Db2 でのジオデータベースのアップグレード

Standard または Advancedのライセンスで利用可能。

エンタープライズ ジオデータベースをアップグレードする目的は、新機能と修正された不具合を利用するために、ジオデータベースのシステム テーブル、ストアド プロシージャ、タイプ、および機能を更新することです。

ArcGIS クライアントの最新バージョンをインストールするか、サービス パック、パッチ、またはホット フィックスを既存のインストールに適用し、ジオデータベースをアップグレードします。

アップグレードの前に必要な手順を完了してから、[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ジオプロセシング ツールまたは Python スクリプトを使用してジオデータベースをアップグレードします。

アップグレードする前に

ジオデータベースを含め、エンタープライズ システムをアップグレードする場合は、まず計画を立てます。開発サーバーまたはテスト サーバーで新しいバージョンをテストして、すべてのクライアント アプリケーションで動作することを確認します。

新しいシステムが想定したとおりに機能することが確認できたら、アップグレードのスケジュールを設定します。アップグレードに必要な人員を確保し、各担当者が割り当てられたタスクを実行するために必要な権限を持っていることを確認します。

次の点に注意してください。

  • ソフトウェアのベータ バージョンからのアップグレードはサポートされていません。
  • お使いのデータベース リリースがアップグレード対象の ArcGIS バージョンをサポートしている場合は、10.2.x、10.3.x、10.4.x、10.5.x、10.6.x 、10.7.x、または 10.8 のジオデータベースから直接アップグレードできます。
  • ジオデータベースを以前のバージョンにダウングレードするための正式なメカニズムはありません。新しいバージョンにアップグレードした後でジオデータベースをダウングレードする場合は、元のデータベースをバックアップ ファイルから復元する必要があります。
  • 10.4.1 以前のジオデータベースをアップグレードする場合、アップグレードの前にジオデータベースからすべてのロケーターを削除します。

以下は、ジオデータベースをアップグレードする前に実行する手順のチェックリストです。

  1. 使用する Db2 と ArcGIS のバージョンの組み合わせがサポートされていることを確認してください。詳細については、「ArcGIS の IBM Db2 データベース要件」をご参照ください。

    ジオデータベースをアップグレードする前に、データベースがサポートされているリリースで、ハードウェアが少なくとも最小システム要件を満たしている必要があります。

  2. ジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認します。これを行うには、移行する ArcGIS クライアントのバージョンを、1 台のコンピューターにインストールします。ArcGIS Desktop をインストールすると、ジオデータベースに接続し、[データベース プロパティ] ダイアログ ボックスを開いてジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認できます。ArcGIS Server (エンタープライズ エディション) または ArcGIS Engine Geodatabase Update エクステンションをインストールすると、ArcPy の Describe 関数を使用して、ジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認できます。次の例では、ジオデータベースへの接続を作成し、ジオデータベースをアップグレードできるかどうかを確認します。
    # Open Python.
    cd /arcgis/server/tools
    ./python
    # Create a connection to the geodatabase.
    arcpy.CreateDatabaseConnection_management("/tmp/",
                                              "egdb_connection.sde",
                                              "DB2",
                                              "mydbgdb",
                                              "DATABASE_AUTH",
                                              "sde",
                                              "mysdepassword",
                                              "SAVE_USERNAME")
    # Import ArcPy and check the geodatabase release.
    import arcpy
    isCurrent = arcpy.Describe('/tmp/egdb_connection.sde').currentRelease
    print isCurrent

    false が返された場合、ジオデータベースをアップグレードできます。true が返された場合、ジオデータベースをアップグレードする必要はありません。以降の手順を省略してください。

  3. 既存のマップまたはサービスで使用されているアプリケーション サーバー接続を直接接続に変換します。
  4. データベースのバックアップを作成します。
  5. sde ユーザーは、不要な接続を PROCESS_INFORMATION システム テーブルから削除するために、MON_GET_CONNECTION 関数を実行する必要があります。そのため、MON_GET_CONNECTION に対する EXECUTE 権限を sde に付与します。
  6. データベース管理者が SYSIBM.SYSDUMMY1 カタログ ビューに対する SELECT 権限を取り消した場合は、この権限を PUBLIC にもう一度付与するか、Db2 のジオデータベースに接続するすべてのユーザーに付与する必要があります。この権限はデータベースに対する SQL クエリで必要です。

    このカタログ ビューに対する SELECT 権限のないユーザーが接続しようとすると、次のようなエラーが表示されます。

    SQL0551N  "ANYA" does not have the privilege to perform operation "SELECT" on object "SYSIBM.SYSDUMMY1".  SQLSTATE=42501

    このビューに対する SELECT 権限を PUBLIC に付与するには、DBADM 権限のあるユーザーとしてログインして、次のコマンドを実行します。

    GRANT SELECT 
     ON SYSIBM.SYSDUMMY1 
     TO PUBLIC;
  7. sde ユーザーに、データベースの DBADM 権限を付与します。これは、ジオデータベースをアップグレードするために必要です。
  8. ArcGIS の外部にあるジオデータベース システム テーブルに追加したカスタム機能 (トリガーや追加のインデックスなど) をすべて削除します。

    アップグレード手順は、ユーザーがシステム テーブルに加えたカスタマイズに対応できません。このようなカスタマイズによってシステム テーブルのスキーマ変更が妨げられた場合、アップグレードが失敗します。

  9. この時点で、データベースの 2 つ目のバックアップを作成し、これまでの手順で実行した変更内容を保存しておくことをお勧めします。
  10. アップグレードを実行するためにジオデータベースに接続できるコンピューター上に、最新バージョンの ArcGIS クライアント (ArcGIS Desktop Desktop Standard または Desktop AdvancedArcGIS Engine Geodatabase Update エクステンション、または ArcGIS Server (エンタープライズ エディション)) をインストールします。
  11. アップグレード対象のジオデータベースへの接続がないことを確認します。

    ジオデータベースに現在接続しているユーザーのリストを確認するにはArcGIS Desktop クライアントの [ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスに移動します。

これで、ジオデータベースをアップグレードできるようになりました。

ジオデータベースのアップグレード

ArcGIS Desktop[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールまたは ArcGIS クライアント コンピューターで実行される Python スクリプトを使用して、ジオデータベースをアップグレードできます。

[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールの使用

[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ジオプロセシング ツールは、次のいずれかから開きます。

  • [データ管理] ツールボックス内の [ジオデータベース管理] ツールセット
  • ArcMap または ArcCatalog 内の [データベース プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブにある [ジオデータベースのアップグレード] ボタン
  • ArcGIS Pro 内の [データベース プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブにある [アップグレードの実行] ボタン

[データベース プロパティ] からツールを開いた場合、[入力ジオデータベース] テキスト ボックスにジオデータベース接続情報が事前に入力されています。

[前提条件を確認] および [ジオデータベースをアップグレード] オプションをオンのままにすることをお勧めします。これにより、ジオデータベースのアップグレードを続ける前に、アップグレードを行うための前提条件を満たしているかどうかが確認されます。

前提条件のチェックでは、ジオデータベースへの他のアクティブな接続が検出され、接続しているユーザーにジオデータベースをアップグレードするための十分な権限があるかどうか、データベースが XML 列に対応しているかどうか、すべてのデータセットを開くことができるかどうか、データベースとライブラリのリリースが同じかどうかが確認されます。前提条件のいずれかが満たされていない場合、ツールは終了します。アップグレードの手順を再度実行する前に、問題を修正する必要があります。

確認の結果は、ジオプロセシング ツールのダイアログ ボックスで報告されます。チェックで不合格になった (またはアップグレードに失敗した) 場合は、GDBUpgrade.log フォルダーにある c:\Users\<user name>\AppData\Local\ESRI\<ArcGIS product> ファイルにも結果が書き込まれます。

すべてのチェックに合格した場合、ツールはアップグレードに進みます。前提条件チェックとアップグレードの状態は、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスに表示されます。アップグレードが失敗すると、情報が GDBUpgrade.log ファイルに書き込まれます。システムの sde_setup.log ディレクトリにある TEMP ファイルに追加情報が書き込まれます。

スクリプトの実行

ジオデータベースをアップグレードするには、以下のサンプル スクリプトのいずれかをテキスト エディターにコピーします。環境の情報に合わせて、変数の値を変更します。

  • ダイレクト コネクションを使用する既存のデータベース接続ファイルが存在し、sde ユーザーとして接続する場合、使用しているオペレーティング システムに適用するスクリプトをコピーし、テキスト エディターに貼り付け、環境に固有の情報を使用するように変更し、そのファイルを保存して閉じてから、実行します。
    # Name: upgradesdegdb_example.py
    # Description: Connect from a Windows computer 
    # with an existing database connection file 
    # and upgrade an enterprise geodatabase
    # Import arcpy module
    import arcpy
     
    # Local variables:
    Output_Workspace = "C:\\ArcGIS\connection_files\<Connection file>"
    Default_gdb = "C:\\ArcGIS\connection_files\<Connection file>"
    # Process: Upgrade Geodatabase
    arcpy.UpgradeGDB_management(Default_gdb, "PREREQUISITE_CHECK", "UPGRADE")
    # Name: upgradesdegdb_example.py
    # Description: Connect from a Linux or UNIX computer 
    # with an existing database connection file 
    # and upgrade an enterprise geodatabase
    # Import arcpy module
    import arcpy
     
    # Local variables:
    Output_Workspace = "<user>/connections/<Connection_file>"
    Default_gdb = "<user>/connections/<Connection_file>"
    # Process: Upgrade Geodatabase
    arcpy.UpgradeGDB_management(Default_gdb, "PREREQUISITE_CHECK", "UPGRADE")
  • アップグレードのスクリプティングを行うコンピューター上にデータベース接続ファイルがない場合、次のスクリプトをコピーして、環境に固有の情報をコマンド ラインに入力できます。
    """
    Name: upgrade_gdb.py
    Description: Provide connection information to an Enterprise geodatabase 
    and upgrade the geodatabase
    Type upgrade_gdb.py -h or upgrade_gdb.py --help for usage
    """
    
    # Import system modules
    import arcpy
    import os
    import optparse
    import sys
    
    
    # Define usage and version
    parser = optparse.OptionParser(usage = "usage: %prog [Options]", version="%prog 2.0; valid for 10.1 only")
    
    #Define help and options
    parser.add_option ("--DBMS", dest="Database_type", type="choice", choices=['SQLSERVER', 'ORACLE', 'POSTGRESQL', 'DB2','INFORMIX','DB2ZOS',''], default="", help="Type of enterprise DBMS:  SQLSERVER, ORACLE, or POSTGRESQL.")
    parser.add_option ("-i", dest="Instance", type="string", default="", help="DBMS instance name")
    parser.add_option ("--auth", dest="account_authentication", type ="choice", choices=['DATABASE_AUTH', 'OPERATING_SYSTEM_AUTH'], default='DATABASE_AUTH', help="Authentication type options (case-sensitive):  DATABASE_AUTH, OPERATING_SYSTEM_AUTH.  Default=DATABASE_AUTH")
    parser.add_option ("-u", dest="User", type="string", default="", help="Geodatabase administrator user name")
    parser.add_option ("-p", dest="Password", type="string", default="", help="Geodatabase administrator password")
    parser.add_option ("--upgrade", dest="Upgrade", type="choice", choices=['TRUE', 'FALSE'], default="FALSE", help="Upgrade Options (case-sensitive):  TRUE=Perform Pre-requisite check and upgrade geodatabase, FALSE=Perform Pre-requisite check only.  Default=FALSE")                   
    parser.add_option ("-D", dest="Database", type="string", default="none", help="Database name:  Not required for Oracle")
    
    
    # Check if value entered for option
    try:
    	(options, args) = parser.parse_args()
    
    	
    #Check if no system arguments (options) entered
    	if len(sys.argv) == 1:
    		print("%s: error: %s\n" % (sys.argv[0], "No command options given"))
    		parser.print_help()
    		sys.exit(3)
    
    	#Usage parameters for spatial database connection to upgrade
    	account_authentication = options.account_authentication.upper()
    	username = options.User.lower() 
    	password = options.Password	
    	do_upgrade = options.Upgrade
    	database = options.Database.lower()
    	database_type = options.Database_type.upper()
    	instance = options.Instance
    	
    	if (database_type == ""):
    		print("\nDatabase type must be specified!\n")
    		parser.print_help()
    		sys.exit(3)
    	
    	if (database_type == "SQLSERVER"):
    		database_type = "SQL_SERVER"
    	
    	# Get the current product license
    	product_license=arcpy.ProductInfo()
    	
    	# Checks required license level to upgrade
    	if product_license.upper() == "ARCVIEW" or product_license.upper() == 'ENGINE':
    		print("\n" + product_license + " license found!" + "  Enterprise geodatabase upgrade requires an ArcGIS Desktop Standard or Advanced, ArcGIS Engine with the Geodatabase Update extension, or ArcGIS Server license.")
    		sys.exit("Re-authorize ArcGIS before upgrading.")
    	else:
    		print("\n" + product_license + " license available!  Continuing to upgrade...")
    		arcpy.AddMessage("+++++++++")
    	
    	# Local variables
    	instance_temp = instance.replace("\\","_")
    	instance_temp = instance_temp.replace("/","_")
    	instance_temp = instance_temp.replace(":","_")
    	Conn_File_NameT = instance_temp + "_" + database + "_" + username     
    	
    	if os.environ.get("TEMP") == None:
    		temp = "c:\\temp"	
    	else:
    		temp = os.environ.get("TEMP")
    	
    	if os.environ.get("TMP") == None:
    		temp = "/usr/tmp"		
    	else:
    		temp = os.environ.get("TMP")  
    	
    	Connection_File_Name = Conn_File_NameT + ".sde"
    	Connection_File_Name_full_path = temp + os.sep + Conn_File_NameT + ".sde"
    	
    	# Check for the .sde file and delete it if present
    	arcpy.env.overwriteOutput=True
    	if os.path.exists(Connection_File_Name_full_path):
    		os.remove(Connection_File_Name_full_path)
    	
    	print("\nCreating Database Connection File...\n")
    	# Process: Create Database Connection File...
    	# Usage:  out_file_location, out_file_name, DBMS_TYPE, instnace, database, account_authentication, username, password, save_username_password(must be true)
    	arcpy.CreateDatabaseConnection_management(out_folder_path=temp, out_name=Connection_File_Name, database_platform=database_type, instance=instance, database=database, account_authentication=account_authentication, username=username, password=password, save_user_pass="TRUE")
            for i in range(arcpy.GetMessageCount()):
    		if "000565" in arcpy.GetMessage(i):   #Check if database connection was successful
    			arcpy.AddReturnMessage(i)
    			arcpy.AddMessage("\n+++++++++")
    			arcpy.AddMessage("Exiting!!")
    			arcpy.AddMessage("+++++++++\n")
    			sys.exit(3)            
    		else:
    			arcpy.AddReturnMessage(i)
    			arcpy.AddMessage("+++++++++\n")
    			
    	# Check whether geodatabase needs upgrade
    	isCurrent = arcpy.Describe(Connection_File_Name_full_path).currentRelease
    	
    	if isCurrent == True:
    		print("The geodatabase is already at the current release and cannot be upgraded!")
    		sys.exit("Upgrade did not run.")
    	
    	
    	# Process: Upgrade geodatabase...
    	try:
    		if do_upgrade.lower() == "true":
    			print("Upgrading Geodatabase...\n")
    			arcpy.UpgradeGDB_management(input_workspace=Connection_File_Name_full_path, input_prerequisite_check="PREREQUISITE_CHECK", input_upgradegdb_check="UPGRADE")
    			for i in range(arcpy.GetMessageCount()):
    				arcpy.AddReturnMessage(i)
    			arcpy.AddMessage("+++++++++\n")
    	
    		else:
    			print("Running Pre-Requisite Check...\n")
    			arcpy.UpgradeGDB_management(input_workspace=Connection_File_Name_full_path, input_prerequisite_check="PREREQUISITE_CHECK", input_upgradegdb_check="NO_UPGRADE")
    			for i in range(arcpy.GetMessageCount()):
    				arcpy.AddReturnMessage(i)
    			arcpy.AddMessage("+++++++++\n")
    		
    	        
    	except:
    		for i in range(arcpy.GetMessageCount()):
    			arcpy.AddReturnMessage(i)
    		
    	if os.path.exists(Connection_File_Name_full_path):
    		os.remove(Connection_File_Name_full_path)
    	
    #Check if no value entered for option	
    except SystemExit as e:
    	if e.code == 2:
    		parser.usage = ""
    		print("\n")
    		parser.print_help()
    		parser.exit(2)
    たとえば、テキスト ファイルを gdbupgrade として保存した場合、カタログ化されたデータベースが mydbgdb であれば、コマンド プロンプトで以下を入力します。

    gdbupgrade --DBMS DB2 -i mydbgdb --auth DATABASE_AUTH -u sde -p mysdepassword --upgrade TRUE