近傍統計サマリー (Neighborhood Summary Statistics) (空間統計)

サマリー

各フィーチャの周囲のローカル近傍を使用して、1 つ以上の数値フィールドの統計サマリーを計算します。 ローカル統計としては、平均、中央値、標準偏差、四分位範囲、歪度、分位数不均衡があります。 カーネルを使用してすべての統計を地理的に重み付けし、フォーカル フィーチャに近い近傍ほど影響を強くすることができます。 使用できる近隣タイプには、距離バンド、近傍数、ポリゴン隣接、ドロネ―三角形分割、空間加重マトリックス ファイル (*.swm) など、さまざまなタイプがあります。 また、統計サマリーは各フィーチャの近傍までの距離に対して計算されます。

近傍統計サマリー ツールの詳細

近傍統計サマリー ツールの図
フォーカル フィーチャの周囲の平均値は、近傍を使用して計算されます。

使用法

  • 指定した分析フィールドに加え、各フィーチャに対して近傍までの距離に基づく統計が計算されます。 このため、たとえば各近傍までの距離の平均と標準偏差を計算し、近傍がフォーカル フィーチャから一般的に近いか遠いかを確認することができます。 近傍までの距離の統計を計算する際、フォーカル フィーチャは距離が常に 0 になるため使用されません。 また、これらの統計は、同じ距離に基づいて距離値を重み付けする意味がないため、地理的に重み付けされません。

  • [近傍タイプ] パラメーターに [ドロネ―三角形分割] オプションを指定した場合、出力フィーチャクラスはボロノイ マップと呼ばれます。

  • 入力フィーチャがポリゴンの場合、ポリゴン間の距離はすべてポリゴンの重心間の距離で定義されます。

  • ローカル統計は、[近傍タイプ] パラメーターが [近傍数] または [距離バンド] に指定されている場合にのみ、地理的に重み付けできます。これは、ポリゴン隣接またはドロネ―三角形分割に基づく近傍が、重心間の距離によって重み付けしてはいけないためです。 [近傍タイプ] パラメーターを [空間加重をファイルから取得] に指定した場合、空間加重ファイルに定義された加重が地理的な重み付けに自動的に使用されます。

  • 出力座標系環境が緯度および経度の座標を含む地理座標系に設定されている場合、すべての距離は弦距離を使用して計算されます。 それ以外の場合、すべての距離は直線 (ユークリッド) 距離を使用して計算されます。

  • [計算で NULL 値を無視] パラメーターを使用して NULL 値を無視することを選択した場合、近傍の検索後に分析フィールドに NULL 値を含む近傍は除外されます。 このため、近傍数が予測よりも少なくなる可能性があり、複数の分析フィールドを指定した場合、一部の分析フィールドで他の分析フィールドとは異なる数の近傍が使用されることがあります。 これは、[近傍タイプ] パラメーターに [近傍数] オプションを指定した場合に特に顕著です。

  • 解析フィールドのローカル平均値は、フィールドの空間ラグとも呼ばれます。

パラメーター

ラベル説明データ タイプ
入力フィーチャ

ローカル統計の計算に使用するポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャ。

Feature Layer
出力フィーチャ

ローカル統計をフィールドとして含む出力ポイント フィーチャクラス。 各分析フィールドの統計は、個別のフィールドとして保存されます。

Feature Class
分析フィールド
(オプション)

ローカル統計の計算に使用される 1 つ以上のフィールド。 分析フィールドが指定されていない場合、近傍までの距離に基づくローカル統計のみが計算されます。

Field
ローカル統計サマリー
(オプション)

各分析フィールドに対して計算するローカル統計サマリーを指定します。

  • すべてすべてのローカル統計が計算されます。 これがデフォルトです。
  • 平均ローカル平均値が計算されます。
  • 中央値ローカル中央値が計算されます。
  • 標準偏差ローカル標準偏差が計算されます。
  • 四分位範囲ローカル四分位範囲が計算されます。
  • 歪度ローカル歪度が計算されます。
  • 四位分位不均衡ローカル四位分位不均衡が計算されます。
String
計算にフォーカル フィーチャを含める
(オプション)

各フィーチャのローカル統計を計算する際に、フォーカル フィーチャを含めるかどうかを指定します。

  • オン - ローカル統計を計算する際に、フォーカル フィーチャとそのすべての近傍を含めます。 これがデフォルトです。
  • オフ - ローカル統計を計算する際に、フォーカル フィーチャを含めません。 フォーカル フィーチャの近傍のみが含まれます。

Boolean
計算で NULL 値を無視
(オプション)

分析フィールドの NULL 値を計算に含めるか無視するかを指定します。

  • オン - 分析フィールドの NULL 値は無視され、NULL 値でない値のみを使用して統計が計算されます。 これがデフォルトです。
  • オフ - 分析フィールドの NULL 値が計算に含まれ、計算に使用した値のいずれかが NULL の場合、ローカル統計は NULL として計算されます。

Boolean
近傍タイプ
(オプション)

近傍として含めるフィーチャを指定します。 ローカル統計を計算するには、各入力フィーチャに対して近傍フィーチャを特定する必要があり、これらの近傍フィーチャは各フィーチャのローカル統計の計算に使用されます。

[ドロネー三角形分割] オプションは Desktop Advanced ライセンスでのみ利用可能です。

  • 距離バンド指定された各フィーチャの臨界距離内にあるフィーチャが近傍として含められます。
  • 近傍数最も近いフィーチャが近傍として含められます。
  • 隣接エッジのみエッジを共有するポリゴン フィーチャが近傍として含められます。
  • 隣接エッジ コーナーエッジまたはコーナーを共有するポリゴン フィーチャが近傍として含められます。 ポリゴン フィーチャに対するデフォルトの設定です。
  • ドロネー三角形分割ドロネ―三角形分割でエッジを共有するフィーチャが近傍として含められます。 これは、ポイント フィーチャに対するデフォルトの設定です。
  • 空間加重をファイルから取得近傍および加重は、指定した空間加重ファイルによって定義されます。
String
距離バンド
(オプション)

この距離内のすべてのフィーチャが近傍として含められます。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。 指定した距離に 1,000 以上の近傍が含まれる場合、最も近い 1,000 個のフィーチャのみが近傍として含められます。

Linear Unit
近傍数
(オプション)

各ローカル計算に対して含める近傍数。 この数にフォーカル フィーチャは含まれません。 フォーカル フィーチャが計算に含まれている場合、もう 1 つの近傍が使用されます。 デフォルトは 8 です。

Long
加重マトリックス ファイル
(オプション)

フィーチャ間の空間リレーションシップと潜在的に時系列のリレーションシップを定義する空間加重マトリックス ファイルのパスとファイル名。

File
ローカル加重方式
(オプション)

ローカル統計を計算する際に近傍に適用される加重方式を指定します。

  • 加重なし近傍は加重されません。 これがデフォルトです。
  • バイスクエア近傍は、Bisquare カーネル方式を使用して加重されます。
  • ガウス近傍は、Gaussian カーネル方式を使用して加重されます。
String
カーネル バンド幅
(オプション)

Bisquare または Gaussian ローカル加重方式のバンド幅。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。

Linear Unit

arcpy.stats.NeighborhoodSummaryStatistics(in_features, output_features, {analysis_fields}, {local_summary_statistic}, {include_focal_feature}, {ignore_nulls}, {neighborhood_type}, {distance_band}, {number_of_neighbors}, {weights_matrix_file}, {local_weighting_scheme}, {kernel_bandwidth})
名前説明データ タイプ
in_features

ローカル統計の計算に使用するポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャ。

Feature Layer
output_features

ローカル統計をフィールドとして含む出力ポイント フィーチャクラス。 各分析フィールドの統計は、個別のフィールドとして保存されます。

Feature Class
analysis_fields
[analysis_fields,...]
(オプション)

ローカル統計の計算に使用される 1 つ以上のフィールド。 分析フィールドが指定されていない場合、近傍までの距離に基づくローカル統計のみが計算されます。

Field
local_summary_statistic
(オプション)

各分析フィールドに対して計算するローカル統計サマリーを指定します。

  • ALLすべてのローカル統計が計算されます。 これがデフォルトです。
  • MEANローカル平均値が計算されます。
  • MEDIANローカル中央値が計算されます。
  • STD_DEVローカル標準偏差が計算されます。
  • IQRローカル四分位範囲が計算されます。
  • SKEWNESSローカル歪度が計算されます。
  • QUANTILE_IMBALANCEローカル四位分位不均衡が計算されます。
String
include_focal_feature
(オプション)

各フィーチャのローカル統計を計算する際に、フォーカル フィーチャを含めるかどうかを指定します。

  • INCLUDE_FOCALローカル統計を計算する際に、フォーカル フィーチャとそのすべての近傍が含まれます。 これがデフォルトです。
  • EXCLUDE_FOCALローカル統計を計算する際に、フォーカル フィーチャを含めません。 フォーカル フィーチャの近傍のみが含まれます。
Boolean
ignore_nulls
(オプション)

分析フィールドの NULL 値を計算に含めるか無視するかを指定します。

  • IGNORE_NULLSローカル計算で NULL 値を無視します。
  • INCLUDE_NULLSローカル計算に NULL 値を含めます。
Boolean
neighborhood_type
(オプション)

近傍として含めるフィーチャを指定します。 ローカル統計を計算するには、各入力フィーチャに対して近傍フィーチャを特定する必要があり、これらの近傍フィーチャは各フィーチャのローカル統計の計算に使用されます。

[ドロネー三角形分割] オプションは Desktop Advanced ライセンスでのみ利用可能です。

  • DISTANCE_BAND指定された各フィーチャの臨界距離内にあるフィーチャが近傍として含められます。
  • NUMBER_OF_NEIGHBORS最も近いフィーチャが近傍として含められます。
  • CONTIGUITY_EDGES_ONLYエッジを共有するポリゴン フィーチャが近傍として含められます。
  • CONTIGUITY_EDGES_CORNERSエッジまたはコーナーを共有するポリゴン フィーチャが近傍として含められます。 ポリゴン フィーチャに対するデフォルトの設定です。
  • DELAUNAY_TRIANGULATIONドロネ―三角形分割でエッジを共有するフィーチャが近傍として含められます。 これは、ポイント フィーチャに対するデフォルトの設定です。
  • GET_SPATIAL_WEIGHTS_FROM_FILE近傍および加重は、指定した空間加重ファイルによって定義されます。
String
distance_band
(オプション)

この距離内のすべてのフィーチャが近傍として含められます。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。 指定した距離に 1,000 以上の近傍が含まれる場合、最も近い 1,000 個のフィーチャのみが近傍として含められます。

Linear Unit
number_of_neighbors
(オプション)

各ローカル計算に対して含める近傍数。 この数にフォーカル フィーチャは含まれません。 フォーカル フィーチャが計算に含まれている場合、もう 1 つの近傍が使用されます。 デフォルトは 8 です。

Long
weights_matrix_file
(オプション)

フィーチャ間の空間リレーションシップと潜在的に時系列のリレーションシップを定義する空間加重マトリックス ファイルのパスとファイル名。

File
local_weighting_scheme
(オプション)

ローカル統計を計算する際に近傍に適用される加重方式を指定します。

  • UNWEIGHTED近傍は加重されません。 これがデフォルトです。
  • BISQUARE近傍は、Bisquare カーネル方式を使用して加重されます。
  • GAUSSIAN近傍は、Gaussian カーネル方式を使用して加重されます。
String
kernel_bandwidth
(オプション)

Bisquare または Gaussian ローカル加重方式のバンド幅。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。

Linear Unit

コードのサンプル

NeighborhoodSummaryStatistics の例 1 (Python ウィンドウ)

次の Python ウィンドウ スクリプトは、NeighborhoodSummaryStatistics 関数の使用方法を示しています。

import arcpy
arcpy.env.workspace = r"c:\data\project_data.gdb"
arcpy.stats.NeighborhoodSummaryStatistics("USCounties", 
      "USCounties_NeighborhoodSummaryStatistics", "POP2018;POP2019", 
      "ALL", "INCLUDE_FOCAL", "IGNORE_NULLS", "NUMBER_OF_NEIGHBORS", None, 
      8, None, "UNWEIGHTED")
NeighborhoodSummaryStatistics の例 2 (スタンドアロン スクリプト)

次のスタンドアロン スクリプトで、NeighborhoodSummaryStatistics 関数を使用する方法を示します。


# Calculate a focal mean for the population and income of US cities.  

import arcpy 

# Set the current workspace
arcpy.env.workspace = r"c:\data\project_data.gdb" 

# Calculate the local mean of POP2020 and MedIncome2020 fields
# using 8 nearest neighbors.

arcpy.stats.NeighborhoodSummaryStatistics("USCities", "USCities_Mean", 
      "POP2020;MedIncome2020", "MEAN", "EXCLUDE_FOCAL", "IGNORE_NULLS", 
      "NUMBER_OF_NEIGHBORS", None, 8, None, "GAUSSIAN", "50 Miles")

ライセンス情報

  • Basic: 制限付き
  • Standard: 制限付き
  • Advanced: Yes

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