クライアントとジオデータベースの互換性

さまざまな ArcGIS クライアント ソフトウェアを使用して、ジオデータベースにアクセスできます。次のようなプロパティがあります。

  • ArcGIS Pro (ファイル ジオデータベースおよびエンタープライズ ジオデータベースへの接続をサポート)
  • ArcGIS Server サービス (ファイル ジオデータベース、ワークグループ ジオデータベース、およびエンタープライズ ジオデータベースへの接続をサポート)

互換性のあるバージョン

ジオデータベースと ArcGIS クライアントを同じバージョンにしておく必要はありませんが、同じバージョンにしておくことをお勧めします。ジオデータベースとクライアント ソフトウェアは連携して動作するように設計されており、一方のバージョンがもう一方のバージョンとかけ離れると、問題や予期しない動作が生じるリスクがあります。

これは、サイトで複数のクライアント バージョンを使用する場合に特に当てはまります。新しいクライアントは、ジオデータベースに古いクライアントがアクセスできない新しいデータベース タイプを作成できます。エンタープライズ ジオデータベースの場合、ジオデータベースのアップグレード間隔が長すぎると、ジオデータベースをアップグレードする前に、基礎になるデータベースを複数回アップグレードする必要があることがあります。

エンタープライズ ジオデータベースのジオデータベース バージョンは、システム テーブルに格納されます。これは、ジオデータベースの作成またはアップグレードに使用したクライアント バージョンを示しています。たとえば、エンタープライズ ジオデータベースを ArcMap 10.6.1 から作成する場合、そのジオデータベースのバージョンは 10.6.1 になります。同じジオデータベースを後から ArcGIS Pro 2.6 を使用してアップグレードした場合は、ジオデータベース バージョンは 10.8.1.2.6 になります。ジオデータベース バージョンは、Esri サポートが問題のトラブルシューティングに主に使用している点に注意してください。このバージョンには、ユーザーが使用できる機能がすべて反映されているわけではありません。ジオデータベース機能の多くが、ジオデータベースそのものではなく、ジオデータベースにアクセスするクライアントに実装されているからです。

エンタープライズ ジオデータベースでは、ジオデータベースのバージョンは、ジオデータベースの作成やアップグレードに使用されたソフトウェア バージョンのみを反映することがほとんどです。ファイル ジオデータベースのバージョンは 10.1 以降変化していません。

互換性には次のルールが適用されます。

  • クライアントとジオデータベースには、サポート対象バージョンの ArcGIS を使用してください。
  • ArcGIS クライアントには、当該クライアントの API も含まれています。このため、API を使用してジオデータベースにアクセスする場合も、同様の混在したリリースのルールが適用されます。
  • クライアントを ArcGIS CollectorArcGIS Survey123 などの ArcGIS Server サービスに接続して使用する場合、実際には ArcGIS Server がジオデータベースのクライアントになります。この場合は、ArcGIS Server とジオデータベースのバージョンに互換性があることを確認してください。
  • 古い ArcGIS クライアントでは、新しいリリースのジオデータベースのデータを表示、検索、編集、および保存することはできますが、新しい機能が含まれたデータセットを開くことはできません。古い ArcGIS クライアントから新しいデータセット タイプにアクセスしようとすると、次のエラー メッセージが表示されます。

    このデータセットは、このバージョンのジオデータベース クライアントとの互換性がないため開くことができません。

    データを追加できませんでした。データ タイプがサポートされていません。

  • 新しい ArcGIS クライアントから古いリリースのエンタープライズ ジオデータベースに接続する際、そのリリースのジオデータベースに最新のパッチが存在する場合は、そのパッチをジオデータベースに適用します。
  • エンタープライズ ジオデータベースは、ジオデータベースと使用する ArcGIS リリースの両方でサポートされているデータベース リリースに格納する必要があります。ArcGIS クライアント コンピューターにインストールするデータベース クライアントが、使用する ArcGIS のバージョンに対応している必要があります。サポートされているデータベースおよびデータベース クライアントのリリースの詳細については、次のページをご参照ください。古いソフトウェア バージョンの情報については、[他のバージョン] ドロップダウン リストを使用してご参照ください。
  • ジオデータベース レプリケーションを使用する場合、子レプリカ ジオデータベースのバージョンは親レプリカ ジオデータベースと同じかそれ以降でなければなりません。詳細については、「レプリケーションおよびジオデータベース リリース」をご参照ください。
  • ArcMap を使用して、ArcGIS Pro に固有の機能を使用しているデータセットにアクセスすることはできません。たとえば、ブランチ バージョン対応データセット、ユーティリティ ネットワーク、または ArcMap の属性ルールを含むデータセットにはアクセスできません。
  • ジオデータベースを 10.8 以降にアップグレードし、ArcGIS Pro[データセットのアップグレード (Upgrade Dataset)] ジオプロセシング ツールを使用してディメンション フィーチャクラスをアップグレードすると、そのフィーチャクラスを ArcMap 10.7 以降で開くことができなくなります。

ジオデータベースのアップグレードが必要な状況

ジオデータベースとクライアントのバージョンをできるだけ近づけることをお勧めします。場合によっては、ジオデータベースをアップグレードする必要があります。次のいずれかに該当する場合には、ジオデータベースのアップグレードが必要です。

  • 使用しているバージョンのクライアントでは、使用したいバージョンのジオデータベースに接続できない場合 エンタープライズ ジオデータベースの場合、使用中のクライアント リリースは使用中のデータベース管理システム バージョンに接続できない可能性があります。その場合は、新しいクライアントから接続するには、データベースとジオデータベースの両方をアップグレードする必要があります。
  • 新しいリリースのジオデータベースで追加された機能を利用したい場合 ジオデータベースの新機能およびデータセット タイプについては、各バージョンの「ArcGIS Pro の新機能」をご参照ください。

ジオデータベースのアップグレードの詳細については、お使いのジオデータベースのタイプに応じたアップグレード トピックをご参照ください。

ジオデータベース バージョン

ドキュメントに、特定の機能を利用するには特定のバージョンのジオデータベースが必要であると記載されている場合があります。多くの場合は、そのバージョンは、10.x バージョンのジオデータベースというようにリストに示されます。前に述べたように、ArcGIS Pro でエンタープライズ ジオデータベースを作成またはアップグレードした場合、ジオデータベースのバージョン番号は、10.x と ArcGIS Pro のリリース番号の組み合わせになります。ArcGIS Pro を使用して作成またはアップグレードするジオデータベースのバージョンを決定するのに役立てるために、次の表を示します。

ArcGIS Pro リリース同等の 10.x リリースジオデータベース バージョン

2.2

10.6.1

10.6.1.2.2

2.3

10.7

10.7.0.2.3

2.4

10.7.1

10.7.1.2.4

2.5

10.8

10.8.0.2.5

2.6

10.8.1

10.8.1.2.6