

データセットのポータル所有者を更新した後に、マップ、イメージ、およびフィーチャ レイヤーの既存のポータル アイテムの所有権を変更する必要もあります。

コンテンツの管理方法の詳細

ArcGIS プラットフォームの互換性

管理者として、さまざまなバージョンを操作する場合、ArcGIS クライアント、ジオデータベース、およびユーティリティ ネットワーク データセットの間の互換性を認識することは重要です。

シングル ユーザー配置を使用するユーティリティ ネットワークを操作する場合、機能は ArcGIS Pro クライアント バージョンに依存します。 ユーティリティ ネットワークのエンタープライズ配置は、サービスベースのアーキテクチャを使用し、新しい機能を有効にするために ArcGIS ProArcGIS Enterprise の両方のバージョンに依存します。

ユーティリティ ネットワークの作成またはアップグレードをする場合、ArcGIS ProArcGIS Enterprise のバージョンにより [ユーティリティ ネットワーク バージョン] の値が決定されます。

  • エンタープライズ ジオデータベースを使用する場合、ArcGIS Pro のバージョンとポータルのフェデレーション サーバーを使用して、互換性のある [ユーティリティ ネットワーク バージョン] 値が決定されます。
    注意:

    さまざまなバージョンの ArcGIS Enterprise がインストールされた複数コンピューターの配置を使用する場合、ポータルのフェデレーション サーバーがすべてチェックされ、使用可能な最新リリースと互換性のあるユーティリティ ネットワーク バージョンが作成されます。

  • ファイル ジオデータベースを使用する場合、ArcGIS Pro バージョンにより互換性のある [ユーティリティ ネットワーク バージョン] 値が決定されます。

たとえば、ArcGIS Pro 2.7 と ArcGIS Enterprise 10.8.1 でエンタープライズ ジオデータベースを使用する場合、[ユーティリティ ネットワークのバージョン] 4 が作成またはアップグレードされます。 ArcGIS Pro 2.7 と ArcGIS Enterprise 10.9 以降を使用する場合、[ユーティリティ ネットワークのバージョン] 5 が作成またはアップグレードされます。

クライアントとジオデータベースの互換性の詳細

ユーティリティ ネットワーク バージョン

ユーティリティ ネットワークが作成またはアップグレードされると、[ユーティリティ ネットワークのバージョン] の値は、[一般] セクションの [ネットワーク プロパティ] に記録されます。

ユーティリティ ネットワーク プロパティ

ジオデータベースおよびクライアント ソフトウェアは連携するように設計されているため、可能であれば、これらのバージョンを一致させることをお勧めします。 さまざまなバージョンを操作する場合の原則として、ArcGIS クライアント アプリケーション (ArcGIS ProArcGIS Enterprise など) は、ユーティリティ ネットワークを操作するときに、下位互換性があります。

  • ArcGIS Enterprise の新しいバージョンは、それ以前のバージョンのユーティリティ ネットワークを共有できます。
  • ArcGIS Pro の新しいバージョンを使用して、それ以前のバージョンのユーティリティ ネットワークを表示および編集することができます。
これは、以前のバージョンのクライアント ソフトウェアは、より新しい機能に属するユーティリティ ネットワーク データセットを開くことができないということも意味します。 たとえば、ArcGIS Enterprise 10.6 は、[ユーティリティ ネットワーク バージョン] の値が 2 であるユーティリティ ネットワークの共有には使用できません。

ユーティリティ ネットワークの互換性

次の表に、ユーティリティ ネットワークで互換性のある ArcGIS プラットフォームをまとめます。

  • ArcGIS Pro リリース - ユーティリティ ネットワークの作成またはアップグレードに使用する ArcGIS Pro のバージョン。
  • ユーティリティ ネットワーク バージョン - ユーティリティ ネットワーク データセットのバージョン。
  • ArcGIS Enterprise リリース - ArcGIS Enterprise の基本配置のバージョン。 エンタープライズ配置で作成されたユーティリティ ネットワークにのみ適用されます。

ユーティリティ ネットワーク バージョンArcGIS Pro リリースArcGIS Enterprise リリース

1

2.1.x

10.6 以降

2

2.2.x

10.6.1 以降

2

2.3.x

10.6.1 以降

3

2.4.x

10.7 以降

3

2.5.x

10.7 以降

4

2.6.x

10.8.1 以降

5

2.7.x

10.9 以降

5

2.8.x

10.9 以降

ユーティリティ ネットワークの ArcGIS プラットフォームの互換性