パーセルの最小二乗調整の実行

パーセル ファブリックでは、一貫性のチェックと加重最小二乗法の 2 つのタイプの調整を実行できます。 実行する調整のタイプは、ディメンションの誤りをチェックするのか、パーセルの空間精度を評価して向上させるのかに応じて決まります。

パーセル ファブリックで、パーセルの最小二乗調整を実行するには、[パーセルの最小二乗調整による分析 (Analyze By Parcel Least Squares Adjustment)] および [パーセルの最小二乗調整の適用 (Apply Parcel Least Squares Adjustment)] ジオプロセシング ツールを使用します。

[パーセルの最小二乗調整による分析 (Analyze By Parcel Least Squares Adjustment)] ツールを使用して、最小二乗調整を実行し、結果を調整フィーチャクラスに格納します。 最小二乗調整の結果は、視覚化と解析のために調整フィーチャクラスに格納されます。 元のパーセル ファブリック フィーチャは、このツールでは変更されません。

加重最小二乗調整で調整フィーチャクラスの結果が容認できるものであれば、[パーセルの最小二乗調整の適用 (Apply Parcel Least Squares Adjustment)] ツールを実行し、調整結果をパーセル ファブリックのライン フィーチャおよびポイント フィーチャに適用することで元のパーセル ファブリック フィーチャを調整できます。

注意:

多数のパーセル (10,000 以上) を [パーセルの最小二乗調整による分析 (Analyze By Parcel Least Squares Adjustment)] ツールへの入力として使用すると、大量のディスク容量が必要となり、結果的に処理時間が長くなることがあります。 ツールの実行時には、システムの一時的なディレクトリにディスク容量が割り当てられて使用されます。

最小二乗調整を実行するタイミングの詳細

一貫性のチェックの実行

一貫性のチェックでは、最小二乗調整を使用して、パーセル ラインディメンションの誤りや外れ値をチェックします。 たとえば、新しいレコードから入力された区画に対して一貫性のチェックを実行して、パーセル ラインのディメンションの誤りをチェックすることができます。 制限付きポイントまたは加重ポイント (コントロール ポイント) は、一貫性のチェックでは不要であり、ポイントが制限付きまたは加重されている場合はフリー ポイントと見なされます。

一貫性のチェックは、パーセルの小さなサブセット (レコードから入力したパーセルなど) で、解析のみを目的として実行してください。 一貫性のチェックの結果をパーセル ファブリックに適用しないでください。

一貫性のチェックを実行するには、以下の手順に従います。

  1. パーセル ラインのディメンションのアプリオリな精度を設定します。

    アプリオリな精度は、パーセル ラインまたは接続線フィーチャクラスの Direction Accuracy フィールドおよび Distance Accuracy フィールドで指定します。 これらのフィールドで精度が設定されていない場合、30 秒の方向、0.15 メートル (0.49 フィート) の距離がデフォルトで使用されます。

    注意:
    精度フィールドの値が高い場合 (すなわち低精度)、計測の許容範囲も大きくなります。したがって、精度フィールドの値が低い場合 (すなわち高精度) の計測と比べたときの、調整済みの座標位置に対する影響が小さくなります。 精度フィールドの値が高いほど調整ネットワークの加重が低くなり、反対に、精度フィールドの値が低いほど加重が高くなります。

  2. [パーセルの最小二乗調整による分析 (Analyze By Parcel Least Squares Adjustment)] ジオプロセシング ツールを開き、入力パーセルまたはラインを選択します。

    最小二乗調整の入力として使用する接続線を選択する必要があります。

    ヒント:
    パーセルとラインは、どちらも入力として使用できます。 ラインのみを選択すると、選択したパーセルから最小二乗調整エンジンがラインを抽出する必要がなくなるため、処理時間がわずかに短縮されます。

    ヒント:

    [パーセル レコード ワークフロー] タブの [選択] グループにあるパーセル フィーチャ コマンド パーセル フィーチャの選択 を使用して、パーセルの選択のラインとポイントを選択します。

  3. [解析タイプ] として [一貫性のチェック] を選択します。
  4. 収束許容値を指定するか、デフォルト値をそのまま使用します。

    最小二乗調整エンジンは、解が収束するまで調整を反復して実行します。 各反復処理では、前の反復処理で調整されたポイント座標が使用されます。 各反復の後で座標のシフト (修正) が小さくなってくると解が収束します。 最大座標のシフトが指定した収束許容値を下回ると、解が収束したと見なされます。

  5. ツールを実行して、入力パーセル上で一貫性のチェックを実行します。

    最小二乗調整エンジンは、調整フィーチャクラスに調整の結果を自動的に入力します。 調整フィーチャクラスがマップに自動的に追加され、コンテンツ ウィンドウの [解析] の下でレイヤーがグループ化されます。

    注意:
    最小二乗調整が実行されるたびに、調整フィーチャクラスは新しい結果セットで上書きされます。

  6. 標準誤差 (シグマ) 値を評価し、必要に応じて変更します。
    1. ツールを実行後、[ジオプロセシング] ウィンドウ下部の [詳細の表示] をクリックして、最小二乗調整のサマリー レポートを表示します。
    2. [メッセージ] を展開して、結果を表示します。

      標準誤差 (シグマ) 値は、最小二乗調整の全体的な信頼性を統計的に評価する幅広い指標です。 これは、アプリオリ精度値の推定精度を判断する際のガイドとしてよく使用されます。 アプリオリ精度値の推定精度が高ければ、標準誤差 (シグマ) 値は 1 に近い値になります。

    標準誤差 (シグマ) 値が 1 を大きく下回る場合、推定されるアプリオリ精度値 (またはウェイト) が低すぎる可能性があります。すなわち、数値の精度値が高すぎます。 また、統計情報に基づいて、計測値の一部またはすべてに高いウェイトが与えられることも意味します。 パーセル データの場合、COGO ディメンションが元のパーセル レコードから入力されたのではなく、ライン形状ジオメトリから計算されたことを意味します。

    ツールは、方向と距離の値が、所定の距離精度値と方向精度値に対して異常に優れていることを示す警告メッセージを表示します。 1 に近い標準誤差 (シグマ) 値を達成するには、数値を低くして推定精度を高くします (高いウェイトを付与します)。 たとえば、方向の精度推定を 30 秒から 5 秒に減らしてウェイトを高くし、調整を再実行します。

    標準誤差 (シグマ) 値が 1 以上の場合、推定されるアプリオリ精度値 (またはウェイト) が高すぎる可能性があります。すなわち、数値の精度値が低すぎます。 結果を改善するには、最初に調整フィーチャクラスを使用して、外れ値のフラグが立っている計測を特定して修正します。 その後、調整を再実行します。 範囲外のフラグが立っている計測が存在しない場合は、推定精度を低くします (数値を高くします)。 たとえば、距離の推定を 0.59 フィートから 0.8 フィートに増やします。

  7. マップに追加した調整フィーチャクラスを使用して、最小二乗調整の結果を解析します。
  8. 一貫性をチェックするには、調整ライン レイヤーに格納された結果を分析するだけで済みます。
  9. ライン ディメンションを編集した場合は、一貫性のチェックを再実行して、他に外れ値や信頼できないディメンションが存在しないことを確認します。

加重最小二乗調整の実行

加重最小二乗調整では、パーセル ラインのディメンションとコントロール ポイントを使用して、パーセル ファブリック ポイントの最新のより正確な座標を計算します。 加重最小二乗調整には、少なくとも 2 つのコントロール ポイント (既知の X 座標と Y 座標を持つポイント) が必要です。 コントロール ポイントは、完全に制限付き (調整では移動しない) か、加重されている (精度に基づいて多少の移動が許可される) 場合があります。

加重最小二乗調整は次の手順で実行します。

  1. パーセル ラインのディメンションのアプリオリな精度を設定します。

    アプリオリな精度は、パーセル ラインまたは接続線フィーチャクラスの Direction Accuracy フィールドおよび Distance Accuracy フィールドで指定します。 これらのフィールドで精度が設定されていない場合、30 秒の方向、0.15 メートル (0.49 フィート) の距離がデフォルトで使用されます。

    注意:
    精度フィールドの値が大きい場合 (すなわち低精度)、計測の許容範囲も大きくなります。したがって、精度フィールドの値が低い場合 (すなわち高精度) の計測と比べたときの、調整済みの座標位置に対する影響が小さくなります。 これは、精度フィールドの値が大きいほど調整ネットワークの加重が低くなり、精度フィールドの値が小さいほど加重が高くなる相関性があることを意味しています。

  2. 最小二乗調整で使用する加重または制限付きのコントロール ポイントを定義します。

    コントロール ポイントは、完全に制限付きか、精度で加重されている場合があります。

    • コントロール ポイントを制約付きとして設定するには、パーセル ファブリックのポイント フィーチャクラスの Adjustment Constraint 属性を [XYZ が制約] に設定します。 制限付きのコントロール ポイントの精度は、常に 5 mm です。
    • 加重コントロール ポイントを設定するには、パーセル ファブリックのポイント フィーチャクラスの Adjustment Constraint 属性を [XY フリー、Z 制約] に設定し、アプリオリの精度推定XY Accuracy フィールドに追加します。
  3. [パーセルの最小二乗調整による分析 (Analyze By Parcel Least Squares Adjustment)] ジオプロセシング ツールを開き、入力パーセルまたはラインを選択します。

    最小二乗調整の入力として使用する接続線を選択する必要があります。

    ヒント:
    パーセルとラインは、どちらも入力として使用できます。 ラインのみを選択すると、選択したパーセルから最小二乗調整エンジンがラインを抽出する必要がなくなるため、処理時間がわずかに短縮されます。

  4. [解析タイプ][加重最小二乗法] を選択します。
  5. 収束許容値を指定するか、デフォルト値をそのまま使用します。

    最小二乗調整エンジンは、解が収束するまで調整を反復して実行します。 各反復処理では、前の反復処理で調整されたポイント座標が使用されます。 各反復の後で座標のシフト (修正) が小さくなってくると解が収束します。 最大座標のシフトが指定した収束許容値を下回ると、解が収束したと見なされます。

  6. ツールを実行して、入力パーセル上で加重最小二乗調整を実行します。

    最小二乗調整エンジンは、調整フィーチャクラスに調整の結果を自動的に入力します。 調整フィーチャクラスがマップに自動的に追加され、コンテンツ ウィンドウの [解析] の下でレイヤーがグループ化されます。

  7. 標準誤差 (シグマ) 値を評価し、必要に応じて変更します。
    1. ツールを実行後、[ジオプロセシング] ウィンドウ下部の [詳細の表示] をクリックして、最小二乗解析のサマリー レポートを表示します。
    2. [メッセージ] を展開して、結果を表示します。

      標準誤差 (シグマ) 値は、最小二乗調整の全体的な信頼性を統計的に評価する幅広い指標です。 これは、アプリオリ精度値の推定精度を判断する際のガイドとしてよく使用されます。 アプリオリ精度値の推定精度が高ければ、標準誤差 (シグマ) 値は 1 に近い値になります。

    標準誤差 (シグマ) 値が 1 を大きく下回る場合、推定されるアプリオリ精度値 (またはウェイト) が低すぎる可能性があります。すなわち、数値の精度値が高すぎます。 また、統計情報に基づいて、計測値の一部またはすべてに高いウェイトが与えられることも意味します。 パーセル データの場合、COGO ディメンションが元のパーセル レコードから入力されたのではなく、ライン形状ジオメトリから計算されたことを意味します。

    ツールは、方向と距離の値が、所定の距離精度値と方向精度値に対して異常に優れていることを示す警告メッセージを表示します。

    精度値の変更、最小二乗調整の再実行、ファブリック ポイントへの結果の適用には、実用的な利点はありません。 しかし、1 に近い標準誤差 (シグマ) 値を達成するには、数値を低くして推定精度を高くします (高いウェイトを付与します)。 たとえば、方向の精度推定を 30 秒から 5 秒に減らしてウェイトを高くし、調整を再実行します。

    標準誤差 (シグマ) 値が 1 以上の場合、推定されるアプリオリ精度値 (またはウェイト) が高すぎる可能性があります。すなわち、数値の精度値が低すぎます。 結果を改善するには、調整フィーチャクラスを使用して、外れ値のフラグが立っているディメンションを特定して修正し、調整を再実行します。 範囲外のフラグが立っている計測が存在しない場合は、推定精度を低くします (数値を高くします)。 たとえば、距離の推定を 0.59 フィートから 0.8 フィートに増やします。

  8. マップに追加した調整フィーチャクラスを使用して、最小二乗法解析の結果を解析します。

    加重最小二乗調整を実行する際は、調整ラインと調整ポイントの両方のレイヤーに格納された結果を分析します。

  9. ライン ディメンションまたはコントロール ポイントを編集した場合は、調整を再実行して、他に外れ値や信頼できないディメンションが存在しないことを確認します。
  10. 最小二乗調整の結果が容認できる場合は、[パーセルの最小二乗調整の適用 (Apply Parcel Least Squares Adjustment)] ジオプロセシング ツールを開きます。

    パーセル ファブリックは、調整フィーチャクラスに格納された結果で更新されるため、パーセルやパーセル ラインを選択する必要はありません。

  11. 移動許容値を指定します。

    移動許容値は、パーセル ファブリック ポイントのごくわずかな調整を回避するために使用されます。 デフォルトの許容値は 0.05 メートル (0.16 フィート) で、2 つのポイント間の座標のシフトが 0.05 メートル未満の場合、パーセル ファブリック ポイントは調整されたポイント位置では更新されないことを意味します。

  12. 必要に応じて、[属性フィールドの更新] を選択して、パーセル ファブリック ポイント フィーチャクラスを調整ポイント フィーチャクラスの統計メタデータで更新します。
  13. ツールを実行して、調整結果をパーセル ファブリックに適用し、パーセル ファブリック ポイントおよびラインの位置を更新します。