サンプリング/モニタリング ネットワークの概要

サンプリング設計は、天然資源や地球上のその他の現象からサンプル抽出されたデータに基づいてモデル化や推定を行うすべての研究において重要な役割を果たします。 サンプリングに関連する統計的考慮事項は、理論的知識、現象についてこれまでに検出された振舞いとパターン、コスト、サンプル採取地へのアクセスのしやすさ、政治など、さらに大きなシナリオの 1 つに組み込まれています。 したがって、サンプリング設計のアルゴリズムは設計に外的考慮事項を組み込めるだけの柔軟性を備えている必要があります。

現在のところ、ArcGIS では以下の方法を使用してサンプリング設計を構築できます。

  • 単純ランダム サンプリング: [ランダム ポイントの作成 (Create Random Points)] ツールを使用して採取地を個別に生成します。 [ランダム ラスターの作成 (Create Random Raster)] ツールと確率カットオフ値を使用して同様の結果を得ることもできます (ArcGIS Spatial Analyst エクステンション[ランダム ラスターの作成 (Create Random Raster)] ツールでは一様乱数が使用されるのに対し、データ管理ツールボックスの [ランダム ラスターの作成 (Create Random Raster)] ツールでは複数のタイプの分布がサポートされています)。 この方法は単純で柔軟性がありますが、1 つのリアライゼーションの結果にサンプルが集中しているエリアとサンプルがないエリアが含まれることがあります。
  • 層別ランダム サンプリング: 分析範囲が層に分割され、各層内でランダム サンプルが生成されます。 現象についての予備知識に基づいて層を調整して (点光源からの発光が強くなるにしたがって同心円を大きくするなど)、サンプルに何らかの空間構造を与えることができます。

その他のタイプの設計は、単純なスクリプトやモデルを使用して比較的簡単に生成することができます。

  • 系統ランダム サンプリング: 1 つ目のサンプル採取地はランダムに選択され、その他すべての採取地は一定のパターンに従った配置になるように選択されます (正三角形、正方形、正六角形の頂点上など)。 この方法は単純で、空間的にバランス調整された (空間内でうまく分布した) 設計になります。
  • クラスター ランダム サンプリング: 採取地のグループの位置がランダムに選択され、各グループ内で比較的近接している位置が採取地として選択されます。 このためには、ランダム ポイントの作成ツール[最小許容距離] を使用してランダムに配置された中心を生成し、各中心から所定の距離内に追加のサンプルを割り当てます。 この方法では近接する位置から多くのサンプルが収集されるので、実用的です (これに対し、単純ランダム サンプル パターンではサンプル採取地は分析範囲内のどこにでも出現します)。

これらの方法では、(分析範囲を層に分割する方法以外で) 各採取地が選択される確率の変動は容易には考慮されません (分析範囲を層に分割するには、調査のサンプル採取地を人手によって調査して調査のプロセスについて十分な知識が必要であることが一般的です)。 さらに、サンプリング設計が空間的にバランス調整されていること (つまり、採取地選択に内在する不規則性により、母集団全体がサンプル抽出の対象となること) をこれらすべてが保証するわけではありません。 このため、Geostatistical Analyst ツールボックスに空間的にバランス調整されたポイントの作成ツールが用意されています。 このツールの仕組みおよびこのツールが根拠とする参考文献については、「空間的にバランス調整されたポイントの作成の仕組み」をご参照ください。

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