ArcGIS Pro の時系列プロファイル チャートは、時系列の画像データを対象とする基本の解析ツールとして機能します。このチャートのタイプは、多次元ラスター データの細部にわたる視覚化および解析を可能にします。
多次元ラスター データの時系列プロファイルを作成する場合は、次の 3 つのオプションがあります。
- 複数の変数から時系列プロファイルを作成します。
- 選択した変数のマルチバンドから時系列プロファイルを作成します。
- 選択した変数の他のディメンション値 (深度など) に基づいて時系列プロファイルを作成します。
要件
時系列プロファイル チャートを使用するには、多次元ラスター データに時間ディメンションが含まれている必要があります。多次元モザイク データセットの場合は、変数フィールドとディメンション フィールドに関するすべての一般的要件が満たされていなければなりません。
モザイク データセットの一般的なプロパティに加え、多次元モザイク データセットには変数、時間ディメンション、および垂直ディメンションに関する情報が含まれ、これらはモザイク データセットのフットプリント テーブルにフィールドとして格納されます。
- Variable - 変数名
- Dimensions - モザイク データセットで使用するディメンションの名前。
ディメンションを定義する 1 つ以上のフィールドも含まれています。
- Standard Time - 標準化された時間ディメンションの値 (UTC)
- Standard Z - 長さ (メートル単位) で計測された、標準化された垂直ディメンション
- Standard Pressure - 圧力値 (Pa 単位) の標準化された垂直ディメンション。
多次元ラスター レイヤーおよび netCDF ラスター レイヤーの一般要件は、フットプリント テーブルがない点を除いて、多次元モザイク データセットと同じです。この変数は、ラスター レイヤーの作成時に選択したものです。標準時間、標準 Z、標準圧力などのディメンションを使用できるかどうかは、選択した変数によって決まります。
注意:
また、時系列プロファイル チャートは、多次元ラスター データとして指定されていない時系列ラスター データにも使用できます。たとえば、acquisition timeフィールドが含まれるモザイク データセット内にある時系列の Landsat 計測値のセットから時系列プロファイルを作成できます。
多次元モザイク データセットからの時系列プロファイルの作成
多次元モザイク データセット、多次元ラスター レイヤー、netCDF ラスター レイヤー、多次元 Web イメージ レイヤーから時系列プロファイル チャートを作成できます。使用するレイヤー タイプに関係なく、時系列プロファイルを作成するワークフローはほぼ同じです。次に示す手順では、多次元モザイク データセットから作成されたレイヤーを使用します。
- [コンテンツ] ウィンドウでレイヤーを右クリックして [チャートの作成] にポインターを合わせ、[時系列プロファイル] をクリックします。
[チャート プロパティ] ウィンドウと空白のチャートから成るダイアログ ボックスが表示されます。
- [チャート プロパティ] ウィンドウの [描画] ツールを使用して、マップ上のフィーチャをデジタイズします。ポイント フィーチャが、ポイント フィーチャ テーブルに追加されます。テーブル内では、ポイント フィーチャを選択/選択解除したり、不要なポイント フィーチャを削除したり、ポイント シンボルをクリックしてフィーチャの色や形状を編集したりできます。ラベルもテーブル内で編集できます。このテーブルからポイント フィーチャを選択すると、時系列プロファイルで、別々の線グラフを使用してそれぞれのポイント フィーチャが表現されます。
- X 軸で使用する時間ディメンション名を選択します。[時間] ドロップダウン矢印をクリックして、使用可能な時間ディメンション名を表示します。通常、StdTime (標準時間) がリストに表示され、これが時間ディメンションの名前になります。場合によっては、StdTime と StdTime_Max の両方の時間ディメンションがリストに表示されることがあります。これは、データの時間ディメンションで、期間を表すために開始時間と終了時間の 2 つのフィールドが使用されていることを示しています。
- [時間間隔サイズ]、[時間集約]、[時間間隔の配列]、および [不完全な時間間隔の切詰め] オプションを使用して一連の時間設定を定義します。
デフォルトでは、[時間間隔サイズ] でデータの元の時間分解能が使用され、時間集約は適用されません。この場合、時系列プロファイルには初期ピクセル値が表示されます。
また、時間集約を使用して、データに対して統計解析を実行することもできます。たとえば、毎時のデータを毎日、毎月、毎年の時間間隔で集約し、異なるタイム スケールで傾向を視覚化します。新しい時間間隔サイズが指定されると、[時間集約] タイプが [平均] に設定されます。平均値が、それぞれの新しい時間間隔内にある値に基づいて計算されて、時系列プロファイル上に表示されます。サポートされている時間集約タイプは、[回数]、[平均]、[中央]、および [合計] です。
[時間間隔の配列] オプションを使用すると、最初の時間ステップまたは最後の時間ステップのいずれかに一致する新しい時間間隔を定義できます。
[不完全な時間間隔の切詰め] オプションは、不完全な時間間隔による潜在的なバイアスを防ぐために、部分的にデータが埋められた時間間隔をチャートから削除する場合にオンにします。
- [時系列] のオプションを選択して、時系列プロファイルを作成します。
- 1 つまたは複数の変数 - このオプションは大部分の多次元モザイク データセットで使用できます。これは、通常、モザイク データセットの変数がシングルバンドで、時間ディメンションのみを含む場合に使用されます。変数名リストから 1 つまたは複数の変数を選択し、同じ時系列プロファイル内で比較できます。変数名が選択されたら、対応するグラフが時系列プロファイル上に表示されます。
複数の変数が選択され、それらの値の範囲が大幅に異なる場合は、[軸] カテゴリの [正規分布] オプションをオンにして、すべての変数を同じ縮尺に設定します。これにより、複数の分布を同じチャート内で視覚化できるようになります。たとえば、1 日あたり 2 ~ 3 インチの範囲内にある降水量と毎日の平均華氏温度 (60 ~ 90 度など) を同時に視覚化することができます。Y 軸の値の標準化は Z 変換を伴います。この変換では、すべての値の平均値を各値から引いた後、その結果をすべての値の標準偏差で割ります。
- マルチバンド データの 1 つの変数 - 時系列プロファイル上にプロットするバンドを指定します。それぞれのバンドに対して別々のグラフが使用されます。最初に 1 つの変数を選択し、次にバンド名を使用してバンドを追加します。[すべて追加] または [すべて削除] ボタンを使用して、すべてのバンドをそれぞれ追加または削除することもできます。また、時系列プロファイルでは、複数の位置にある特定のバンドの値を比較することもできます。
モザイク データセットには、Acquisition timeフィールドを含むマルチスペクトル衛星計測値など、時系列のマルチバンド画像が含まれていることがあります。さらに、マルチバンド画像を含むモザイク データセットを作成するためのコンポジット バンド テンプレートを使用して、多次元モザイク データセットを作成することもできます。詳細については、「マルチバンド コンポジット テンプレートを使用したモザイク データセットの作成」をご参照ください。
- 多次元データの 1 つの変数 - このオプションは、時間ディメンションと他のディメンションを含む多次元モザイク データセットに使用できます。時間変数名ともう一方のディメンション名を選択し、もう一方のディメンションからの値に基づいて変数についての時系列プロファイルを作成します。もう一方のディメンションのそれぞれの値に対して別々のグラフが使用されます。たとえば、時間ディメンションと深度ディメンションの両方が含まれる海洋塩分濃度データがあるとすれば、深度 1、深度 2 などにある塩分濃度についての時系列プロファイルを作成できます。また、時系列プロファイルでは、複数の位置にある他のディメンションの特定の値における変数を比較することもできます。他のディメンションのすべての値を追加または削除するには、[すべて追加] または [すべて削除] ボタンを使用します。
- 1 つまたは複数の変数 - このオプションは大部分の多次元モザイク データセットで使用できます。これは、通常、モザイク データセットの変数がシングルバンドで、時間ディメンションのみを含む場合に使用されます。変数名リストから 1 つまたは複数の変数を選択し、同じ時系列プロファイル内で比較できます。変数名が選択されたら、対応するグラフが時系列プロファイル上に表示されます。
このワークフローは、1 つまたは複数の変数、複数のバンド、および複数のディメンションを使用して時間がプロットされた時系列プロファイル チャートを作成する方法の概略をまとめたものです。加えて、時系列プロファイル チャート上のラベルと一般情報を軸、番号形式、時間と日付の書式設定、タイトル、X 軸と Y 軸のタイトルなどによってカスタマイズできます。詳細については、「時系列プロファイル チャート」をご参照ください。