コスト距離関数

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

概要

コスト サーフェス上で最小コスト ソースとの最小累積コスト距離をセルごとに計算します。

コスト距離 (Cost Distance) の図

[コスト距離 (Cost Distance)] ツールの詳細

グローバル ラスター関数です。

備考

入力ソース データはラスター レイヤーである必要があります。

[ソース ラスター] 内に存在する NoData 値は、関数の有効な値として含まれません。 値 0 (ゼロ) は、ソース ラスター内の正当な値と見なされます。 [ソース ラスター] を作成するには、抽出ツールまたはクリップ関数を使用します。

ソース フィーチャがある場合は、フィーチャのラスター化関数を使用してそれらのフィーチャをラスター データセットに変換できます。 既存の [コスト ラスター] を、このラスター化関数の [ラスター] 入力として使用します。 これにより、フィーチャが確実に、同じセル サイズ、範囲、および空間参照を使用して正しく変換されるようになります。

[入力コスト ラスター] で NoData のセル位置は、コスト サーフェス ツールでバリアの役割を果たします。 入力コスト サーフェスで NoData が割り当てられたセル位置は、すべての出力ラスター (コスト距離、アロケーション、バックリンク) で NoData になります。

[コスト ラスター] 内の NoData のセル値は、コスト サーフェス内でバリアの役割を果たします。 [コスト ラスター] 内で NoData 値が割り当てられているセルは、出力ラスターでも NoData 値になります。 このアルゴリズムは乗算過程なので、[コスト ラスター] に値 0 を含めることができません。 値 0 が低コスト地域を表す場合、Con 関数を使用して、値 0 を小さな正の値 (0.01 など) に変更します。 値 0 が解析から除外する必要のある地域を表している場合、Set Null 関数を使用して、この値を NoData に変更する必要があります。

[ソース ラスター][コスト ラスター] の範囲が異なる場合、デフォルトの出力範囲は 2 つのラスターの交差部分です。 範囲全体のコスト距離サーフェス出力を取得するには、[出力範囲] ジオプロセシング環境で [入力データのすべての領域] オプションを選択します。

[最大距離][コスト ラスター] と同じコスト単位で指定します。

ソースの特性、またはソースからの移動者は、次のパラメーターで制御できます。

  • [コストに適用する乗数] - 移動のモードまたはソースの強度。
  • [開始コスト] - 移動開始前の開始コスト。
  • [累積コスト耐性率] - ハイカーの疲労度のシミュレーションなど、累積コストの影響を考慮した動的な調整。
  • [許容値] - 制限に達するまでソースが許容できるコスト。

値を使用してソースの特性パラメーターを指定した場合、すべてのソースにその値が適用されます。 [ソース ラスター] に関連付けられたフィールドを使用してパラメーターを指定した場合、テーブル内の値が対応するソースだけに適用されます。

出力ラスターの場合、セルから一部のソース位置までの最小コスト距離 (または最小累積コスト距離) は、セルから全ソース位置までの最小コスト距離の下限です。

ジオプロセシング環境内でマスクが設定されている場合、マスクされたすべてのセルは値が NoData として扱われます。 [ラスター解析] ウィンドウでマスクを定義していて、マスク対象のセルがソースをマスクする場合は、残りのソース セルに対して計算が実行されます。 マスクされるソース セルは計算では考慮されません。 このようなセル位置には出力ラスターで NoData が割り当てられます。 この関数に適用されるジオプロセシング環境の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。

パラメーター

パラメーター名説明

ソース ラスター

(必須)

入力ソース位置。

これは、あらゆる出力セル位置について最小累積コスト距離が計算されるセルまたは位置を特定するラスター データセットです。

コスト ラスター:

(必須)

各セルを平面的に通過する際にかかるコストまたはインピーダンスを定義するラスター。 各セル位置の値は、そのセル上を通過するための単位距離あたりのコストを表します。 セルを通過する総コストを取得するために、各セル位置の値にセル解像度を乗算して、対角移動の補正も行います。

[コスト ラスター] として、整数値または浮動小数点値を使用できますが、負の値や 0 は使用できません。

最大距離

累積コスト値が超えることのできない閾値。 累積コスト距離がこの値を超える場合、セル位置の出力値は NoData になります。 最大距離は、累積コスト距離を計算する範囲を定義します。 デフォルトは出力ラスターの範囲までです。

コストに適用する乗数

コスト値に適用する乗数です。

このパラメーターを使用すると、移動のモードまたはソースの強度を制御できます。 乗数が大きいほど、各セルの移動コストが大きくなります。

0 より大きい値を指定する必要があります。 デフォルトは 1 です。

このパラメーターには数値 (double) または [ソース ラスター] のフィールドを使用できます。

開始コスト

コスト計算の最初の開始コストです。 このパラメーターを使用すると、ソースに関連付けられた固定コストを指定できます。 コスト アルゴリズムは、コスト 0 から開始する代わりに、設定された値から開始します。

値は 0 以上である必要があります。 デフォルトは 0 です。

累積コスト耐性率

このパラメーターは、累積コストの増加に伴う、コストに対処する労力の増加をシミュレートします。 これは、移動者の疲労をモデル化するのに使用されます。 セルに到達するまでに増加した累積コストが耐性率で乗算され、次のセルに移動するコストに追加されます。

これは、複利率の計算式の変更バージョンであり、セルの移動による見かけコストの計算に使用されます。 耐性率の値が増えると、後に移動するセルのコストが増加します。 耐性率が大きいほど、次のセルに到達するための追加コストが大きくなります。これは、移動するごとに大きくなります。 耐性率は複利と似ており、累積コストの値は一般に非常に大きいため、耐性率は累積コストの値に応じて 0.005 やこれより小さいレートをお勧めします。

0 より大きい値を指定する必要があります。 デフォルトの許容値は出力ラスターのエッジまでです。

このパラメーターには数値 (double) または [ソース ラスター] のフィールドを使用できます。

許容値

ソースに対する移動者のコスト許容値を定義します。 指定した許容値に達するまで、各ソースのコスト計算が続行されます。

0 より大きい値を指定する必要があります。 デフォルトの許容値は出力ラスターのエッジまでです。

このパラメーターには数値 (double) または [ソース ラスター] のフィールドを使用できます。

移動方向

ソースの耐性率を適用する際の、移動者の方向を定義します。

  • [ソースから] - ソースの耐性率は、入力ソースを起点としてソース以外のセルに離れていく場合に適用されます。 これがデフォルトです。
  • [ソースへ] - ソースの耐性率は、ソース以外の各セルを起点として入力ソースへ戻る場合に適用されます。

[ソースから] または [ソースへ] キーワードを選択します。これは、すべてのソースに適用されます。または、[ソース ラスター] から、各ソースの移動方向を識別するキーワードを含むフィールドを指定します。 このフィールドには、文字列 FROM_SOURCE または TO_SOURCE が含まれている必要があります。

環境設定

グローバル関数のジオプロセシング環境設定は、アプリケーション レベルで制御されます。 ArcGIS Pro での処理環境の設定は、[解析] タブの [環境] ボタンをクリックして行うことができます。 環境設定の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。

このグローバル関数では、次の環境がサポートされています。

関連トピック


このトピックの内容
  1. 概要
  2. 備考
  3. パラメーター
  4. 環境設定