自動品質管理の実装

ArcGIS Pro Standard ライセンスと Data Reviewer ライセンスで利用できます。

チュートリアルのサマリー

このチュートリアルでは、ArcGIS Data Reviewer を使用してプロジェクト内のデータを検証および特定して、組織が定義したデータ品質要件を満たしていることと、その要件を実装するワークフローを確認します。 これを行うには、ファイルまたは ArcGIS Enterprise ジオデータベースに格納されているフィーチャの品質を評価するために、Data Reviewer のチェックを使用して自動品質管理を実装します。

注意:

Enterprise ジオデータベースまたはフィーチャ サービスへのアクセス権があり、Enterprise の基本操作に慣れている場合は、Enterprise 向け Data Reviewer クイック スタート チュートリアルをご確認ください。

予定時間

20 分

ソフトウェア要件

ArcGIS Pro

注意:

ソフトウェア リリースごとにクイックスタート チュートリアルが更新されます。 最適なユーザー エクスペリエンスを得るには、お使いのソフトウェアと同じバージョンのオンライン ヘルプを使用します

データ要件

このチュートリアルのデータは、[Data Reviewer for ArcGIS Pro Tutorial] ページから取得できます。 このパッケージには、ArcGIS Pro プロジェクト パッケージと地方自治体サンプル データのサブセットが含まれています。

  1. Data Reviewer for ArcGIS Pro Tutorial」ページに移動します。
  2. [ダウンロード] をクリックします。
  3. ファイルをコンピューター上の便利な場所 (C:\Data_Reviewer_for_ArcGIS_Pro_Tutorial など) に抽出します。

概要

プロジェクトを開く

この演習では、ArcGIS Pro を使用してプロジェクト パッケージを開き、そのコンテンツを確認します。

  1. ArcGIS Pro を起動して、必要に応じてサイン インします。
    注意:

    [Data Reviewer for ArcGIS Pro Tutorial] データをダウンロードしていない場合は、上記のデータ要件をご確認ください。

  2. 開始ページにある最近使用したプロジェクトの横で、[別のプロジェクトを開く] をクリックします。
    注意:

    プロジェクトを開いている場合は、[クイック アクセス ツールバー][プロジェクトを開く] プロジェクトを開く をクリックして、手順 4 に進みます。

  3. [プロジェクトを開く] ページで、[コンピューター] をクリックします。
  4. チュートリアル データをダウンロードおよび抽出したフォルダーで、プロジェクト ファイル (<extracted file location>\DataReviewer_AttributeRules\Implement_automated_QC) を参照します。
  5. AutomatedQC.ppkx ファイルをクリックします。
  6. [OK] をクリックします。

プロジェクトが開き、イリノイ州ネイパービルにズームした都市データを含む地形図ベースマップが表示されます。

Data Reviewer チェックの検索

この演習では、マップ データ上でデータ チェックの実行を作成し、ジオデータベース内で一連の検証属性ルールを作成します。

チェックを構成する前に、Data Reviewer チェックのポスターを確認して、業界のシナリオに最も合うチェックを見つけてください。

  1. ArcGISData Reviewer チェック ポスターを開くをクリックします。
  2. [空間リレーションシップ チェック] チェック グループのチェックを読み、業界の最初の要件、「道路フィーチャに重複が含まれていてはいけない」に最も合うチェックを見つけます。
  3. [フィーチャの完全性チェック] チェック グループのチェックを読み、業界の 2 番目の要件、「道路の頂点同士が 1 フィート以上離れている必要がある」に最も合うチェックを見つけます。
  4. [属性チェック] チェック グループのチェックを読み、業界の 3 番目の要件、「道路中心線 Full Road Name 属性値はマスター ストリート インデックスと一致している必要がある」に最も合うチェックを見つけます。
  5. 業界のシナリオのそれぞれでチェックを選択したら、以下の表を確認して、正しい Data Reviewer を選択していることを確認します。

次の表に、住所検索のワークフローをサポートするデータ品質要件のサブセットを示します。 これらのルールを、データ チェックの実行および検証属性ルールとして実装して、住所に関連するすべてのフィーチャがこれらの要件に準拠していることを保証します。

ID要件確認属しているフィーチャクラス/テーブル

1

道路フィーチャに重複が含まれていてはいけない。

重複フィーチャ

道路中心線

2

道路の頂点同士が 1 フィート以上離れている必要がある。

重複頂点

道路中心線

3

道路中心線 Full Road Name 属性値はマスター ストリート インデックスと一致している必要がある。

テーブル間属性

Road Centerline、Master Road Name

要件 ID 1 のデータ チェックの実行ツールを使用した実装

検証属性ルールを構成する前に、データ チェックの実行ツールを使用して近郊住所データの簡単な確認を実施し、正確度を確認します。

データ チェックの実行ツールで、最小限のセットアップでフィーチャの品質をすばやく評価し、データ品質の初期評価を提供します。 異なるチェック構成を試してすばやく調整を行い、ArcGIS Pro セッション中にツールを複数回実行してエラーのタイプを特定します。 データ チェックの実行の構成を確定したら、これを .csv ファイルにエクスポートして検証属性ルールとして使用できます。

1 番目のデータ要件である「道路フィーチャに重複が含まれていてはいけない」を設定し、重複フィーチャ チェックを使用してデータのエラーに対するベースラインを確立するには、次の手順を実行してデータチェックの実行を設定します:

  1. [編集] タブをクリックします。
  2. [Data Reviewer] グループで、[品質の管理] 品質の管理 をクリックします。
  3. [自動レビュー] グループで [データ チェックの実行] レビューアー ルールの実行 ドロップダウン メニューをクリックし、[重複フィーチャ] 重複フィーチャ データ チェックの実行を選択します。
    重複フィーチャ チェックがハイライト表示されたデータ チェックの実行ギャラリー

    データ チェックの実行 [重複フィーチャ] ウィンドウが表示されます。

  4. [入力フィーチャ] ドロップダウン メニューで、[各地方の道路] を選択します。
  5. [パラメーターのチェック] セクションの [比較するフィーチャ] ドロップダウン メニューで [各地方の道路] を選択して重複する道路フィーチャを検索します。
    [各地方の道路] が選択された重複フィーチャのデータ チェック実行パラメーター
  6. [名前] テキスト ボックスに、道路フィーチャに重複が含まれていてはいけない と入力します。
  7. [表示範囲] が選択されていることを確認して [実行] をクリックします。

    2 つのエラーが見つかり、マップにライン エラーとして、[コンテンツ] ウィンドウにレイヤーとして表示されます。

    赤色のラインのエラーがあるネイパービルの近郊データ

ルールのエクスポート

マップ内の重複フィーチャ エラーのベースラインを把握できたので、作成したデータ チェック実行ルールを検証属性ルールとしてエクスポートします。 検証属性ルールとしてチェックを実行すると、エラー ステータスを追跡し、ルールを保存して将来使用することができます。

  1. [自動レビュー] グループで、[履歴] 履歴 ドロップダウン メニューをクリックし、結果を右クリックして [属性ルールにエクスポート] をクリックます。
    属性ルールにエクスポートするオプションのある [データ チェックの実行履歴]ドロップダウンメニュー

    [出力 .csv の場所の選択] ダイアログ ボックスが表示されます。

  2. チュートリアル プロジェクト フォルダーを参照してルール構成を保存します: <extracted file location>\DataReviewer_AttributeRules\Implement_automated_QC.
  3. [OK] をクリックします。

    エクスポートされたチェックと .csv ファイルの数を示す通知が表示されます。

    データ チェックの実行を検証属性ルールに変換する前に、Global ID と編集情報の記録が有効になっていることを確認する必要があります。

  4. まだの場合は、[カタログ] カタログ ツリーの表示 タブをクリックします。
  5. [カタログ] ウィンドウで、[データベース] データベース ドロップダウンをクリックして datareviewertutorial.gdb デフォルト ジオデータベース ドロップダウンをクリックし、RoadCenterline フィーチャクラスを右クリックして [プロパティ] をクリックします。
    プロパティ オプションがハイライト表示された道路中心線のフィーチャクラス

    [フィーチャクラス プロパティ: RoadCenterline] ダイアログ ボックスが表示されます。

  6. [管理] をクリックします。
  7. [Global ID] および [編集情報の記録] が有効になっていることを確認します。
    注意:

    このチュートリアルでは、Global ID がデータセットに追加され、編集情報の記録が有効化されていますが、独自のデータでルールを構成する場合は、ご自身でこれら 2 つの操作を行う必要があります。

  8. 確認したら、[OK] をクリックします。
  9. 前述の手順を繰り返して、[Global ID][編集情報の記録] が MasterRoadName フィーチャクラスに対して有効になっていることを確認します。

    Global ID と編集情報の記録が有効になっていることを確認したら、重複フィーチャのデータ チェック実行を検証属性ルールに変換します。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、各地方の道路フィーチャ レイヤーを右クリックして [データ設計] を指定し、[属性ルール] をクリックします。

    選択したフィーチャ レイヤーの属性ルール ビューが表示されます。

  11. [インポート/エクスポート] グループで [ルールのインポート] ルールのインポート をクリックします。

    [ルールのインポート] ダイアログ ボックスが表示されます。

  12. .csv ファイルを保存した場所を参照して RoadCenterlines.csv を選択します。
    注意:

    .csv ファイルが期待どおりに表示されない場合は、[更新] 更新 をクリックします。

  13. [OK] をクリックします。
  14. [検証] タブをクリックします。
    [検証] タブで緑色で表示されている重複フィーチャ チェック

    ルールが [検証] タブの下に表示されます。

  15. [道路フィーチャに重複が含まれていてはいけない] チェック ウィンドウで、[詳細] セクションまで下にスクロールし、検証に失敗したフィーチャの結果を格納するプロパティを構成します:
    1. This is a duplicate feature. Delete one of the features. (これは重複フィーチャです。いずれかのフィーチャを削除してください。)」と [説明] テキスト ボックスに入力します。
    2. [重要度 (1 - 高、5 - 低)] ドロップダウン矢印をクリックして [2] を選択し、他のタイプと比較したこのタイプの結果の相対的重要性を設定します。
    3. [タグ] テキスト ボックスに「LGIM 2016、主題正確度、属性」と入力して Enter を押します。
      ヒント:

      タグを使用して、要件のトレーサビリティを有効にすることができます。 ルールが関連付けられるデータ モデルおよびバージョンを含めること、または主題正確度などの ISO-19157 データ品質要素を含めることについてご検討ください。

      重複フィーチャ チェックの詳細
  16. [属性ルール] タブの [編集の管理] グループで、[保存] 更新 をクリックして、新しいルールを保存します。
  17. [属性ルール: 道路の中心線] タブを終了します。

要件 ID 2 の実装

これで、検証属性ルールとしてデータ チェックの実行を構成してインポートしました。より多くの検証ルールを構成することで、その他の業界要件に対するエラーを発見することができます。 これらのルールでは、指定したデータ品質条件を満たしていないフィーチャがデータベース内で特定されます。 検証属性ルールは、複数のチェックを同時に実行できます。 見つかったエラーは、エラー ライフサイクル管理プロセスを通じて保存、追跡、更新されます。これについては 3 番目のチュートリアル「属性ルールを使ったフィーチャの評価」で説明します。

道路の頂点同士が 1 フィート以上離れている必要があるという 2 番目の要件は、頂点間の間隔が 1 フィート未満の頂点が含まれている道路中心線フィーチャを検出するための頂点の重複チェックを使用して実装します。

次の手順を実行して要件 ID 2 を実装します:

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Roads] グループのレイヤー (Local Streets など) を右クリックして [データ設計] > [属性ルール] の順にクリックします。

    道路中心線フィーチャクラスの属性ルール ビューが表示されます。

  2. [属性ルール] タブの [ルールの追加] グループで、[レビューアー ルール] レビューアー ルール ドロップダウン ギャラリーをクリックして、ArcGIS Data Reviewer の自動チェックを表示します。
    注意:

    [レビューアー ルール] ギャラリーのコンテンツはスマート ギャラリーで、選択したデータ ソースによって異なります。

  3. [レビューアー ルール] ギャラリーの [検証] セクションで、[頂点の重複] 頂点の重複 をクリックして、新しいルールを追加します。
    すぐに使用できるルール ギャラリーの頂点の重複チェック

    新しいルールが、赤い行ヘッダー付きで属性ルール ビューに表示されます。この赤い行ヘッダーは、必須パラメーターがルール構成から欠落していることを示しています。

  4. [パラメーターのチェック] セクションで、[許容値 (必須)] テキスト ボックスに「1」と入力して、単位に [US フィート] を選択します。
  5. [詳細] セクションで、検証に失敗したフィーチャの結果を格納するプロパティを構成します。
    1. [名前] テキスト ボックスに「Road vertices must not exist within one foot from each other (道路の頂点同士が 1 フィート以上離れている必要がある)」と入力します。
    2. Road vertices exist within one foot from each other. Update the vertices to be more than one foot apart. (道路の頂点同士が 1 フィート以上離れていません。1 フィート以上距離が空くように頂点を更新してください。)」と [説明] テキスト ボックス入力します。
    3. [重要度 (1 - 高、5 - 低)] ドロップダウン矢印をクリックして [3] を選択し、他のタイプと比較したこのタイプの結果の相対的重要性を設定します。
    4. [タグ] テキスト ボックスに「LGIM 2016、主題正確度、属性」と入力して Enter を押します。
      ヒント:

      タグを使用して、要件のトレーサビリティを有効にすることができます。 ルールが関連付けられるデータ モデルおよびバージョンを含めること、または主題正確度などの ISO-19157 データ品質要素を含めることについてご検討ください。

要件 ID 3 の実装

道路中心線 Full Road Name 属性値はマスター ストリート インデックスと一致している必要があるという 3 番目の要件は、自治体の正式な道路名リストに記載されていない道路名の値を含む一般道路を検出するためのテーブル間属性チェックを使用して実装します。

次の手順を実行して要件 ID 3 を実装します:

  1. [属性ルール] タブの [ルールの追加] グループで、[レビューアー ルール] レビューアー ルール ドロップダウン ギャラリーをクリックして、ArcGIS Data Reviewer の自動チェックを表示します。
    注意:

    [レビューアー ルール] ギャラリーのコンテンツはスマート ギャラリーで、選択したデータ ソースによって異なります。

  2. [レビューアー ルール] ギャラリーの [検証] セクションで、[テーブル間属性] テーブル間属性 をクリックして、新しいルールを追加します。
    すぐに使用できるルール ギャラリーのテーブル間属性チェック

    新しいルールが、赤い行ヘッダー付きで属性ルール ビューに表示されます。この赤い行ヘッダーは、必須パラメーターがルール構成から欠落していることを示しています。

  3. Road Centerlines フィーチャクラス上にフィルターを構成して、検証が一般道路の結果のみを返すようにします。
    1. [入力フィルター] セクションの [属性][新しい属性フィルター] をクリックします。
    2. 次の句を作成します: Road Class is equal to Local-Local
    3. [SQL 式の確認] SQL 式の確認ボタン (チェック マーク) をクリックして SQL 式を確認します。
    4. [適用] をクリックします。
  4. [パラメーターのチェック] セクションで、Master Road Name フィーチャクラスと完全道路名の間にリレーションシップを作成します。
    1. [比較するフィーチャ/行] ドロップダウン矢印をクリックし、[MasterRoadName] をクリックします。
    2. [新しい属性リレーションシップ] をクリックし、次の SQL クエリーを作成します: Full Road Name is equal to Full Road Name
    3. [SQL 式の確認] SQL 式の確認ボタン (チェック マーク) をクリックして SQL 式を確認します。
    4. [適用] をクリックします。
  5. [リレーションシップの反転] チェックボックスをオンにし、マスター道路名が完全道路名と一致しないシナリオを検索します。
  6. [詳細] セクションで、検証に失敗したフィーチャの結果を格納するプロパティを構成します。
    1. [名前] テキスト ボックスに「Road name missing from master street list (道路名がマスター ストリート リストにない)」と入力します。
    2. This check fails if the full road name is not found in the master street index. Provide a valid road name. (マスター ストリート リストに完全道路名が見つからない場合、このチェックは失敗します。有効な道路名を指定してください。)」と [説明] テキスト ボックスに入力します。
    3. [重要度 (1 - 高、5 - 低)] ドロップダウン矢印をクリックして [1] を選択し、他のタイプと比較したこのタイプの結果の相対的重要性を設定します。
    4. [タグ] テキスト ボックスに「LGIM 2016、主題正確度、属性」と入力して Enter を押します。
      ヒント:

      タグを使用して、要件のトレーサビリティを有効にすることができます。 ルールが関連付けられるデータ モデルおよびバージョンを含めること、または主題正確度などの ISO-19157 データ品質要素を含めることについてご検討ください。

  7. [属性ルール] タブの [編集の管理] グループで、[保存] 更新 をクリックして、新しいルールを保存します。
  8. 属性ルール ビューを閉じてルール設計を終了します。

この演習では、既存の ArcGIS Pro プロジェクトを開き、データ チェックの実行を作成して検証属性ルールにインポートし、複数の検証属性ルールを構成して、ジオデータベースに品質管理を実装しました。 これらのルールは、フィーチャ内の空間リレーションシップおよびフィーチャ整合性のエラーを特定するArcGIS Data Reviewer のチェックに基づいています。 これらのルールを属性ルールを使ったフィーチャの評価演習で使用して、データが確実に品質要件を満たすようにします。