中心性スコアを計算し、ナレッジ グラフに基づいてリンク チャート内のエンティティの重要度を計測します。 中心性スコアは、リンク チャートが示すグラフ内の位置に応じてエンティティのランキングを提供します。 スコアは、リンク チャートにおいて重要な役割を果たすリンク チャート エンティティを特定します。 たとえば、スコアにより、ソーシャル ネットワークで最も影響力のある人、病気の拡大に関与するイベント、都市ネットワークの重要なインフラ ノードなどを特定できます。
中心性スコアは、特定のリンク チャートのコンテンツに関して算出されます。 各エンティティのスコアは、リンク チャート上に存在する他のエンティティおよびリレーションシップを基準としたグラフ内の位置により異なります。 コンテンツをリンク チャートに追加するか、リンク チャートから削除すると、スコアが変化します。 同様に、同じエンティティが異なるリレーションシップのセットを示す別のリンク チャートに含まれていると、そのエンティティのスコアは異なります。 リンク チャートの中心性スコアは、中心性テーブル ビュー 
に表示されます。
以下のセクションでは、計算される中心性スコア、およびリンク チャートの操作中にこれらのスコアを視覚化および更新する方法について説明します。
中心性のメジャー値
ナレッジ グラフに基づくリンク チャートでは、6 つの異なる中心性のメジャー値 (次数、固有ベクトル、ページランク、媒介、近接、調和) が計算されます。 これらの計算はすべて、リンク チャートの中心性テーブルの異なるフィールドに存在します。
次数、固有ベクトル、およびページランク スコアは、エンティティが属するリレーションシップの数に基づいて計算されます。 媒介、近接、調和スコアは、エンティティからリンク チャート内にある他のすべてのエンティティまでのパスの長さに基づいて計算されます。
ナレッジ グラフ内のすべてのリレーションシップには、関連元エンティティから関連先エンティティまで、リレーションシップの定義時の元々の方向があります。 ただし、デフォルトで、リンク チャートの中心性スコアは、リレーションシップの方向を無視する方法で計算されます。 リレーションシップの方向を考慮する方法であったり、さらに、リレーションシップの元々の方向を反転する方法で、スコアを計算することもできます。 リレーションシップの方向を考慮する場合、エンティティの中心性スコアが異なる可能性があります。
エンティティ グループは、中心性テーブルに 1 行で表され、そのグループの中心性スコアが計算されます。 これに対して、リレーションシップは「ウェイトの累積オプション」の決定に従ってグループ化された場合でも、個別に考慮されます。
次数中心性
次数中心性スコアは、エンティティが属するリンク チャート リレーションシップの総数として定義されます。 次数スコアは、グラフの中心となるエンティティを決定するのに役立ちます。 たとえば、リンク チャートがソーシャル ネットワークを表現している場合、次数スコアが高い Person エンティティは、他の Person エンティティと複数接続しているエンティティであり、ネットワークの中心に近くなります。
リレーションシップ方向を考慮した場合、エンティティの入次数と出次数を反映するように全体的な次数スコアを分類できます。 入次数スコアは、入ってくるリレーションシップの数を反映します。つまり、エンティティはリレーションシップの関連先にあります。 出次数スコアは、出て行くリレーションシップの数を反映します。つまり、エンティティはリレーションシップの関連元にあります。 Person の出次数スコアが高い場合、情報の流布に関してより重要である場合があります。 Person の入次数スコアが高い場合、さまざまなソースから情報を受け取る可能性が高くなります。
エンティティがリレーションシップの関連元と関連先の両方である場合に再帰リレーションシップが生じます。このリレーションシップは、エンティティの次数を計算するときにカウントされます。 エンティティが 1 つの再帰リレーションシップだけに属している場合、そのエンティティの次数は 2 (入次数 1、出次数 1) になります。
これらの中心性スコアは、中心性テーブルの Degree、Indegree、および Outdegree フィールドに表示されます。
固有ベクトル中心性
固有ベクトル中心性スコアは、エンティティに含まれる接続の数だけでなく、グラフ内にあるこれらの接続の重要度も反映します。 たとえば、ソーシャル ネットワークを表すグラフ内の Person A エンティティに複数の接続が含まれ、いくつかの接続されたエンティティがグラフ内で影響力が高い場合、結果として、Person A の固有ベクトル スコアが高くなります。 ただし、Person B に Person A と同じ接続の数が含まれるが、Person B の接続先のエンティティにその他の接続がほとんどない場合、結果として Person B のスコアが低くなります。
このスコアは再帰的に計算されます。 各エンティティは同じスコアで始まります。 各パスを使用して、直近の近傍のスコアを考慮するようにエンティティのスコアが更新されます。 この中心性のメジャー値では、Person A と Person C がさまざまな方法で相互に接続される可能性があることを考慮しません。 両者間に複数の接続があるため、両者の固有ベクトル スコアが高くなります。
リレーションシップ方向を考慮した場合、中心性を計算するこの固有ベクトル方法には、スコアがグラフの一部から効果的に流出して、他のエリアに溜まる場合の効果 (飢餓効果と呼ばれる) があります。 一部のエンティティはスコアがゼロで終わる可能性があります。
このスコアは、中心性テーブルの Eigenvector フィールドに表示されます。
ページランク中心性
ページランク中心性スコアは、固有ベクトル スコアと同様の方法で計算されます。 固有ベクトルと同様に、エンティティのスコアは、エンティティに含まれる接続の数だけでなく、グラフ内にあるこれらの近傍エンティティに含まれる接続の数も反映します。 エンティティは、複数の接続を持つ、複数の接続されたエンティティを含んでいるときにスコアが高くなります。
ただし、ページランク計算は、各パスでのエンティティから近傍へのスコアの反映方法を正規化します。 エンティティのスコアは、そのエンティティに含まれる近傍エンティティの数で除算されます。 リレーションシップの方向が考慮される場合、ページランク スコアは飢餓効果を減らすため、固有ベクトル スコアの代わりにページランク スコアを使用して最も重要なエンティティを判定します。
このスコアは、中心性テーブルの PageRank フィールドに表示されます。
媒介中心性
媒介中心性スコアは、グラフ内のエンティティ間の最短パスに基づいて計算されます。 最短パスはリンク チャート内のすべてのエンティティ間で計算されます。 複数の最短パスが 1 つのエンティティを通っていると、そのエンティティの媒介中心性スコアが高くなります。 たとえば、ソーシャル ネットワークを表すリンク チャートで、このスコアは、チャート上にある他のすべてのエンティティに情報を伝えるときに、Person エンティティがどれだけ効果的かを決定することができます。
リレーションシップの方向を考慮する場合、最短パスが大きく異なる可能性があります。 たとえば、情報が同じ Person に戻る方法とは異なる方法で、情報がいくつかのエンティティから流出する場合があります。
このスコアは、中心性テーブルの Betweenness フィールドに表示されます。
近接中心性
近接中心性スコアも、グラフ内のエンティティ間の最短パスに基づいて計算されます。 これは、最短パスの長さを考慮します。 エンティティのスコアは、そのエンティティからグラフ内にある他のエンティティまでの平均長によって決まります。 ソーシャル ネットワークを表すリンク チャートで、ある Person エンティティの近接中心性スコアが高い場合、そのエンティティはチャート上にある他の Person エンティティとより直接的に通信できます。
このスコアは、中心性テーブルの Closeness フィールドに表示されます。
調和中心性
調和中心性スコアは、近接中心性スコアと同様の方法で計算されます。 ただし、リンク チャート上にあるエンティティ間の最短パスを決定するのではなく、調和中心性スコアは、最短パスの逆距離を考慮して計算されます。 グラフに分断されているサブグラフがある場合、リンク チャート上に表されるグラフの一部に到達できないため、調和中心性の方が良い結果が得られます。
このスコアは、中心性テーブルの Harmonic フィールドに表示されます。
中心性テーブルを開く
リンク チャートに含まれるエンティティの中心性スコアは、中心性テーブル で提供されます。 テーブルにはエンティティごとに 1 つの行があります。 テーブルのフィールドは、エンティティの表示名、エンティティ タイプ、中心性のメジャー値ごとに計算されたスコアを表示します。
中心性スコアを表示するフィールドで、テーブル内の各セルに、リンク チャート内の他のエンティティを基準としたエンティティのスコアを表示する動的な青いヒストグラム バーがあります。 バーの長さは、そのフィールドの最大スコアに比例します。
マップ内のフィーチャ レイヤーに関連付けられた属性テーブルを操作するのと同じ方法で、中心性テーブルを操作できます。 たとえば、フィールドの見出しをクリックすると、そのフィールドの値を使用してテーブルの行を並べ替えることができます。 中心性スコアを格納したフィールドを使用して中心性テーブルを並べ替えると、その中心性メジャー値のヒストグラムを視覚化できます。
中心性テーブルの行を 1 つ以上クリックして選択すると、リンク チャート上の対応するエンティティが選択されます。 同様に、リンク チャート上のエンティティを選択すると、テーブル内の対応する行が選択されます。
中心性テーブルを開いて、リンク チャート内のエンティティの中心性スコアを表示し、次の手順に従ってテーブルのコンテンツを調べます。
- リボンの [リンク チャート] タブの [解析] グループで、[中心性] をクリックします
中心性テーブル
が開きます。 中心性テーブル ビューのタブに表示される名前は、中心性スコアが計算されたリンク チャートを識別します。 テーブルの行は、デフォルトで Degree フィールドの値を使用して並べ替えられます。
- 中心性テーブルの行をクリックして選択します。
リンク チャートで、対応するエンティティまたはエンティティ グループが選択されます。
- 中心性テーブルで別のフィールドの見出しをクリックして、そのフィールドを使用して行を並べ替えます。
中心性スコアの計算方法の変更
中心性テーブル ビューの上部にあるツールバーに表示されるオプションを使用すると、中心性スコアの計算方法を調整できます。
ドキュメントを含める
デフォルトで、中心性スコアが計算される際は、Document エンティティと HasDocument リレーションシップは、リンク チャートに存在する場合であっても考慮されません。 必要に応じて、Document エンティティを計算に含めることができます。 たとえば、これにより、ソース Document がリンク チャート上に存在する場合のエンティティまたは調査に対する特定のソースの影響を特定することができます。
- 中心性テーブル ビューの上部にあるツールバーで、[ドキュメントを含める] オプションをオン/オフします。
- オン - 中心性スコアを計算する際に Document エンティティを含めます。 中心性スコアはリンク チャート上の Document エンティティごとに計算され、HasDocument リレーションシップは Document に関連付けられたエンティティの中心性スコアに影響します。
- オフ - 中心性スコアを計算する際に Document エンティティを除外します。 エンティティの HasDocument リレーションシップは、そのエンティティの中心性スコアに影響しません。 これがデフォルトです。
中心性テーブルの行が自動的に更新され、この設定への変更が反映されます。 Document エンティティを示す行がテーブルに追加、またはテーブルから削除され、中心性スコアが自動的に再計算されます。
リレーションシップの方向を考慮
リレーションシップには、関連元エンティティから関連先エンティティまで、リンク チャート上に示される元々の方向があります。 デフォルトで、リンク チャートに対して中心性スコアが計算される際は、リレーションシップの方向は考慮されません。 ただし、方向が調査に関連している場合は、リレーションシップの方向を考慮する方法で、中心性スコアを計算できます。
- 中心性テーブル ビューの上部にあるツールバーで、[リレーションシップ] ドロップダウン リストをクリックします。
- 中心性スコアを計算する際にリレーションシップの方向を考慮する方法を決定するオプションをクリックします。
- [双方向]
- 中心性スコアを計算する際にリレーションシップの方向を無視します。 これがデフォルトです。 - [一方向]
- 中心性スコアを計算する際にリレーションシップの方向を使用します。 - [一方向の反転]
- 中心性スコアを計算する際にリレーションシップの方向の逆を使用します。 リレーションシップの関連元が関連先、関連先が関連元であるようにスコアが計算されます。
- [双方向]
中心性テーブルのスコアが自動的に更新され、この設定への変更が反映されます。
2 つのエンティティ間の複数のリレーションシップを考慮
ウェイトの累積オプションは、2 つのエンティティ間に複数のリレーションシップが存在する場合にリレーションシップを考慮する方法を決定します。 各リレーションシップを個別に考慮したり、リレーションシップのセットを 1 つのリレーションシップであるかのように見なすこともできます。 2 つのエンティティ間にリレーションシップが 1 つしか存在しない場合、この設定は中心性スコアに影響しません。
2 つのエンティティ間のリレーションシップ セットを 1 つのリレーションシップと見なす場合、結果は、2 つのエンティティ間にリレーションシップが 1 つだけ存在する場合と同じになります。 リレーションシップの方向を考慮すると、リレーションシップのセットを処理する方法に方向が適用されます。 2 つのエンティティ間で同じ方向に進むすべてのリレーションシップが 1 つのリレーションシップと見なされます。
リンク チャート上で複数のリレーションシップがグループ化された場合、そのグループは中心性スコアの計算方法に影響しません。 グループ内の各リレーションシップは考慮されないか、[ウェイトの累積] 設定に基づきません。
- 中心性テーブル ビューの上部にあるツールバーで、[ウェイトの累積] オプションをオン/オフします。
- オン - 2 つのエンティティ間に複数のリレーションシップが存在する場合、各リレーションシップは個別に考慮され、すべてのリレーションシップが両エンティティの中心性スコアに寄与します。 これがデフォルトです。
- オフ - 2 つのエンティティ間に複数のリレーションシップが存在する場合、リレーションシップが 1 つしかないかのように、エンティティ間のすべてのリレーションシップがまとめて考慮されます。 複数のリレーションシップの有無は、両エンティティの中心性スコアには影響しません。
中心性テーブルのスコアが自動的に更新され、この設定への変更が反映されます。
中心性スコアの正規化
中心性スコアが計算される際は、リンク チャート全体に対して計算され、デフォルトで未処理のスコアがテーブルに表示されます。
ただし、[グローバルに正規化] オプションを使用すると、リンク チャート全体の中心性スコアを最大スコアの比率で表すことによって正規化することができます。 たとえば、最大次数スコアが 6 の場合、中心性テーブルの Degree フィールドで、スコアが 6 のエンティティの値は「1.0」となり、他のエンティティのスコアは 1 未満になります。
リンク チャートを構築する際、分断されているサブグラフ (接続されていないエンティティとリレーションシップの 2 つのネットワーク) が含まれる場合があります。 このようなリンク チャートの中心性スコアは全体的に低くなります。一方のサブグラフ内のエンティティが他方のサブグラフに到達できず、リンク チャート全体の中心となることができないためです。 このシナリオの場合、[コンポーネントで正規化] オプションを使用して、各サブグラフ内で正規化される中心性スコアを計算できます。 リンク チャートに表示されるグラフが 1 つしかない場合、この設定は [グローバルに正規化] と同じ結果になります。
- 中心性テーブル ビューの上部にあるツールバーで、[スコア] ドロップダウン リストをクリックします。
- リレーションシップの中心性スコアを正規化する方法を決定するオプションをクリックします。
- [未処理] - 中心性スコアは正規化されません。 これがデフォルトです。
- [グローバルに正規化] - リンク チャート内のすべてのエンティティとリレーションシップに対して計算されたスコアを基準として、中心性スコアが正規化されます。
- [コンポーネントで正規化] - 分断されている各サブグラフに属しているエンティティとリレーションシップを基準として、中心性スコアが正規化されます。
中心性テーブルのスコアが自動的に更新され、この設定への変更が反映されます。
特定のエンティティ タイプのスコアを表示
デフォルトで、中心性テーブルには、リンク チャートにあるすべてのエンティティの行が含まれています。 リンク チャートが大きいと、テーブルに表示される情報が多すぎて処理できなくなる可能性があります。 テーブルに表示される行をフィルター処理して、特定のエンティティ タイプのスコアだけを表示できます。
デフォルトでは、すべてのリンク チャート エンティティとそのスコアが中心性テーブルに表示されます。
- 中心性テーブル ビューの上部にあるツールバーで、[タイプ] ボタン
をクリックします。そのタイプのエンティティがリンク チャートに表示されていない場合でも、ナレッジ グラフ内のすべてのエンティティ タイプを含むドロップダウン リストが表示されます。 デフォルトでは、すべてのエンティティ タイプがオンになっています。
- ドロップダウン リストで、中心性テーブルに表示するエンティティ タイプをオンにします。 テーブルに表示しないエンティティ タイプはオフにします。 リストに表示されていない場合は、そのエンティティ タイプまたはリレーションシップ タイプの名前を入力します。エンティティ タイプのリストが自動的にフィルター処理され、フィルター処理されたリストでエンティティ タイプをオン/オフできます。
選択したエンティティ タイプの総数がツールバーの [タイプ] ボタン
の横に表示されます。
中心性テーブルの行が自動的に更新されます。 オフにしたエンティティ タイプのエンティティを表示する行が削除されます。 オンにしたエンティティ タイプのエンティティを表示する行が追加されます。
中心性テーブルのスコアの更新
いつでもリンク チャートにコンテンツを追加したり、リンク チャートから削除したりできます。 分断されているサブグラフを新しいリンク チャートに追加したり、既存のリンク チャートから削除したりできます。 リレーションシップを作成するか、2 つのエンティティをマージすることで、リンク チャートに関連付けられているナレッジ グラフ内のデータを編集することもできます。 リンク チャート上のエンティティをグループ化することもできます。
コンテンツを編集する前にリンク チャートの中心性テーブルを開いた場合、テーブルを開いてから追加されたエンティティの行を含むように、テーブル内の中心性スコアは自動的に更新されません。 同様に、リンク チャートから削除、またはまとめてグループ化されたエンティティの行は、テーブルから自動的に削除されません。 スコアが最新ではないことを示す警告メッセージが中心性テーブルの下部に表示されます。
リンク チャートへの変更が完了したら、次の手順に従って、中心性テーブルのスコアを更新し、リンク チャートが現在表示しているグラフを反映します。
- 「中心性」テーブルを開きます。
- 中心性テーブルに関連付けられているリンク チャートをアクティブなビューにします。
- コンテンツを追加またはリンク チャートから削除します。
[スコアが最新ではありません] という警告が中心性テーブルの下部に表示されます。
- 中心性テーブル をアクティブなビューにします。
- テーブルの下部でメッセージの横にある [中心性スコアの更新] ボタン
をクリックします。
中心性テーブルのスコアが再計算されます。