ArcMap、ArcCatalog、ArcGlobe、および ArcScene のほとんどの機能は、ArcGIS Pro で利用できますが、アクセス方法は異なります。 このトピックでは、次の領域でその他の ArcGIS Desktop アプリケーションに関係する ArcGIS Pro の概要を示します。
- ユーザー インターフェイス
- 既存の作業の移行
- 一般的なワークフロー
このトピックの最後に、ArcGIS Desktop から ArcGIS Pro に移行する際のデータとスクリプトの管理の詳細について記載します。
また、よくあるご質問 (FAQ) では、ArcMap のユーザーからよく寄せられる質問への回答もご確認いただけます。
ユーザー インターフェイス
ArcGIS Pro では、リボン タブやウィンドウを使用して、ArcMap、ArcCatalog、ArcGlobe、および ArcScene のツールバーとダイアログ ボックスにある機能にアクセスします。
| コンポーネント | 説明 |
|---|---|
 | ユーザー インターフェイスの上部にあるリボンでは、コマンドが一連のタブに分類されています。 これらのタブは、ArcMap、ArcCatalog、ArcGlobe、および ArcScene のツールバーよりも状況依存であり、アプリケーションの状態によって異なる場合があります。 |
 | リボン上の [プロジェクト] タブでは、アプリケーション設定および他の構成可能なプロパティにアクセスできます。 これは、ArcMap、ArcCatalog、ArcGlobe、および ArcScene の [カスタマイズ] メニューの設定とほぼ同じです。 |
 | このマップ ビューのようなビューが、ArcGIS Pro での主な作業領域になります。 ビューは、ArcMap のデータ ビューとレイアウト ビュー、および ArcGlobe と ArcScene の 3D ビューとほぼ同じです。 |
 | [コンテンツ] ウィンドウには、アクティブ ビューに関連するアイテムが表示されます。 たとえば、マップ ビューがアクティブになると、[コンテンツ] ウィンドウにマップ レイヤーが表示されます。 これは、ArcMap のコンテンツ ウィンドウにデータ フレームのレイヤーが表示される方法または ArcCatalog のカタログ ツリーに接続が表示される方法とほぼ同じです。 |
 | テーブル ビューには、レイヤーの属性テーブルが表示されます。 プロジェクトには、マップ、シーン、テーブル、レイアウト、および他のアイテムのビューを含めることができます。 同じマップの複数のビューなど、多くのビューを同時に開くことができます。 |
 | プロジェクトのアイテムは [カタログ] ウィンドウで管理できます。これは、ArcMap の [カタログ] ウィンドウに似ています。 また、ArcCatalog に類似したカタログ ビューでファイルを管理することもできます。 |
既存の作業の移行
ArcMap、ArcGlobe、および ArcScene からドキュメントとスタイル ファイルを ArcGIS Pro にインポートできます。
マップ ドキュメントのインポート
ArcMap、ArcGlobe、または ArcScene のドキュメントを、リボンの [挿入] タブでインポートできます。
マップをインポートすると、マップ ドキュメントが ArcGIS Pro プロジェクトにマップ ビューとして開きます。 マップ ドキュメントのレイアウトもインポートされます。 マップ ドキュメントに複数のデータ フレームがある場合は、各データ フレームは個別のマップになります。 [カタログ] ウィンドウの [マップ] コンテナー 
から追加のマップを開くことができます。
ヒント:
マップ ドキュメントにレイアウトがない場合は、デフォルトのレイアウトが作成され、[カタログ] ウィンドウの [レイアウト] コンテナー 
に表示されます。
マップをインポートすると、リボンの上の [通知] ボタン 
に青色のドットが表示されます。 通知を開くと、インポート処理に関するメッセージが表示されます。
ほとんどの場合、インポートされたマップの外観は、元のマップ ドキュメントと同じです。 ただし、ArcGIS Pro では ArcMap と異なる描画エンジンを使用しているため、わずかな表示の違いが生じることもあります。
注意:
また、ArcMap では、ArcGIS Pro プロジェクトをインポートしたり、マップ パッケージ (.mpkx) やマップ ファイル (.mapx) などのアイテムを ArcGIS Pro ファイル形式で開いたりすることができません。
スタイルのインポート
ArcMap、ArcGlobe、および ArcScene スタイル ファイル (.style) は、ArcGIS Pro プロジェクトでは直接使用できません。 ただし、これらのスタイルの多くは ArcGIS Pro スタイル形式 (.stylx) に変換され、ArcGIS Online から追加することができます。 また、ArcMap、ArcGlobe、ArcScene からスタイルをインポートすることもできます。 スタイルをインポートすると、.style ファイルが .stylx ファイルに変換されます。
Python スクリプトの移行
ArcGIS Pro では Python 3 を使用するため、ArcMap で実行するスクリプトを修正する必要があります。 詳細については、「10.x から ArcGIS Pro への Python の移行」と「arcpy.mapping から ArcGIS Pro への移行」をご参照ください。 ArcMap 用に作成されたアプリケーション レベルの .NET アドインは、ArcGIS Pro では稼働しません。
一般的なワークフロー
ユーザー インターフェイスが異なるため、ArcMap、ArcCatalog、ArcGlobe、ArcScene で実行する一般的なタスクは、ArcGIS Pro では異なって実行されます。
マップのナビゲーション
ArcGIS Pro では、マップ操作ツールは、リボンの [マップ] タブにあります。 これらのツールは、ArcMap、ArcGlobe、ArcScene の [ツール] ツールバーにあるツールに類似しています。
ArcMap では、[画面移動]、[ズーム]、[個別属性表示]、[HTML ポップアップ] といったツールが、ナビゲーションとデータ探索のために使用されます。 ArcGIS Pro では、それらのツールの機能は、[マップ操作] ツール 
にまとめられています。 [マップ操作] ツールがアクティブ (デフォルト設定) であれば、マウス ボタンを使って 2D マップと 3D シーンを操作できます。
フィーチャの個別属性表示
ArcMap とは異なり、ArcGIS Pro には [個別属性表示] ツールはありません。 マップ上のフィーチャを識別するには、[マップ操作] ツール がアクティブであることを確認し、フィーチャをクリックしてポップアップを開きます。 それぞれの対象レイヤーにあるフィーチャを識別するには、[マップ操作] ツールのドロップダウン矢印をクリックします。
データの管理
ArcGIS Pro では、リボンの [挿入] タブで接続を追加して、フォルダー、データベース、サーバーなどのリソースにアクセスします。 これは、ArcCatalog、または ArcMap の [カタログ] ウィンドウでの接続の追加と同様です。
ArcGIS Pro の接続はそれが追加されたプロジェクトに固有です。 [プロジェクトのお気に入り] を使用して、よく使用される接続を新しい接続に追加できます。
アイテムのコピー、移動、削除などの一般的なデータ管理タスクは、[カタログ] ウィンドウまたはカタログ ビューで実行されます。 [カタログ] ウィンドウは ArcMap の [カタログ] ウィンドウとほぼ同じです。カタログ ビューは、スタンドアロン アプリケーションではありませんが、ArcCatalog とほぼ同じです。
データの編集
ArcMap では、編集セッションを開始してから編集を始めます。 ArcGIS Pro では、編集はデフォルトで有効になっています。 編集ツールは、マップ ビューがアクティブなときにリボンの [編集] タブ上に表示されます。 ArcMap 編集セッションと同様の操作にするには、ArcGIS Pro を構成して、特定のコマンドで編集を開始および停止します。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| [クイック アクセス ツールバー] で編集を元に戻す、またはやり直します。 |
| 編集を保存または破棄します。 有効になっている場合、[編集] ボタンがこのグループにも表示されます。 |
| マップ トポロジを有効化します。 |
| 編集オプションを設定します。 |
| スナップを有効化します。 |
| |
 | 編集するフィーチャを選択します。 |
 | フィーチャ属性を調査し、編集します。 |
メタデータの表示と編集
ArcGIS 形式のメタデータは、ArcGIS Pro で表示および編集できます。 ArcGIS 形式のメタデータをアップグレードしたり、インポートしたりする必要はありません。 ArcGIS Pro は、ArcCatalog および ArcMap と同じメタデータ スタイルをサポートします。 ArcGIS Pro のデフォルトのメタデータ スタイルは、[アイテム説明] です。
データセットや、マップ、レイアウト、ツールボックスなどのアイテムのメタデータは、カタログ ビューの詳細パネルに表示されます。 ArcGIS Pro のメタデータの表示は、[説明] タブ上の ArcCatalog での表示と同様です。
メタデータはメタデータ ビューで編集されます。 操作は ArcCatalog でのメタデータの編集と同様です。
ジオプロセシング ツールを使用したデータの解析
ArcGIS Pro では、ジオプロセシング ツールにはリボンの [解析] タブからアクセスします。
[ツール] ボタン 
をクリックすると、[ジオプロセシング] ウィンドウが開きます。 これは、ArcMap、ArcCatalog、ArcGlobe、ArcScene で [ArcToolbox] ボタンをクリックして [ArcToolbox] ウィンドウを開くの同様です。
[ジオプロセシング] ウィンドウの [ツールボックス] タブにシステム ツールボックスが表示されます。 また、このウィンドウでは、ツールを検索したり実行したりします。 ArcMap とは異なり、ArcGIS Pro にはスタンドアロンの [検索] ウィンドウはありません。
一般的に使用されているジオプロセシング ツールの中には、ユーザー インターフェイスのツールまたはショートカット メニューからアクセスすると、フローティング ウィンドウで開くものがあります。
ArcMap のツール、モデル、スクリプトは ArcGIS Pro で使用できますが、変更が必要になることもあります。 [ArcGIS Pro で実行するツールの分析 (Analyze Tools For Pro)] ジオプロセシング ツールを実行して、スクリプトまたはツールボックスの互換性を確認します。
テーブルの表示および変更
レイヤー属性テーブルを開くには、[コンテンツ] ウィンドウでマップ レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] 
をクリックします。 これは、ArcMap のコンテンツ ウィンドウで属性テーブルを開くのと同様です。
テーブルが開くと、リボン上に複数のツールを含む [テーブル] タブが表示されます。
一般的なツールも、テーブル ビューからアクセスできます。
デフォルトの編集動作により、直接テーブルのセルに入力して、テーブルの属性値を変更できます。 編集セッションを開始する必要はありません。 テーブル行を追加または削除することもできます。 編集を終えたら、リボン上の [編集] タブで編集内容を保存または破棄します。
フィールド プロパティを変更するには、テーブルのフィールド ビューを編集します。 フィールド ビューとは、テーブルのフィールドを表形式のレイアウトにしたものです。 各行はフィールドを表し、各列はフィールド プロパティを表します。
ポータル コンテンツへのアクセスと共有
ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise からポータル アイテムにアクセスするには、[カタログ] ウィンドウの [ポータル] タブをクリックし、[自組織] 
または [ArcGIS Online] 
などのリポジトリを選択します。
Web マップや Web レイヤーなどのアイテムをポータルに共有するには、リボンの [共有] タブをクリックします。 ArcGIS Pro では、ArcMap のサービス エディター ウィザードよりもシームレスかつ統合された方法で共有できます。
データと Python スクリプトの管理
ArcGIS Pro は ArcMap よりも新しいテクノロジで構築されています。 これにより、ArcGIS Pro の能力が向上しますが、いくつかの非互換性が生じます。 互換性の問題、特に繰り返しの問題を避けるには、共同作業者と同時に ArcGIS Pro に完全に移行して、ArcGIS Pro と ArcMap を切り替えないようにします。
データ
一般的に ArcGIS Pro への移行は簡単です。 ArcMap マップ ドキュメント (.mxd) またはマップ パッケージ (.mpk) をインポートすると、ほとんどのコンテンツは ArcGIS Pro でサポートされているファイルに変換されます。 ただし、ArcGIS Desktop データと機能の一部は、廃止されたか、新しく優れたデータまたは機能に置き換えられたため、ArcGIS Pro でサポートされていません。 ArcGIS Pro でサポートされていないデータセットからの移行には、特定のワークフローが必要になります。 たとえば、ArcGIS Desktop のジオメトリック ネットワークは ArcGIS Pro のトレース ネットワークに置き換えられ、ジオメトリック ネットワークを変換するための手順とツールが提供されています。
一般的に、ジオデータベース データセットは ArcMap と ArcGIS Pro の両方で機能します。 ただし、ArcMap で使用するデータの一部は、ArcGIS Pro で更新されたか、属性ルールや条件値などの新しい ArcGIS Pro 機能を使用して変更された後は、ArcMap で再度使用することはできなくなります。 この状況が発生するのは、たとえば、次のデータセットでデータセットのアップグレード ツールを使用した場合です。
- アノテーション
- ディメンション
Python スクリプト
ArcGIS Desktop で使用される Python スクリプトを ArcGIS Pro に移行する場合は、特別な検討を行う必要があります。 ArcGIS Pro で実行するツールの分析ツールを使用して、移行のための Python スクリプトを評価できます。