洪水シミュレーション解析の実行

シミュレーションの構成が終了したら、シミュレーションを実行します。 シミュレーションを実行すると、現在表示されているレイヤーまたは一連のカスタム レイヤーを使用して、解析用の標高サーフェスが作成されます。 水の移動と集積が算出され、段階的にビューに表示されます。 シミュレーションが実行されると、重要な時点のキャッシュが構築されます。 この後、再生コントロールを使用して、結果を再生したり、段階的に表示したりすることができます。 再生の [レート] を変更して、1 秒あたりのフレーム数 (fps) の値を小さくすると処理速度が上がり、レートを上げるとビューでの表示が滑らかになります。

シミュレーションの実行

シミュレーション レイヤーを「シーンに追加して構成」すると、洪水シミュレーションを実行できます。 このためには、[シミュレーション] タブの [構築] グループにある [実行] ボタン シミュレーションの実行 をクリックします。 シミュレーションの再生が開始されます。

シミュレーションが実行されると、現在表示されている時間が [シミュレーション] タブの [再生] グループにある [現在] 時間ボックスに反映されます。 各計算が生成されると、その結果が表示され、それに合わせて現在の時間の値が更新され、再生キャッシュが構築されます。 キャッシュされた各時点間の時間差は、読み取り専用の [ステップ] 時間ボックスに表示されます。

シミュレーション内の特定の時点に移動するには、[現在] 時間ボックスに新しい時間の値を入力して Enter キーを押します。 シミュレーションでは、直前のキャッシュされた時点が読み込まれ、その時点から順方向に再生されます。

セル サイズの使用

シミュレーションのセル サイズは対象エリアのサイズによって決まります。 対象エリアの範囲が広くなると、解析に使用されるセル サイズも大きくなります。 たとえば、処理解像度が 4,096 の 2 キロメートル x 2 キロメートルの範囲では 0.49 メートルのセル サイズが使用され、8 キロメートル x 8 キロメートルの範囲では 1.95 メートルのセル サイズが使用されます。 値が小さいほど、地表の使用状況がより詳細に表示されます。

シミュレーション レイヤーのセルの最大サイズは 3.5 メートルです。 このため、エリアの範囲の長さは、最大処理解像度の 3.5 倍を超えることはできません。 たとえば、最大処理解像度が 4096 のシミュレーション レイヤーでは、最大物理サイズは 4096 x 3.5 m (14.3 km) になります。 この長さを超えるエリアを作成しようとすると、警告が表示され、そのエリアが最大値に合わせてクリップされます。

セル サイズを手動で調整するには、[シミュレーション] タブの [解像度] グループにある [最大フィット] ボタン をオフにします。 デフォルトでは、このオプションがオンになっているため、セル サイズが自動的に算出されます。 ドロップダウン ギャラリーをクリックして、新しい最大解像度を選択します。これにより、最大セル サイズが更新されます。 次の 3 つの解像度を使用できます。

  • 2048
  • 4096
  • 8192

時間分解能の使用

生成時にシミュレーションで使用される時間分解能を選択できます。 これにより、シミュレーション 1 秒あたりの計算回数が制御されます。 [シミュレーション] タブの [解像度] グループにある [時間] ドロップダウン ギャラリーをクリックして、時間分解能を変更します。 使用できるオプションは次のとおりです。

  • [低] - シミュレーション 1 秒あたりの計算回数が少なくなり、処理速度が最速になります。 平坦な地形と浅い水深に適しています。
  • [中程度] - 解析速度とより速い水流のモデリングのバランスをとるため、シミュレーション 1 秒あたりの計算回数は中程度になります。 通常は、計算回数が [低] の約 4 倍になります。 混在した地形や異なる水深に適しています。
  • [高] - シミュレーション 1 秒あたりの計算回数が多くなり、高速な水流がモデリングされます。 通常は、計算回数が [低] の約 20 倍になります。 険しい地形や深い水深に適しています。

テレインの詳細レベルのスケーリングの使用

洪水シミュレーション シナリオが実行されると、最初の処理ステップでシーン内のコンテンツから標高値が収集されます。 地表面の標高サーフェスでは、この処理時に使用するテレインの詳細レベルを選択できます。

最も正確な結果を得るには、[シミュレーション] タブの [解像度] グループにある [標高の精度] スライダーを [正確] 設定に移動します。 シナリオやシーンによっては、実行に時間がかかる場合があります。 処理時間を最短にするには、スライダーを [高速] 設定に移動します。 このスライダーには 4 つの設定があります。 シミュレーションが始まると、テレインでどの詳細レベルが使用されているのかを示すビューが再描画されます。

ヒント:

  • 初期調査では高速設定を使用し、より詳細な解析が必要な場合は、より正確な設定でシナリオを実行します。
  • 各詳細レベルのスケーリング ステップを切り替えると、水が流れて集積する様子に若干の違いが生じます。

シミュレーションの再生

期間全体が生成されて一度再生されたら、再生コントロールを使用して、キャッシュされた結果を段階的に表示することができます。 これらのコントロールを次に示します。

  • [開始へ移動] 先頭に移動 - シミュレーションをその開始状態に設定します。
  • [前に戻る] 前のステップに戻る - シミュレーションを 1 つ前のステップに戻します。
  • [再生] 再生 - キャッシュ シミュレーションのアニメーション表示を開始します。
    注意:

    変更が加えられた場合、赤色の感嘆符 [再生] ボタン の横に表示され、キャッシュ シミュレーションに最近の変更内容が含まれていないことを示します。 このアイコンの組み合わせが表示されても、キャッシュ シミュレーションを再生できます。 [シミュレーション] タブの [構築] グループにある [実行] ボタン シミュレーションの実行 をクリックして、シミュレーションを再実行し、変更内容を取得します。

  • [次に進む] 次のステップへ進む - シミュレーションを 1 つ後のステップに進めます。
  • [終了へ移動] 末尾に移動 - シミュレーションを前回のキャッシュ状態に設定します。
  • [雨] 雨を表示 - シミュレーションの再生中に降雨効果を 3D で視覚的に表示します。 このコントロールは、グローバル シーン ビューでしか使用できません。
  • [再生フレーム レート] - 進行中のシミュレーション計算をビューに表示するときに使用される 1 秒あたりの最大フレーム数 (fps)。 フレーム レートを上げると見た目は滑らかになりますが、計算の完了に要する合計時間が長くなる可能性があります。 処理時間を最小限に抑えるには、フレーム レートを低く設定します。 使用可能なレートは以下のとおりです。
    • 1 fps
    • [10 fps] - これがデフォルトです。
    • 60 fps
    • 144 fps
注意:

再生コントロールはシミュレーションの再生中に使用できますが、クリックした後も時間はそのまま進みます。 ステップまたは移動コントロールを使用する場合は、まず再生を一時停止しておくことをおすすめします。

シミュレーションの実行

シミュレーションを実行した後で構成に変更を加えた場合は、新しい結果を表示するために、シミュレーションを再実行し、キャッシュを再構築する必要があります。

注意:

シンボルに変更を加えた場合、シナリオを再実行する必要はありません。

赤色の感嘆符 [再生] ボタン の横に表示され、キャッシュ シミュレーションに最近の変更内容が含まれていないことを示します。 このアイコンの組み合わせが表示されても、キャッシュ シミュレーションを再生できます。 [シミュレーション] タブの [構築] グループで [実行] ボタン シミュレーションの実行 をクリックします。 既存のキャッシュが削除され、更新内容を取り込んで新しいシミュレーション キャッシュが生成されます。

シミュレーション キャッシュの削除

プロジェクトを閉じた場合でも、シミュレーション キャッシュは保持されます。 キャッシュを保存しない場合は、[シミュレーション] タブの [構築] グループにある [削除] ボタン 選択解除 をクリックします。 また、各レイヤーのキャッシュを個別に管理する方法をシミュレーションの [レイヤー プロパティ] ダイアログ ボックスの [キャッシュ] タブで構成することもできます。 プロジェクトの [オプション] ダイアログ ボックスの [表示] タブにある [キャッシュを今すぐ削除] ボタンをクリックすることで、すべてのシミュレーション レイヤー キャッシュを含む、すべての表示キャッシュを削除することもできます。

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