BIM データ ファイルのプロパティ

ArcGIS Pro のカタログ ビューまたは [カタログ] ウィンドウで BIM データを参照すると、コンテンツ、座標系情報の完全性、BIM データの正常な配置方法についての洞察を得ることができる、これらのデータ ファイルのファイル プロパティを表示できます。 たとえば、BIM モデルの座標が相対原点で作成される際、BIM ファイルにジオリファレンス プロセスの開始に使用できる所在地住所情報が含まれている場合があります。

そのファイルと他のファイルの関係に関する情報は、任意の外部リンク モデル ファイルを確認することで評価できます。 この情報は、ArcGIS Pro に追加するファイルに、想定するすべての情報が含まれるかどうかを予測するために役立ちます。

BIM ファイル プロパティは、[カタログ] ウィンドウでファイル アイテムのショートカット メニューから [プロパティ] オプションを選択して、表示します。 複数のオプションを含むダイアログ ボックスに、さまざまなプロパティ カテゴリが表示されます。

カタログ ウィンドウのショートカット メニューのプロパティ オプション

以下では、さまざまなプロパティについて説明します。

一般

[一般] タブには、ファイルのコンテンツのサムネイル画像が表示されます (この画像が使用可能な場合)。 ファイルに固有の情報を表示するには、[ファイルのプロパティ] を展開します。 その他の展開可能なグループは、[空間参照][ワールド ファイル変換]、および [クラウド ソース] です。

一般タブのファイルのプロパティのオプション

ファイルのプロパティ

[ファイルのプロパティ] の情報には、選択した BIM ファイルの管理と検査に関連するタスクを実行するボタンが含まれます。

次の表で、[一般] タブのエレメントについて説明します。

エレメント説明

再読み込みボタン 再読み込み

ファイルを ArcGIS Pro に再読み込みします。 現在のマップのフィーチャ レイヤーが、ファイルのコンテンツと更新されます。

アップグレード ボタン ファイル バージョンのアップグレード

最新のサポート バージョンにアップグレードします。 RVT ファイルを ArcGIS Pro でサポートされている最新バージョンにアップグレードして、ディスクに保存します。 これにより、今後の読み込みパフォーマンスが向上します。

デフォルトのアプリケーションで開くボタン デフォルトのアプリケーションで開く

デフォルトのアプリケーションでファイルを開きます。 現在のシステム上で BIM ファイルのファイル拡張子に関連付けられているアプリケーションで、ファイルが開きます (そのアプリケーションが存在する場合)。

空間参照

モデルに割り当てられている座標系情報が表示されます。 指定された座標系がファイルに存在しない場合は、データを描画できるように、不明な座標系が自動的に割り当てられます。 ArcGIS Pro で BIM データを使用する前に、適切な座標系を割り当てることをお勧めします。 座標系情報の状態の詳細については、以下の位置の検証セクションをご参照ください。

ワールド ファイル変換

モデルのワールド ファイル変換情報が表示されます。 この情報は、割り当てられている座標系でモデルの位置を移動、スケール変更、および回転する座標変換の定義に使用されます。 ワールド ファイル変換情報の状態の詳細については、以下の位置の検証セクションをご参照ください。

クラウド ソース

モデルが「BIM クラウド コネクション」からダウンロードされている場合、クラウド データ リポジトリ内のファイルのステータスに関する情報を取得でき、ファイルをより新しいファイル バージョンで更新することもできます。

ボタン説明

クラウド リポジトリ ファイルの情報ボタン 情報

BIM ファイルを「BIM クラウド コネクション」からダウンロードする際、バージョンと履歴に関する BIM クラウド コネクション情報を表示するには、[クラウド ソース] グループで [情報] ボタンをクリックします。

クラウド リポジトリ ファイルの更新ダウンロード ボタン 更新

BIM ファイルを BIM クラウド コネクションからダウンロードする際、BIM クラウド コネクションからファイルを更新するには、[クラウド ソース] グループで [更新] ボタンをクリックします。 これにより、最新バージョンがダウンロードされ、現在の ArcGIS Pro セッションでデータが更新されます。

ソース

ファイル プロパティが BIM ワークスペースのフィーチャクラスからアクセスされる場合、[ソース] タブを使用できます。

フィーチャクラス プロパティ ウィンドウのソースタブ

このタブには、データ ソース、ジオメトリック範囲、空間参照、ドメイン、座標精度、許容値に関する情報が含まれます。

レベルまたはストーリー

RVT ファイルの [レベル] タブおよび IFC ファイルの [ストーリー] タブには、ファイル内の垂直建物フロアまたは名前付き高度のリストが含まれます。 RVT ファイルの場合、チェックボックスは、名前付きレベルが建物構造のフロアと見なされるかどうかを示します。 この指定は、BIM ファイルの作成者にとってオプションです。

RFT ファイルのレベル タブ

IFC ファイルのストーリー タブ

フェーズ

[フェーズ] タブには、Revit ファイルからデータで表される建設フェーズに関する情報が含まれています。 デフォルトでは、ArcGIS Pro はすべてのフェーズのフィーチャを表示します。 phase 属性に基づく BIM フィーチャ レイヤーのフィルタリング クエリを使用して、表示するフィーチャを分離、非表示、または結合することができます。

ファイルのプロパティ ウィンドウのフェーズ タブ

モデル

[モデル] タブには、グループに整理された BIM モデル情報が含まれます。

[モデル プロパティ] グループには、オーサリング ソフトウェアからのファイル情報が含まれます。 読み取り専用の [プロジェクト住所] プロパティには、以下で説明する [位置の検証] タブで候補位置として使用できる情報が含まれる場合があります。

[表示単位システム] プロパティは、適切な距離単位を持つ座標系の割り当てに役立ちます。 モデルの距離単位と、割り当てられている座標系の距離単位が一致する必要があります。

ファイルのプロパティ ウィンドウのモデル タブ

[ジオロケーションのプロパティ] グループには、データの目的のグローバル位置の特定に役立つ、モデル オーサリング ソフトウェアからの地理空間情報が含まれます。 Revit ファイルには、緯度および経度情報の形式でコンテンツの大まかな位置が含まれていることがあります。 IFC 4x ファイルには、ファイルのコンテンツの座標系を示す WKID (Well Known coordinate system IDentification) または EPSG (European Petroleum Survey Group) コード番号を含めることができます。 この情報は、他の情報が存在しない場合に、デフォルトの割り当て済み座標系として使用されることがあります。

[モデル変換] グループには、含まれるワールド ファイルが存在する場合、数値座標ベクター変換情報が含まれます。 詳細およびモデル変換情報を変更するオプションについては、以下の位置の検証セクションをご参照ください。 IFC 4x ファイルには、モデル変換情報が含まれていることもあります。 描画データで X、Y 座標に適用されるオフセットを定義する東距と北距の値、および Z 座標をグローバルな高さに調整する際に使用される OrthogalHeight 値も含まれることがあります。

デザイン オプション

BIM ファイルには、同じ構造で異なるデザイン オプションを表現するモデル ジオメトリが含まれる場合があります。 デザイン オプションの名前はフィーチャ属性フィールドの値として含まれます。 ここでデザイン オプションを表示すると、BIM ファイルのコンテンツに対する理解を深めて、その情報をデータの操作に利用できるようになります。 デザイン オプション フィールドに基づいて BIM フィーチャ レイヤーの定義クエリを使用し、データを抑制することができます。

BIM ファイル プロパティのデザイン オプション ユーザー インターフェイス

外部ソース

[外部ソース] タブには、オーサリング ソフトウェアによって現在のファイルにリンクされているモデルのリストが含まれます。 リストには、BIM ファイルに参照として追加された CAD ファイルなど、他のファイル形式が含まれることもあります。 データがフィーチャとしてマップまたはシーンに追加される場合、ArcGIS Pro はこれらの外部リンク ファイルを自動的に含めません。 リンク ファイルのリストは、データを本来のコンテキストで深く理解するために参照用として含められます。 ファイル タイプがサポートされている場合は、ファイルを個別に ArcGIS Pro に追加できます。

BIM ファイル プロパティ ダイアログの外部ソース タブ

[リンクされたモデル] リスト内のファイルを右クリックした後、[ファイルを開く] ショートカット メニューを選択すると、ファイルを開くことができます。 ファイルは、可能な場合、Windows システム設定に従ってデフォルトのアプリで開かれます。

位置の検証

[位置の検証] タブには、BIM ファイルの地理空間位置情報のステータスが表示されます。 現在の情報、欠落している情報、または考えられる問題について通知するために、さまざまなステータス メッセージが表示されます。 ステータス メッセージには、エラーの軽減に役立つようにアクションがボタンとして含まれる場合があります。 警告は、ArcGIS Pro における BIM モデルの初期配置の改善に役立ちます。

アクションの目的は、正確な位置を作成することではなく、現在の位置情報を理解しやすくして、ファイルを ArcGIS Pro に追加する前にあるべき場所の近くに配置できるようにすることです。 BIM ファイルは、すでに正確に配置されている場合も、ArcGIS Pro に追加した後にジオリファレンスが必要な場合もあります。

ファイルのプロパティ ウィンドウの位置の検証タブ

ステータス メッセージ

ステータス メッセージは、割り当てられている座標系の PRJ ファイル、任意の座標変換ワールド ファイル (WLD3) を報告するために生成されます。 検証プロセスは、割り当てられている座標系の定義済み使用範囲と BIM ファイル内のデータの座標に基づいて実行されます。 この使用範囲は、座標系が最も正確である地理的エリアです。 座標系は、データの座標がこのエリア外であるデータに使用できますが、それはお勧めしません。 この使用範囲外にあるデータでは、データの座標をワールド ファイルで変換したり、より適切な座標系を割り当てたりすることが必要となる場合があります。

割り当てられている座標系

整合チェック プロセスは、BIM ファイルの割り当てられている座標系をリストします。

デフォルトの IFC および RVT 座標系は、CAD ファイルの未定義の座標系と似ています。 有効な .prj ファイルが検出されない場合、この座標系が自動的に生成されます。 このデフォルトの座標系では、ArcGIS Pro でデータを失敗なく描画できます。 この座標系はデータに適切でないため、適切な座標系に置き換える必要があります。 PCS (投影座標系) では、座標系の「使用範囲」が BIM データの目的の位置をカバーするため、PCS をお勧めします。

BIM データが有効な座標系の座標を使用して作成された場合、その割り当てられた座標系が ArcGIS Pro における BIM データの適切な配置に必要となります。 割り当てられた PRJ は、.prj ファイル拡張子で BIM ファイルと同じ名前を持ちます。 PCS の座標を使用して描画された BIM データの場合、必要となるのは、適切な PRJ ファイルの割り当てだけです。 座標系の割り当てまたは変更を行うには、「座標系の変更」ボタンを使用します。

割り当てられた座標系が GCS (地理座標系) である場合は、警告が表示されます。 GCS は一般的ではなく、BIM データにはお勧めしません。 これは警告メッセージであり、直ちにアクションが必要なわけではありません。

使用範囲

座標系の使用範囲は、位置の検証の計算で使用されます。 使用範囲という用語は、座標系の推奨地理範囲を意味します。 データはこの範囲内に収まる必要があります。 この地理的エリア外にあるデータはお勧めしません。 使用範囲は、BIM データの座標と比較されます。 使用範囲内にあるデータは、適切な座標系が使用されることを意味します。 使用範囲外のデータでは、より適切な座標系をデータに割り当てたり、ワールド ファイルを作成することで、割り当てられている座標系に適合するようにデータの座標を変換したりすることが必要となる場合があります。

候補位置

候補位置は、当初、BIM ファイルの [プロジェクト住所] プロパティから設定されます (このプロパティが存在する場合)。 [プロジェクト住所] プロパティは、[モデル] タブで調べることができます。 住所が欠落している、または別の位置を提示する場合は、[位置の提示] ボタンを使用して候補位置を設定します。 候補位置は、選択されたロケーターに基づく地理的位置の識別に使用されます。

候補位置からワールド ファイルを作成する [候補位置に合わせた変換] ボタンは、選択されたロケーターから返される地理的ポイントを WLD3 ファイルの作成基準として使用します。 この変更された位置は、ArcGIS Proジオリファレンス ツールを使用してさらに調整する必要が生じることもありますが、データをその最終的な目的位置の近くに配置する手段を提供します。

候補位置から計算されたポイントが BIM データの近似範囲外にある場合は、警告が出されます。 比較にコンテキストを与えるため、距離も示されます。 警告は情報として提供されます。 BIM データの近似範囲外の候補位置は、容認されます。これは、モデルの位置が概算値で、候補位置から計算される地理的位置も大まかな位置である可能性があるためです。 表示される距離によって、BIM データがポイントにどれだけ近いかが示されます。 距離が大きい場合は、候補位置を使用してデータを変換するか、たとえば、都市名ではなく所在地住所などより精度の高い候補位置を使用する必要があります。

アクション ボタン

アクション ボタンは、さまざまなステータス メッセージで提供されます。 これらのボタンを使用して、ArcGIS Pro で BIM ファイルの初期配置を改善できます。

座標系の変更

割り当てられている座標系を変更するには、このボタンを使用します。 このアクションは、座標系定義の検索と選択を可能にする定義済み投影インターフェイスを使用し、PRJ ファイルを適切な名前で BIM ファイルと同じファイル フォルダーに保存します。 生成される PRJ ファイルを保存するには、このフォルダーへの読み取り/書き込みアクセス権が必要です。

位置の提示

候補位置のアクションでは、開いているマップまたはシーンが必要です。 住所または地名を指定し、地理的位置の設定に使用するロケーターを選択するためのロケーター ユーザー インターフェイスを使用します。 [候補位置に合わせた変換] ボタンを使用して、このアクションによって返された地理的ポイントに BIM モデルを再配置する .wld3 ファイルを作成できます。

候補位置に合わせた変換

このアクションは、現在の候補位置の入力文字列を使用して、選択されたロケーターから返される割り当て済み座標系内の地理的位置にあるモデルのアンカー位置で WLD3 ファイルを作成します。 候補位置の初期値は、BIM モデルの [プロジェクト住所] プロパティから読み取られます。 [位置の提示] ボタンを使用して、[候補位置に合わせた変換] の値を設定できます。 実行される変換は、建物の実際の位置となる可能性は低いですが、ArcGIS Pro における今後の BIM データ ジオリファレンスのよい出発点となります。 候補位置が所在地住所である場合は、候補位置が都市名であった場合に比べて、最終的な位置に近くなります。 作成された WLD3 ファイルを削除するには、そのファイルをデータ ファイル フォルダーから削除します。