ユーティリティ ネットワークを最新の状態に維持して、最新の機能を利用できるようにするために、アップグレードが必要な場合があります。 これは、ユーティリティ ネットワーク データセット、ネットワーク フィーチャクラス、その他の関連するジオプロセシング オブジェクトに対して、スキーマの変更を適用します。 アップグレードを実行するには、[データセットのアップグレード (Upgrade Dataset)] ツールを使用します。
情報モデルでスキーマの変更により、導入された新しい機能を利用するには、ユーティリティ ネットワーク データセットをアップグレードする必要があります。 ArcGIS Pro クライアントのバージョンと現在のユーティリティ ネットワーク バージョンによって、ユーティリティ ネットワーク データセットのアップグレードが利用可能かどうかを判断できます。 アップグレード処理を実行すると、ユーティリティ ネットワーク バージョン番号が増分します。
エンタープライズ ジオデータベースを操作する場合、ArcGIS Pro と ArcGIS Enterprise のバージョンにより、作成またはアップグレードされるユーティリティ ネットワーク データセットのバージョンが決定されます。 詳細については、ユーティリティ ネットワークの互換性をご参照ください。
すべての ArcGIS Pro および ArcGIS Enterprise リリースで、スキーマの変更が導入されるわけではなく、新しいリリースに移行する際に、ユーティリティ ネットワーク データセットのアップグレードが必要なわけではないことに留意してください。 アップグレードするだけで、新しいユーティリティ ネットワーク バージョンの新バージョンで導入された機能を利用できます。
アップグレードは、バージョン間で累積的で、スキップされたバージョンからの変更を含みます。 たとえば、ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 3 からユーティリティ ネットワーク バージョン 5 へ更新する場合、バージョン 4 および 5 のすべてのスキーマ変更が含まれます。 ユーティリティ ネットワーク データセットをバージョン 3 以前からアップグレードする場合、アップグレード プロセスの後に、追加の手順が必要です。 アップグレード パスに含まれるバージョンごとの手順を確認します。
ヒント:
ユーティリティ ネットワークのバージョンとアップグレード履歴は、ネットワーク プロパティ タブの [一般] セクションで確認できます。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 7 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワーク バージョン 7 では、64 ビットの Object ID と多倍長整数フィールドのサポート、Flow direction フィールドを使用して方向トレースを実行する機能、ネットワーク ダイアグラムで結合と高度なラベリングおよびレンダリング ワークフローをサポートする、新しいフィールドが導入されます。 ユーティリティ ネットワークをバージョン 7 にアップグレードすると、64 ビット Object ID と多倍長整数フィールドをサポートするために、すべてのユーティリティ ネットワーク テーブル上のインデックスを削除して再作成するなど、追加のタスクが実行されます。 したがって、このプロセスが完了するまでに、時間がかかる場合があります。
追加の手順は、ユーティリティ ネットワークをバージョン 7 にアップグレードする前に、実施する必要があります。
- エンタープライズ ジオデータベースを操作する場合、ジオデータベースがアップグレード済みであることを確認してください。 ユーティリティ ネットワーク バージョン 7 では、64 ビット Object ID と多倍長整数フィールドの追加など、スキーマの変更が導入されます。 64 ビット Object ID と多倍長整数フィールドをサポートするエンタープライズ ジオデータベースの最小バージョンは 11.2.0 です。
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 7 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- すべてのユーティリティ ネットワーク クラスの Object ID フィールドが、64 ビット Object ID を使用するように移行されます。
- ドメイン ネットワークの Line クラスと EdgeObject クラス、および構造物ネットワークの StructureLine クラスと StructureEdgeObject クラスに、新しいフィールド FLOWDIRECTION が追加されます。 これにより、[トレース (Trace)] ツールと [トレース構成の追加 (Add Trace Configuration)] ツールで、デジタイズ方向を使用パラメーターがサポートされ、上流トレースと下流トレースの操作を実行する際に、ラインのデジタイズ方向、エッジ オブジェクトの From および To Global ID、Flow direction 属性値が順守されるようになります。
- 結合と高度なラベリングおよびレンダリング ワークフローに対応するために、新しいテキスト フィールド Info が TMP_JUNCTIONS、TMP_EDGES、TMP_CONTAINERS、JUNCTIONS、EDGES、および CONTAINERS ダイアグラム クラスに追加されます。
- UN_<ID>_IsDirty ドメインのドメインとコード値の説明が更新され、サブネットワークが (0: クリーン)、(1: ダーティ)、または (2: 無効) のどれであるかを伝えられるようになります。
- SubnetLine フィーチャクラスと Subnetworks テーブルのISDIRTY属性フィールドに、Status というエイリアスが設定されます。
- ダーティ エリアと関連付けテーブルの ERRORCODE フィールドは、Double から Big integer フィールド データ タイプに更新されます。
ユーティリティ ネットワークをバージョン 7 にアップグレードした後で、追加の手順が必要です。
- ユーティリティ ネットワーク データセットをバージョン 3 以前からアップグレードする場合、ユーティリティ ネットワーク バージョン 4 で行われた累積的な変更を組み込むには、追加の手順が必要です。 詳細については、以下のユーティリティ ネットワークをバージョン 4 にアップグレードした後に必要な追加の手順セクションをご参照ください。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 6 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワークバージョン 6 では、ネットワーク ダイアグラムを操作するユーザー向けの利点として、さまざまな内部アップデートが加えられました。
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 6 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- 関連付けテーブルの ASSOCIATIONTYPE フィールドがサブタイプ フィールドとして設定され、ダイアグラムの表示と関連付けの編集時のパフォーマンスが向上します。
ユーティリティ ネットワークをバージョン 6 にアップグレードした後で、追加の手順が必要です。
- ユーティリティ ネットワーク データセットをバージョン 3 以前からアップグレードする場合、ユーティリティ ネットワーク バージョン 4 で行われた累積的な変更を組み込むには、追加の手順が必要です。 詳細については、以下のユーティリティ ネットワークをバージョン 4 にアップグレードした後に必要な追加の手順セクションをご参照ください。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 5 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワーク バージョン 5 では、指定トレース構成を作成して操作する機能が導入され、層のサブネットワーク定義を構成するための追加オプションが公開されています。 詳細については、サブネットワーク定義の設定をご参照ください。
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 5 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- 新しいフィールド SUPPORTINGSUBNETWORKNAME が、Assembly フィーチャクラスを除く、すべてのドメイン ネットワーク クラスに追加されます。
- 新しいテーブル UN_<ID>_TRACECONFIGURATIONS が、ユーティリティ ネットワーク スキーマに追加されて、指定トレース構成の作成、使用、共有をサポートします。
ユーティリティ ネットワークをバージョン 5 にアップグレードした後で、追加の手順が必要です。
- アップグレード後、既存のユーティリティ ネットワーク サービスのサービス設定を確認します。 ユーティリティ ネットワークの許可するオペレーションのセクションで、ArcGIS Enterprise 10.9 専用の操作を含めるように許可する、すべてのオペレーションがオンになっていることを確認します。
- ユーティリティ ネットワーク データセットをバージョン 3 以前からアップグレードする場合、ユーティリティ ネットワーク バージョン 4 で行われた累積的な変更を組み込むには、追加の手順が必要です。 詳細については、以下のユーティリティ ネットワークをバージョン 4 にアップグレードした後に必要な追加の手順セクションをご参照ください。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 4 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワーク バージョン 4 では、エラー管理を組み込み、非空間ジャンクションおよびエッジ オブジェクトの作成と操作を行えるダーティ エリア モデルが新たに導入されています。 層のサブネットワーク定義を構成するために、その他のオプションも公開されています。 詳細については、サブネットワーク定義の設定をご参照ください。
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 4 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- ポイント、ライン、およびポリゴン エラー サブレイヤーは削除され、ユーティリティ ネットワーク レイヤーのサブレイヤーとして使用できなくなります。
- ダーティ エリアおよび関連付けテーブルのスキーマは、エラー情報を保存するように変更されます。
- UPDATETYPE フィールドは、ダーティ エリア テーブルから削除されます。
- STATUS フィールドは、ダーティ エリア テーブルで使用され、ダーティ エリアのタイプを示します。 このフィールドは、関連付けテーブルに追加されます。
- ERRORCODE および ERRORMESSAGE フィールドは、ダーティ エリアおよび関連付けテーブルに追加されます。
- PERCENTALONG フィールドは、関連付けテーブルに追加されます。
- 名前付きバージョンのすべてのダーティ エリアは切り捨てられます。 この手順は、ダーティ エリア テーブルに加えられたスキーマ変更を取り込むために必要です。 デフォルト バージョンのアップグレード後、ネットワーク トポロジを有効化し、すべての名前付きバージョンでリコンサイルを実行することで、新しいダーティ エリアが生成されます。
- ユーティリティ ネットワークの組み込みのフィーチャ制限を伴う変更を含むよう、AssociationStatus ドメインが更新されます。
- サブネットワーク テーブルの SUBNETWORKNAME および SUBNETWORKCONTROLLERNAME フィールドに、一意でない属性インデックスが追加されます。
- すべてのドメイン ネットワーク クラスに、SUPPORTEDSUBNETWORKNAME という新しいフィールドが追加されます。 このフィールドは、Assembly フィーチャクラスのフィーチャがサポートするフィーチャのサブネットワークを保存するために使用されます。
- サブネットワークの更新処理は、Assembly フィーチャクラスのフィーチャのサブネットワークを保存するために、SUBNETWORKNAME フィールドを更新しなくなります。
- アップグレード時に SUBNETWORKNAME フィールドは、システム管理されなくなるように更新されますが、削除されることはありません。 必須ではありませんが、混乱を避けるために、Assembly フィーチャクラスから削除することができます。
次に示す追加のサブネットワーク プロパティが、各層に対して保存されます。
- 有効なジャンクション。
- 有効なジャンクション オブジェクト。
- 有効なエッジ オブジェクト。
- 有効なサブネットワーク コントローラーには、有効なサブネットワーク コントローラーとして設定されているデバイスおよびジャンクション オブジェクトが表示されます。
- システム提供の UN_<ID>_IsDirty コード値ドメインに、新しいコードおよび説明の値が追加されます (2: Invalid)。 これにより、ArcGIS Pro 3.1 以降、サブネットワークの更新時に、Is dirty 属性に新しいサブネットワーク ステータスとして、[無効] がサポートされるようになり、サブネットワークを更新できない条件が存在することを示せるようになりました。
共通の地理的空間を共有する多数の現実世界のフィーチャをモデル化して操作するために、ユーティリティ ネットワーク スキーマの一部として、非空間ジャンクションおよびエッジ オブジェクトが導入されています。
- 構造物ネットワークに対して、次のテーブルが作成されます。
- StructureJunctionObject
- StructureEdgeObject
- 各ドメイン ネットワークに対して、次のテーブルが作成されます。
- <domain_network>JunctionObject
- <domain_network>EdgeObject
- システム提供の UN_<ID>_FeatureSourceID コード値ドメインが更新され、構造物ネットワークと各ドメイン ネットワークに対して、次のコードと説明の値が追加されます。
- <ID> - 構造物ジャンクション オブジェクト
- <ID> - 構造物エッジ オブジェクト
- <ID> - <domain_name> ジャンクション オブジェクト
- <ID>- <domain_name> エッジ オブジェクト
ユーティリティ ネットワークをバージョン 4 にアップグレードした後に必要な追加の手順
- ユーティリティ ネットワークをブランチ バージョン対応として含むフィーチャ データセットを登録し、新しいジャンクションおよびエッジ オブジェクトをバージョン管理します。 詳細については、データセットのブランチ バージョン対応登録をご参照ください。
- ネットワーク トポロジを有効化します。
- 既存のマップのユーティリティ ネットワーク レイヤーを削除して再追加し、更新されたダーティ エリアとエラー シンボルを反映します。
- 非空間ジャンクションおよびエッジ オブジェクト テーブルを含む更新されたマップを使用して、新しいサービスを公開します。 新しい Web フィーチャ レイヤーを公開するか、既存の Web フィーチャ レイヤーを上書きすることで実行できます。
- すべての名前付きバージョンをリコンサイルして、更新時に行われたスキーマ変更に基づき、ダーティ エリアを再生成します。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 3 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 3 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- 新しいシステム提供のネットワーク属性が、ユーティリティ ネットワークに追加されます。 Flow direction は、イン ラインで格納された非表示のシステム提供のネットワーク属性です。フロー方向を利用した今後の作業をサポートするために、[ユーティリティ ネットワーク バージョン] 7 で導入されています。