空間構造の分解 (Decompose Spatial Structure (Moran Eigenvectors)) (空間統計)

サマリー

フィーチャクラスと近傍を一連の空間コンポーネントに分解します。 このコンポーネントは、フィーチャ間の潜在的な空間パターン (クラスターやトレンド) を表します。

コンポーネントは出力フィーチャクラスのフィールドとして返され、可能な限り最も強力な空間クラスタリング (空間的自己相関) を持つ入力フィーチャおよび近傍の変数を表します。 コンポーネントは Moran の固有ベクトルと呼ばれ、各コンポーネントは異なる空間パターンを表し、それぞれが互いに独立しています。

Moran の固有ベクトルの詳細

空間構造の分解 (Moran の固有ベクトル) ツールの図

使用法

  • このツールで作成された空間コンポーネントは、可能性があるフィーチャまたは近傍の空間パターンを表します。 ただし、これらのパターンは対象の変数のパターンに対応しない場合があります。 このツールは、マップで空間コンポーネントを視覚化するために提供され、さまざまなアプリケーションで選択手順をカスタマイズできます。 空間コンポーネント ユーティリティ (Moran の固有ベクトル) ツールセット内の他のツールも空間コンポーネントを作成しますが、コンポーネントの説明変数の作成 ([空間コンポーネントの説明変数を作成 (Create Spatial Component Explanatory Variables)] ツール)、フィールドからの空間的自己相関の削除 ([フィールドから空間的自己相関分析をフィルター (Filter Spatial Autocorrelation From Field)] ツール)、解析に適した近傍と空間縮尺の推奨 ([近隣のコンセプトを比較 (Compare Neighborhood Conceptualizations)] ツール) など、一般的なワークフローで空間コンポーネントを追加で使用または選択します。 間違って多数のコンポーネントを選択し、その後の解析で過剰適合やバイアスを生じることがよくあるため、カスタム選択方法 (AIC 選択や最初の K コンポーネントの使用など) を実行する場合は注意が必要です。 ツールセット内の他のツールは、過剰適合を防ぐように設計され検証されています。

  • ツールにより作成される空間コンポーネントの数は、[相対的な Moran's I 閾値] パラメーターと [コンポーネントの最大数] パラメーターの値によって異なります。 コンポーネントは Moran's I の最大値から最小値の順に並べられ、ツールは、コンポーネントの数が最大数に達したとき、または次のコンポーネントの Moran's I 値が閾値よりも小さいときに、新しいコンポーネントの追加を停止します。 閾値は、最初のコンポーネントの Moran's I 値の比率で指定されます。 たとえば、最初のコンポーネントの Moran's I 値が 0.8 で閾値が 0.25 の場合、次のコンポーネントはその Moran's I 値が 0.2 以上 (0.8 x 0.25) の場合にのみ含められます。

  • 空間コンポーネントは出力フィーチャクラスのフィールドとして返され、アクティブなマップでツールを実行した場合、最初のコンポーネントに基づいて出力フィーチャ レイヤーが描画されます。

  • ジオプロセシング メッセージには、ツールで作成された各コンポーネントの Moran's I 値と p 値を表示する [空間コンポーネントの空間的自己相関] テーブルが含まれます。

パラメーター

ラベル説明データ タイプ
入力フィーチャ

空間コンポーネントの作成に使用するポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャ。

Feature Layer
出力フィーチャ

空間コンポーネントをフィールドとして含む出力フィーチャクラス。 作成されるフィールドの数は、[相対的な Moran's I 閾値] パラメーター値と [空間コンポーネントの最大数] パラメーター値によって異なります。

Feature Class
入力フィーチャからすべてのフィールドをアペンド
(オプション)

入力フィーチャから出力フィーチャクラスにすべてのフィールドをコピーするかどうかを指定します。

  • オン - 入力フィーチャのすべてのフィールドが出力フィーチャクラスにコピーされます。 これがデフォルトです。
  • オフ - フィールドは出力フィーチャクラスにコピーされません。
Boolean
相対的な Moran's I 閾値
(オプション)

空間コンポーネントを含める際の閾値。 値は空間加重に対する可能な Moran's I の最大値の比率で、含めるコンポーネントはこの閾値よりも大きい Moran's I 値を持つ必要があります。 デフォルトは 0.25 です。つまり、含めるコンポーネントには、Moran's I 値の最大値の 25 パーセント以上の Moran's I 値が必要です。 値は 0 ~ 1 の間の値でなければならず、値が小さくなるほどコンポーネントが多くなります。

Double
空間コンポーネントの最大数
(オプション)

作成される空間コンポーネントの最大数。 デフォルトは 15 です。

Long
近傍タイプ
(オプション)

各入力フィーチャに対する近傍の選択方法を指定します。 入力フィーチャの空間構造を分解するには、近傍フィーチャを特定する必要があります。

  • 距離バンド指定された各フィーチャの臨界距離内にあるフィーチャが近接フィーチャとして含められます。 これは、ポイント フィーチャに対するデフォルトの設定です。
  • 近傍数最も近いフィーチャが近傍として含められます。
  • 隣接エッジのみエッジを共有するポリゴン フィーチャが近接フィーチャとして含められます。
  • 隣接エッジ コーナーエッジまたはコーナーを共有するポリゴン フィーチャが近傍として含められます。 ポリゴン フィーチャに対するデフォルトです。
  • ドロネー三角形分割ドロネー三角形分割でエッジを共有するフィーチャが近傍として含められます。
  • 空間加重をファイルから取得近傍および加重は、指定した空間加重ファイルによって定義されます。
String
距離バンド
(オプション)

フィーチャを近傍として含める距離範囲。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。 指定した距離に 1,000 以上の近傍が含まれる場合、最も近い 1,000 個のフィーチャのみが近傍として含められます。

Linear Unit
近傍数
(オプション)

各フィーチャに対して含める近傍数。 この数にフォーカル フィーチャは含まれません。 デフォルトは 8 です。

Long
加重マトリックス ファイル
(オプション)

近接および入力フィーチャ間の加重を定義する空間加重マトリックス ファイル (.swm) のパスとファイル名。

File
ローカル加重方式
(オプション)

近傍フィーチャに適用される加重方式を指定します。

  • 加重なし近接フィーチャは加重されません。 これがデフォルトです。
  • バイスクエア近傍は、Bisquare カーネル方式を使用して加重されます。
  • ガウス近傍は、Gaussian カーネル方式を使用して加重されます。
String
カーネル バンド幅
(オプション)

Bisquare または Gaussian ローカル加重方式のバンド幅。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。

Linear Unit
出力空間加重マトリックス ファイル
(オプション)

すべてのフィーチャのペアの近傍と加重の出力空間加重マトリックス ファイル (.swm)。 作成すると、このファイルをツールで再利用して、空間加重マトリックス ファイルで近傍と加重を定義できます。

File
一意の ID フィールド
(オプション)

出力空間加重マトリックス ファイルの一意の ID フィールド。 このフィールドは整数でなければならず、入力フィーチャごとに個別値が必要です。

Field

arcpy.stats.DecomposeSpatialStructure(in_features, out_features, {append_all_fields}, {min_autocorrelation}, {max_components}, {neighborhood_type}, {distance_band}, {number_of_neighbors}, {weights_matrix_file}, {local_weighting_scheme}, {kernel_bandwidth}, {out_swm}, {id_field})
名前説明データ タイプ
in_features

空間コンポーネントの作成に使用するポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャ。

Feature Layer
out_features

空間コンポーネントをフィールドとして含む出力フィーチャクラス。 作成されるフィールドの数は、min_autocorrelation パラメーター値と max_components パラメーター値によって異なります。

Feature Class
append_all_fields
(オプション)

入力フィーチャから出力フィーチャクラスにすべてのフィールドをコピーするかどうかを指定します。

  • ALL入力フィーチャのすべてのフィールドが出力フィーチャクラスにコピーされます。 これがデフォルトです。
  • NO_FIELDSフィールドは出力フィーチャクラスにコピーされません。
Boolean
min_autocorrelation
(オプション)

空間コンポーネントを含める際の閾値。 値は空間加重に対する可能な Moran's I の最大値の比率で、含めるコンポーネントはこの閾値よりも大きい Moran's I 値を持つ必要があります。 デフォルトは 0.25 です。つまり、含めるコンポーネントには、Moran's I 値の最大値の 25 パーセント以上の Moran's I 値が必要です。 値は 0 ~ 1 の間の値でなければならず、値が小さくなるほどコンポーネントが多くなります。

Double
max_components
(オプション)

作成される空間コンポーネントの最大数。 デフォルトは 15 です。

Long
neighborhood_type
(オプション)

各入力フィーチャに対する近傍の選択方法を指定します。 入力フィーチャの空間構造を分解するには、近傍フィーチャを特定する必要があります。

  • DISTANCE_BAND指定された各フィーチャの臨界距離内にあるフィーチャが近接フィーチャとして含められます。 これは、ポイント フィーチャに対するデフォルトの設定です。
  • NUMBER_OF_NEIGHBORS最も近いフィーチャが近傍として含められます。
  • CONTIGUITY_EDGES_ONLYエッジを共有するポリゴン フィーチャが近接フィーチャとして含められます。
  • CONTIGUITY_EDGES_CORNERSエッジまたはコーナーを共有するポリゴン フィーチャが近傍として含められます。 ポリゴン フィーチャに対するデフォルトです。
  • DELAUNAY_TRIANGULATIONドロネー三角形分割でエッジを共有するフィーチャが近傍として含められます。
  • GET_SPATIAL_WEIGHTS_FROM_FILE近傍および加重は、指定した空間加重ファイルによって定義されます。
String
distance_band
(オプション)

フィーチャを近傍として含める距離範囲。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。 指定した距離に 1,000 以上の近傍が含まれる場合、最も近い 1,000 個のフィーチャのみが近傍として含められます。

Linear Unit
number_of_neighbors
(オプション)

各フィーチャに対して含める近傍数。 この数にフォーカル フィーチャは含まれません。 デフォルトは 8 です。

Long
weights_matrix_file
(オプション)

近接および入力フィーチャ間の加重を定義する空間加重マトリックス ファイル (.swm) のパスとファイル名。

File
local_weighting_scheme
(オプション)

近傍フィーチャに適用される加重方式を指定します。

  • UNWEIGHTED近接フィーチャは加重されません。 これがデフォルトです。
  • BISQUARE近傍は、Bisquare カーネル方式を使用して加重されます。
  • GAUSSIAN近傍は、Gaussian カーネル方式を使用して加重されます。
String
kernel_bandwidth
(オプション)

Bisquare または Gaussian ローカル加重方式のバンド幅。 値を指定しない場合、値は処理中に見積もられ、ジオプロセシング メッセージとして含められます。

Linear Unit
out_swm
(オプション)

すべてのフィーチャのペアの近傍と加重の出力空間加重マトリックス ファイル (.swm)。 作成すると、このファイルをツールで再利用して、空間加重マトリックス ファイルで近傍と加重を定義できます。

File
id_field
(オプション)

出力空間加重マトリックス ファイルの一意の ID フィールド。 このフィールドは整数でなければならず、入力フィーチャごとに個別値が必要です。

Field

コードのサンプル

DecomposeSpatialStructure の例 1 (Python ウィンドウ)

次の Python ウィンドウ スクリプトは、DecomposeSpatialStructure 関数の使用方法を示しています。

# Extract patterns in the spatial arrangement of the input features.
arcpy.env.workspace = r"c:\data\project_data.gdb"
arcpy.stats.DecomposeSpatialStructure(
    in_features="myFeatureClass",
    out_features=r"myOutputFeatureClass",
    append_all_fields="ALL",
    min_autocorrelation=0.25,
    max_components=15,
    neighborhood_type="CONTIGUITY_EDGES_CORNERS",
    distance_band=None,
    number_of_neighbors=None,
    weights_matrix_file=None,
    local_weighting_scheme="",
    kernel_bandwidth=None,
    out_swm=None,
    id_field=None
)
DecomposeSpatialStructure の例 2 (スタンドアロン スクリプト)

次のスタンドアロン スクリプトは、DecomposeSpatialStructure 関数の使用方法を示しています。

# Extract patterns in the spatial arrangement of the input features.

import arcpy

# Set the current workspace
arcpy.env.workspace = r"c:\data\project_data.gdb"

# Run the tool
arcpy.stats.DecomposeSpatialStructure(
    in_features="myFeatureClass",
    out_features=r"myOutputFeatureClass",
    append_all_fields="ALL",
    min_autocorrelation=0.25,
    max_components=15,
    neighborhood_type="CONTIGUITY_EDGES_CORNERS",
    distance_band=None,
    number_of_neighbors=None,
    weights_matrix_file=None,
    local_weighting_scheme="",
    kernel_bandwidth=None,
    out_swm=None,
    id_field=None
)

# Print the messages. 
print(arcpy.GetMessages())

ライセンス情報

  • Basic: Yes
  • Standard: Yes
  • Advanced: Yes

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