PDF にエクスポート

PDF は、異なるプラットフォーム間で一貫性のある表示と印刷が行えるように設計されています。 PDF ファイルは主に Web 上でのドキュメントの配布に使用され、その形式はドキュメント交換の正式な ISO 標準になっています。 PDF は、多くのグラフィックス アプリケーションで編集可能であり、 マップのジオリファレンス情報、アノテーション、ラベリング、フィーチャ属性データをファイル内に維持できます。 また、ドキュメント全体または個々のレイヤーをラスター化して、ドキュメントを簡素化し、ファイルのサイズを縮小することもできます。

PDF ドキュメントをエクスポートするには、次の手順に従います。

マップ、レイアウト、またはレポート ビューがアクティブであることを確認します。 [共有] タブで、アクティブ ビューに応じて [マップのエクスポート] マップのエクスポート[レイアウトのエクスポート] レイアウトのエクスポート、または [レポートのエクスポート] レポートのエクスポート をクリックし、[エクスポート] ウィンドウを開きます。

[ファイル タイプ][PDF] に設定します。 ファイルの名前と場所、その他のプロパティを設定し、[エクスポート] をクリックします。

注意:

一部のオプションは、マップまたはレイアウトにエクスポートする場合のみ使用できます。 マップをエクスポートする際は、マップ エクスポートのサイズを設定できます。 レイアウトをエクスポートする際は、グラフィックス範囲でクリップできます。

注意:
次のいずれかのブレンド モードを使用するレイヤーを PDF 形式にエクスポートすると、ブレンドの外観を維持するためにラスター化 (および下のすべてのレイヤーとともに平坦化) されます。
  • 覆い焼き (リニア)
  • 焼き込み (リニア)
  • リニア ライト
  • ピン ライト
  • ビビッド ライト

PDF 形式にエクスポートする場合は、数多くのプロパティを利用できます。 これらのプロパティは、ウィンドウの [プロパティ] タブと [セキュリティ] タブにリストされています。 レイアウトをエクスポートする場合は、追加のタブ [アクセシビリティ] で、スクリーン リーダーによる読み上げが可能なタグ付き PDF ドキュメントを作成するためのオプションが提供されます。 マップ シリーズをエクスポートする際は、マップ シリーズに固有のプロパティを含む追加の [マップ シリーズ] タブも使用できます。 マップ シリーズのエクスポートに関する詳細については、マップ シリーズのエクスポートをご参照ください。

プロパティ

[プロパティ] タブには一般的なプロパティと PDF エクスポートの設定が含まれます。 次のプロパティが利用できます。

プロパティ説明
レイアウトの背景の削除

レイアウトをエクスポートする際にページの白色の背景を削除します。 エクスポートされた .pdf ファイルを開くときに使用したアプリケーションによっては、ファイルを編集しなければ、背景が削除されても見た目が変わらない場合があります。

選択シンボルを表示

出力ファイルで選択したフィーチャをマップまたはマップ フレームに表示します。 このオプションをオフにしても、ビュー内の選択には影響せず、出力ファイル内の選択のみに影響します。

画像として出力

すべてのコンテンツを画像としてエクスポートします。 高密度の頂点を持つベクター レイヤーを含むマップまたはレイアウトの場合、出力ファイルのサイズを大幅に縮小できます。 [画像として出力] がオンになっている場合、[レイヤーと属性] など、ベクター データに固有のオプションは使用できません。

注意:

または、レイヤーをラスター化するオプションを使用して、出力全体ではなく特定のレイヤーをラスター化します。

画像圧縮

出力 ファイル内の画像またはラスター データを圧縮するために使用される圧縮スキーム。 次から選択します。

  • [なし] - 圧縮は適用されません。
  • [アダプティブ] - ストリームのコンテンツに応じて、JPEG 圧縮とデフレート圧縮を組み合わせます。 ほとんどの場合に効果的です。
  • [デフレート] - ほとんどの場合に効果的な可逆圧縮方法。
  • [JPEG] - 写真のような画像で効果的な非可逆圧縮方法。
  • [JPEG 2000] - [JPEG] よりもファイルのサイズが小さい高品質圧縮方法。 この圧縮方法は、品質 100 に設定すると可逆圧縮になります。
  • [LZW] - コード テーブルを使用する可逆圧縮方法。
  • [RLE] - 同じ色の大きなエリアがある場合に効果的なランレングス圧縮 (可逆圧縮方法)。

品質

エクスポートに適用される画像圧縮の量。 低品質の場合はファイル サイズが小さくなりますがデータがあまり鮮明ではなく、最高品質の場合はファイル サイズが大きくなりますがデータが鮮明になります。 これは、特定の圧縮タイプが使用されている場合にのみ適用されます。

ベクター グラフィックスを圧縮

ベクター コンテンツ ストリームを圧縮します。 このオプションは、トラブルシューティング用にクリア テキストが必要でない限り、オンのままにしてください。

1 つのタイルとしてラスター コンテンツをエクスポートする

一部の PDF ビューアーで透過レイヤーにアーティファクトが発生するのを避けるために、ラスター レイヤー、ラスター化レイヤー、ベクター タイル レイヤーを単一のタイル画像としてエクスポートします。 十分なメモリを割り当てることができない場合には、エクスポート処理が失敗します。 メモリ要件を減らすには、この設定をオフにし、出力画像の品質またはベクター解像度を下げるか、[プロジェクト] オプションの [表示] タブでアンチエイリアスを [なし] に設定します。

ベクター解像度

レイアウトのベクター データの有効 dpi。 [DPI] はレイアウトのエクスポート時にのみ使用できます。 マップをエクスポートする場合、dpi は自動的に計算されます。

ラスター リサンプル

ラスター リサンプリングの量。 このコントロールは、出力でのラスター コンテンツの有効解像度を決定します。 たとえば、出力画像品質のリサンプリング率を 1:2 に設定した場合、出力解像度が 300 dpi に設定されていると、ラスター コンテンツは約 150 dpi で出力されます。 多くの場合、品質に明らかな影響を及ぼすことなく、ベクター データよりも低い dpi のラスター データを含めることができます。これによって出力ファイル サイズが小さくなります。

埋め込みフォント

エクスポート ファイルに埋め込み可能フォントを含め、異なるプラットフォーム間でフォントの一貫性を維持します。 この設定にかかわらず、埋め込みをサポートしないフォントは含まれません。

文字マーカー シンボルをポリゴンに変換

フォント絵文字に基づくマーカー シンボルを、フォント絵文字としてエクスポートするか、ポリゴンとしてエクスポートするかを制御します。 ライセンスまたはファイル形式の制限 (AI はフォントを埋め込めません) のためにフォントを埋め込むことができない場合に、適切なフォントがインストールされていないコンピューター上で出力を表示するには、このオプションをオンにします。 これは、フォントベースのマーカー シンボルにのみ適用され、テキストには適用されません。

ジオリファレンス情報をエクスポート

マップ フレームの地理空間情報を含めます。 この情報を含めると、サポートされている PDF リーダーでマップ フレームから XY 座標情報を抽出し、マップ フレームに対して直接地理計測を実行できます。

レイヤーと属性

サポートされている PDF リーダーで表示および管理できるマップまたはレイアウトのレイヤーが含まれます。 また、フィーチャの属性データを含めることもできます。 多数のレイヤーの属性を含めると、パフォーマンスに悪影響を与え、出力のサイズが大きくなることがあります。

注意:

レイアウトのエクスポートにアクセシビリティのタグが含まれている場合、フィーチャ属性を含めるオプションは使用できません。 このオプションが表示されていない場合、[エクスポート] ウィンドウの [アクセシビリティ] タブにある [アクセシビリティのタグを含める] チェックボックスをオフにして表示します。

非表示のレイヤーを含める

このプロパティをオンにすると、表示設定がオフのレイヤーを含む、マップ内のすべてのレイヤーがエクスポート ファイルに含まれます。 すべてのレイヤーの表示設定ステータスは、エクスポート ファイルに保持されます。 このオプションを使用すると、同じデータの複数のビューを含む成果物を作成できます。 このプロパティをオフにすると、マップ内の表示レイヤーのみがエクスポート ファイルに含まれます。 非表示のレイヤーは削除されます。

オーバープリントのシミュレート

ソフト校正とも呼ばれますが、オーバープリントのシミュレートで、ページに印刷したときにインクのオーバーラップするエリアがどのように表示されるかがわかります。 シンボルまたはグラフィックスのシンボル レイヤーにオーバープリントを設定します。

オーバープリントの詳細

注意:

エクスポート時にオーバープリントをシミュレートすると、ベクター フィーチャが画像にラスター化されます。 これらは、出力 PDF ドキュメントの個別のベクター レイヤーとして保持されません。 そのため、ベクター データ固有のオプション ([レイヤーと属性] など) が利用できなくなります。

カラー プロファイルの埋め込み

マップまたはレイアウトのカラー プロファイル セットをエクスポート ファイルに含めます。 これにより、ファイルを別のデバイスで表示した場合でも、色の一貫性を維持できます。 プロファイルが埋め込まれていない場合、または色管理されていないビューアーが使用される場合、色は画面上の表示と大幅に異なる可能性があります。

このオプションは、色管理が有効な場合のみ利用できます。 色管理が有効になっておらず、色空間が CMYK に設定されている場合、エクスポートには引き続き CMYK 色空間が含まれます。 これにより、エクスポートしたファイルを見たときに、一部の色が異なって表示されることがあります。

セキュリティ

[セキュリティ] タブには、パスワード保護や編集機能の制限など、PDF エクスポートのセキュリティに関するオプションが含まれています。

プロパティ説明
ドキュメントを開くときにパスワードが必要

ユーザーがエクスポート ファイルを表示する際に必要なパスワードを設定します。

編集および権限の設定を制限するためのパスワードを要求

ユーザーがエクスポート ファイルに編集を行ったり権限を付与したりする際に必要なパスワードを設定します。

コピーの有効化

他のユーザーがエクスポート ファイルをコピーできるようにします。

スクリーン リーダーのテキスト アクセスを有効化

スクリーン リーダーがエクスポート ファイルのテキストにアクセスし、読み上げられるようにします。

印刷を許可

使用可能な印刷品質を設定したり、エクスポート ファイルの印刷を制限したりします。

変更の許可

エクスポート ファイルで許可されている編集の対応を設定します。

レイアウトのエクスポートのアクセシビリティ

[アクセシビリティ] タブには、タグ付き PDF ドキュメントを書き込むためのオプションが含まれています。このファイルは、スクリーン リーダーや他の補助テクノロジによる読み上げが可能です。 タグ付きレイアウトの読み取り順は、レイアウト エレメントの描画順序によって決定されます。 このため、描画順序の最初のエレメントは、スクリーン リーダーやその他の補助テクノロジによって最初に読み取られるエレメントとなります。

タグ付き PDF ドキュメントには、マップ フレーム、ピクチャ、およびチャート フレームの代替テキスト (スクリーン リーダーがエレメントの説明に使用するグラフィックス エレメントのテキスト記述) を含めることができます。 レイアウト上のテキストや表に代替テキストは不要です。これらは自動的にタグ付けされます。 代替テキストは、エレメントごとにエレメント ウィンドウで追加されます。

タグ付き PDF ドキュメントは、現在、レイアウトのエクスポートのみで使用できます。

プロパティ説明
アクセシビリティのタグを含める

スクリーン リーダーまたは他の補助テクノロジによるテキストの読み上げが可能なタグ付き PDF ドキュメントを出力します。 このオプションがオンでない場合は、レイアウト エレメントの代替テキストが PDF ドキュメントに含まれません。

Title

ドキュメントのタイトルを設定します。 これは、ドキュメントが開かれたときに表示されます。

言語

スクリーン リーダーが正しく解釈できるように、ドキュメント内のテキストの言語を設定します。 マップまたはレイアウトが複数言語の場合は、個々のテキスト エレメントに適切な言語を設定するための、追加の後処理が必要になることがあります。

件名

ドキュメントの内容の簡単な概要を含めます。

作成者

ドキュメントの作成者を含めます。 アクセシビリティのガイドラインによると、これは個人ではなく、ドキュメントを生成しているオフィスまたはグループにする必要があります。

キーボード

ドキュメントの検索に役立つキーワードを含めます。

注意:

PDF ドキュメントのタイトル、言語、件名、作成者、キーワードは、標準の PDF メタデータと見なされます。 これらは、タグ付き PDF ドキュメントに固有のものではなく、[アクセシビリティのタグを含める] がオフであっても含められます。

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