マルチスケール サーフェス パーセンタイル (Multiscale Surface Percentile) (Spatial Analyst)

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

サマリー

空間縮尺の範囲における、最も極端なパーセンタイルを計算します。

マルチスケール サーフェス パーセンタイル (Multiscale Surface Percentile) の機能の詳細

使用法

  • [入力サーフェス ラスター] (Python では in_raster) パラメーター値は、任意のタイプのサーフェス ラスターを使用できます。 標高サーフェス以外のサーフェス ラスターを使用する場合、このツールはラスターのセル値のパーセンタイルを計算します。

  • 標高サーフェスを入力として使用する場合、標高パーセンタイル (EP) が計算されるパーセンタイルです。 EP は、局所的な地形位置 (LTP) の尺度です。 これは、セルの垂直位置を、フィルター ウィンドウまたは近傍内の標高分布のパーセンタイルとして表現します。 マルチスケール EP は、小縮尺では大きく変化しますが、大縮尺ではより緩やかに変化します。 また、不規則な標高分布や外れ値の影響も比較的受けにくいため、LTP の堅牢な尺度です。

  • 入力として標高サーフェスと別のタイプのサーフェスのどちらを使用する場合でも、パーセンタイルは複数の縮尺で計算されます。 これらの縮尺は、計算に使用される近傍距離値です。 これらは、ターゲット セルの中心からの距離で、ターゲット セルの周囲にセルの正方形を作成します。 たとえば、4 つのセルの縮尺は、9 x 9 セルの近傍です。

  • [出力パーセンタイル ラスター] (Python では out_percentile_raster) パラメーターはプライマリ出力です。 空間縮尺の範囲全体における各セルの最も極端なパーセンタイルを含むラスターです。 値の範囲は 0 ~ 100 です。 最も極端な値は、50 から最も遠いパーセンタイル (0 または 100 に近いパーセンタイルなど) です。

  • [出力縮尺ラスター] (Python では out_scale_raster) パラメーターは、プライマリ出力に関する詳細情報を提供します。 これには、各セルで最も極端なパーセンタイルが見つかった縮尺が含まれます。 この縮尺は、近傍距離値 (ターゲット セルの中心からの距離) で、ターゲット セルの周囲にセルの正方形を作成します。

  • [最小近傍距離] (Python では min_scale) および [最大近傍距離] (Python では max_scale) パラメーターは、パーセンタイルが計算される最小および最大の近傍サイズ、つまり縮尺を定義します。 これらの値は、ターゲット セルからの最小距離と最大距離を表します。 たとえば、値が 1 の場合、3 x 3 セルの近傍が作成され、値が 2 の場合、5 x 5 セルの近傍が作成されます。

    これらの値は、入力ラスターのセル サイズまたは 1 セルよりも小さくすることはできません。

    [最小近傍距離] パラメーター値は、[最大近傍距離] パラメーター値以下でなくてはなりません。

  • [基本距離の増分] (Python では base_increment) パラメーターは、縮尺間の近傍距離の初期増分です。 この増分は、[非線形ファクター] (Python では nonlinearity) パラメーターに 1 より大きい値を使用すると変更されます。

    このパラメーター値は、入力ラスターのセル サイズまたは 1 セルよりも小さくすることはできません。 デフォルト値は、入力ラスターのセル サイズです。

  • [非線形ファクター] パラメーターは、近傍距離の増分、つまり縮尺を制御します。 値が 1.0 の場合、縮尺の線形増分が作成され、縮尺間の増分が同じになります ([基本距離増分] パラメーターの値)。 この値を大きくすると、縮尺が速く増加し、指定された最小縮尺と最大縮尺の縮尺数が減ります。

    小縮尺を高い縮尺サンプリング密度、大縮尺を低い縮尺サンプリング密度にする場合、このパラメーターに 1.0 より大きい値を使用します。

    このパラメーターは 1.0 以上の値を受け入れます。 一般に、近傍距離で非線形増分を使用する場合、このパラメーターには 1.0 ~ 2.0 の値が最もよく使用されます。

    マルチスケール サーフェス パーセンタイル (Multiscale Surface Percentile) の機能の詳細

  • [入力サーフェス ラスター] 値の NoData セルは無視され、それらのセルには [出力パーセンタイル ラスター][出力縮尺ラスター] パラメーター値に NoData が割り当てられます。

  • このツールは GPU により処理を加速化できます。つまり、システムで互換性のあるグラフィックス処理装置 (GPU) を使用可能な場合は、それを使用してツールのパフォーマンスを強化できます。 このツールの実行に GPU と CPU のどちらを使用するかを制御するには、[解析のターゲット デバイス] (Python では analysis_target_device) パラメーターを使用します。

    互換性のある GPU、GPU デバイスの構成と動作に関する詳細や、問題が発生した場合のトラブルシューティングのヒントについては、「Spatial Analyst での GPU 処理」をご参照ください。

  • GPU を使用して実行すると、CPU を使用するよりも高精度な出力が生成されます。

  • このツールは、並列処理をサポートしています。 お使いのコンピューターに、複数のプロセッサや、複数のコアを持つプロセッサが搭載されている場合は、特に対象となるデータセットが大きいときにパフォーマンスが向上します。 「Spatial Analyst による並列処理」ヘルプ トピックには、この機能と設定方法の詳細が記載されています。

    デフォルトでは、このツールは使用可能なコアの 50% を使用します。 並列処理ファクター環境で、ツールが使用するコアの数を制御できます。

  • 出力ラスターの形式が .crf の場合、このツールはピラミッド ラスター格納環境をサポートします。 デフォルトでは、ピラミッドは出力で作成されます。 その他の出力形式ではこの環境はサポートされず、ピラミッドは作成されません。

  • このツールに適用されるジオプロセシング環境の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。

パラメーター

ラベル説明データ タイプ
入力サーフェス ラスター

入力サーフェス ラスター。

Raster Layer
出力縮尺ラスター
(オプション)

各セルで最も極端なパーセンタイルが見つかった縮尺を含む出力ラスター。 縮尺は、近傍距離値として表されます。

浮動小数点タイプになります。

Raster Dataset
距離単位
(オプション)

[最小近傍距離][最大近傍距離][基本距離の増分] の各パラメーターに使用される距離単位を指定します。

距離は、セルの数または指定した単位で計測されます。 デフォルトは、[入力サーフェス ラスター] 値の空間参照のマップ単位です。

  • セル距離の単位はセルです。
  • メートル距離の単位はメートルです。
  • センチメートル距離の単位はセンチメートルです。
  • キロメートル距離の単位はキロメートルです。
  • インチ距離の単位はインチです。
  • フィート距離の単位はフィートです。
  • ヤード距離の単位はヤードです。
  • マイル距離の単位はマイルです。
String
最小近傍距離
(オプション)

標高パーセンタイルが計算される最小の近傍縮尺を定義する距離。 これは、ターゲット セルの中心からの距離で、ターゲット セルの周囲にセルの正方形を作成します。

この値は [最大近傍距離] パラメーター値以下、入力ラスター セル サイズまたは 1 セル以上である必要があります。

デフォルト値は [入力サーフェス ラスター] パラメーター値のセル サイズの 4 倍で、9 x 9 セル近傍になります。

Double
最大近傍距離
(オプション)

標高パーセンタイルが計算される最大の近傍縮尺を定義する距離。 これは、ターゲット セルの中心からの距離で、ターゲット セルの周囲にセルの正方形を作成します。

この値は [最小近傍距離] パラメーター値と、入力ラスター セル サイズまたは 1 セル以上である必要があります。

デフォルト値は [入力サーフェス ラスター] パラメーター値のセル サイズの 13 倍で、27 x 27 セル近傍になります。

Double
基本距離の増分
(オプション)

縮尺間の近傍距離の初期増分。

このパラメーター値は、[入力サーフェス ラスター] のセル サイズまたは 1 セルよりも小さくすることはできません。

デフォルト値は、[入力サーフェス ラスター] パラメーター値のセル サイズです。

Double
非線形ファクター
(オプション)

縮尺の拡大において非線形な増分を実現するファクター。 これにより、縮尺間の増分が一定でなくなります。 通常、1.0 ~ 2.0 の間の値が使用されます。

このパラメーターは 1 以上でなくてはなりません。

デフォルト値は 1 で、近傍距離が線形に増加します (縮尺間の増分が一定です)。

Double
解析のターゲット デバイス
(オプション)

計算の実行に使用するデバイスを指定します。

  • GPU の後で CPU互換性のある GPU が検出された場合、その GPU を使用して計算が実行されます。 検出されなかった場合は、CPU が使用されます。 これがデフォルトです。
  • CPU のみ計算は CPU でのみ実行されます。
  • GPU のみ計算は GPU でのみ実行されます。
String

戻り値

ラベル説明データ タイプ
出力パーセンタイル ラスター

各セルの最も極端なパーセンタイル値を含む出力ラスター。 最も極端な値は、50 から最も遠いパーセンタイル (0 または 100 に近いパーセンタイルなど) です。

浮動小数点タイプになります。

Raster

MultiscaleSurfacePercentile(in_raster, {out_scale_raster}, {distance_units}, {min_scale}, {max_scale}, {base_increment}, {nonlinearity}, {analysis_target_device})
名前説明データ タイプ
in_raster

入力サーフェス ラスター。

Raster Layer
out_scale_raster
(オプション)

各セルで最も極端なパーセンタイルが見つかった縮尺を含む出力ラスター。 縮尺は、近傍距離値として表されます。

浮動小数点タイプになります。

Raster Dataset
distance_units
(オプション)

min_scalemax_scale、base_increment の各パラメーターに使用される距離単位を指定します。

距離は、セルの数または指定した単位で計測されます。 デフォルトは、in_raster 値の空間参照のマップ単位です。

  • CELLS距離の単位はセルです。
  • METERS距離の単位はメートルです。
  • CENTIMETERS距離の単位はセンチメートルです。
  • KILOMETERS距離の単位はキロメートルです。
  • INCHES距離の単位はインチです。
  • FEET距離の単位はフィートです。
  • YARDS距離の単位はヤードです。
  • MILES距離の単位はマイルです。
String
min_scale
(オプション)

標高パーセンタイルが計算される最小の近傍縮尺を定義する距離。 これは、ターゲット セルの中心からの距離で、ターゲット セルの周囲にセルの正方形を作成します。

この値は max_scale パラメーター値以下、入力ラスター セル サイズまたは 1 セル以上である必要があります。

デフォルト値は in_raster パラメーター値のセル サイズの 4 倍で、9 x 9 セル近傍になります。

Double
max_scale
(オプション)

標高パーセンタイルが計算される最大の近傍縮尺を定義する距離。 これは、ターゲット セルの中心からの距離で、ターゲット セルの周囲にセルの正方形を作成します。

この値は min_scale パラメーター値と、入力ラスター セル サイズまたは 1 セル以上である必要があります。

デフォルト値は in_raster パラメーター値のセル サイズの 13 倍で、27 x 27 セル近傍になります。

Double
base_increment
(オプション)

縮尺間の近傍距離の初期増分。

このパラメーターは、in_raster のセル サイズまたは 1 セルよりも小さくすることはできません。

デフォルト値は、in_raster パラメーター値のセル サイズです。

Double
nonlinearity
(オプション)

縮尺の拡大において非線形な増分を実現するファクター。 これにより、縮尺間の増分が一定でなくなります。 通常、1.0 ~ 2.0 の間の値が使用されます。

このパラメーターは 1 以上でなくてはなりません。

デフォルト値は 1 で、近傍距離が線形に増加します (縮尺間の増分が一定です)。

Double
analysis_target_device
(オプション)

計算の実行に使用するデバイスを指定します。

  • GPU_THEN_CPU互換性のある GPU が検出された場合、その GPU を使用して計算が実行されます。 検出されなかった場合は、CPU が使用されます。 これがデフォルトです。
  • CPU_ONLY計算は CPU でのみ実行されます。
  • GPU_ONLY計算は GPU でのみ実行されます。
String

戻り値

名前説明データ タイプ
out_percentile_raster

各セルの最も極端なパーセンタイル値を含む出力ラスター。 最も極端な値は、50 から最も遠いパーセンタイル (0 または 100 に近いパーセンタイルなど) です。

浮動小数点タイプになります。

Raster

コードのサンプル

MultiscaleSurfacePercentile の例 1 (Python ウィンドウ)

次のサンプルは、Python ウィンドウでこのツールを使用する方法を示しています。

この例では、すべてのオプション パラメーターにデフォルト値を使用して、入力サーフェス ラスターからパーセンタイル出力ラスターを生成します。

from arcpy.sa import *
outPercentiles = MultiscaleSurfacePercentile("elevation.tif", "", "", "", "", "", "", "")
outPercentiles.save("C:/sapyexamples/output/outpercentiles01.tif")
MultiscaleSurfacePercentile の例 2 (スタンドアロン スクリプト)

次のサンプルは、スタンドアロン Python スクリプトでこのツールを使用する方法を示しています。

この例では、10 メートルから 100 メートルまでの縮尺のパーセンタイル ラスターを、各縮尺間を 1 メートルの増分で生成します。

# Name: MultiscaleSurfacePercentile_standalone.py
# Description: Calculates the most extreme percentiles over a range of spatial scales.
# Requirements: Spatial Analyst Extension

# Import system modules
import arcpy
from arcpy.sa import *

# Set environment settings
arcpy.env.workspace = "C:/sapyexamples/data"

# Check out the ArcGIS Spatial Analyst extension license
arcpy.CheckOutExtension("Spatial")

# Set local variables
inRaster = "elevation.tif"
inDistanceUnits = "METERS"
inMinScale = 10
inMaxScale = 100
inIncrement = 10
inNonlinearity = 1

# Execute the tool
outPercentiles = MultiscaleSurfacePercentile(inRaster, "", inDistanceUnits, inMinScale,
                                             inMaxScale, inIncrement, inNonlinearity, "")

# Save the output 
outPercentiles.save("C:/sapyexamples/output/outpercentiles02.tif")

ライセンス情報

  • Basic: 次のものが必要 Spatial Analyst
  • Standard: 次のものが必要 Spatial Analyst
  • Advanced: 次のものが必要 Spatial Analyst

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