衛星や航空機に搭載されたセンサーなどで画像を撮影した場合、位置情報 (高さなど) は一般に地球の楕円体モデル上で測定されますが、利用可能な数値標高モデル (DEM) の多くは海抜モデルを使用してモデル化されています。これらの値は同じベース位置から測定されていないため、基本的には、結果として同じ場所において 2 つの異なる高度の値が存在することになります。ジオイド補正を使用して、これらの値を相互に変換することができます。
算術演算関数をモザイク データセット内で使用することにより、オルソ幾何補正を画像に適用する前に、ジオイドを使用して海抜高度を変換することができます。手順としては、次の式を適用します。
h = H + N
各要素は次のとおりです。- h = 楕円体の高さ
- H = 海抜 (ジオイド) 高度
- N = ジオイド高
以下のステップは、高度データが含まれるモザイク データセットを作成する方法を説明しています。上記の式に従って、モザイク データセット全体に算術演算関数を適用し、楕円体の高さを持つ DEM を作成します。
モザイク データセットの設定
- [モザイク データセットの作成 (Create Mosaic Dataset)] ツールを使用して、モザイク データセットを作成します。
- [モザイク データセットにラスターを追加 (Add Rasters To Mosaic Dataset)] ツールを使用して、標高ラスター データをモザイク データセットに追加します。
- モザイク データセットのオーバービューを構築することをお勧めします。
算術演算関数の追加
- [カタログ] ウィンドウを開き、モザイク データセットに移動します。
- モザイク データセットを右クリックして [モザイク データセット関数の編集] をクリックします。
[関数エディター] ビューが開き、モザイク データセットが表示されます。
- [ラスター関数] ボタン をクリックします。[ラスター関数] ウィンドウが表示されます。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[検索] ボックスをクリックして、「算術演算」と入力します。
- [ラスター関数] ウィンドウで、[算術演算] 関数を [関数エディター] にドラッグします。
- カーソルを黄色の [モザイク] 関数ボックスの上に置きます。ボックスの右側に、[出力] という単語が表示されています。これをクリックし、マウスを [算術演算] 関数の [ラスター] 入力にドラッグします。
これが上の式の H になります。
- [算術演算] 関数をダブルクリックします。[算術演算プロパティ] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [ラスター 2] で、[参照] ボタンをクリックして、ArcGIS Pro のインストール場所にある \Pro\Resources\pedata\geoid フォルダーに移動します。
- WGS84.img を選択して [OK] をクリックします。
これが上の式の N になります。
- [演算] のドロップダウン矢印をクリックし、[加算] を選択します。
- [OK] をクリックして [算術演算プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
- [適用] をクリックして、編集内容を保存します。
上記のステップにより、海抜高度を楕円体の高さに変換できます。楕円体の高さを海抜高度に変換する必要がある場合は、算術関数を使用して
H = h - N
の式を適用します。完了後は、このモザイク データセットを DEM 入力として使用し、別のモザイク データセット内の画像のオルソ幾何補正を実行できます。