アスペクト適応円筒図法

説明

アスペクト適応円筒図法は、緯線を利用可能なキャンバスの高さと幅の比 (縦横比) に合わせる折衷図法です。0.3 ~ 1 の比率がサポートされています。

この図法は、2014 年に Bernhard Jenny、Bojan Šavrič、および Tom Patterson によって開発されました。ArcGIS Pro 2.1 以降と ArcGIS Desktop 10.6 以降で使用できます。

アスペクト適応円筒図法の例
グリニッジを中心とする縦横比 0.55 のアスペクト適応円筒図法
アスペクト適応円筒図法の例
グリニッジを中心とする縦横比 0.7 のアスペクト適応円筒図法

投影のプロパティ

次のサブセクションでは、アスペクト適応円筒図法のプロパティについて説明します。

経緯線

アスペクト適応円筒図法は円筒図法です。すべての経線と緯線は垂直線になります。子午線は等間隔で、緯線は不等間隔です。緯線の分布は、縦横比パラメーターによって異なります。両極は、赤道と同じ長さの直線として表されます。経緯線は赤道と中心子午線に対して対称的です。

歪み

この図法は正角でも正積でもありません。形状、面積、距離、方向、角度は一般的にすべて歪んでいます。赤道地域は、高緯度地域よりも歪みが少なくなっています。比率を大きくすると、極地が大きく誇張されるものの、実際の形状に近くなります。比率を小さくすると、極地が南北方向に圧縮されますが、実際の面積比に近くなります。この図法の考案者は、縦横比を 0.55 (上の最初の画像を参照) ~ 0.7 (上の 2 番目の画像を参照) にすると、高緯度での面積変化を許容でき、大陸の全体的な外観に満足できる良い折衷案になると考えています。

使用法

この図法は、主に正確な面積を必要としない一般的な世界地図に使用されます。特定の画面またはページ サイズに合うように設計された四角形の作成をサポートします。考案者は、縦横比 (四角形の高さと幅の比) を 0.55 ~ 0.7 にすることを提唱しています。

制限事項

この図法は球体でのみサポートされます。楕円体の場合、半長軸が半径として使われます。

パラメーター

アスペクト適応円筒図法のパラメーターは次のとおりです。

  • 東距
  • 北距
  • 中央子午線
  • 縦横比

縦横比は 0.3 ~ 1 である必要があります。範囲外の比率値を指定した場合でも、投影アルゴリズムは制限範囲の値を使用します。

特定のパラメーターの場合

縦横比パラメーターを 0.6 に設定すると、生成されるマップはコンパクト ミラー図法になります。

ソース

Jenny, B., Šavrič, B. and Patterson, T. (2015). "A compromise aspect-adaptive cylindrical projection for world maps." International Journal of Geographical Information Science, 29 (6), p. 935-952. DOI: 10.1080/13658816.2014.997734