クライアントとジオデータベースの互換性

次に示すような ArcGIS クライアント ソフトウェアを使用して、ジオデータベースにアクセスできます。

  • ArcGIS Pro (ファイル ジオデータベース、モバイル ジオデータベース、およびエンタープライズ ジオデータベースへの接続をサポート)
  • ArcGIS Server サービス (ファイル ジオデータベースとエンタープライズ ジオデータベースへの接続をサポート)

ジオデータベースと ArcGIS リリース

ジオデータベースと ArcGIS クライアントを同じバージョンにしておく必要はありませんが、同じバージョンにしておくことをお勧めします。 ジオデータベースとクライアント ソフトウェアは連携して動作するように設計されており、一方のバージョンがもう一方のバージョンとかけ離れると、問題や予期しない動作が生じるリスクがあります。

これは、サイトで複数のクライアント バージョンを使用する場合に特に当てはまります。 新しいクライアントは、ジオデータベースに古いクライアントがアクセスできない新しいデータベース タイプを作成できます。 エンタープライズ ジオデータベースの場合、ジオデータベースのアップグレード間隔が長すぎると、ジオデータベースをアップグレードする前に、基礎になるデータベースを複数回アップグレードする必要があることがあります。

エンタープライズ ジオデータベースのジオデータベース バージョンは、システム テーブルに格納され、ジオデータベース管理者が [データベース プロパティ] ダイアログ ボックスから使用できます。 このバージョンは、ジオデータベースの作成またはアップグレードに使用したクライアント バージョンを示しています。 このジオデータベース バージョンは主に Esri サポートが問題解決のために使用しているもので、ユーザーが使用できる機能をすべて反映しているわけではありません。ジオデータベース機能の多くは、ジオデータベースそのものではなく、ジオデータベースにアクセスするクライアントに実装されているからです。

ファイル ジオデータベースのバージョンは 10.1 以降変わっていません。 モバイル ジオデータベースのバージョンは ArcGIS Pro 2.7 以降変わっていません。

互換性には次のルールが適用されます。

  • クライアントとジオデータベースには、サポート対象バージョンの ArcGIS を使用してください。
  • エンタープライズ ジオデータベースは、ジオデータベースと使用する ArcGIS リリースの両方でサポートされているデータベース リリースに格納する必要があります。 ArcGIS クライアント コンピューターにインストールするデータベース クライアントが、使用する ArcGIS のバージョンに対応している必要があります。 サポートされているデータベースおよびデータベース クライアントのリリースの詳細については、次のページをご参照ください。 古いソフトウェア バージョンとその他のオペレーティング システムの情報については、[他のバージョン] ドロップダウン リストを使用してご参照ください。
  • 古い ArcGIS クライアントでは、新しいリリースのジオデータベースのデータを表示、検索、編集、および保存することはできますが、新しい機能が含まれたデータセットを開くことはできません。 古い ArcGIS クライアントから新しいデータセット タイプにアクセスしようとすると、次のようなエラー メッセージが表示されます:

    このデータセットは、このバージョンのジオデータベース クライアントとの互換性がないため開くことができません。

    データを追加できませんでした。データ タイプがサポートされていません。

  • ArcGIS Pro 2.2 以前および ArcGIS 10.6.1 以前のクライアントは、SQL Server 11.0 以降のジオデータベースに接続できません。
  • ArcGIS クライアントには、当該クライアントの API も含まれています。 このため、API を使用してジオデータベースにアクセスする場合も、同様の混在したリリースのルールが適用されます。
  • クライアントを ArcGIS Field MapsArcGIS Survey123 などの ArcGIS Server サービスに接続して使用する場合、実際には ArcGIS Server がジオデータベースのクライアントになります。 この場合は、ArcGIS Server とジオデータベースのバージョンに互換性があることを確認してください。
  • 新しい ArcGIS クライアントから古いリリースのエンタープライズ ジオデータベースに接続する際、そのリリースのジオデータベースに最新のパッチが存在する場合は、そのパッチをジオデータベースに適用します。
  • ジオデータベース レプリケーションを使用する場合、子レプリカ ジオデータベースのバージョンは親レプリカ ジオデータベースと同じかそれ以降でなければなりません。
  • ArcMap を使用して、ArcGIS Pro に固有の機能を使用しているデータセットにアクセスすることはできません。 たとえば、ブランチ バージョン対応データセット、ユーティリティ ネットワーク、または ArcMap の属性ルールを含むデータセットにはアクセスできません。
  • ArcGIS Pro 3.3 以降で作成されたファイル ジオデータベースに ArcMap を使用してアクセスすると、ArcGIS Pro 固有の編集テンプレートのシステム テーブル (GDB_EditingTemplates および GDB_EditingTemplateRelationships) が表示されます。 これらのテーブルは変更しないでください。
  • ArcGIS Pro 3.0 以降または ArcGIS Server 11.0 以降を使用して作成またはアップグレードされた次のデータセットは、ArcGIS Pro 2.9 以前または ArcGIS Enterprise 10.9.1 以前では使用できません。
    • アノテーション データセット
    • ディメンション
  • 次のデータセットは、ArcGIS Pro 3.0 以前では使用できません。
    • カタログ データセット

      カタログ データセットは、ArcGIS Enterprise 11.0 以前では使用できません。

    • 軌道データセット

      現在、軌道データセットは Web サービスではサポートされていません。

  • ArcGIS Pro 3.2 と ArcGIS Enterprise 11.2 以降では、カタログ データセットに新しい内部バージョン番号が使用されます。 これには、次のような意味があります。
    • ArcGIS Pro 3.2 以降のリリースで作成されたカタログ データセットや、ArcGIS Server 11.2 以降のリリースでインストールされたツールを使用して作成されたカタログ データセットは、以前のソフトウェア リリースでは使用できません。
    • ArcGIS Pro 3.2 または ArcGIS Server 11.2 のツールを使用し、ArcGIS Pro 3.1 または ArcGIS Server 11.1 で作成したカタログ データセットにアイテムを追加したり、ポータル アイテムを追加したりするには、カタログ データセットをアップグレードする必要があります。
    • ArcGIS Pro 3.1 以前または ArcGIS Enterprise 11.1 以前でアップグレードされたカタログ データセットにはアクセスできません。
  • 方向付き画像レイヤーをサポートするエンタープライズ ジオデータベースの最小バージョンは 11.2.0 です。 ArcGIS Pro 3.1 以前または ArcGIS Enterprise 11.1 以前では、方向付き画像レイヤーを使用できません。
  • ユーティリティ ネットワークと ArcGIS クライアントの互換性については、「ユーティリティ ネットワークの互換性」をご参照ください。
  • トレース ネットワークと ArcGIS クライアントの互換性については、「トレース ネットワーク データセットの管理」をご参照ください。
  • ArcGIS Pro 3.1 以前のクライアントは、date only、time only、timestamp offset、big integer、64-bit object ID データ タイプのフィールドが含まれているジオデータベース テーブルまたはフィーチャクラスにはアクセスできません。 これらのデータ タイプは ArcGIS Enterprise 11.2 に公開できますが、完全にサポートされていないため、ArcGIS Enterprise 11.2 Web レイヤーでの使用はベータ版の機能と見なされます。
  • ArcGIS Pro 3.1 以前のクライアントは、ミリ秒を含むよう移行された date フィールドが含まれているジオデータベース テーブルまたはフィーチャクラスにはアクセスできません。
  • 64 ビットの object ID、big integer、date only、time only、timestamp with offset データ タイプをサポートする、エンタープライズ ジオデータベースの最小バージョンは 11.2.0 です。 すべてのデータベース管理システムで、すべてのデータ タイプがサポートされているわけではありません。 使用しているデータベース タイプのデータ タイプのページをご参照ください。
  • date only、time only、timestamp offset、big integer、または 64-bit object ID フィールドが含まれているテーブルまたはフィーチャクラスを 10.0 より前のバージョンのファイル ジオデータベース内に作成、貼り付け、インポートすることはできません。

ジオデータベースの更新時期

次のいずれかに該当する場合には、ジオデータベースのアップグレードが必要です。

  • 使用しているバージョンのクライアントでは、使用したいバージョンのジオデータベースに接続できない場合 エンタープライズ ジオデータベースの場合、使用するクライアント リリースは使用するデータベース管理システム バージョンに接続できない可能性があります。その場合、新しいクライアントから接続するには、データベース、データベース クライアント、ジオデータベースをアップグレードする必要があります。
  • 新しいリリースのジオデータベースで追加された機能が必要な場合 ジオデータベースの新機能およびデータセット タイプについては、各バージョンの「ArcGIS Pro の新機能」をご参照ください。 また、前述のセクションで互換性のルールも確認してください。 パーセル ファブリックやネットワーク データセットなど、特定のタイプのデータセットを作成したりアップグレードしたりすると、古いクライアントがデータセットにアクセスできなくなる場合があることに注意してください。
  • エンタープライズ ジオデータベースにブランチ バージョン対応データが含まれ、ジオデータベースをバージョン 11.3.0 にまだアップグレードしていないか、いずれの Branch Versioning General パッチも適用しておらず、アップグレードも行っていない場合
  • ジオデータベースのアップグレードが必要な ArcGIS パッチを適用します。 ArcGIS ProArcGIS Server のパッチによっては、適用後にエンタープライズ ジオデータベースのアップグレードが必要になる場合があります。 パッチの説明をよく読んで、ジオデータベースをアップグレードする必要があるかどうかを判断してください。 アップグレード手順は、必ず、パッチを適用した ArcGIS クライアントから実行してください。

ジオデータベースのアップグレードの詳細については、お使いのジオデータベースのタイプに応じたアップグレード トピックをご参照ください。