トレースの構成

ユーティリティ ネットワークのトレースを行うことで、いつでもネットワークの状態について答えを見つけ、問題を解決できます。ユーティリティ ネットワークをトレースするには、[トレース (Trace)] ツールを使用します。

[トレース (Trace)] ツールでは、多くのトレース タイプを使用できます。

これらのトレース タイプと合わせて、[トレース (Trace)] ツールには、提供される各トレース タイプの調整に使用する詳細構成の包括的なセットが含まれています。これらの構成により、通過可能性を確立し、返されるフィーチャを識別し、実行する計算を設定できます。ModelBuilder を使用して複雑な構成を保存し、モデル ツールのインターフェイスに表示されるパラメーターの数を減らすこともできます。これにより、詳細なトレースを 1 クリックのみで返せるようになります。

たとえば、特定のフィーダーについて、60 ボルト超の電圧を各変圧器から供給される顧客数に関するレポートを作成する任務を受けたとします。このレポートにはこれらの変圧器の負荷合計を含め、5 年前に行った前回の点検で使用年数が 25 年を超えた木製の電柱に配置されている変圧器をマークして、電柱の点検が必要であることを示す必要があります。こうした情報をすべて返してくれる、1 つの事前構成されたトレースを実行します。

サブネットワーク定義内でサブネットワーク トレース構成を設定することで、特定の層に対するトレースを実行するときに [トレース (Trace)] ツールを自動設定することができます。これは、サブネットワークに基づくトレースに適用されます。たとえば、サブネットワーク トレースを常に保護デバイスで停止して、事実上のフィーダーの終端を示すことがあります。また、フィーダーごとに負荷合計を計算することもあります。おそらく、サブネットワークベースでトレースを実行するたびにこれらのパラメーターを設定することは望ましくないので、層内のすべてのサブネットワークに対して標準のサブネットワーク定義を設定できるようになっています。サブネットワーク定義は、層の作成時 (サブネットワークを層に追加する前) に管理者が設定します。[トレース (Trace)] ツールで層を指定すると、入力層に対するサブネットワーク トレース定義セットが詳細パラメーターに自動設定されます。設定されたトレース構成パラメーターは、トレースの実行前に、ツール内で手動で上書きできます。

サブネットワーク トレース定義は、トレースのセットアップ中に変更または追加できます。トレースするフィーチャのタイプの制御 (6 インチ超のパイプ直径)、返されるフィーチャのタイプの選択 (すべての開放バルブ)、ネットワーク属性を使用した計算の実行 (AB フェーズ ラインの長さ合計) などの操作を実行できます。

各構成要素について以下のセクションで説明します。パラメーター オプションと使用法については、「トレース (Trace)」ツールをご参照ください。

トレース リージョンの定義

[トレース (Trace)] ツールでは、ネットワーク内のトレースで移動できる範囲を指定する必要があります。トレース可能なエリアを定義することで、確実にネットワークの目的の部分をトレースできるようになります。特定のトレース タイプでは、他の層への通過を制限するためにも使用します。トレース可能なエリアの範囲を示すには、ドメイン ネットワーク、層、サブネットワークという 3 種類の情報を使用します。トレースのタイプによって必要な情報の種類が決まるので、すべてのトレースでこれらのパラメーターを使用するわけではありません。

ドメイン ネットワークを指定すると、そのドメイン ネットワークのみにトレースが制限されます。すべてのトレースで、ドメイン ネットワークを設定する必要があります。一部のトレースでは層とオプションでサブネットワークを指定する必要があります。その他のタイプのトレースでは、層とターゲット層を設定する必要があります (上流と下流)。ターゲット層により、ドメイン ネットワーク内の複数の層にまたがってトレースできるようになります。

[トレース (Trace)] ツールで指定されている場合に、[層] パラメーターを使用して、トレースを特定の層に制限します。また、これを使用して、トレース構成パラメーターにサブネットワーク定義の値セットを自動的に入力します。[層] パラメーターと一緒に始点を使用する場合、始点は指定された層内に存在する必要があります。[ターゲット層] パラメーターは、上流方向および下流方向のトレースに使用され、トレース可能なネットワークの境界を示します。トレースはターゲット層の内部を通過できますが、超えることはできません。

複数の層に対してトレースを行う場合、トレースの構成の設定は最初の層から読み込まれます。トレースが新しい層に遭遇するたびに、次のトレース構成の設定が読み込まれます:

  • 通過可能性の適用範囲
  • 条件バリア
  • 関数バリア
  • プロパゲーター

サブネットワーク トレースで、[サブネットワーク名] 値を選択すると、始点を使用するのではなく、トレースするサブネットワークを指定できるようになります。これは、トレースの始点として指定されたサブネットワークのサブネットワーク コントローラーを使用します。

格納器、格納物、構造物、バリアを結果に含める

[トレース (Trace)] ツールのこの構成可能なオプション セットにより、結果に含まれるフィーチャを、関連付けロールやバリア ステータスに基づいて構成できます。関連付けフィーチャには、格納器、格納物、および構造物があります。デフォルトでは、格納器、その格納物、構造物以外がトレースの結果として返されます。

格納器を含める

格納器をトレースの結果に含めます。トレースされる格納物フィーチャのすべての格納器フィーチャも、トレース結果に含められます。この構成は、構造物ネットワークのトレースにも使用できます。接続された地中ダクトを返す場合などです。

構成オプション説明

格納器を含める

  • オン - 格納器フィーチャをトレース結果に含めます。
  • オフ - 格納器フィーチャをトレース結果に含めません。これがデフォルトです。

最初の空間格納器まで含める

返される格納器を制限して、トレース結果の各ネットワーク エレメントの最初の空間格納器およびそれまで検出した格納器のみを含めるかどうかを指定します。所定のネットワーク エレメントで、空間格納器が検出されず、非空間格納器のみがある場合、結果にはすべての非空間格納器が含まれます。このパラメーターは、[格納器を含める] が有効な場合のみ使用できます。

構成オプション説明

最初の空間格納器まで含める

  • オン - ネストされた格納の関連付けがトレース パスに沿って検出された場合は、最初の空間格納器とそれまでのすべての格納器をネットワーク エレメントのトレース結果に返します。空間格納器がない場合、所定のネットワーク エレメントの結果にはすべての非空間格納器が含まれます。
  • オフ - すべての格納器が結果に返されます。これがデフォルトです。

格納物を含める

格納物フィーチャをトレースの結果に含めます。これは、トレース結果に含まれている格納器の格納物も包含します。異なるタイプの格納器間のあいまいさをなくすために、[出力] フィルターを使用して結果をフィルター処理します。

構成オプション説明

格納物を含める

  • オン - 格納器フィーチャの格納物をトレース結果に含めます。
  • オフ - 格納器フィーチャの格納物をトレース結果に含めません。これがデフォルトです。

構造物を含める

構造物をトレースの結果に含めます。これは、構造物アセットのレポートなどのタスクに役立ちます。

構成オプション説明

構造物を含める

  • オン - 構造物フィーチャをトレース結果に含めます。
  • オフ - 構造物フィーチャをトレース結果に含めません。これがデフォルトです。

バリア フィーチャを含める

バリアをトレースの結果に含めます。これは、[トレース位置] ウィンドウのフィーチャ バリア セットと動的に構成されたバリア (条件バリア、関数バリア、フィルター バリア、フィルター関数バリア) を包含します。サブネットワーク定義を使用して、サブネットワーク トレース構成の一部として、トレース結果にバリアを含めるかどうかを構成できます。

トレースが返した選択セットは、バリアがミッドスパン接続でエッジ フィーチャに置かれており、[バリア フィーチャを含める] オプションが無効のとき、予期しない結果を表示することがあります。フィーチャのいずれかの部分がトレースによって返された場合、全フィーチャが選択されてトレース結果に表示されます。

構成オプション説明

バリア フィーチャを含める

  • オン - バリア フィーチャをトレース結果に含めます。これがデフォルトです。
  • オフ - バリア フィーチャをトレース結果に含めません。

メモ:
このトレース構成オプションは、サブネットワークに基づくトレース タイプサブネットワーク トレース構成による影響も受けます。これは、[層] パラメーターが指定されたときに読み込まれます。

メモ:

[バリア フィーチャを含める] 構成オプションはターミナルを含むフィーチャには適用されません。

始点でバリアを無視する

バリアが始点である場合、トレース構成でそれらのバリアを無視します。これは、上流の保護デバイスのトレースを実行し、検出された保護デバイス (バリア) を始点として使用して、その後の上流の保護デバイスを検索する場合に、役立ちます。

構成オプション説明

始点でバリアを無視する

  • オン - 始点にあるバリアはトレース内で無視されます。
  • オフ - 始点にあるバリアはトレース内で無視されません。これがデフォルトです。

ネットワークの一貫性の確保

整合したネットワーク エリアとはダーティ エリアのないエリアのことで、ネットワーク トポロジが整合チェックされています。これは、トレースがネットワーク トポロジからネットワークに関する最新の情報を読み取っていることを保証する唯一の方法です。一部のトレース タイプでは、トレース対象のサブネットワークもクリーンである必要があります。詳細については、「ダーティ サブネットワーク」をご参照ください。

[トレース (Trace)] ツールの [一貫性の整合チェック] 構成オプションは、トレース結果のネットワーク トポロジの一貫性を保証します。[一貫性の整合チェック] が true に設定されている場合、ダーティ エリアがトレース パスと交差するとトレース操作が失敗します。これが発生した場合、下の例に示すように、ダーティであると判明したトレース パス内のフィーチャまたはオブジェクトのクラス名および Global ID を含むエラーがツールによって返されます。

ERROR 002041: One or more dirty areas were discovered.
[[ElectricDistributionLine: {C0060506-AG17-4B64-B2E0-9162BE613C05}]]
Failed to execute (Trace).

次のシナリオでは、トレース結果に一貫性に関する失敗は発生しません。

  • 新しく作成されたフィーチャのダーティ エリア。
  • [格納器を含める] または [構造物を含める] が無効なときの、関連付けられた格納器または構造物のダーティ エリア。

ダーティ エリアをクリーンにするまたは削除するには、ネットワークトポロジを整合チェックします。

[一貫性の整合チェック] チェックボックスをオンにしないと、予期しないトレース結果が生じる可能性があります。たとえば、1 つのフィーチャがネットワークから削除され、これによって位置 A と位置 B の間のパスだけが切断されている場合、削除されたフィーチャに対してダーティ エリアが作成されます。ネットワーク トポロジの整合チェックの前に、[一貫性の整合チェック] オプションをオフにした状態で、位置 A を起点としてトレースを実行し、接続されたフィーチャを検索します。このトレースは位置 B に到達し、ツールは警告なしで完了します。位置 B に到達したのは、A と B を接続するフィーチャを削除したことが、整合チェック操作の実行により、ネットワーク トポロジに反映されていないためです。

上の例で [一貫性の整合チェック] オプションをオンにした場合、ダーティ エリアにトレースが到達して削除されたフィーチャをマークすると、トレースが失敗して、ダーティ エリアに遭遇したことをユーザーに知らせます。トレース対象の領域のトポロジが整合チェックされた後は、削除済みフィーチャがネットワーク トポロジに反映されるため、トレースは位置 B に達することができません。トレースされるエリアの範囲全体のネットワーク トポロジが整合チェックされない場合、他のダーティ エリアが発生する可能性があります。

トレース可能な領域に関するネットワーク トポロジ内の情報が最新であっても、サブネットワークはダーティである場合があります。トレース可能なサブネットワークが更新済みであることも確認してください。詳細については、「サブネットワークの更新」をご参照ください。

構成オプション説明

一貫性の整合チェック

このオプションがオンであるときにダーティ エリアがトレース パスと交差する場合、トレースが失敗し、ツールがエラーを返します。このオプションをオフにすると、ダーティ エリアは無視されます。このオプションは、デフォルトでオンになっています。

トレースされる内容の制御

トレース中は、停止位置を示すためにバリアが使用されます。その位置を超えるフィーチャはトレースされません。トレースの結果には、バリアを超えるフィーチャは含まれませんが、必要に応じてバリア自体を含めることができます。[結果タイプ] パラメーターは、トレース結果の中に部分的なフィーチャをジオメトリとして返すことを可能にする、[集約されたジオメトリ] オプションを提供します。

[トレース (Trace)] ツールの [通過可能性] セクションには、トレースの通過可能性を制御する条件バリアと関数バリアがあります。条件バリアはネットワーク属性またはネットワーク カテゴリに基づく式で、トレースを停止する場所を定義します。関数バリアは、条件を満たしたときにトレースを停止するタイミングを定義します。

通過可能性の適用範囲は、traversability_scope パラメーターでさらに制御されますが、これは [トレース (Trace)] ツールで [通過可能性の適用] とラベルが付けられています。このパラメーターは、ジャンクションとエッジの両方、ジャンクションのみ、またはエッジのみに通過可能性を適用するかを決定します。たとえば、通過可能性をジャンクションのみに適用し、エッジが条件バリアで指定された条件を満たしている場合、通過可能性の適用範囲により、トレースはエッジで停止しません。

詳細については、「バリア」をご参照ください。

関数の設定

関数とは、トレースするフィーチャに関連付けられたネットワーク属性に対して計算を実行できるようにするトレース構成です。たとえば、トレースするすべてのワイヤー長の合計などです。1 つのトレースに対して複数の関数を指定できます。

さらに、オプションのネットワーク属性フィルターを各関数に追加することもできます。指定した場合、関数はネットワーク属性フィルターを満たすフィーチャのみに適用されます。

オプションのネットワーク属性フィルターを各関数に追加できます。指定すると、関数は、ネットワーク属性フィルターに適合するフィーチャにのみ適用されます。関数内のフィルターを使用して、条件付き要件を導入します。たとえば、Phases Current 属性が値 ABC を含むすべてのラインの長さを合計します。

メモ:

関数 (Add、Average、Count、Max、Min、Subtract) を含む割り当て可能なネットワーク属性を使用するトレース構成は、エッジ エレメントに基づいて割り当て可能な結果を返します。たとえば、接続したトレース内の関数を使用して shape length 属性をカウントすると、ライン全体ではなく個々のエッジ フィーチャに基づくカウントが返されます。詳細については、「割り当て可能なネットワーク属性」をご参照ください。

返される内容の制御

トレース結果で返される内容を制御するには、出力フィルターと結果タイプを使用します。

出力フィルター

出力フィルターは、フィルターに指定した条件に適合するかどうかを確認するために、トレース中に発生したすべてのフィーチャをスクリーニングします。たとえば、トレースは、電気ネットワークで始点からすべての上流方向への保護デバイスを返します。

[トレース (Trace)] ツールで使用できる [出力] フィルターのタイプは、[出力アセット タイプ][出力条件] の 2 つです。

[出力アセット タイプ] フィルターは、トレース結果に指定されたアセット タイプのみを含める場合に使用します。たとえば、電気ネットワークの電柱レポートに、結果に電柱のみを含める [出力アセット タイプ] フィルターを設定します。

[出力条件] フィルターは、ネットワーク カテゴリとネットワーク属性をサポートします。たとえば、出力条件が特定のネットワーク カテゴリ名を使用して、ガス ネットワークのすべての個別デバイスを返すようにする場合などがあります。この操作では、個別ネットワーク カテゴリが割り当てられているすべてのフィーチャが返されます。ガス ネットワークのトレースでは、緊急時バルブ、バイパス バルブ、システム バルブ、ショート ストップを返すことができます。このネットワーク カテゴリ以外のフィーチャは、トレースはされますが、結果に含められません。

ネットワーク属性は、ネットワーク トポロジに格納され、1 つ以上のフィーチャクラスのフィールドに関連付けられます。出力条件に、ネットワーク属性の名前、演算子、ネットワーク属性に有効な値を指定します。水道網に漏れがある場合、ネットワーク属性を入力して、締めることのできるパイプを返します。この場合、ライン クラスに [Pinchable] というフィールドがあります。このフィールドは、[Pinchable] というネットワーク属性に関連付けられています。[出力条件] パラメーターを構成して、値が [True] である [Pinchable] ネットワーク属性を持つフィーチャクラスを検索します。トレースの結果に、このフィールドと値 [True] を持つフィーチャクラスのフィーチャと、[Pinchable] フィールドのないクラスのフィーチャが含まれます。

出力条件にネットワーク属性の動作を指定して、締めることのできるパイプを返すには、[出力アセット タイプ] フィルターを使用する必要があります。たとえば、Esri が提供するガス ユーティリティ ネットワークの PipelineLine クラスの Distribution Pipe アセット グループで、Plastic PE アセット タイプを指定します。2 つのフィルター IsPinchable = True AND AssetType = Plastic PE を使用すると、トレース結果には締めることのできる Plastic PE パイプのみが含まれます。

[結合方法] パラメーターを使用して、複数の [出力条件] 値を実装することができます。どちらのタイプの出力も使用可能で、複数の出力タイプを設定できます。出力タイプを組み合わせることで、たとえば、80 PSI を超える 12 インチの締めることのできる Plastic PE パイプをすべて返すように設定できます。

複数の式の使用方法の詳細

結果タイプ

オプションの [結果タイプ] パラメーターを使用することで、トレースによって返される結果のタイプを制御できます。[集約されたジオメトリ] および [選択] 結果タイプを別々または同時に指定し、トレース操作の出力ジオメトリおよび選択セットを生成できます。

パラメーターオプション

結果タイプ

  • [選択] - トレース操作の結果は、該当するネットワーク フィーチャの選択セットとして返されます。これがデフォルトです。
  • [集約されたジオメトリ] - トレース操作の結果は、ジオメトリ タイプ別に集約され、アクティブなマップのレイヤー内に表示されるマルチパート フィーチャクラスに格納されます。

[集約されたジオメトリ] オプションを使用すると、トレース結果をフィーチャクラス内のマルチパート ジオメトリとして返すことができます。これによって、始点とエッジ フィーチャの中間部に配置されるバリアの位置が適用され、部分的なフィーチャの結果が返されます。

下の図を確認し、下流方向のトレースにおける選択および集約されたジオメトリの結果タイプ オプションの違いを比較します。下のネットワークは、9 つのエッジ エレメント (e1、e2、e3 などで表される) から構成される 5 つのライン フィーチャ (f1、f2、f3、f4、および f5 で表される) を含みます。

バリア フィーチャを含むこの例では、選択結果が、9 つのエッジ エレメント (f1::e1、e2、e3、f2::e1、e2、および f5::e1、e2) から構成される、7 つのポイント フィーチャと 5 つのライン フィーチャを返します。集約されたジオメトリ結果は、同じフィーチャを返しますが、エッジエレメント f1::e1、e2 および f5::e2 を除外します。

選択および集約されたジオメトリ オプションを使用する下流方向のトレース結果

[バリア フィーチャを含める] 構成オプションがオンに設定されたエッジに沿ってバリアが配置されると、トレースはバリア フィーチャで停止し、エッジの部分的なフィーチャ ジオメトリをトレース結果に返します。[バリア フィーチャを含める] オプションがオフの場合、トレースは中間部の接続性で発生する先行のライン端点またはジャンクションで停止します。

下の例は、[バリア フィーチャを含める] オプションを使用して、トレース結果にバリア フィーチャを含めたり除いたりするときのトレース結果の違いを示しています。この例では、始点とバリアの両方がエッジに沿って配置されています。このオプションが有効な場合、選択結果は、9 つのエッジ エレメント (f1::e1、e2、e3、f2::e1、e2、f3::e1、f4::e1、および f5::e1、e2) から構成される、6 つのポイント フィーチャと 5 つのライン フィーチャを返します。集約されたジオメトリ結果は、同じ 5 つのライン フィーチャを返しますが、エッジ エレメント f1::e1 および f5::e2 を除外します。部分的なジオメトリがエッジ エレメント f1::e2 に返されます。[バリア フィーチャを含める] をオフにして、バリア フィーチャを除外する場合、選択結果は変わりません。ただし、集約されたジオメトリ結果は、さらに f1::e2 を除外します。

[バリア フィーチャを含める] 構成オプションが有効な場合と無効な場合のトレース結果の比較

結果タイプに [集約されたジオメトリ] オプションが選択されている場合、トレース出力の振舞いを定義するために、追加で 5 つのパラメーターが用意されています。

  • 以前のトレース結果をすべて消去
  • トレース名
  • 集約されたポイント
  • 集約されたライン
  • 集約されたポリゴン

[以前のトレース結果をすべて消去] チェックボックスは、集約されたジオメトリを格納するために選択されたフィーチャクラスのコンテンツに対して、切り捨てまたは追加を行うためのオプションを提供します。

パラメーターオプション

以前のトレース結果をすべて消去

  • オン - 集約されたトレース ジオメトリを格納するフィーチャクラスは切り捨てられます。現在のトレース操作の出力ジオメトリのみが書き込まれます。これがデフォルトです。
  • オフ - 現在のトレース操作の出力ジオメトリが、集約されたジオメトリを格納するフィーチャクラスに追加されます。

オプションの [トレース名] パラメーターを使用して、トレース操作の文字列識別子を作成し、トレース結果の識別を支援できます。

[集約されたポイント][集約されたライン]、および [集約されたポリゴン] パラメーターを使用して、集約された結果ジオメトリを格納するためのフィーチャクラスを指定できます。デフォルトでは次に示すように、各パラメーターに、プロジェクトのデフォルトのジオデータベースに格納されるシステム生成のフィーチャクラスが入力されます。

  • Trace_Results_Aggregated_Lines - ライン フィーチャクラス
  • Trace_Results_Aggregated_Points - マルチポイント フィーチャクラス
  • Trace_Results_Aggregated_Polygons - ポリゴン フィーチャクラス

これらのフィーチャクラスは、存在しない場合、自動的に作成されます。既存のフィーチャクラスも、集約されたジオメトリの格納に使用できます。デフォルト以外のフィーチャクラスを使用する場合、そのフィーチャクラスは、TRACENAME という名前の文字列フィールドを含み、出力のジオメトリ タイプに一致する必要があります。

部分的なフィーチャの結果を持つ出力ジオメトリの生成は、より正確なトレースの表現をもたらし、他のタスクのためにトレース結果の比較と再利用を可能にします。

結果タイプに [選択] オプションが選択されている場合、選択がどのように適用されるか、および選択がすでに存在する場合にどのようなアクションを実行するかを定義するために追加の [選択タイプ] パラメーターが用意されています。

パラメーターオプション

選択タイプ

  • [新しい選択] - 結果として得られる選択によって、現在の選択が置換されます。これがデフォルトです。
  • 現在の選択に追加 - 選択が存在する場合、結果として得られる選択が現在の選択に追加されます。選択が存在しない場合は、新しい選択オプションと同じです。
  • [現在の選択から削除] - 結果として得られる選択が現在の選択から削除されます。選択が存在しない場合、このオプションは影響を与えません。新しい選択オプションと同じです。
  • [現在の選択からサブセットを選択] - 結果として得られる選択が現在の選択に組み合わせられます。両方に共通のレコードだけが選択された状態となります。
  • [現在の選択の切り替え] - 結果として得られる選択が切り替わります。選択された結果が現在の選択から削除され、選択されなかった結果が現在の選択に追加されます。選択が存在しない場合は、新しい選択オプションと同じです。

ビット単位の演算子の操作

トレース構成は、バリア、フィルター、関数、およびトレース結果の出力を定義するために使用される演算子の共通のセットを使用します。標準的な演算子は、フィーチャ属性を評価して、ある値に等しいか、ある値より小さいか、または大きいかを確認するために使用されます。

トレース構成で使用される標準的な演算子は、[等しい]、[等しくない]、[より大きい]、[以上]、[より小さい]、[以下] です。

ビット単位の演算子は、値のビット セットを解析することによって、ビットの使用を論理に組み込みます。これらの演算子は、機能および柔軟性を高め、高度なトレース アプリケーションにおいて一般的に使用されます。トレース フレームワークは、ユーザーが定義する意味とは無関係に、それらのビットを操作することができます。

トレース構成で使用されるビット単位の演算子には以下が含まれます。

  • 値を含む - 値のすべてのビットが属性内に存在するビット単位の論理積演算 (bitwise AND == value)。
  • 値を含まない - 値の一部のビットが属性内に存在しないビット単位の論理積演算 (bitwise AND != value)。
  • いずれかを含む - 値の少なくとも 1 つのビットが属性内に存在するビット単位の論理積演算 (bitwise AND == True)。
  • いずれも含まない - 値のビットが属性内に存在しないビット単位の論理積演算 (bitwise AND == False)。

電力ユーティリティ ネットワーク内のフェーズをモデル化するときに、ビット セットを使用するようにデータセットを構成できます。値のセットが、許容されるフェーズの組み合わせおよびビット表現 (各ビットが意味を持っている) ごとに構成されます。コード値ドメインが、許容できるフェーズ値を使用して構成され、フェーズを使用する属性に割り当てられます。トレース構成で使用するために、フェーズ フィールドで、ネットワーク属性が構成されます。

下の表は、ビット セットを使用してフェーズをモデル化する方法の概要を示しています。ビット値がコードとして格納され、フェーズ値が、コード値ドメインで説明に使用されます。表のバイナリ列は、各ビット セットのバイナリ リプレゼンテーションを示しています。ビット単位の演算子は、属性をビットに分解し、各ビットを評価して、演算論理を満たすかどうかを確認します。ネットワーク属性が AC (101) であり、比較される値が BC (011) である場合、[値を含む] 演算子は、中央のビット (B) が AC に含まれていないため、True であると評価せず、一方、[いずれかの値を含む] 演算子は、ビット C が AC および BC の両方に含まれているため、True であると評価します。

バイナリビット値フェーズ値

001

1

C

010

2

B

100

4

A

011

3

BC

101

5

AC

110

6

AB

111

7

ABC

フェーズのコード値ドメイン

例: A を含んでいる Phases Current 値を持つサブネットワーク内のすべてのフィーチャを見つけるために、配電ドメイン ネットワーク上でサブネットワーク トレースが実行されます。始点が、A の Phases Current 値を持つ供給ポイント上に設定され、以降のトレース構成が、フィルター バリアとして指定されます。フィルター バリアは、フェーズ A を含んでいないフィーチャをトレース結果から除外するように構成されます。バリア フィーチャをトレース結果に含めないようにするには、トレース構成オプション [バリア フィーチャを含める] を False に設定します。トレース結果は、A の Phases Current 値または A を含んでいる Phases Current 値を持つサブネットワーク フィーチャを含みます。

Filter Barriers
Name: Phases Current
Operator: Does not include any (Bitwise AND equals False)
Type: Specific value
Value: 4 (code for A)

トレースしたネットワーク フィーチャに対する計算の実行

ユーティリティ ネットワークには、サブネットワークが更新エクスポートトレースされたときに使用される、「属性の伝達」と呼ばれる高度な機能があります。

代替はネットワーク属性の一種です。この値は、属性代替カテゴリがそのアセット タイプに割り当てられているフィーチャに対して反映される値を計算するために使用します。結果の代替値を使用して、次の接続フィーチャの値を計算します。属性代替を使用するには、伝達を構成する必要があります。

詳細については、「属性の反映」および「属性代替」をご参照ください。