Web レイヤーの共有の概要

マップまたは選択したマップ レイヤーを、Web レイヤーとして共有することができます。スタンドアロン テーブルを共有することもできます。ArcGIS Pro から共有できる Web レイヤー タイプは、フィーチャ、タイル、ベクター タイル、マップ イメージ、イメージ、シーン、標高の 7 つです。 フィーチャ、タイル、ベクター タイル、マップ イメージ、およびイメージ レイヤーでは 2D データが共有され、シーンおよび標高レイヤーでは 3D データが共有されます。各テーブルで属性データは共有され、以下のその他のレイヤー タイプとともに表示されます。

Web レイヤーを共有すると、サービスが Web レイヤーを介して公開されて提供されます。レイヤー タイプおよびその構成方法に応じて、ArcGIS Server サービスまたはホスト サービスが公開されます。

ArcGIS Pro からコンテンツを共有するには、ArcGIS 組織サイトに含まれ、コンテンツを作成、更新、および削除する権限を持つアカウントが必要です。Web レイヤーを共有するには、レイヤー タイプおよびその構成方法に応じて変わる追加権限が必要です。ArcGIS Server サービスが公開される場合、サーバーベース レイヤーを公開する権限が必要です。ホスト サービスが公開される場合、対応するホスト レイヤーを公開する権限が必要です。

ArcGIS Server サービスが公開されるときに、サービスを公開するフェデレーション サーバーを指定することができます。ArcGIS Server サービスを公開するには、フェデレーション サーバーの管理 URL またはサービス URL を通じて管理 API へのアクセスが可能でなくてはなりません。

Web レイヤーを共有する前に、GIS リソースを解析して、潜在的なパフォーマンス上の遅延やエラーを特定します。詳細については、「GIS リソースの分析」をご参照ください。

共有プロセス中に、Web レイヤー データが統合されて、ローカル ドライブ上のステージング フォルダー内に作成されます。デフォルトのステージング フォルダーを使用するか、共有およびダウンロード オプションで別のフォルダーを選択することができます。

共有ジョブの処理中にそのまま ArcGIS Pro での作業を続けることができます。ArcGIS Pro を閉じてもかまいません。[ジョブ ステータス] ウィンドウで共有ジョブのステータスを監視できます。

レイヤーのタイプ

共有すべきレイヤー タイプを決定する際には、レイヤーの用途や、サーバーでソース データにアクセスできるかどうかを含め、さまざまな要因を考慮する必要があります。

レイヤー タイプ説明

フィーチャ レイヤー

フィーチャの検索、視覚化、および編集に対応しています。フィーチャ レイヤーは、ベースマップの上でベクター データを視覚化するのに適しています。[すべてのデータをコピー] データ オプションを使用してフィーチャ レイヤーを ArcGIS Enterprise で共有している場合、サービスはホスティング サーバーに常に公開されます。[登録済みデータを参照] データ オプションを使用してフィーチャ レイヤーを ArcGIS Enterprise で共有している場合、そのフィーチャ レイヤーは、マップ イメージ レイヤーに依存するレイヤーとして共有されます。

フィーチャ レイヤーはフィーチャ サービスを公開します。

タイル レイヤー

事前に描画されたマップ画像またはタイルのコレクションを使用した、高速なマップ表示をサポートしています。これらのタイルは、データがアップロードされた後にサーバー上に作成され、保存されます。Web タイル レイヤーはベースマップに適しています。タイル レイヤーを ArcGIS Enterprise で共有する場合、サービスはホスティング サーバーに常に公開されます。

タイル レイヤーは、ホストされたキャッシュ マップ サービスを公開します。

ベクター タイル レイヤー

事前に描画されたベクター タイルのコレクションを使用した、高速なマップ表示をサポートしています。ベクター タイルは、ラスター データをサポートしていませんが、表示デバイスの解像度に合わせて調整し、さまざまな用途に応じてスタイルを変更することができます。ベクター タイル レイヤーを ArcGIS Enterprise で共有する場合、そのサービスはホスティング サーバーに常に公開されます。

ベクター タイル レイヤーは、ベクター タイル サービスを公開します。

マップ イメージ レイヤー

マップの視覚化とフィーチャの検索に対応しています。マップ イメージ レイヤーは、サーバーによって、またはタイルから動的に描画することができます。マップ イメージ レイヤーは、ArcGIS Enterprise でのみ共有できます。マップ イメージ レイヤーは、ワークスペース内でフェデレーション サーバーに登録されているデータセットを参照できます。マップ イメージ レイヤーを共有する場合、そのサービスは、アクセス許可のあるポータルにフェデレートされている任意のサーバーに公開されます。追加レイヤーおよび追加機能を有効化できます。詳細については、「追加レイヤーおよび追加機能」をご参照ください。

マップ イメージ レイヤーは、動的なマップ サービスまたはキャッシュ マップ サービスを公開します。

シーン レイヤー

ポイント3D オブジェクトビルディング点群データの検索および視覚化に対応しています。シーン レイヤーを ArcGIS Enterprise で共有する場合、シーン サービスはホスティング サーバーに常に公開されます。

ポイントおよび 3D オブジェクト シーン レイヤーにはフィーチャ サービスを関連付けることができ、これによってシーン レイヤーを編集できます。

イメージ レイヤー

視覚化、メタデータ、計測、ベースマップまたは解析結果としてデータを表示する画像処理に対応しています。イメージ レイヤーは、ArcGIS Enterprise とフェデレートされているサーバーと共有されます。

イメージ レイヤーは、動的イメージ サービスまたはキャッシュ イメージ サービスを公開します。

標高レイヤー

シーンの地表サーフェス内にある標高データ ソースの視覚化、メタデータ、計測、画像処理に対応しています。標高レイヤーは、Web シーン レイヤーでカスタム標高サーフェス上に 3D コンテンツを表示するために使用されます。ローカルにキャッシュされている標高レイヤーを ArcGIS Enterprise で共有する場合、サービスはホスティング サーバーに常に公開されます。サーバーにキャッシュしたサービスは ArcGIS Enterprise とフェデレートされているサーバーに公開できます。

標高レイヤーは、LERC 圧縮タイル スキーマを使用するキャッシュ イメージ サービスを公開します。

スタンドアロン テーブル

テーブル属性の表示、フィルター処理、および編集をサポートしています。

スタンドアロン テーブルはフィーチャ サービスを公開します。

アクティブなポータルによって、共有できるレイヤー タイプが異なります。一部のレイヤー タイプでは、アクティブなポータルや共有するデータのタイプに応じて、パッケージを作成してアップロードする必要があります。

アクティブなポータルによって異なるレイヤー タイプ

アクティブなポータルフィーチャ レイヤータイル レイヤーベクター タイル レイヤーマップ イメージ レイヤーシーン レイヤー—3D オブジェクトシーン レイヤー—ポイントシーン レイヤー—点群シーン レイヤー—ビルディングイメージ レイヤー標高レイヤースタンドアロン テーブル

ArcGIS Online

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

ArcGIS Enterprise 10.7

以降

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

ArcGIS Enterprise 10.510.6.1

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

Portal for ArcGIS 10.4 および 10.4.1

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

サポート対象

Portal for ArcGIS 10.3.1

サポート対象

サポート対象

サポート対象

Portal for ArcGIS 10.3 以前

サポート対象

サポート対象

レイヤー タイプの選択

レイヤー タイプを選択するときには、以下の点を考慮します。

  • レイヤーを編集ワークフローで使用する場合、フィーチャ レイヤーを選択します。
  • データが定期的に変化し、編集ワークフローで使用されない場合、マップ イメージ レイヤーを選択します。
  • データが半定期的に変化する場合は、マップ イメージ レイヤーを選択し、キャッシュ タイルを使用して表示するように構成します。
  • データが静的ベクター データであり、視覚化のためだけに使用される場合、ベクター タイル レイヤーを選択します。
  • データが静的ラスター データであり、視覚化のためだけに使用される場合、タイル レイヤーを選択します。
  • クライアント上でラスター データセットの視覚化を動的に変更する場合、イメージ レイヤーを共有します。
  • オープン ソース形式が必要な場合、マップ イメージ レイヤーを選択し、関連する WMS レイヤーを含めます。

登録済みデータ ソースの参照

ArcGIS Enterprise で共有している場合は、登録済みデータを参照すること、またはすべてのデータをコピーすることを選択できます。Portal for ArcGIS 10.4 以降を共有する場合も、これらのデータ オプションを使用できます。フェデレーション サーバーに登録されているデータ ソースからデータを参照するには、[登録済みデータを参照] オプションを選択します。データ登録の詳細については、「ArcGIS Server へのデータの登録」をご参照ください。

Web レイヤーから登録済みデータ ソースにアクセスできないようにするには、[すべてのデータをコピー] を選択します。[すべてのデータをコピー] を使用する場合、ArcGIS Pro によってマップ内のすべてのレイヤーがサーバーにコピーされます。これには、登録済みデータも含まれます。Web レイヤーは、サーバーにコピーされたデータを使用します。

登録済みデータを参照するためにはマップ イメージ レイヤーが含まれている必要があります。マップ イメージ レイヤーは、[登録済みデータを参照] をオンにすると自動的に選択されます。

  • マップ イメージ レイヤーと登録済みデータ
    • [登録済みデータを参照] オプションを使用してマップ イメージ レイヤーを共有する場合、マップ イメージ レイヤーは登録済みデータ ソースを参照します。未登録のデータ ソースを使用するレイヤーは、ファイル ジオデータベースとしてサーバーにコピーされます。
    • [すべてのデータをコピー] オプションを使用してマップ イメージ レイヤーを共有する場合、登録済みデータ ソースのデータを含むすべてのデータがファイル ジオデータベースとしてサーバーにコピーされます。
  • フィーチャ レイヤーと登録済みデータ
    • [登録済みデータを参照] オプションを使用してフィーチャ レイヤーを共有する場合は、すべてのレイヤーに、データ ソースとして同じエンタープライズ データベースが必要となります。データベースは、選択したフェデレーション サーバーに登録されている必要があります。Web フィーチャ レイヤーとソース データに加えた編集は、Web レイヤーとソース データの両方に反映されます。
    • [すべてのデータをコピー] オプションを使用してフィーチャ レイヤーを共有する場合、すべてのレイヤーはホスティング サーバーの管理されたデータベースにコピーされます。

レガシー:

Portal for ArcGIS 10.4.1 以前で共有している場合は、次のことが当てはまります。

公開者のコンピューターとサーバーが、異なるジオデータベースを登録済みデータ ソースとして使用している場合、登録済みデータへの参照はサポートされていません。公開者のコンピューターとサーバーが、異なるフォルダーを登録済みデータ ソースとして使用している場合、登録済みデータへの参照はサポートされています。

データ ソースは、共有する前にポータルのフェデレーション サーバーに登録することができます。これには [登録済みデータ ストアの管理] ウィンドウを使用します。詳細については、「登録済みデータ ストアの管理」をご参照ください。また、解析ツールの警告 24011 および 24012 を解決するか、解析ツールのエラー 00231 および 00232 を解決することで、データ ソースを共有ウィンドウ内で登録することもできます。

登録済みデータを参照

登録済みデータを参照するかどうか決定するときは、以下の事項を考慮してください。

  • Web レイヤーまたはエンタープライズ データを編集して、Web レイヤーとソース データの両方で動的に表示する場合は、[登録済みデータを参照] を選択します。
  • データ ソースがフェデレーション サーバーに登録されているが、レイヤーからソース データを参照しないようにする場合は、[すべてのデータをコピー] を選択します。データがサーバーにコピーされます。
  • アクティブなポータルが ArcGIS Enterprise 10.5 または Portal for ArcGIS 10.4.1 以前であり、Collector または他の同期ベースのワークフローを使用する場合は、[すべてのデータをコピー] を選択します。登録済みデータ ソースを参照するフィーチャ レイヤーは、同期とエクスポートに対応していません。

レイヤー ID とテーブル ID の保持

デフォルトでは、Web レイヤーが上書きされるとサービスのレイヤー ID とテーブル ID は保持されません。レイヤーの順序を変更したり、レイヤーの追加や削除を行ったりした場合には、サービスを利用する Web マップなどのクライアント アプリケーションで、更新後の ID を使用するよう変更する必要があります。クライアント アプリケーションを更新しないようにするには、マップ イメージ レイヤーや Web フィーチャ レイヤーを共有する前に、レイヤー ID とテーブル ID を保持するようマップを作成する必要があります。

レイヤー ID とテーブル ID を保持するには、次の手順に従います。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップを右クリックし、[プロパティ] プロパティ をクリックします。
  2. [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブで [Web レイヤーを共有できるよう一意の数値 ID の割り当てを許可] をオンにし、[OK] をクリックします。

    マップの各レイヤーとテーブルに、連番の ID が割り当てられます。

  3. あるいは、マップ内のレイヤーとテーブルにカスタム ID を割り当てることもできます。
    1. [コンテンツ] ウィンドウでレイヤーまたはテーブルを右クリックし、[プロパティ] プロパティ をクリックします。
    2. [レイヤー プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブの [レイヤー ID] テキスト ボックスにカスタム整数 ID を入力します。

      この ID には任意の整数を指定できます。指定する ID は連番でなくてもかまいません。

    3. 必要に応じ、各レイヤーやテーブルに上記の 2 ステップを繰り返します。
  4. マップをマップ イメージ レイヤーか Web フィーチャ レイヤーとして共有します。ID は公開後も維持されるため、Web レイヤーが後から上書きされてもクライアント アプリケーションを更新する必要はありません。

メタデータ

マップ全体、一部のレイヤー、グループ レイヤー、または単一のレイヤーを ArcGIS Pro の Web レイヤーとして共有できます。Web レイヤーも、Web レイヤーによって公開されるサービスのサブレイヤーも、メタデータを保存できます。選択された Web レイヤーの種類によって、メタデータを保存できるのが Web レイヤーだけなのか、または Web レイヤーとサブレイヤーの両方なのかが決まります。

すべての Web レイヤーには、Web レイヤー アイテムと共有したもの (マップ全体、グループ レイヤーなど) のメタデータが保存されます。一部のレイヤーでは、メタデータの単一ソースがないため、共有ウィンドウで指定されたサマリーとタグだけが Web レイヤーに保存されます。ローカルにキャッシュされた Web レイヤーには、[アイテム情報] 形式で表示されたメタデータ コンテンツのみ含まれます。その他すべてのレイヤーには、共有したアイテムの完全なメタデータが保存されます。ローカルにキャッシュされた Web レイヤーに完全なメタデータを追加するには、メタデータをインポートします。詳細については、「アイテムへのメタデータのコピーまたはインポート」をご参照ください。

共有されるものメタデータ ソース

マップ全体

マップのメタデータ

一部のレイヤー

該当なし 共有ウィンドウで指定されたサマリーとタグだけが Web レイヤーに保存されます。

グループ レイヤー

グループ レイヤーのメタデータ

単一レイヤー

レイヤーのメタデータ

マップ イメージとフィーチャ レイヤーには、メタデータとサービスのサブレイヤーも保存されます。各サブレイヤーには、ArcGIS Pro で作成された、対応する ArcGIS Pro レイヤーまたはテーブルの完全なメタデータが公開されます。レイヤーとテーブルは、以下の 2 通りの方法で作成できます。

  • [データ ソースからメタデータを表示 (読み取り専用)] - データセットのメタデータを参照します。
  • [レイヤーに独自のメタデータがあります] または [テーブルに独自のメタデータがあります] - プロジェクト内に保存されている、レイヤーまたはテーブルを説明するメタデータを表示します。
メモ:

Enterprise に共有するときに選択されたデータ オプションである [登録済みデータを参照] または [すべてのデータをコピー] は、実際のデータに加えてレイヤーのメタデータに対して適用されます。つまり、[データ ソースからメタデータを表示 (読み取り専用)] を使用してデータ ソースからメタデータを表示するためにレイヤーを作成し、共有するときに [登録済みデータを参照] を選択した場合には、データセットのメタデータへの変更はサブレイヤーのメタデータに自動的に表示されます。

たとえば、市が管理する樹木の情報を管理する組織が、Web マップを使用し、注意が必要な樹木について市民からの情報を収集するとします。ボランティアがクラウドソースの情報を定期的に確認し、それを検証してから、市の森林管理部にその情報を提供します。ArcGIS Pro には 2 つのマップがあり、そのうちの 1 つはマップ イメージ レイヤーとして共有され、ベースマップとして使用されます。もう 1 つのマップには樹木のレイヤーがあり、Web フィーチャ レイヤーとして共有され、Web マップで編集可能な操作レイヤーとして使用されます。

ベースマップ マップのメタデータには、樹木の管理プログラムに関する一般的な情報が含まれています。マップには、建物のフットプリント、道路、市の境界などの複数のレイヤーがあります。これらの各レイヤーには、データ ソースのメタデータが示されます。マップ全体を、登録済みデータを参照するマップ イメージ レイヤーとして共有すると、Web レイヤー アイテムはマップのメタデータ (樹木の管理プログラムに関する一般的な情報) を表示し、サブレイヤーは元のデータ ソースのメタデータを表示します。データ ソースのメタデータを更新すると、サブレイヤーにも自動的に反映されます。

樹木レイヤーには、独自のメタデータがあります。データ ソースのメタデータはレイヤーにコピーされ、Web レイヤーの更新頻度や、精度を確認する頻度に関する情報を含むよう変更されます。樹木レイヤーだけを共有すると、Web レイヤー アイテムとサービスのサブレイヤーの両方に、レイヤーのメタデータ (修正内容も含む) が含まれるようになります。レイヤーのメタデータに対する更新は、Web フィーチャ レイヤーが上書きされなければ Web レイヤーやサブレイヤーには反映されません。

メタデータの作成については、「メタデータの表示と編集」をご参照ください。

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