サブネットワーク トレース構成

サブネットワーク トレース構成は、サブネットワーク内のどのフィーチャおよびオブジェクトが更新エクスポートトレースされるのかを示します。 サブネットワーク トレース構成は、サブネットワーク定義のオプション コンポーネントです。

サブネットワーク トレース構成は、サブネットワーク定義の設定ツールを使用して、設定されます。 このツールでは、層内のサブネットワークの標準定義を表す、サブネットワーク トレース構成を定義します。 たとえば、配電ネットワークでは、回路遮断器から供給ポイントまでの接続性が存在しますが、回路を分離するスイッチで、1 つのサブネットワークのトレースを停止したい場合があります。 サブネットワーク トレース構成には、これらの設定を組み込むことができます。

サブネットワーク定義の設定ツール オプションを使用すると、関連付けロールやバリアのステータスに基づいて、結果に含めるネットワーク フィーチャを制御できます。 関連付けを使用して、格納器、格納物、構造物を含めたり、非空間オブジェクトの配置可能性をチェックしたりできます。 デフォルトでは、サブネットワーク定義に対して、[格納器を含める][格納物を含める][構造物を含める] が有効になっており、サブネットワークを更新、エクスポート、トレースするときには、これらが含まれます。 [配置可能性の検証] は、デフォルトで無効になっています。

AND と OR というブール型演算子を使用して、1 つのパラメーター内に、ステートメントの組み合わせを作成できます。 たとえば、3 つの条件があり、条件 1 と 2、または 1 と 3 を満たすフィーチャを見つけるとします。 この場合は、OR または AND を使用してリンクされる、4 つの条件を作成します。たとえば、アクティブかつ、開放されたフィーチャでトレースを停止する、またはアクティブな、保護デバイスでトレースを停止する場合です。

層に対して設定されるサブネットワーク トレース構成を使用することで、サブネットワークの更新サブネットワークのエクスポート、およびトレース ツールに情報を提供できます。 標準定義に保存された特定の情報は、ツールのパラメーターを手動で調整するかプログラムを作成することで、オーバーライドできます。 たとえば、別の組み合わせの開放バルブが、居住地域に十分な水圧を許容するかどうかを確認したい場合があります。 ツールの実行に合わせて、トレース構成が変更された場合、その構成は、トレースを行うサブネットワークの定義を変更しません。

注意:

関数 (Add、Average、Count、Max、Min、Subtract) を含む、割り当て可能なネットワーク属性を使用するトレース構成は、エッジ エレメントに基づいて、割り当て可能な結果を返します。 たとえば、接続したトレース内の関数を使用して shape length 属性をカウントすると、ライン全体ではなく、個々のエッジ フィーチャに基づくカウントが返されます。 詳細については、割り当て可能なネットワーク属性をご参照ください。

次の構成オプションがあります。

  • [格納器を含める] - 格納器を含めるかどうかを指定します。
  • [格納物を含む] - 格納器の格納物を含めるかどうかを指定します。
  • [構造物を含む] - 構造物を含めるかどうかを指定します。
  • [バリア フィーチャを含める] - バリア フィーチャを含めるかどうかを指定します。
  • [配置可能性の検証] - 配置できないジャンクションまたはエッジ オブジェクトが発生した場合にエラーを表示するかどうかを指定します。
  • [サマリー] - SubnetLine フィーチャクラスのサブネットワークに関する関数の情報を計算し、保存します。
  • [条件バリア] - ネットワーク属性およびカテゴリに基づいて操作を停止するフィーチャまたはオブジェクトを定義します。
  • [関数バリア] - 関数に基づいて操作を停止するフィーチャまたはオブジェクトを定義します。
  • [通過可能性の適用] - 施行する通過可能性の適用範囲を定義します。 通過可能性をジャンクションのみ、エッジのみ、またはジャンクションとエッジの両方に適用します。
  • プロパゲーター - 反映されるネットワーク属性を使用して、考慮されるネットワーク フィーチャを制御します。 Substitution 関数を使用できます。 このパラメーターは Python でしか利用できません。

サマリー

サマリーとは、サブネットワーク トレース構成のオプション コンポーネントであり、サブネットワークに関する追加情報を集め、それを SubnetLine フィーチャクラスの属性に保存することができます。 たとえば、サマリーをガス ネットワークで使用して、MAOP (最大許容動作圧力) を伝え、圧力ゾーンの顧客サービスの合計数を出力できます。

サブネットワーク定義の設定ツールを使用して、層内のサブネットワーク定義に対して定義されたすべての有効なフィーチャと、非空間オブジェクトのサマリーをサブネットワーク トレース構成の一部として構成できます。 構成には、関数の設定、ネットワーク属性の指定、SubnetLine フィーチャクラスから属性を指定して、結果を格納する手順が含まれます。 任意でフィルターを設定して、サマリーの計算で使用されるフィーチャを制限することができます。

指定した関数およびネットワーク属性フィールド タイプに基づいて、[サマリー属性] フィールドを定義するには、以下に示す有効なフィールド タイプのマトリックスを利用できます。 たとえば、Long タイプのネットワーク属性からの平均を報告するサマリーを作成するには、SubnetLine フィーチャクラスに Double タイプのフィールドを作成し、[サマリー属性] フィールドとして指定します。

ネットワーク属性タイプのマトリックス
これは、指定した関数に基づく、サマリー属性フィールドの有効なフィールド タイプのマトリックスです。

サマリー結果を保存するフィールドが存在しない場合は、[フィールドの追加 (Add Field)] ツールを使用して、フィールドを追加できます。 1 つのフィールドは、1 つのサマリーの結果のみをサポートします。そのため、各サマリーは、SubnetLine フィーチャクラス内に専用のフィールドが必要です。

サマリーを使用する唯一のツールは、サブネットワークの更新ツールです。 サブネットワークを更新すると、サマリーの結果が、SubnetLine フィーチャクラスのサマリー属性に書き込まれます。

サマリーが存在する場合、[サブネットライン フィーチャクラスの集約ライン] パラメーターが層のサブネットワーク定義の一部として指定されていない場合でも、サブネットワークとサマリー情報を表示するためにレコードがクラスに作成されます。 これにより、空のジオメトリを含むレコードが作成されます。また、非空間ネットワーク フィーチャを操作しているときや、複数の SubnetLine フィーチャが重なっているため、サマリー情報へのアクセスを有効化しながらジオメトリの有用性が減少する状況で作業しているときにサブネットワーク情報を集計したい場合に役立つことがあります。

フィルターを使用するサマリーの例

次に示す構成パラメーターの例は、サブネットワークの更新時に入力されるサマリー属性の設定に使われます。 これは、[サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールの [サブネットワーク トレース構成] セクションの [サマリー] で処理されます。

ツールの [サブネットワーク トレース構成] セクションの [サマリー] を作成するためのパラメーターを次の表に示します。 このトレース構成コンポーネントに必要な引数の詳細については、サブネットワーク定義の設定ツールの [サマリー] パラメーターをご参照ください。

この例では、配電ネットワークの中電圧層については、SUBNETWORKLENGTH のサマリー属性は、中電圧線の全長を含むよう、構成されます。 Shape_Length ネットワーク属性の合計は、ネットワーク内の中電圧線のみに Add 関数を使用して、計算されます。 サブネットワーク内の中電圧線のみにその関数を適用するために、システムが提供するネットワーク属性である Asset group が [フィルター名] テキストとして使用され、[フィルター タイプ]SPECIFIC_VALUE[フィルター値] が 5 (中電圧のコード値) に設定されます。

パラメーター

関数

Add

属性

Shape length

フィルター名

Asset group

フィルター演算子

IS_EQUAL_TO

フィルター タイプ

SPECIFIC_VALUE

フィルター値

5

サマリー属性

SUBNETWORKLENGTH

[サブネットワーク トレース構成] セクションの [サマリー] のパラメーターと値の例

バリア

ユーティリティ ネットワークでは、条件や関数に基づいて、フィーチャに「バリア」を動的に設定できます。 通過可能性バリアは、ポイントのみ、ラインのみ、または両方に適用を制限できます。

条件バリアは、ネットワーク属性、演算子とタイプ、および属性値を使用します。 たとえば、[Device Status equal to Type 'Open’] という条件を満たすまでフィーチャのエクスポートを続けるという条件バリアを設定できます。ここで [Device Status] はネットワーク属性、[equal to] は演算子、[Type] は固定値、[Open] は属性値です。

関数バリアでは関数、ネットワーク属性、演算子、値を使用します。 関数バリアを使用して、始点からのトレースの移動距離を制限したり、トレースを停止する最大圧力値を設定したりできます。 通過した各ラインの水圧または長さが、それまでに移動した合計に追加されます。 移動した全長が指定された値に達した場合 (例: 5 + 10 + 20 + 5 + 10 = 50)、トレースが停止します。

バリア フィーチャを含めるオプションは、すべてのバリア タイプに適用され、サブネットワーク定義の一部として構成することも、あるいは [トレース (Trace)] ツールで、手動で設定することもできます。

プロパゲーターと代替

プロパゲーターは、コントローラーの下流のフィーチャのネットワーク属性値を計算します。 たとえば、電気ネットワークで、フェーズ A が非通電の上流である場合は、フィーチャのネットワーク属性がフェーズ A を示していても、プロパゲーターは、下流フィーチャのフェーズ値に非通電のフェーズ A が含まれるように計算を行います。

代替は、伝達中に使用されることもあります。この場合、ネットワーク属性値の各ビットが、別のビットにマッピングまたは変換されます。 たとえば、代替によってビット A がビット B にマッピングされ、伝達中に AC という値のネットワーク属性が検出された場合、代替によって A から B へのマッピングが定義されているので、値 AC は、BC として処理されます。

プロパゲーターと代替はどちらも、サブネットワーク定義の段階で定義され、トレース操作の実行時や、サブネットワークの更新またはエクスポート時に使用されます。

詳細については「属性の伝達の使用」および「属性代替の使用」をご参照ください。

ツールの適用

サブネットワークの更新サブネットワークのエクスポートトレースのツールは、前述したすべてのコンポーネント (サマリーを除く) を使用します。 サマリーを使用するのは、サブネットワークの更新ツールの実行時のみです。

[サブネットワークの更新 (Update Subnetwork)] および [サブネットワークのエクスポート (Export Subnetwork)] ツールを実行するときに、Python または ArcGIS Pro SDK を使用して、サブネットワーク トレース構成を変更できます。 [トレース (Trace)] ツールでは、すべてのコンポーネント (プロパゲーターと代替を除く) をツールのインターフェイスで変更できます。 [トレース (Trace)] ツールでプロパゲーターにアクセスするには、PythonModelBuilder、または ArcGIS Pro SDK を使用する必要があります。

Python から [トレース (Trace)] ツールを使用して、サブネットワークベースのトレースを実行する場合、入力した層のサブネットワーク トレース構成は、自動的に適用されないため、手動で指定する必要があります。