「時系列データ」は、ArcGIS Pro でのある時点における状態を表します。 各フィーチャの日時の値を格納するポイント シーン レイヤー、3D オブジェクト シーン レイヤー、ビルディング シーン レイヤーを作成できます。 このような値には、各建物が建設および解体された日時や、市内の樹木の最終点検日などがあります。 時間情報は UTC (世界協定時) または現地時間で取得できます。 UTC は世界時であり、グリニッジ標準時と同じです。
クライアントがそれぞれのローカル タイム ゾーンとは関係なく日時の値を解釈できるように、シーン レイヤーには「ECMA ISO 8601」規格に基づいた日時の値が格納されます。 これは Web ブラウザーに対応した形式であり、Web 用の日時情報を格納するのに最も適しています。 たとえば、ドイツのある都市用のシーン レイヤーを作成し、属性値がドイツの日時形式で表示されるようにタイム ゾーンを設定できます。
時間対応シーン レイヤーの作成
シーン レイヤーのソースによっては、ジオプロセシング環境の「タイム ゾーン」設定に応じて、現地時間と UTC オフセットとして、あるいは UTC 時間として格納できます。 次の表に、シーン レイヤーのさまざまな作成方法およびシーン レイヤーに設定可能な時間設定を示します。
注意:
シーン レイヤーを作成する際、オフセット付き日時、日付のみ、時刻のみのフィールドは現在のところサポートされていません。
シーン レイヤーの作成方法 | 時間設定 | 作成されるシーン レイヤー |
---|---|---|
現地時間 (ジオプロセシング環境設定で「タイム ゾーン」が設定されていない場合)。 | シーン レイヤー内の日時の値はすべて、ジオプロセシング ツールによって定義されるタイム ゾーンで格納されます。 | |
Web シーン レイヤーを共有し、ローカルにキャッシュするようにシーン レイヤー プロパティを構成します。 | デフォルト設定の UTC (変更不可)。 | シーン レイヤー内の日時の値はすべて、UTC 時間で格納されます。 |
フィーチャ レイヤーが関連付けられた Web シーン レイヤーを共有し、サーバーまたはオンラインでキャッシュするようにシーン レイヤー プロパティを構成します。 | デフォルト設定の UTC。または、フィーチャ サービスのタイム ゾーン設定を構成します。 | すべての日時の値は、フィーチャ レイヤー構成の設定から変換されて UTC で格納されます。 フィーチャ レイヤーが関連付けられた Web シーン レイヤーを共有した後でレイヤーの時間プロパティを変更することはできません。 |
時間対応シーン レイヤーの表示
フィーチャをクリックしてポップアップに属性を表示することで、日付フィールドの値を確認できます。 データによっては、ポップアップのプロパティを変更して、日付フィールドを任意の日時形式で表示できます。 たとえば、ドイツでは、日付は一般に、日、月、年をピリオドで区切って表示します。 米国では、日付は月、日、年をバックスラッシュで区切って表示します。 シーン レイヤー パッケージを作成する際に「タイム ゾーン」環境で UTC を指定した場合、時間値はオフセットなしの現地時間として、あるいは UTC として表示されます。
優先タイム ゾーンが定義されている場合、そのレイヤーの日時の値は優先タイム ゾーンで表されます。 優先タイム ゾーンは、フィーチャ レイヤーが関連付けられたシーン レイヤーを作成する際、および [共有] ウィンドウでシーン レイヤー プロパティを構成する際に設定できます。
タイム スライダーを使用するには、レイヤー プロパティの [時間] ページで時間設定を構成します。 ビルディング シーン レイヤーでは、親ビルディング シーン レイヤーで時間を有効すると、すべてのカテゴリ レイヤーに時間プロパティが継承されます。 または、個々のカテゴリ レイヤーで時間を有効にして、特定のカテゴリ レイヤーをタイム スライダーに参加させることができます。 たとえば、Foundation は常にレンダリングするが、Walls は建設プロセスが進んだときに特定の時間範囲に表示するビルディング シーン レイヤーがあります。 カテゴリ レイヤーにさまざまな時間プロパティが設定されている場合、新しいオプション[カテゴリ レイヤーにさまざまな時間プロパティが設定されています]が親ビルディング シーン レイヤーで有効になります。
ArcGIS Pro 3.1 以降で作成されたシーン レイヤー
ArcGIS Pro 3.1 以降では、シーン レイヤーを作成して、日時の値を ECMA ISO 8601 規格に従って格納することができます。 時間値は「タイム スライダー」、ポップアップ、定義クエリ、シンボルで完全にサポートされます。
フィーチャ レイヤーが関連付けられたシーン レイヤーでは、シーン レイヤーの視覚化機能をフィーチャ レイヤーのデータ管理機能と組み合わせることができます。 たとえば、ジオメトリと属性を編集することでシーン レイヤーを維持できます。 シーン レイヤーまたはフィーチャ レイヤーを ArcGIS Online または ArcGIS Enterprise 11.3 以降と共有することができ、デフォルトで時間は UTC で格納されます。 これにより、Web レイヤーが表示されているデバイスの現地時間に UTC 時間を変換することができます。 フィーチャ レイヤーが関連付けられた Web シーン レイヤーを作成した後で、日付フィールドの形式を変更することはできません。 Web シーン レイヤーを共有している場合、日時の値は UTC として格納され、優先タイム ゾーン設定に基づいてクライアントで表示されます。
注意:
Web シーン レイヤーでタイム スライダーを使用する場合、共有する前に、フィーチャクラスでレイヤーの時間プロパティを有効化していることを確認します。
ArcGIS Pro 3.1 より前で作成されたシーン レイヤー
ArcGIS Pro 3.1 より前のバージョンで作成されたシーン レイヤーの日時の値は ECMA ISO 8601 で格納されておらず、定義クエリ、シンボル、タイム スライダーの機能は制限されています。 シーン レイヤーを時間対応にするには、[シーン レイヤーのアップグレード (Upgrade Scene Layer)] ツールを使用して、日付形式と「タイム ゾーン」を指定します。 たとえば、オランダ在住で月の前に日を表示する日付形式にする場合、[日付形式] パラメーターで [DDMMYYYY] を指定できます。
注意:
[投影変換 (Project)] ツールと [クリップ (Clip)] ツールでは、時間対応のシーン レイヤー パッケージは出力されません。 これらのツールとともに [シーン レイヤーのアップグレード (Upgrade Scene Layer)] ツールを使用します。