実世界は常に変化しており、データも同様です。
道路、遊歩道、地震測線、鉄道、パイプライン、海岸線、河川などの実世界のオブジェクトは、データ内のリニア フィーチャとして表されます。 これらのリニア フィーチャには、一連の X、Y 座標を使用して形状と位置が 2 次元で格納され、通常は 1 つの属性セットのみが含まれます。 多くの組織では、線形の地物 (リニア フィーチャ) に関する追加の属性データを収集する場合、X、Y 座標で位置を表す代わりに、ライン沿いの相対的なポイント位置として表しています。 これらの属性は、実世界環境内のオブジェクトを表すこれらのリニア フィーチャの主要な特性を提供します。
リニア フィーチャには静的な特性もありますが、本質的により動的な特性が含まれていることも少なくありません。 リニア リファレンス システムを使用すれば、単一のリニア フィーチャの動的に変化するこれらの特性をモデル化でき、属性値を変更するたびに基のラインをセグメント化する必要はありません。
リニア リファレンスは、リニア フィーチャに沿った相対位置を直感的にモデル化し、複数の属性セットをリニア フィーチャの一部に関連付ける、二重のソリューションを提供します。
ArcGIS Pro は、リニア リファレンス システムに必要なデータの作成、編集、および解析を支援するツールを提供し、実世界の振舞いをより優れた方法でモデル化し、実世界の質問に回答することができます。
リニア リファレンスとは
リニア リファレンスは、X、Y 座標や住所を明示的に使用することなく、計測されたリニア フィーチャに沿った相対位置を使用してデータを格納し、地理的にその位置を特定するメソッドです。
データをリニア リファレンスすると、メジャー値を使用してライン フィーチャに沿った距離が計測されるため、動的に変化する複数の属性データ セットを、始点や終点とは切り離して、既存のライン フィーチャの任意の部分に関連付けることができます。 フィーチャに沿ったメジャー値を使用し、複数の規則に基づいてポイント イベントおよびライン イベントの位置を表します。
次の画像で表されている一般的な例を以下に示します。
ライン沿いのポイント イベント フィーチャの位置を表すことができます。
- ライン沿いのメジャー 12 の位置
- ライン沿いで、メジャー マーカー 10 から東方向へ 4 単位の位置
ライン イベント フィーチャは、次のラインに沿って参照することができます。
- メジャー 18 を始点とし、メジャー 26 を終点とするライン
- メジャー 28 を始点とし、ここから 12 単位分の長さのライン
リニア リファレンスの利点
リニア リファレンスにはさまざまな利点がありますが、 最も大きな利点は次の 2 つです。
- 多くの位置がリニア フィーチャに沿ったイベントとして記録されています。
- たとえば、交通事故の場所は「都市高速道路 287 に沿ったリファレンス マイル マーカー 35 から 27 メートル東」といった規則を使用して記録されています。 ラインに沿った距離や時間のメジャー値を使用して、パイプライン、道路、河川などの状態をさまざまなセンサーが記録します。
- リニア リファレンスを使用すれば、ライン フィーチャの各部に複数の属性セットを関連付けることができます。属性値を変更するたびに、基のラインをセグメント化 (分割) する必要がありません。
- たとえば、ほとんどの道路中心線フィーチャクラスは、3 つ以上の道路セグメントが交差する地点や、道路名が変わる地点でセグメント化されています。
ユーザーは、道路に関するその他多くの属性を記録する必要がある場合もよくあります。 リニア リファレンスを使用しない場合は、属性値が変化する地点ごとに、道路を多数の小さなセグメントに分割する必要があります。 次の図のように、道路上のリニア リファレンス イベントとして処理すれば管理が容易になります。
ダイナミック セグメンテーションとは
ダイナミック セグメンテーションは、イベント テーブルで保存および管理されているイベントについて、ルート フィーチャを使用してマップ位置を求め、それらをマップ上に表示するプロセスです。 属性値を変更するたびにライン フィーチャを分割 (セグメント化) する必要がなく、セグメントをダイナミックに特定できることから、ダイナミック セグメンテーションと呼ばれています。
ダイナミック セグメンテーションを使用すると、複数の属性セットを、始点や終点とは切り離して、既存のライン フィーチャの任意の部分に関連付けることができます。 関連付けられているライン フィーチャのジオメトリに影響を与えることなく、これらの属性を表示、検索、編集、解析できます。