サブネットワーク

サブネットワークは、層内のトポロジ的なサブセットを表します。サブネットワークでは、参加するすべてのフィーチャに同じサブネットワーク コントローラーに対する通過可能性が含まれます。 サブセットとは、接続されたライン、デバイス、ジャンクションのコレクションのことです。 サブネットワークはトレースおよびネットワーク ダイアグラム イベントを推進し、ネットワークを視覚化する手法を提供します。レンダリング、ラベリング、マップ生成 (回路や圧力ゾーンのマップなど) といった手法です。 サブネットワーク情報のメンテナンスは、詳細なモデリングや解析のために外部システムにサブネットワーク情報をエクスポートする機能によって、最適化されます。

サブネットワークを作成するには、1 つ以上のネットワーク フィーチャをサブネットワーク コントローラーとして設定します。 サブネットワークの名前は、ターミナルをサブネットワーク コントローラーとして設定するときに定義します。 層内の各サブネットワークには、ユーティリティ ネットワーク全体で一意のサブネットワーク名が必要です。 これにより、トレースが複数の層のサブネットワークに広がっているか、複数のドメイン ネットワークのサブネットワークにまたがる場合にも、サブネットワーク名の一意性が確保されます。 指定されたサブネットワーク名は、サブネットワークが更新されたときにサブネットワークに参加しているフィーチャまたはオブジェクトごとに更新されます。 ネットワーク フィーチャのサブネットワーク名の更新は、サブネットワーク、つまり同じサブネットワーク コントローラーへの通過可能性を含むアセットのグループを作成するプロセスを完了する処理です。

サブネットワークの管理に関する主要なトピックについては、「概念と操作」をご参照ください。

サブネットワークの管理

サブネットワークは、サブネットワーク コントローラーを追加して最初に作成されたときにダーティとしてマークされ、変更を行って検証し、ネットワーク トポロジを更新するときにもダーティとしてマークされます。 [サブネットワークの検索] ウィンドウまたはサブネットワークの更新ジオプロセシング ツールからサブネットワークを更新すると、サブネットワークに対する編集が取得され、関連する情報でサブネットワークが更新されます。 サブネットワークの更新中に、一貫性の検証エラーまたはサブネットワーク エラーが検出されると、更新操作は失敗し、サブネットワークは無効としてマークされます。

サブネットワーク管理タスクがサブネットワーク ステータスに与える影響の詳細

サブネットワークに関する情報は、[サブネットワーク テーブル] に格納されます。 このテーブルには、サブネットワーク コントローラー、サブネットワークが属する層、編集情報の記録の詳細、サブネットワークがクリーン、ダーティ、または無効かどうかに関する情報が保存されます。

関連するサブネットワーク管理タスクの概要を次に示します。

サブネットワークのライフサイクルの詳細

階層型とパーティション型の層定義

層定義は、ドメイン ネットワークをユーティリティ ネットワークに追加するときに定義されるプロパティです。 層定義は、ネットワークの他の層に対する層の構造を示します。 ドメイン ネットワークまたは層グループでは、2 つ以上の層が、パーティション型の連続的な層のコレクション、またはネストされた層の階層を形成することができます。 ユーティリティ ネットワークでは、ドメイン ネットワーク内または層グループ内のすべての層は、同じ層定義を共有します。 ユーティリティ ネットワークは、層定義が異なる複数のドメイン ネットワークをサポートすることができます。

詳細については、「」をご参照ください。

トポロジ タイプ

サブネットワークは、さまざまなシステムをモデリングするために、メッシュと放射状という 2 つのトポロジ タイプをサポートしています。 サブネットワークのトポロジ タイプは、層レベルで設定され、層を作成するときに定義されます。 層内のすべてのサブネットワークが同じトポロジ タイプを共有します。

注意:
階層型の層定義を持つドメイン ネットワークでは、メッシュ トポロジ タイプのみがサポートされています。 パーティション型のネットワーク内のサブネットワークのトポロジ タイプは、メッシュまたは放射状に設定できます。

層を追加するときに以下のトポロジ タイプを使用できます。

  • 放射状 - 1 つまたは複数のサブネットワーク コントローラーから構成されます。
  • メッシュ - 1 つまたは複数のサブネットワーク コントローラーから構成されます。
注意:
現在、トポロジ タイプは、トレースまたはサブネットワーク管理に関して、動作の違いをもたらしません。 この機能は開発中であり、将来のリリースで適用可能になる予定です。

サブネットワーク内の各サブネットワーク コントローラーは、一意の [サブネットワーク コントローラー名] を持ちますが、同じ [サブネットワーク名] を共有する必要があります。

サブネットワーク定義

構成時に、ユーティリティ ネットワークの管理者は、ドメイン ネットワーク内の各層に対してサブネットワーク定義を設定します。 サブネットワーク定義は、指定した層内のすべてのサブネットワークのさまざまなプロパティを制御し、サブネットワークの更新時に使用されます。

詳細については、「サブネットワーク定義の設定または変更」をご参照ください。

次の表に、サブネットワーク定義のコンポーネントを示します。

構成要素説明

分断されているサブネットワークのサポート

同じ名前を持つ複数のサブネットワークを相互に通過可能にするかどうかを定義します。 このオプションは、パーティション型の層定義を持つドメイン ネットワークの層に対してのみ利用できます。 階層型の層定義を持つドメイン ネットワークの層では、分断されているサブネットワークをサポートするために、このプロパティは常に true に設定されます。

有効なサブネットワーク コントローラー

ターミナルをサブネットワーク コントローラーとして設定できる Device および Junction Object クラス内の特定のアセット グループおよびアセット タイプを定義します。

有効なサブネットワーク コントローラーに属するターミナルのみが、指定した層のコントローラーの作成または変更に使用することができます。

有効なフィーチャ

ユーティリティ ネットワークに属するネットワーク フィーチャの特定のアセット グループおよびアセット タイプを定義します。 たとえば、配電層内では、中電圧ラインおよび低電圧ラインが許容されますが、高電圧ラインは許容されません。 これらは層のサブネットワーク定義で指定され、サブネットワークの更新時に検査されます。

  • 有効なデバイス
  • 有効なライン
  • 有効なジャンクション
  • 有効なジャンクション オブジェクト
  • 有効なエッジ オブジェクト

サブネットワークが更新されたときに、無効なアセット タイプに接続されたか、関連付けられたフィーチャが検出された場合、エラーが生成され、ステータスが無効に設定されて、サブネットワークは更新されません。

SubnetLine フィーチャクラスの集約ライン

SubnetLine フィーチャクラスでサブネットワークを表すために、一緒に集約する [有効なライン] パラメーターのラインのサブセットを定義します。

サブネットワーク ダイアグラムのテンプレート

ダイアグラム テンプレートは、自動生成されるサブネットワーク ダイアグラムのテンプレートとして使用されます。 このコンポーネントはオプションです。

これらのダイアグラムは、サブネットワークが更新されるたびに生成および更新されます。 サブネットワークが削除されると、関連付けられているサブネットワーク システム ダイアグラムも削除されます。

サブネットワーク トレース構成

サブネットワーク トレース構成はオプションで、ユーティリティ ネットワークの構成段階で設定できます。 サブネットワークのイベント (更新エクスポートトレース) では、サブネットワーク トレース構成を使用して、イベント時に考慮されるネットワーク フィーチャや、更新、エクスポート、またはトレースされて返されるネットワーク フィーチャを決定します。 層のサブネットワーク トレース構成は、それぞれの操作に関連付けられているツールを使用して変更できます (いくつかの制限が適用されるので、使用可能なトレース パラメーターはツールごとに確認してください)。

次の構成オプションがあります。

  • [格納器を含める] - 格納器を含めるかどうかを指定します。
  • [格納物を含む] - 格納器の格納物を含めるかどうかを指定します。
  • [構造物を含む] - 構造物を含めるかどうかを指定します。
  • [バリア フィーチャを含める] - バリア フィーチャを含めるかどうかを指定します。
  • [配置可能性の検証] - 配置できないジャンクションまたはエッジ オブジェクトが発生した場合にエラーを表示するかどうかを指定します。
  • [サマリー] - SubnetLine フィーチャクラスのサブネットワークに関する関数の情報を計算し、保存します。
  • [条件バリア] - ネットワーク属性およびカテゴリに基づいて操作を停止するフィーチャまたはオブジェクトを定義します。
  • [関数バリア] - 関数に基づいて操作を停止するフィーチャまたはオブジェクトを定義します。
  • [通過可能性の適用] - 施行する通過可能性の適用範囲を定義します。 通過可能性をジャンクションのみ、エッジのみ、またはジャンクションとエッジの両方に適用します。
  • プロパゲーター - 反映されるネットワーク属性を使用して、考慮されるネットワーク フィーチャを制御します。 Substitution 関数を使用できます。 このパラメーターは Python でしか利用できません。

サブネットワーク トレース構成の詳細については、「サブネットワーク トレース構成」をご参照ください。

サブネットワーク ポリシーの更新

サブネットワーク ポリシーの更新に関連付けられたパラメーターは、更新されるネットワーク フィーチャと、サブネットワークの更新操作時に加えられる属性編集のジオデータベース内での実行方法を定義します。

[サブネットワーク ポリシーの更新] に関して設定できるオプションは次のとおりです。

  • [IsDirty の管理] - サブネットワーク テーブル内の Is dirty 属性がサブネットワーク更新操作によって管理されるかどうかを指定します。 また、これはネットワーク ダイアグラムの一貫性と、サブネットワーク テーブルから削除されたコントローラーを消去するために使用する方法にも影響します。 このオプションがオンになっている場合、IsDirty 属性はサブネットワークの更新操作によって管理され、「サブネットワーク テーブル」と「SubnetLine フィーチャクラス」で更新されます。
    注意:

    Is dirty 属性を管理しないように層が構成されている場合、サブネットワークの更新操作の成否にかかわらず、サブネットワークは常にダーティとして表示されます。

    このオプションがオフになっている場合、デフォルト バージョンでサブネットワークの更新操作を使用して、Is deleted 属性が true に設定されているデフォルト バージョンのサブネットワーク テーブルから行を削除できます。

    層に対してサブネットワーク コントローラーが定義されていない場合、[IsDirty の管理] オプションは無効になります。

    サブネットワーク ステータスおよび Is dirty 属性の詳細については、「サブネットワーク ステータス」をご参照ください。

  • [構造物ネットワーク格納器の更新] - 構造物ネットワーク格納器に対して、「サポートされているサブネットワーク名」属性が、サブネットワーク更新プロセスによって更新されるかどうかを指定します。 このオプションは、デフォルトでオンになっています。
  • [ドメイン ネットワーク格納器の更新] - ドメイン ネットワーク格納器に対して、「サポートされているサブネットワーク名」属性が、サブネットワーク更新プロセスによって更新されるかどうかを指定します。 このオプションは、デフォルトでオンになっています。
  • [デフォルト バージョンの編集モード] および [名前付きバージョンの編集モード] - サブネットワーク更新プロセス中に、サブネットワーク フィーチャに対してさまざまな属性編集が加えられます。 編集モードによって、属性編集の実行方法が決定されます。 この動作を制御するには、[イベントを使用][イベントを使用しない] という 2 つのオプションを使用できます。

    • [イベントを使用しない] - デフォルト バージョンと名前付きバージョンの両方、およびシングルユーザー配置で作業している場合、これがデフォルトです。 エンタープライズ配置でこの編集モードを使用している場合、サブネットワークの更新時にジオデータベース契約は遵守されません。 つまり、フィーチャが更新されたときに、編集情報の記録、属性ルール、関連オブジェクトに対する更新がトリガーされません。 つまり、イベントを使用せずにフィーチャに対して加えられた変更では、以降のレビュー用のジオデータベース履歴が書き込まれません。 このアプローチは、サブネットワーク更新のパフォーマンスを最適化するためのものです。
      • この編集モードをデフォルト バージョンまたはシングルユーザー配置で使用している場合、そのサブネットワーク内のすべてのフィーチャとオブジェクトのサブネットワーク名と反映された値が更新されます。
      • この編集モードを名前付きバージョンで使用している場合、そのバージョンのユーザーによって編集されたフィーチャのみ、サブネットワーク名と反映された値が更新されます。
    • [イベントを使用] - このオプションでは、デフォルト バージョンまたは名前付きバージョンでサブネットワークを更新している場合、およびシングルユーザー配置で作業している場合に、ジオデータベースの動作をトリガーできます。 この編集モードでは、カーソル更新を使用して、その操作が適用されたすべてのフィーチャのサブネットワーク名と反映された値が更新されます。

      [イベントを使用] では、すべてのジオデータベース契約が遵守されます。 つまり、属性ルールが実行されてその検証ステータスがリセットされ、編集情報の記録が更新され、関連オブジェクトが更新され (該当する場合)、変更内容が実際の編集としてジオデータベースの履歴に記録されます。 サブネットワークの更新操作中に属性ルールを実行する必要があるユーザーはこの編集モードの使用を検討する必要があります。

      注意:

      多数の属性ルールや関連オブジェクト (フィーチャリンク アノテーション クラスなど) がデータに存在する場合、このオプションによってパフォーマンスが低下することがあるため、大きなサブネットワークで使用してはなりません。

    以下の例に、デフォルトの [名前付きバージョンの編集モード] である [イベントを使用しない] を使用しているときに、ライン作成後に名前付きバージョンで RMT001 サブネットワークに対してサブネットワークの更新を実行したときの影響を示します。 サブネットワーク名は、そのバージョンで編集されたフィーチャでのみ更新されていることに注意してください。

    名前付きバージョンの編集モードのデフォルト オプションであるイベントを使用しないを使用して名前付きバージョンで実行されたサブネットワーク更新操作

    この例は、このツールをデフォルト バージョンで実行した場合と、このツールを名前付きバージョンで実行し、[名前付きバージョンの編集モード][イベントを使用] に設定されている場合の、ライン作成後に RMT001 サブネットワークに対してサブネットワークの更新を実行したときの影響を示しています。 編集されたフィーチャは 1 つだけですが、サブネットワーク内のすべてのフィーチャでサブネットワーク名が更新されていることに注意してください。

    デフォルト バージョン (イベントを使用/イベントを使用しない) と名前付きバージョン (イベントを使用) で実行されたサブネットワーク更新操作

    注意:

    特定のパラメーターには、最小のユーティリティ ネットワーク バージョンが必要です。 詳細については、「サブネットワーク定義の設定」をご参照ください。