空間的問題を解決するための概念モデル

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

問題を解決するために作成する必要のあるモデルのタイプを特定したら、そのモデルの構築に使用できる一連の概念ステップを明確にする必要があります。

ステップ 1: 問題の定義

  • 空間的問題を解決するにはまず、解決しようとする問題点と達成目標を明記します。

ステップ 2: 問題点の分析

  • 目的を把握したら、該当する問題点を分析して一連の条件を定め、それらの具体的な目的を実現するのに必要な一連の要素と要素同士の相互作用を明確にし、必要な入力データセットを作成して表現モデルを構築する必要があります。
  • 目標を定義したら、目標達成に必要な手順の作成を開始できるようになります。最終的に解決すべき問題をよく理解するには、まず一連の目標の順序を整理する必要があります。
    • たとえば、カモシカの発見に最適な場所を見つけることが目標の場合は、カモシカが最近見つかった場所を調査したり、カモシカが好む植物の種類を調べたりすることなどが条件になる場合もあります。
  • 条件が定まったら、それらの条件を満たす一連の要素、およびそれらの要素間の相互作用を明確にする必要があります。それらの要素は、表現モデルと、プロセス モデルによる相互作用を介して、モデリングすることになります。
    • カモシカの群生地を探す例の場合、既知の立地と植物の種類は、カモシカの群生地を明確にするのに必要な要素の一部にすぎません。人間のいる地域および既存の道路網も、カモシカに影響を与えます。一連の要素間の相互作用とは、カモシカが特定の種類の植物を好み、道路を介して該当するエリアにアクセスできる人間を避ける点です。カモシカを発見できる確率が最も高い地域を最終的に見つけるには、一連のプロセス モデルが必要になることもあります。
  • このステップでは、必要な入力データセットも明確にする必要があります。これらの項目を明確にしたら、一連のデータ レイヤー (表現モデル) として表現する必要があります。このためには、Spatial Analystラスター データを表現する方法を十分に把握しておく必要があります。
    • 入力データセットには、過去 1 週間におけるカモシカの目撃回数、植物の種類、人間の居住地、道路などがあります。
  • モデル全体 (一連の条件、プロセス モデル、および入力データセット) が得られたら、現実的なモデルが得られるので、意思決定プロセスが簡単になります。

ステップ 3: 入力データの調査

  • 調査エリア内の各オブジェクトの空間的関係や属性プロパティと、それらオブジェクト間の関係 (表現モデル) を理解しておくと、役に立ちます。それらの関係を理解するには、該当するデータを調査する必要があります。ArcGIS Pro で利用可能なデータ調査用のツールおよびメカニズムは多岐にわたっています。たとえば、シンボル表示チャートの作成などがあります。

ステップ 4: 解析の実行

  • この段階では、モデル全体の構築に使用する一連のツールを明確にする必要があります。Spatial Analyst には、この目的に利用できるさまざまなツールが用意されています。
    • カモシカの群生地を探す例の場合は、植物の種類の選択、家屋や道路からのバッファー作成、重み付けを実行できるツールを明確にする必要があります。

ステップ 5: モデルの結果の確認

  • モデルから得られた結果を実際に確認します。よりよい結果を得るために一部のパラメーターを変更する必要もあります。
  • 複数のモデルを作成した場合は、どのモデルを使用するのかを判断する必要があります。このためには、最適なモデルを明確にする必要があります。他と比べて、当初の目標に明確に一致しているモデルがあるか確認してください。

ステップ 6: 結果の施行

  • 空間的問題を概念的に解決し、特定のモデルの解析結果が当初の期待値に一致していることを確認したら、その解析結果を施行します。
    • カモシカの群生地が見つかる確率が最も高い場所を訪れると、カモシカが実際に見つかるでしょうか。
  • 多くの場合、結果に納得する前に、矛盾する条件や評価基準を解決する必要があります。詳細については、 Jacek Malczewski 著 『GIS and Multicriteria Decision Analysis』をご参照ください。

概念モデルの応用

この問題解決手法は、多方面に応用できます。次のトピックには、用地選定の問題の解決に使用された概念モデルの例が記載されています。

参照

Malczewski, J, GIS and Multicriteria Decision Analysis, 1999, Wiley & Sons

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