Geostatistical Analyst のライセンスで利用可能。
セミバリオグラム関数と共分散関数は、互いに近接しているものは離れた位置にあるものより類似性が高いという仮定を定量化します。 セミバリオグラムと共分散はいずれも、空間的相関の強度を距離の関数として表します。
セミバリオグラム関数と共分散関数のモデル化のプロセスで、セミバリオグラムまたは共分散の曲線が経験的データに適合されます。 この目的は、最良適合を得ることと、現象についての知見をモデルに取り込むことにあります。 このモデルが推定に使用されます。
モデルを適合する際には、データに方向的な自己相関があるかどうかを調べます。 シル、レンジ、ナゲットはモデルの重要な特性です。 データに測定誤差がある場合、測定誤差モデルを使用します。 経験的セミバリオグラムへのモデルの適合方法については、このリンクをクリックしてください。
セミバリオグラム
セミバリオグラムは以下のように定義されます。
γ(si,sj) = ½ var(Z(si) - Z(sj))
ここで、var は分散です。
2 つの位置 si と sj が距離尺度 d(si, sj) において互いに近接している場合、この 2 つの位置の類似性は高いため、それぞれの値の差 Z(si) - Z(sj) は小さくなると考えられます。 si と sj が離れるにしたがい、類似性は低くなるため、それぞれの値の差 Z(si) - Z(sj) は大きくなります。 このことは、典型的なセミバリオグラムの構造を示す以下の図で確認することができます。
距離とともに差の分散が大きくなるため、セミバリオグラムは非類似度の関数と考えることができます。 この関数にまつわるいくつかの用語があり、これらは Geostatistical Analyst でも使用されています。 セミバリオグラムがある高さに達して平坦になるとき、その高さをシルと呼びます。 シルは一般に、原点での不連続性 (ナゲット効果) とパーシャル シルを合計したものです。 ナゲット効果はさらに、測定誤差と微小スケールでの変動に分けられます。 ナゲット効果は測定誤差と微小スケールでの変動の和であり、どちらか一方がゼロである可能性があるため、ナゲット効果はこの 2 つのいずれかによってのみ構成される場合があります。 セミバリオグラムがシルに達して平坦となる距離をレンジと呼びます。
共分散関数
共分散関数は以下のように定義されます。
C(si, sj) = cov(Z(si), Z(sj))
ここで、cov は共分散です。
共分散は相関の 1 つのバージョンであり、スケールに依存します。 このため、2 つの位置 si と sj が互いに近接している場合、これらの類似性は高く、共分散 (相関) は大きくなると考えられます。 si と sj が離れるにしたがい、類似性は低くなり、共分散はゼロになります。 このことは、典型的な共分散関数の構造を示す以下の図で確認することができます。
距離とともに共分散関数が小さくなるため、これは類似度の関数と考えることができます。
セミバリオグラム関数と共分散関数の関係
セミバリオグラム関数と共分散関数の間には次のような関係があります。
γ(si, sj) = sill - C(si, sj),
この関係は図から確認することができます。 2 つの関数は同等であるため、Geostatistical Analyst ではどちらの関数を使用しても推定を実行できます (Geostatistical Analyst ではすべてのセミバリオグラムがシルを持ちます)。
セミバリオグラムまたは共分散としてどの関数でも使用できるわけではありません。 推定のクリギング標準誤差が非負値となるためには、一部の関数だけをセミバリオグラムまたは共分散として使用できます。 Geostatistical Analyst ではいくつかの選択肢が用意されており、いろいろ試して自分のデータに適したものを選択することができす。 Geostatistical Analyst では複数のモデルを組み合わせて使用することもでき、提供されている有効なモデルを 4 つまで組み合わせて使用できます。 セミバリオグラムは存在するが共分散関数は存在しないことがあります。 たとえば、線形セミバリオグラムは存在するが、シルがなく、対応する共分散関数が存在しない場合です。 Geostatistical Analyst ではシルを持つモデルだけが使用されます。 "最適" なセミバリオグラム モデルを選択する際の鉄則はありません。 各自の経験的セミバリオグラム関数または経験的共分散関数を検討して適切と思われるモデルを選択することができます。 検証と交差検証もガイドとして使用することができます。