座標系の操作

座標系は、2 次元空間または 3 次元空間のフィーチャの位置を定義する参照フレームワークです。 マップおよびシーンは、座標系を使用して、データを地球の表面上で正確に、および相互に相対的に配置して表示します。 座標系は、地球上でのフィーチャの位置を定義する水平座標系か、サーフェスに対するフィーチャの高さまたは深さを定義する鉛直座標系のいずれかです。 座標系は、マップとシーンで定義できます。

マップまたはシーンには、常に水平座標系が必要です。 必要に応じて、鉛直座標系も定義できます。 新しい空のマップまたはローカル シーンのデフォルトの水平座標系は WGS84 Web メルカトルです。 グローバル シーンのデフォルトの水平座標系は WGS84 です。 マップおよびローカル シーンの場合は、数多くの座標系の中から選択できますが、グローバル シーンの場合、水平座標系は WGS84 または China Geodetic Coordinate System 2000 (CGCS 2000) に制限されています。 ローカル シーンとグローバル シーンの違いについては、「シーン」に関するトピックをご参照ください。

空のマップおよびシーンは、それらに追加された最初のレイヤーから座標系を取得します。 マップまたはシーンにさらにレイヤーを追加すると、それらは、マップまたはシーンの現在の座標系を使用して自動的に表示されます。 マップまたはシーンの地理座標系がレイヤーの地理座標系と異なっている場合は、変換を使用してデータがリアルタイムに投影されます。

注意:

リアルタイムのデータの投影は描画に時間がかかることがあるため、データの編集や解析を行っている場合はお勧めできません。 すべてのデータが同じ座標系であることを確認することをお勧めします。 空間データをある座標系から別の座標系に投影するには、[投影変換 (Project)] ツールまたは [ラスターの投影変換 (Project Raster)] ツールを使用します。

座標系を選択またはインポートする手順は以下のとおりです。代わりに座標系を作成することもできます。

座標系の設定

マップかシーンの座標系を直接設定できます。また、マップかシーンのレイヤーから定義することも、別のデータ ソースから設定することもできます。 ワークフローによっては、不明な座標系を使用しなければならない場合があります。

リストからの座標系の選択

リストから選択して座標系を直接設定する手順は以下のとおりです。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。

    [現在の XY] および [現在の Z] 見出しの下にあるボタンに、マップまたはシーンの現在の水平座標系と鉛直座標系がそれぞれ表示されています。 鉛直座標系が定義されていない場合もあります。 座標系の定義を表示するには、どちらかの座標系の [詳細] をクリックします。

  3. 水平座標系または鉛直座標系を変更するには、[現在の XY] または [現在の Z] 見出しの下にあるボタンをクリックします。 対応する [使用可能な座標系] リストから、適切な座標系を選択します。
    1. 座標系の詳細を確認するには、リスト内の座標系を右クリックし、[詳細] 詳細 をクリックして座標系パラメーターを表示します。 各座標系の有効使用領域が詳細リストで示され、ダイアログ ボックスの下部にあるマップでも青色の長方形として表示されます。 この領域が非常に小さい場合、代わりに円形のポイントとしてのみ表示されることがあります。
    2. 必要に応じて座標系を検索します。 [検索] ボックスに検索用語を入力して、特定の座標系を見つけます。
    3. 必要に応じて座標系のリストを絞り込みます。 [座標系のフィルター] ボタン 座標系のフィルター をクリックすると、空間範囲、地理座標系、または投影法プロパティでフィルターできます。 座標系のフィルターの詳細については、次のセクションをご参照ください。
    4. トラブルシューティングのワークフローによっては、マップを不明な座標系に設定しなければならない場合があります。
  4. [適用] をクリックして座標系を設定するか、または [OK] をクリックして設定を適用し、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。

空間範囲、地理座標系、または投影法プロパティによる座標系の選択

座標系のリストから選択する場合、空間範囲、地理座標系、および投影法プロパティの任意の組み合わせを指定することで、選択肢を絞り込むことができます。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
  3. 水平座標系または鉛直座標系を変更するには、[現在の XY] または [現在の Z] 見出しの下にあるボタンをクリックします。
  4. [座標系のフィルター] ボタン 座標系のフィルター をクリックし、[座標系のフィルタリング] ダイアログ ボックスを開き、表示される座標系のリストを次のようにフィルターします。 複数の方法で同時にフィルターできます。
    空間範囲

    [空間範囲] 切り替えボタンをオンにすると、座標系のリストを、使用範囲が指定した空間範囲と部分的に交差する座標系にフィルターできます。 空間範囲を指定するさまざまな方法については、「マップ範囲の設定」をご参照ください。

    地理座標系

    [地理座標系] 切り替えボタンをオンにすると、投影座標系のリストを、その定義の一部として指定した地理座標系を含む座標系にフィルターができます。

    鉛直座標系を設定する際、楕円体ベースの鉛直座標系は、対応する地理座標系と同じ測地基準系に基づいています。 このフィルターは、一致するペアを返します。

    投影法プロパティ

    [投影法プロパティ] 切り替えボタンをオンにすると、投影座標系のリストを、次の投影法プロパティのいずれかでフィルターできます。 このオプションは、鉛直座標系の設定には使用できません。

    • [正積図法] - 相対的な面積が維持されるように最適化された座標系。
    • [正角図法] - 局所の角度が維持されるように最適化された座標系。面積と距離を犠牲にして形状が維持された表示になります。
    • [正距図法 (1 点から)] - 投影座標系の中心点 (原点の緯度と中央子午線が交差する点) を通るラインに沿う距離のみが維持されるように最適化された座標系。 マップ上のすべての位置ですべての方向の距離を維持できる投影は存在しません。
    • [正距図法 (子午線に沿う)] - 南北の距離のみが維持されるように最適化された座標系。 他の方向の距離は維持されません。 マップ上のすべての位置ですべての方向の距離を維持できる投影は存在しません。
    • [折衷投影法] - これらのプロパティのいずれかが特に維持されるわけではなく、各プロパティの歪みが最小化されるように最適化された座標系。 特定の場所や条件では、歪みが激しいままの場合もあります。

  5. [適用] をクリックして、[座標系のフィルター] ダイアログ ボックスを閉じます。
  6. マップ プロパティ ダイアログ ボックスで、[使用可能な座標系] ボックスの絞り込まれたリストから座標系を選択します。
  7. [適用] をクリックして座標系を設定するか、または [OK] をクリックして設定を適用し、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。

レイヤーからの座標系の設定

マップかシーンのレイヤーからマップかシーンの座標系を定義する手順は以下のとおりです。 マップのすべてのレイヤーが同じ座標系を共有していることを確認するためにこれを行うことをおすすめします。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
  3. [使用可能な座標系] リストで [レイヤー] を展開します。 座標系の見出しを展開して、それを参照するレイヤーを表示します。
  4. 別のデータ ソースから座標系を設定するには、[座標系の追加] ボタン 座標系の追加 をクリックし、[座標系のインポート] 座標系のインポート をクリックします。 使用したい座標系が定義されたデータ ソース (または以前に保存した .prj ファイル) を参照します。 その後、座標系を [お気に入り] リストに追加して、すべてのプロジェクトで利用できるようにすることができます。
  5. [適用] をクリックして座標系を設定するか、または [OK] をクリックして設定を適用し、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。

データ ソースからの座標系の設定

データ ソースから座標系を定義する手順は以下のとおりです。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
  3. [座標系の追加] ボタン 座標系の追加 をクリックし、[座標系のインポート] 座標系のインポート をクリックします。 使用したい座標系が定義されたデータ ソース (または以前に保存した .prj ファイル) を参照します。
  4. [適用] をクリックして座標系を設定するか、または [OK] をクリックして設定を適用し、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。

座標系の保存

プロジェクトで頻繁に使用する座標系がある場合は、それらの座標系を [お気に入り] リストに追加して、見つけやすいようにすることができます。 お気に入りは、すべてのプロジェクトで利用できます。 座標系を投影情報ファイル (ファイル拡張子は .prj) として保存することもできます。 投影情報ファイルを使用して、ジオプロセシングで座標系を定義できます。

新しい投影座標系で再利用する地理座標系を作成する場合は、投影座標系の地理座標系の選択肢のリストに表示されるようにするために、地理座標系をお気に入りとして保存する必要があります。

ヒント:

お気に入りの座標系が多数存在する場合は、これらの座標系を 1 つのフォルダー構造にまとめることを検討してください。 オペレーティング システムでお気に入りの座標系 (.prj ファイル) をまとめるフォルダーを作成します。 [install drive]:\Users\[YourName]\AppData\Local\ESRI\ArcGISPro\Favorites でお気に入りとして設定された座標系を検索します。 この構造は [使用可能な座標系] リストに反映されます。

お気に入りとしての座標系の保存

お気に入りとして座標系を保存する手順は以下のとおりです。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
  3. [使用可能な座標系] リストで座標系を右クリックし、[お気に入りに追加] アイテムをお気に入りに追加 をクリックすると、このリストの [お気に入り] 見出しの下に座標系が表示され、簡単に参照できます。

投影情報ファイルとしての座標系の保存

投影情報ファイルとして座標系を保存する手順は以下のとおりです。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
  3. [使用可能な座標系] リストで座標系を右クリックします。
  4. [投影情報ファイルとして保存] 投影情報ファイルとして保存 をクリックします。
  5. [座標系を PRJ ファイルとして保存] ダイアログ ボックスで、ファイル システム上の場所を参照し、ファイル名を入力します。

    投影情報ファイルが保存されるデフォルトの場所は、[install drive]:\Users\[yourname]\AppData\Local\ESRI\ArcGISPro\Favorites にあるお気に入りフォルダーです。 このフォルダーに保存すると、投影情報ファイルに保存した座標系は [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスの [使用可能な座標系] リストの [お気に入り] セクションに表示されます。

鉛直座標系の操作

マップおよびシーンには必ず水平座標系が定義されていますが、鉛直座標系はオプションです。 楕円体鉛直座標系を設定するには、水平座標系と同じ測地基準を共有しなければなりません。 測地基準名、楕円体名、および 2 つの座標系の楕円体プロパティはすべて完全に一致する必要があります。

現在の水平座標系が現在の鉛直座標系と互換性がない場合、次の手順に従って、互換性のある水平座標系と鉛直座標系のペアを選択します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
  3. [現在の Z] 見出しの下のボタンをクリックし、リストから 座標系なし を選択します。
  4. [現在の XY] 見出しの下のボタンをクリックし、必要な楕円体鉛直座標系と測地基準系が一致する座標系をリストから選択します。

    座標系の測地基準系を確認するには、リストで右クリックし、[詳細] 詳細 をクリックします。

  5. [現在の Z] 見出しの下のボタンをクリックし、同じ測地基準系を共有する楕円体鉛直座標系を選択します。

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