Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
[ファジー オーバーレイ (Fuzzy Overlay)] ツールを使用すると、複数条件のオーバーレイ解析で、現象が複数の集合に属する可能性を解析することができます。 [ファジー オーバーレイ (Fuzzy Overlay)] は、現象が属する可能性がある集合を判定するだけではなく、複数の集合のメンバーシップ間の関係についても解析します。
[オーバーレイ タイプ] には、集合論の解析に基づいたデータの結合に利用できる手法が表示されます。 各手法を使用して、さまざまな入力条件に属する各セルのメンバーシップを調査することができます。 使用可能な手法は、Fuzzy And、Fuzzy Or、Fuzzy Product、Fuzzy Sum、および Fuzzy Gamma です。 各方法は、複数の入力条件に対する各セルのメンバーシップについて異なる観点を提供します。
Fuzzy And
Fuzzy And オーバーレイ タイプは、セル位置が属する集合の最小値を返します。 この手法は、すべての入力条件のメンバーシップに対する最小公分母を求める際に役立ちます。 たとえば、住宅適合性モデルで、すべての条件に適合している可能性が 0.5 以上の場所のみを選択することができます。
Fuzzy And の評価では次の関数を使用します。
fuzzyAndValue = min(arg1, ..., argn)
Fuzzy Or
Fuzzy Or オーバーレイ タイプは、セル位置が属する集合の最大値を返します。 この手法は、いずれかの入力条件の最大メンバーシップ値を求める際に役立ちます。 たとえば、住宅適合性モデルで、少なくとも 1 つの条件が適合性集合に完全に含まれている、つまり値 1 が割り当てられているすべての場所を特定することができます。
Fuzzy Or の評価では次の関数を使用します。
fuzzyOrValue = max(arg1, ..., argn)
Fuzzy Product
Fuzzy Product オーバーレイ タイプは、すべての入力条件に対してセルごとに各ファジー値を乗算します。 生成される積はどの入力値よりも小さく、多数の集合のメンバーが入力された場合、非常に小さい値になることがあります。 すべての入力条件の積を値の相対関係に関連付けるのは困難です。 このため、Fuzzy Product の使用頻度は高くありません。
Fuzzy Product の評価では次の関数を使用します。
fuzzyProductValue = product(arg1, ..., argn)
Fuzzy Sum
Fuzzy Sum オーバーレイ タイプは、セル位置が属する各集合のファジー値を加算します。 生成される合計は、解析に入力された条件の数に基づいて増加する線形結合関数になります。
Fuzzy Sum は代数和ではないため、[加重オーバーレイ (Weighted Overlay)] ツールや [加重合計 (Weighted Sum)] ツールで使用される加法的な手法と混同しないでください。 上記の 2 つのオーバーレイ方法では、入力が望ましいほど適合性が高くなることを前提としています。 Fuzzy Sum 解析ですべてのメンバーシップ値を加算しても、必ずしもその位置の適合性がより高いというわけではありません。 このため、Fuzzy Sum の使用頻度は高くありません。
Fuzzy Sum の評価では次の関数を使用します。
fuzzySumValue = 1 - product(1 - arg1, ..., 1 - argn)
Fuzzy Gamma
Fuzzy Gamma タイプは、いずれもガンマで累乗される Fuzzy Product と Fuzzy Sum の代数積です。 ジェネラライズ関数は次のとおりです。
µ(x) = (FuzzySum)γ * (FuzzyProduct)1-γ
Fuzzy Gamma で使用される固有の関数は次のとおりです。
fuzzyGammaValue = pow(1 - ((1 - arg1) * (1 - arg2) * ...), Gamma) * pow(arg1 * arg2 * ..., 1 - Gamma)
指定したガンマが 1 の場合、出力は Fuzzy Sum と同じになり、ガンマが 0 の場合、出力は Fuzzy Product と同じになります。 0 〜 1 の値を使用すると、これら 2 つの極値の間で、Fuzzy Or や Fuzzy And とは異なるエビデンスを結合できます。Fuzzy Gamma は、Fuzzy Sum の値を増加させる効果と Fuzzy Product の値を減少させる効果のバランスをとります。 次の図は、Fuzzy Sum と Fuzzy Product の項とガンマの関係を示しています。
Fuzzy Gamma は、複数の入力条件間の関係を確立し、Fuzzy Or や Fuzzy And のように単純に 1 つのメンバーシップ集合の値を返すことはありません。
Fuzzy Gamma は、Fuzzy Product より大きく Fuzzy Sum より小さい値を求める場合に使用できます。