Standard または Advancedのライセンスで利用可能。
エンタープライズ ジオデータベースをアップグレードする目的は、新機能と修正された不具合を利用するために、ジオデータベースのシステム テーブル、ストアド プロシージャ、タイプ、および機能を更新することです。
ArcGIS クライアントの最新バージョンをインストールするか、サービス パック、パッチ、またはホット フィックスを既存のインストールに適用し、ジオデータベースをアップグレードします。
アップグレードの前に必要な手順を完了してから、[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ジオプロセシング ツールまたは Python スクリプトを使用してジオデータベースをアップグレードします。
アップグレードする前に
ジオデータベースを含め、エンタープライズ システムをアップグレードする場合は、まず計画を立てます。 開発サーバーまたはテスト サーバーで新しいバージョンをテストして、すべてのクライアント アプリケーションで動作することを確認します。
新しいシステムが想定したとおりに機能することが確認できたら、アップグレードのスケジュールを設定します。アップグレードに必要な人員を確保し、各担当者が割り当てられたタスクを実行するために必要な権限を持っていることを確認します。
次の点に注意してください。
- ユーザースキーマ ジオデータベースのアップグレードのサポートは終了しました。 現時点では、sde ジオデータベースはアップグレードできますが、ユーザースキーマ ジオデータベースはアップグレードできません。 ユーザースキーマ ジオデータベースに接続できますが、アップグレードすることはできません。
- ベータまたはプレリリース バージョンのソフトウェアからのアップグレードはサポートされません。
- お使いのデータベース リリースがアップグレード対象の ArcGIS バージョンをサポートしている場合は、10.8.1、10.9.x、または 11.x のジオデータベースから直接アップグレードできます。
以前のバージョンのジオデータベースからアップグレードするには、最初にジオデータベースを 10.8.1、10.9.x、または 11.0 にアップグレードする必要があります。 最新のジオデータベースにアップグレードする前に、そのバージョンのアップグレードの手順に従います。
- Oracle 12c データベース内のジオデータベースはアップグレードできません。 最初にサポートされている Oracle バージョンにアップグレードして、ジオデータベースをアップグレードできます。
- ジオデータベースを以前のバージョンにダウングレードするための正式なメカニズムはありません。 新しいバージョンにアップグレードした後でジオデータベースをダウングレードする場合は、古いジオデータベース バージョンを含むバックアップ ファイルからデータベースを復元することができます。
- Oracle OPEN_CURSORS パラメーターが大きな値 (2,000 など) に設定されており、その設定がジオデータベースと同期されていることを確認します。
- ジオデータベースを現在のリリースにアップグレードすると、ジオデータベースはログ ファイル テーブルにグローバル一時テーブルのみを使用します。
以下は、ジオデータベースをアップグレードする前に実行する手順のチェックリストです。
- 使用する Oracle と ArcGIS のバージョンの組み合わせが Esri でサポートされているかどうかを確認するには、「Oracle に関する ArcGIS の要件」をご参照ください。
- ジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認します。
これを行うには、移行する ArcGIS クライアントのバージョンを、1 台のコンピューターにインストールします。 ArcGIS Pro をインストールしたら、ジオデータベースに接続し、[データベース プロパティ] ダイアログ ボックスを開いて、ジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認できます。 ArcGIS Server (エンタープライズ エディション) をインストールすると、ArcPy の Describe 関数を使用して、ジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認できます。
# Open Python. cd /arcgis/server/tools ./python # Create a connection to the geodatabase. arcpy.CreateDatabaseConnection_management("/tmp/", "egdb_connection.sde", "ORACLE", "myogdb", "DATABASE_AUTH", "sde", "mysdepassword", "SAVE_USERNAME") # Import ArcPy and check the geodatabase release. import arcpy isCurrent = arcpy.Describe('/tmp/egdb_connection.sde').currentRelease print isCurrent
false が返された場合、ジオデータベースをアップグレードできます。 true が返された場合、ジオデータベースをアップグレードする必要はありません。 以降の手順を省略してください。
- Oracle Text コンポーネントがインストールされていることを確認します。
Oracle ではデフォルトで Text コンポーネントがインストールされますが、デフォルトのインストールを実行していない場合、Text コンポーネントがインストールされていない可能性があります。
このコンポーネントがインストールされているかどうかを確認するには、SYSTEM ユーザーまたはデータベースの DBA 権限のあるユーザーとしてサイン インし、次の SQL ステートメントを実行します。
レコードが返されなかった場合は、Text コンポーネントがインストールされていません。 Oracle のインストールを実行して、Text コンポーネントをインストールします。SELECT owner, object_name FROM all_objects WHERE object_type = 'PACKAGE' AND object_name = 'CTX_DDL';
- データベースのバックアップを作成します。
- ArcGIS の外部にあるジオデータベース システム テーブルに追加したカスタム機能 (トリガーや追加のインデックスなど) をすべて削除します。
アップグレード手順では、ユーザーがシステム テーブルに追加したカスタマイズは考慮されません。 このようなカスタマイズによってシステム テーブルのスキーマ変更が妨げられた場合、アップグレードが失敗します。
- ジオデータベース管理者に、ジオデータベースのアップグレードに必要な権限を付与します。
必要な権限の一覧については、「Oracle でのジオデータベースの権限」をご参照ください。
- SQL からデータに直接アクセスする場合、Oracle サーバー上にある既存の st_shapelib を新しいバージョンのライブラリに置き換えます。
My Esri から新しい st_shapelib ファイルをダウンロードします。
必ず、Oracle サーバーのオペレーティング システムに対応するライブラリを使用してください。
ライブラリを Oracle サーバー上の以前とは異なる場所に配置する場合、extproc が新しいライブラリの場所を指すように再構成し、Oracle リスナーを再起動する必要があります。 詳細については、「Oracle の ST_Geometry にアクセスするための extproc の構成」をご参照ください。
- アップグレードするジオデータベースに接続しているユーザーがいないことを確認します。 ジオデータベースにユーザースキーマ ジオデータベースが含まれる場合も、データベース内のユーザースキーマ ジオデータベースに接続しているユーザーが存在しないことを確認します。
ジオデータベースに現在接続しているユーザーのリストを確認するには、ArcGIS Pro の [ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスを開きます。
これで、ジオデータベースをアップグレードできるようになりました。
ジオデータベースのアップグレード
ArcGIS Pro の [ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールまたは ArcGIS クライアント コンピューターで実行される Python スクリプトを使用して、ジオデータベースをアップグレードできます。
注意:
ジオデータベースをアップグレードする場合、現在の接続構文を使用して接続する必要があります。 以前の接続構文を使用すると、アップグレード プロセスは失敗します。 接続構文の詳細については、「ArcGIS から Oracle への接続」をご参照ください。
[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールの使用
[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ジオプロセシング ツールは、次のいずれかから開きます。
- [データ管理] ツールボックス内の [ジオデータベース管理] ツールセット
- ArcGIS Pro 内の [データベース プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブにある [アップグレードの実行] ボタン
[データベース プロパティ] からツールを開いた場合、[入力ジオデータベース] テキスト ボックスにジオデータベース接続情報が事前に入力されています。
Esri では、[前提条件を確認] および [ジオデータベースをアップグレード] オプションをオンのままにすることをお勧めします。 これにより、ジオデータベースのアップグレードを続ける前に、アップグレードを行うための前提条件を満たしているかどうかが確認されます。
前提条件のチェックでは、ジオデータベースへの他のアクティブな接続が検出され、接続しているユーザーにジオデータベースをアップグレードするための十分な権限があるかどうか、データベースが XML 列に対応しているかどうか、すべてのデータセットを開くことができるかどうか、データベースとライブラリのリリースが同じかどうかが確認されます。 前提条件のいずれかが満たされていない場合、ツールは終了します。 アップグレードの手順を再度実行する前に、問題を修正する必要があります。
確認の結果は、ジオプロセシング ツールのダイアログ ボックスで報告されます。 チェックで不合格になった (またはアップグレードに失敗した) 場合は、c:\Users\<user name>\AppData\Local\ESRI\<ArcGIS product> フォルダーにある GDBUpgrade.log ファイルにも結果が書き込まれます。
すべてのチェックに合格した場合、ツールはアップグレードに進みます。 前提条件チェックとアップグレードの状態は、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスに表示されます。 アップグレードが失敗すると、情報が GDBUpgrade.log ファイルに書き込まれます。 システムの TEMP ディレクトリにある sde_setup.log ファイルに追加情報が書き込まれます。
スクリプトの実行
Python スクリプトを使用してジオデータベースをアップグレードするには、以下のサンプル スクリプトのいずれかをテキスト エディターにコピーします。 環境の情報に合わせて、変数の値を変更します。
- sde ユーザーとして接続しているデータベース接続ファイルがすでに存在する場合、クライアントのオペレーティング システムに適用するスクリプトをコピーしてテキスト エディターに貼り付けた後、環境に固有の情報を使用するように変更し、そのファイルを保存して閉じた後で実行します。
# Name: upgradesdegdb_example.py # Description: Connect from a Windows computer # with an existing database connection file # and upgrade an enterprise geodatabase # Import arcpy module import arcpy # Local variables: Output_Workspace = "C:\\ArcGIS\connection_files\<Connection file>" Default_gdb = "C:\\ArcGIS\connection_files\<Connection file>" # Process: Upgrade Geodatabase arcpy.UpgradeGDB_management(Default_gdb, "PREREQUISITE_CHECK", "UPGRADE")
# Name: upgradesdegdb_example.py # Description: Connect from a Linux or UNIX computer # with an existing database connection file # and upgrade an enterprise geodatabase # Import arcpy module import arcpy # Local variables: Output_Workspace = "<user>/connections/<Connection_file>" Default_gdb = "<user>/connections/<Connection_file>" # Process: Upgrade Geodatabase arcpy.UpgradeGDB_management(Default_gdb, "PREREQUISITE_CHECK", "UPGRADE")
- アップグレードのスクリプティングを行うコンピューター上にデータベース接続ファイルがない場合、次のスクリプトをコピーして、環境に固有の情報をコマンド ラインに入力できます。
たとえば、テキスト ファイルを gdbupgrade として保存した場合、データベース名が myogdb であれば、コマンド プロンプトで以下を入力します。""" Name: upgrade_gdb.py Description: Provide connection information to an Enterprise geodatabase and upgrade the geodatabase Type upgrade_gdb.py -h or upgrade_gdb.py --help for usage """ # Import system modules import arcpy import os import optparse import sys # Define usage and version parser = optparse.OptionParser(usage = "usage: %prog [Options]", version="%prog 2.0; valid for 10.1 only") #Define help and options parser.add_option ("--DBMS", dest="Database_type", type="choice", choices=['SQLSERVER', 'ORACLE', 'POSTGRESQL', 'DB2','INFORMIX','DB2ZOS',''], default="", help="Type of enterprise DBMS: SQLSERVER, ORACLE, or POSTGRESQL.") parser.add_option ("-i", dest="Instance", type="string", default="", help="DBMS instance name") parser.add_option ("--auth", dest="account_authentication", type ="choice", choices=['DATABASE_AUTH', 'OPERATING_SYSTEM_AUTH'], default='DATABASE_AUTH', help="Authentication type options (case-sensitive): DATABASE_AUTH, OPERATING_SYSTEM_AUTH. Default=DATABASE_AUTH") parser.add_option ("-u", dest="User", type="string", default="", help="Geodatabase administrator user name") parser.add_option ("-p", dest="Password", type="string", default="", help="Geodatabase administrator password") parser.add_option ("--upgrade", dest="Upgrade", type="choice", choices=['TRUE', 'FALSE'], default="FALSE", help="Upgrade Options (case-sensitive): TRUE=Perform Pre-requisite check and upgrade geodatabase, FALSE=Perform Pre-requisite check only. Default=FALSE") parser.add_option ("-D", dest="Database", type="string", default="none", help="Database name: Not required for Oracle") # Check if value entered for option try: (options, args) = parser.parse_args() #Check if no system arguments (options) entered if len(sys.argv) == 1: print("%s: error: %s\n" % (sys.argv[0], "No command options given")) parser.print_help() sys.exit(3) #Usage parameters for spatial database connection to upgrade account_authentication = options.account_authentication.upper() username = options.User.lower() password = options.Password do_upgrade = options.Upgrade database = options.Database.lower() database_type = options.Database_type.upper() instance = options.Instance if (database_type == ""): print("\nDatabase type must be specified!\n") parser.print_help() sys.exit(3) if (database_type == "SQLSERVER"): database_type = "SQL_SERVER" # Get the current product license product_license=arcpy.ProductInfo() # Checks required license level to upgrade if product_license.upper() == "ARCVIEW" or product_license.upper() == 'ENGINE': print("\n" + product_license + " license found!" + " Enterprise geodatabase upgrade requires an ArcGIS Desktop Standard or Advanced, ArcGIS Engine with the Geodatabase Update extension, or ArcGIS Server license.") sys.exit("Re-authorize ArcGIS before upgrading.") else: print("\n" + product_license + " license available! Continuing to upgrade...") arcpy.AddMessage("+++++++++") # Local variables instance_temp = instance.replace("\\","_") instance_temp = instance_temp.replace("/","_") instance_temp = instance_temp.replace(":","_") Conn_File_NameT = instance_temp + "_" + database + "_" + username if os.environ.get("TEMP") == None: temp = "c:\\temp" else: temp = os.environ.get("TEMP") if os.environ.get("TMP") == None: temp = "/usr/tmp" else: temp = os.environ.get("TMP") Connection_File_Name = Conn_File_NameT + ".sde" Connection_File_Name_full_path = temp + os.sep + Conn_File_NameT + ".sde" # Check for the .sde file and delete it if present arcpy.env.overwriteOutput=True if os.path.exists(Connection_File_Name_full_path): os.remove(Connection_File_Name_full_path) print("\nCreating Database Connection File...\n") # Process: Create Database Connection File... # Usage: out_file_location, out_file_name, DBMS_TYPE, instnace, database, account_authentication, username, password, save_username_password(must be true) arcpy.CreateDatabaseConnection_management(out_folder_path=temp, out_name=Connection_File_Name, database_platform=database_type, instance=instance, database=database, account_authentication=account_authentication, username=username, password=password, save_user_pass="TRUE") for i in range(arcpy.GetMessageCount()): if "000565" in arcpy.GetMessage(i): #Check if database connection was successful arcpy.AddReturnMessage(i) arcpy.AddMessage("\n+++++++++") arcpy.AddMessage("Exiting!!") arcpy.AddMessage("+++++++++\n") sys.exit(3) else: arcpy.AddReturnMessage(i) arcpy.AddMessage("+++++++++\n") # Check whether geodatabase needs upgrade isCurrent = arcpy.Describe(Connection_File_Name_full_path).currentRelease if isCurrent == True: print("The geodatabase is already at the current release and cannot be upgraded!") sys.exit("Upgrade did not run.") # Process: Upgrade geodatabase... try: if do_upgrade.lower() == "true": print("Upgrading Geodatabase...\n") arcpy.UpgradeGDB_management(input_workspace=Connection_File_Name_full_path, input_prerequisite_check="PREREQUISITE_CHECK", input_upgradegdb_check="UPGRADE") for i in range(arcpy.GetMessageCount()): arcpy.AddReturnMessage(i) arcpy.AddMessage("+++++++++\n") else: print("Running Pre-Requisite Check...\n") arcpy.UpgradeGDB_management(input_workspace=Connection_File_Name_full_path, input_prerequisite_check="PREREQUISITE_CHECK", input_upgradegdb_check="NO_UPGRADE") for i in range(arcpy.GetMessageCount()): arcpy.AddReturnMessage(i) arcpy.AddMessage("+++++++++\n") except: for i in range(arcpy.GetMessageCount()): arcpy.AddReturnMessage(i) if os.path.exists(Connection_File_Name_full_path): os.remove(Connection_File_Name_full_path) #Check if no value entered for option except SystemExit as e: if e.code == 2: parser.usage = "" print("\n") parser.print_help() parser.exit(2)
gdbupgrade --DBMS ORACLE -i myogdb --auth DATABASE_AUTH -u sde -p mysdepassword --upgrade TRUE
Oracle のリリースとブランチ バージョン
ArcGIS によってブランチ バージョンがサポートされている Oracle リリースでジオデータベースを作成またはアップグレードする場合にのみ、ブランチ バージョン システム テーブルが作成されます。 つまり、ブランチ バージョニングがサポートされていないバージョンの Oracle にジオデータベースがある場合は、ブランチ バージョニングを使用できません。